Brandon K. Hill

【Luupの台頭で再燃】なぜeスクーターはここまで批判されるのか?

最近日本では電動キックスクーター、別名eスクーターの話題が絶えない。特にスタートアップのLuupによる資金調達など、新たな電動マイクロモビリティとしてその勢いはどんどん増している感じがする。 後を経たない反対派の意見 その一方で、SNS上では「危なすぎる」「廃止すべきだ」「海外では禁止している街が多い」などの意見も散見され、かなり炎上気味な状態。 そんな中で、東京に加え、世界の他の街のeスクーターを取り巻く状況も踏まえ、個人的な考察をしてみたいと思う。 乗り物としてのeスクーターの危険性 そもそもなぜこんなにも反対論が多いのだろうか? それはおそらく、その車輪の小ささと重心の高さだろう。こちらのスクーターレースの動画を見てもわかるとおおり、細かなコーナーでは転倒する人が多発しており、その操作には一定の技術が必要とされる。 反対派の中には、この不安定さを指摘する人も少なくない。 eスクーターレースの様子 pic.twitter.com/OotayXHDUT — Brandon K. Hill | CEO of btrax 🇺🇸x🇯🇵/2 (@BrandonKHill) March 12, 2024 東京でもeスクーターを日常で見かけることの多くなった その一方で、ここ一年ほどで東京都内でeスクーターに乗る人たちを見ることが多くなったように感じる。 また、駅前や商業施設などにLuupのステーション設置を目にすることも少なくない。 サンフランシスコでの事情 では、世界の他の街ではどうなっているのであろうか。 まずはbtraxの本社のあるサンフランシスコでは、市民の日常の足としてかなり重宝している。市内のいたる所にBirdやLimeなど、複数のシェアリングeスクーターが置かれ、アプリ経由で気軽に利用することが可能。 ちなみに、btraxのオフィスにも二台ほどeスクーターが常備されており、スタッフがいつでも利用できるようになっている。 バルセロナでの事情 先日訪問したバルセロナではどうだろうか? こちらでも、多くの人たちが徒歩や自転車、メトロに合わせ、eスクーターでの移動を行なっていた。 ニューヨーク、パリ、マドリッド、メルボルンでは禁止 サンフランシスコやバルセロナで普及する一方で、eスクーターを禁止する都市も少なくない。 例えば、ニューヨーク市やパリ、マドリッドやメルボルンでは、その危険性からeスクーターの利用を禁止している。 なぜここまで都市によって事情が異なるのか? Eスクーターが日常的に普及している都市と、完全に禁止する都市。 なぜここまでの差が出ているのだろうか?それは、それぞれの都市の構造によるところが大きい。例えば、サンフランシスコの市街地の道は、車道と歩道に加え、”Bike lane” と呼ばれるかなり広めの自転車専用レーンがあり、eスクーターもそこを走ることが可能。 それにより、車道を走りながらも、安心して自動車との “共存” が可能なのだ。 バルセロナ市街地には自動車が侵入禁止の道が多くあたり、時間によりバリケードが設置され、自動車が入れないようにしている。これにより、安全にeスクーターが利用可能になる。 歩道で乗るのは結構危険 ちなみに、車道でeスクーターを乗るのは少し怖い感じがするが、歩道を走るのは、歩行者を危険にさらす可能性が高く、禁止されているので、絶対にやめた方が良い。 こちらの動画のように、出会い頭でぶつかり、歩行者へ多大なる被害を与えてしまうことになる。 日本でも電動キックスクーターが随分と普及してると思うけど、ぜひお気をつけください。先日、ロスアンゼルスで歩道を走るキックスクーターが道を横切る男性に衝突。事を荒げたくないと思った男性は病院に行かなかった。しかし、頭部に受けたダメージが原因でその後に亡くなっている。 pic.twitter.com/EjDGcQ0r3C — Brandon K. Hill | CEO of btrax 🇺🇸x🇯🇵/2 (@BrandonKHill) September 24, 2024 保守派 vs イノベーターの二元論ではない こんな感じで、それぞれの都市によってeスクーターへの法規対応が大きく異なる。 そんな中、日本国内ではLuupに代表される、シェアリングスクーターに対しての強い批判をする保守派と、新しいモビリティへの期待が高まる確信派との間での激しいぶつかり合いが定期的に見られる。 しかし、それはeスクーターという乗り物自体だけにフォーカスを当てているうちは、かなり的外れな気もする。 そんなビジネスの正しさとかの話じゃなくて、単純に「Luupあぶねーだろ」って言ってんの。 pic.twitter.com/wGj1OfQDfw — まことぴ (@makotopic) October 22, 2024 結論: eスクーターが安全に普及するには都市インフラが不可欠 Eスクーターが危ない乗り物なのか、東京をはじめとする日本の都市で普及させるべきかどうかに関しては、都市のインフラと併せて考える必要があるだろう。 例えば、上記で紹介したサンフランシスコの場合、自転車専用レーンのおかげでかなり安全に感じる。 その一方で、パリのような道が狭く、歩道と車道の距離が近いような都市においては、危なかっかしすぎて乗る気にもならない。 今後、東京でeスクーターを安全に普及させるには、まずは都市のインフラの整備から行う必要があるように思われる。

ロゴデザインの費用: いくらが相場なのか?高い事例と安い事例紹介

「ロゴのデザイン費用っていくらぐらいなのですか?」と聞かれることが多い。 これに関しては、本当にピンキリで、同じ「ロゴ」だとしても、複数の条件の違いによって、500円の時もあれば、5000万円の時もある。言い換えると、「相場」と言うものが存在しない、かなり不思議な世界である。 なので、どのような要素がデザイン費用に影響を与えるのかの詳細と、実際にあった高額な事例と低価格な事例を紹介する。 ロゴデザインの費用に影響を与える10つの要素 では、具体的にどのような要因がロゴをデザインする際の費用に影響を与えるのだろうか。下記の10の要素が最もインパクトが大きいと思われる。 1. 仕事の範囲 依頼内容がロゴデザインだけなのか、それとも企業アイデンティティに対しての全体的なブランディングを行うのか。また、その際に各種ガイドライン作成や、今後の運営まで含むのかによって費用は異なる。 たとえば、ロゴ単体のデザインと、それを補完するデザインシステムの作成では、かかる時間もコストも大きく違ってくるし、デザインしたロゴを活用した各種バリエーションビジュアルをデザインするかどうも費用感に大きく影響する。 今さら聞けないデザインシステム入門 2. コミュニケーション量 実は、デザイン系プロジェクトのその多くは、デザイン作業そのものよりも、クライアントとのコミュニケーションに多くの時間が割かれることが多い。 黙って自由にデザインさせてくれるのであれば、短期間で良いものが生み出せるはずなのに、複数回にわたるミーティングやプレゼンテーション、そして承認を得るための補足資料の作成等を行なっているうちに、プロジェクトに費やす時間がどんどんと増えていく。 したがって、頻繁なやり取りや多くのフィードバックを求められるプロジェクトでは、費用が高くなる傾向ある。 btraxのデザイナーが考えるクライアントコミュニケーションの5つのコツ 3. リサーチ量 無邪気にロゴをデザインするだけなのと、競合調査や市場分析、既存の類似ロゴのチェックなどのリサーチを事前に行うかどうかによっても、費用が大きく異なる。 専門デザインエージェンシーであれば、一般的にその辺のプロセスはしっかりと行うが、駆け出しのフリーランサーとかになってくると、省略してしまいがち。 しかし、Airbnbのように、後々類似するロゴが見つかって、大きな問題になり、余計にコストがかかるようなケースも少なくない。 ロゴのリデザイン ー Gapの失敗 Airbnbの成功の背景にある理由とは 4. バリエーション数とラウンド数 それぞれのステップで提案するデザインのバリエーション数や、修正を行うラウンドの数も費用に大きく影響する。 一般的に、バリエーションが多く、修正回数が増えるほど、プロジェクトのコストも増加しがち。 また、場合によってはいつまでも決まらずに、無限ループ状態に陥ることもあり、そうなってくると、本当はチャージしたいのにできない最悪のケースになることもある。 Uberの失敗 非デザイナー社長がリブランディングに関わるとどうなるのか 5. 利用用途 デザインしたロゴが、その後どのような場所で利用されていくのかも、ロゴデザインの仕事内容に大きな影響を与える。 デジタルのみで使用されるのか、印刷物やビルボード、さらにはアニメーションとしても利用されるのかによって、デザインの要件が変わり、費用も変動する。 また、現代では、利用されるシーンに合わせて、それぞれに最適なロゴバリエーションをデザインする、レスポンシブロゴの必要性も高まっており、それの有無によってもコストが大幅に異なってくる。 例えば、印刷物、デジタルメディア、看板、広告、大型ビルボード、商品パッケージなど、あらゆる場面で一貫性を持って機能するデザインが求められる。 ロゴもレスポンシブロゴの時代へ 6. 権利条件 ロゴの著作権を誰が保持するか、またそのロゴから他のデザイン要素が派生した場合の費用が発生するかなど、権利に関する取り決めも費用に大きく影響する。 特に、デザインをした際の元ファイルをクライアントに全て譲渡するのか、それとも最終アウトプットの利用権利だけを与えるのかによっても、同じ作業量の仕事であっても、その価値と費用が大きく異なる。 例えば、サンフランシスコの工業デザイン会社のAmmunitionがBeatsのヘッドフォンをデザインした際の条件は、デザイン費用プラス、一台売れるたびにロイヤリティーが入る仕組みになっていた。 デザイン案件に必要な契約書はこの1ページだけ 7. 永続性 デザインするロゴが、一時的なキャンペーン用なのか、それとも長期間にわたって使用されるのかも、デザインのアプローチやコストに影響を与える。 例えば、季節限定の商品やイベント、プロモーションのために一時的に使用されるロゴは、その目的が達成された後に役割を終えるため、将来的な汎用性を考慮する必要が少なく、比較的短期間でデザインプロセスが完了することが可能性が高い。 一方で、ロゴが長期間にわたり使用される予定であれば、そのデザインには時間とリソースがより多く費やされる傾向がある。 企業の象徴として長期的に使用されるロゴは、時代を超えて適応し続ける必要があり、普遍的でありながらも、ブランドの進化をサポートできるデザインが求められるのが理由。 最近のロゴがどんどん黒くなっていく「ブラック化現象」について 7. クライアントの規模 クライアントの規模が大きいほど、関与する組織レイヤーが増え、プロセスが複雑化し、結果としてコストが高くなることが一般的。 それにより、ロゴデザインにおけるフィードバックの回数が増えたり、複数の部署やステークホルダーからの承認が必要になる傾向が見られる。 例えば、グローバル企業や大手ブランドの場合、ロゴデザインの変更は企業全体に及ぶ影響を持つ。そのため、マーケティング部門、経営層、法務部門、さらには地域ごとのブランドマネージャーなど、さまざまな関係者がプロジェクトに関与することになる。 それぞれの関係者が異なる視点や要望を持っているため、それをすべて取り入れつつ、統一感のあるデザインを作り上げることが求められる。 さらに、ブランドガイドラインや法的要件が厳格に設定されていることが多く、それに準拠するための追加的な作業が発生することもある。 これらの要件に対応するためには、デザイナーが専門的な知識を持っている必要があり、その分、プロジェクト全体の複雑さとコストが増大する要因となる。 逆に、小規模なクライアントの場合、意思決定のプロセスがシンプルで、関与する人々の数も少ないため、迅速にデザインプロセスを進められることも少なくない。 大企業で優れた新規事業が「空中分解」するワケ 社内組織の限界を超える事業切り出し戦略 8. 誰がデザインしたのか デザインを誰が担当するかも費用に大きな影響を与えます。たとえば、Nikeのロゴは学生、Twitterは友人、そしてCoka-Colaは社員によってデザインされたため、費用は無料かわずかだった。 逆に、著名なデザイナーが手掛けたロゴでは、そのデザイン自体にプレミア価格がつくことがある。 学生や新進のデザイナーが腕試しとして低価格でデザインを提供することもあるが、著名なデザイナーが手掛けるロゴデザインは、それ自体がブランドにとっての資産となる。 そのため、こうしたプロジェクトには、クライアントが長期的な投資として高額な費用を支払うことが一般的。特にグローバルに展開する企業にとって、ロゴのデザインは単なる視覚的な要素ではなく、ブランド戦略の中核をなす重要な要素となるため、その価値は計り知れない。 “タダでやってくれませんか?” 問題への正しい対応方法 9. ロゴがビジネスに与えるインパクト そのロゴをデザインしたことでクライアントが享受するビジネス的メリットの差によってもコスト感は大きく異なる。 例えば、ロゴが新しくなることで、売り上げが10%アップする場合、年商100億円の企業には、10億円以上の価値があるが、年商100万円の場合、10万円程度しかないと思われる可能性がある。 売り上げが多い企業や、グローバル企業のデザイン案件の予算が総じて大きいのはこれが理由。同じデザインの仕事だったとしても、クライアントが得るポジティブインパクトが多い方が、多くの費用が費やされる。 最も効果的なデザイン案件の見積りの出し方 10. クライアントとの関係性 そして、もしかしたら最も影響があるのかな?と思われるのが、これまでのクライアントとの関係性。 相手がノリの通じる企業のトップなのか、頭の硬い中間層なのかで、ロゴデザインのプロジェクトに費やされる時間と労力に雲泥の差が出る。 したがって、「ロゴのデザイン費用はいくらですか?」と聞かれると、逆に答えにくい。むしろ、こちらから「私をどれだけ信頼していますか?」と聞いてから見積もりを出したい気分。 クライアントには絶対に聞かせられないデザイナーの本音 高額なロゴデザインの事例 では、実際にこれまでデザインされたロゴの中で、予算の大きかったものをいくつか紹介する。 ペプシ: 100万ドル ペプシのロゴリデザインは、2008年に行われ、その費用100万ドル。このリデザインには、ロゴそのものだけでなく、ブランド全体のビジュアルアイデンティティの刷新が含まれていた。 アクセンチュア: 1億ドル アクセンチュアのロゴは、2000年に会社がリブランディングを行った際にデザインされた。このプロジェクトには1億ドルが投じられ、その結果、アクセンチュアの「>」のシンボルが誕生した。 BP: 2億ドル BP(British Petroleum)のロゴリデザインはアクセンチュアの倍の予算、2億ドルが充てられた。2000年に導入されたこの新しいロゴは、環境に優しいイメージを強調するために「ヘリオス」を象徴するデザインを採用。ロゴの変更と共に、全社的なリブランディングが行われ、その費用が巨額になった要因。 シマンテック: 10億ドル 最も高額なロゴのデザイン費用の一つがシマンテック。その金額はなんと10億ドル!企業全体のリブランディングの一環であったことが大きな要因。この巨額な費用には、ロゴデザインだけでなく、セキュリティ製品群の再ブランディングやマーケティング戦略全体の見直しが含まれている。 低価格なロゴデザインの事例 では逆に安い値段でデザインされたロゴの紹介。いくつかは一時的なものだったり、すでにリデザインされているが、Nikeのように、その後も普遍的に利用されているものある。 Google: 0 Googleの最初のロゴは、共同創業者であるセルゲイ・ブリンによってデザインされた。このロゴは、GIMPという無料の画像編集ソフトを使って作成されたもので、ほぼコストゼロで誕生。その後、コンセプトをそのままに、洗練されたロゴにリデザインされている。 Coca-Cola: 0 Coca-Colaのロゴは、1886年に同社の会計士であるフランク・メイソン・ロビンソンがデザイン。社員だったので、特別な費用はかかっていない。現在よく目にするコーラのロゴは、彼が考案した手書き風のロゴを洗練させたもの。 Twitter: 15ドル Twitterの初期ロゴは、ストック素材サイトのiStockphotoから15ドルで購入したもの。 このデザインを手がけた日本在住のデザイナー、サイモン・オクスリー氏は、当初Twitterがそのデザインを使用していることに気づいておらず、スタッフの一人が鳥のアニメーション化について許可を求めて連絡してきたことで初めて知ることとなった。 […]