南アフリカ出身の新鋭デザイナーが語る 貧困問題・奴隷制の歴史から見るサステナビリティ

 南アフリカ出身でケープタウンを拠点とするデザイナー、シンディソ・クマロ(Sindiso Khumalo)は、自身の名を冠したブランドを通したサステナビリティへの取り組みについて語った。クマロは2月に2020年度「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ(LVMH YOUNG FASHION DESIGNER PRIZE)」のファイナリストにも選ばれており、10月にもサステナブルなブランドに贈られる「グリーン・カーペット・ファッション・アワーズ(GREEN CARPET FASHION AWARDS)」で最優秀デザイナー賞を獲得した。

 クマロは、オーガニックコットンや麻といった素材で作られたテキスタイルを使用し、少量しか生産しない。さらにその取り組みを社会的な影響やエンパワーメントに焦点を当てたものに拡大している。「私が思うに、このトピックは主に欧米で環境問題について語られる一方通行的なものとなっている。それも本当に大切なことだと思うけれど、サステナビリティについて話すとき、私は貧困問題を解消するという側面から見るようにしている。ムンバイでもケープタウンでも、世界の貧しい地域を見てみると米ミシガン州フリントの水道汚染のような環境問題が常にある。私にとって環境問題と貧困問題は密接に関連しているもの」と述べた。

 「サステナブルでいるためには多くの方法がある」と彼女は語る。ミラノ・ファッション・ウイーク期間中の9月24日には、アメリカの奴隷解放運動家のハリエット・タブマン(Harriet Tubman)にあてた21年初春夏コレクションを同氏のニックネームから「ミンティ」と題してオンライン披露した。同コレクションでは、タブマンもその功績を称えられている黒人奴隷をひそかに逃がした地下鉄道の指導者の制服に見られるシルエットを使用したり、奴隷の多くがコットンのプランテーションのために連れられてきたことから全体に綿花をプリントしたドレスも制作した。

 「奴隷制度があった頃これらのプランテーションは美しく見え、女性は綺麗な洋服を着ていた。一方で、その美しさのそばでどれほど非人道的で暗いことが起こっていたかは誰もが直接認めなかった。私も綿花がプリントされた美しいドレスを通して同じような緊張感を作りたかった。この綿花は6歳の子どもが摘んでいたもの。私の息子は6歳で、息子が毎日綿花を摘んで鞭で打たれているのを想像したとき、それを表現したいと思った」。

 「黒人女性に対する暴力はタブマンの時代からずっと続いている。このトピックについて話すこと自体も重要だが、人々を引きつける説得力のある方法で話すことも大切。私たちが象徴的な黒人女性の話をしていかないと、忘れ去られてしまう。このような女性についての話しを通して教育し、ファッションを黒人の歴史と文化について伝えていくツールとして使用することが大切だ」と述べた。

 また、同コレクションではブルキナファソ(西アフリカの国)にあるブランドの工房で手織りしたダファニコットンを使用し、搾取的な性産業から逃れるのを支援するケープタウンのNGOを通して女性を雇用して、手編みのポケットや刺しゅうを施した。クマロは「セックスワーカーにトレーニングを提供しながら共に仕事し、性産業に戻らないようにすることは私にとってサステナビリティの一部。オーガニックコットンをたくさん使用することで、サステナブルなデザイナーになれるとは思わない。それ以上のことをしなければならないような気がする。素材に限ったことでなく、価値観や人に関連したものでなければならないことを理解する必要がある」と語った。

 クマロがサステナビリティについて深く考えることになった背景には人種における多様性と包括性も大きく関連しており、「他の黒人がサステナビリティについて話しているのを見るまで、自分がこの話題に含まれていると感じなかった」と言う。「私にインスピレーションを与えてくれたのはオーロラ・ジェームズ(Aurora James)だった。彼女が自身をサステナブルデザイナーと呼び始めたとき、『ああ、私もサステナブルデザイナーになれるわ』と思った」とコメント。

 アフリカの伝統や文化をインスピレーションとし、現地の技術を活かしたバッグやシューズを生産するブランド「ブラザー ベリーズ(BROTHER VELLIES)」の創業者であるオーロラは6月に「15パーセントプレッジ(15 Percent Pledge)」を立ち上げ、米国人の約15%を黒人が占めるとされていることから主要リテーラーに対し棚の15%を黒人所有の企業に与える誓約を呼びかけた。自身のブランドも参加したクマロは、「オーロラの働きかけで多くの人々が目覚め、有色人種のデザイナーを見つけるよう動き出した。ジョージ・フロイド(George Floyd)氏の白人警官による暴行死事件以降、現状を変え始めているポジティブな動きがたくさんあると本当に実感している」と述べた。

 クマロはファッション業界にあるサステナビリティへの課題に多角的な視点を加える存在だ。「ビジネスを成長させ、それと共に多くの人と一緒に成長していきたい」と言う。

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ファッショニスタに学ぶジャケット着こなし術 ポイントは“ずらし”ミックス

 紳士服に由来する本格仕立てのテーラードジャケットは、意外にも着こなしの幅が広いアイテムです。最近のおすすめはデイリーウエアとのミックス。コロナ禍で普段着とお仕事ルックの境目がなくなったこともあり、“カッチリ×リラックス”のムード違いのミックスコーデが試しやすくなりました。

 正統派ジャケットで合わせれば、パーカにもデニムにもきれいめなイメージや“きちんと感”が備わります。手持ちのウエアから別の表情を引き出せるので、“ジャケットオン”はメリット大。今回はカジュアルミックスの上手なジャケット術をファッショニスタの着こなしから探ってみました。

ミニワンピースと合わせても甘くなりすぎない

 

 ガーリーに見えがちなミニ丈ワンピースも品格ジャケットを重ねれば、大人顔に様変わり。かえって適度な“ずれ感”が生まれてウィットフルに着こなせます。

 ビビッドカラーのバルーンシルエットが目を引くミニワンピースにマニッシュなジャケットを羽織りました。若々しいミニワンピにジャケットを合わせることで品格が備わり、またオータムカラーが全体を落ち着いた雰囲気に。ノーブルなバッグと色鮮やかなパンプスも、甘さを抑える効果を発揮しています。

ロングワンピースをトラッド寄りの“フェミニン×マスキュリン”に

 小花モチーフをあしらった総柄のロングワンピースはロマンティックなムードが漂うアイテム。そこにメンズ風ジャケットを羽織れば、程よいスパイスが加わって“フェミニン×マスキュリン”のジェンダーミックスに仕上がります。

 着こなしのポイントは、ワンピース以外のアイテムで少しトラッド寄りのシックなモチーフを選ぶところ。チェック系の柄を選べば、お仕事ルックにも対応できそうな“柄×柄”コーデにまとまります。ジャケットの前を開けてワンピースをしっかり露出するのがこなれ感を印象づける上手な着方です。

パーカに合わせて、“きちんと感”をアップ

 カジュアル寄りの装いにもジャケットならではの正統派なイメージを合わせれば、“きちんと感”が備わります。絶好の相棒アイテムは、のどかな雰囲気が持ち味のスウェットパーカです。

 ストリート気分を宿したスウェットパーカの上にジャケットをオン。クラシックなたたずまいのジャケットとカジュアルの代表選手であるパーカがクロスオーバーして、モード感が高まります。フードをジャケットの上から出すと、バックショットもミックステイストに。またオーバーサイズのジャケットは、ボディラインを華奢見えさせる効果も発揮してくれます。

見慣れた“ジーンズ×スニーカー”を一気に格上げ

 ジャケットの投入で一気に雰囲気を変えやすいアイテムの筆頭はデニムパンツです。普段着のシンボル的な存在だからこそ、ジャケットが発揮する“ずらし”の効果が期待できます。

 スタイリングのコツは、ジャケットの本格感とパンツのユーズド感をぶつけるところにあります。見慣れたデニムパンツ×スニーカーのコンビネーションも、ジャケットをまとうだけで一気に格上げ。英国やイタリアの伝統的なテーラリングを生かしたタイプなら、トレンドのクラシックムードを呼び込めます。

スポーティーと好相性、“こなれジェンダーミックス”に変身

 本格ジャケットは、カジュアルのほかに“スポーティー”とも意外な好相性を発揮してくれます。ポロシャツのような軽快なアイテムに重ねてラフに着こなすのがおすすめ。ジャケットの出番を増やしやすいミックスコーデです。

 ポロシャツの上から、ウエストに絞りを利かせたスレンダーなジャケットをオン。ボウリングバッグを添えて、スポーツテイストをもう一段上乗せ。メンズライクなトラウザーをチョイスし、“こなれジェンダーミックス”の装いに仕上げました。

 ジャケットが品格をもたらしてくれる点を生かして、ワンマイルウエアやスポーティー、アウトドアなど、ムードが相反するアイテムと合わせるのがファッショニスタ流。カジュアル系を着ていても全体がゆるく映るのを防いでくれるので、この秋はジャケットの“1点投入”で着回し力をアップしてみては!

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:
多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

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「ノワール ケイ ニノミヤ」の“気持ちを前に進める服作り” 狂気と可憐さが共存するリボンドレス

 二宮啓が手掛ける「ノワール ケイ ニノミヤ(NOIR KEI NINOMIYA)」は10月19日、2021年春夏コレクションを東京・南青山のコム デ ギャルソン本社で発表した。同日に同会場で開催された「コム デ ギャルソン」と同様に9〜10月に行われたパリ・ファッション・ウイークには参加せず、今季は東京での発表に切り替えた。

“手元にあるもので新しいものを生み出す”

 ファーストルックは、無数の黒いビーズを通したワイヤードレス。輪っか状の装飾が歩くたびに揺れ動く。その装飾はハーネスやチェーン、チュールを組み合わせて、次第に派手に、ボリューミーに、要素を増していく。

 中盤のルックからはリボンが主役になった。チュールのリボンをのせた立体的なドレスや、ファーのように無数のリボンを覆ったドレスなど、大胆に装飾を盛り込む。終盤にはピンクと白の半透明のビーズを編んだロングドレスや、ビーズがフリンジのように前に突き出すようにドレスなど華やかなピースも登場。そこには可憐さがありながらも、狂気さえも感じる力強さが共存する。

 「ノワール ケイ ニノミヤ」は、これまでレーザーカットや、生地の特殊加工などでテキスタイル開発も得意としてきたが、今回はそういった特殊な技術を用いずに手仕事に焦点を当てた。二宮デザイナーは「素材はコットンやウール、チュール、ビースなどありふれたものを使い、手元にあるもので新しいものを生み出すことを目指した」と説明する。

草木のヘッドピースで、生命のエネルギーを表現

 植物を使ったヘッドピースは、コラボレーションを継続しているフラワーアーティストの東信(あずままこと)によるもの。今季は、野山から摘んできた雑草や、草木を使用することで、生命のエネルギーを表現した。中には根っこがそのままついているものまであった。

 「今回はエネルギーを感じるもの、気持ちがポジティブになるものを意識して制作を進めた。コロナ禍でも変わらず、われわれが続けてきたモノ作りを継続していくということを示したかった」と二宮デザイナーが語るように、クリエイションへの情熱がダイレクトに伝わるショーであった。逆境に屈せず、見る人の気持ちを前に進めてくれる「ノワール ケイ ニノミヤ」の進化は止まらない。

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ナチュラルコスメの宝庫、ベルリンの自然派商品専門デパートメント「ナトゥーア・カウフ・ハウス」 海外ビューティ通信ベルリン編

 世界に目を向けると日本とは異なる美容トレンドが生まれている。そこで、連載「海外ビューティ通信」ではパリやニューヨーク、ソウル、シンガポールの4都市に住む美容通に最新ビューティ事情をリポートしてもらう。(本文中の円換算レート:1ドル=105円)

 ベルリンでは街の至るところにあるドラッグストアやスーパーでオーガニックコスメやナチュナルコスメを購入できるが種類は少ない。オーガニック専用のビオスーパーでも全種類そろっていることはまずない。ヘアコンディショナーやトリートメントがなくシャンプーしか置いていない、といった事態が日常茶飯事だ。

 そんな中、今年で25周年を迎えた自然派商品専門のデパートメントストア「ナトゥーア・カウフ・ハウス(NATURKAUHAUS)」は定番から話題のブランドまでをそろえ、主要ブランドについては全商品をそろえるほど充実している。売切れ以外、ほぼ全てのアイテムが入手可能といっても過言ではない。コスメ以外も含めて全商品にフェアトレードまたはエコマークが付いており、100%オーガニックではないが持続可能なモノ作りを行なっているブランドのみを取り扱っている。環境先進国といわれるドイツでも自然派商品だけを扱う専門デパートは「ナトゥーア・カウフ・ハウス」以外になく唯一無二の存在だ。

 同ストアはベルリン市内のシュテーグリッツ地区とベルナウ・バイ・ベルリンにも店舗を構える。ベルリンの一号店は4000平方メートルの敷地面積に建つガラス張りの5階ビルの中に衣料品、インテリア雑貨、食品、文具、本、コスメなどのカテゴリー別に8つの売り場に分かれている。4階のコスメ、スキンケア、ボディーケア、ヘアケア売り場はベルリン随一の豊富な品ぞろえを誇る。お世辞にも洗練されているとは言えない飾り気のないフロアの3分の2をコスメが占める。

 ドイツブランドはオーガニックコスメ認証機関「ネイトゥルー(NATRUE)」を共同設立した「ロゴナ(LOGONA)」「ラヴェーラ(LAVERA)」「ヴェレダ(WELEDA)」「サンタベルデ(SANTAVERDE)」「ドクターハウシュカ(DR.HAUSCHKA)」「プリマヴェーラ(PRIMAVERA)」といった定番の人気ブランドを筆頭に、「アンネマリー・ボーリンド(ANNEMARIE BORLIND)」「オーシャンウェル(OCEANWELL)」「スピンラド(SPINNRAD)」「ヒルデガルド・ブラウクマン(HILDEGARD BRAUKMAN)」といった有名ブランドが顔をそろえる。ドイツブランド以外ではイタリアの「レルボラリオ(L’ERBOLARIO)」や「ネスティ・ダンテ(NESTI DANTE)」、フランスの「ロクシタン(L’OCCITANE)」、デンマークの「ウルテクラム(URTEKRAM)」のほか、オーストリアやイギリスなどヨーロッパ各地のオーガニックコスメやナチュラルコスメを取り扱う。

 注目はヘアケア製品の民族的なグラフィックパターンのパッケージデザインが話題の「ビオトゥルム(BIOTURM)」で、ビオスーパーでも特設コーナーが設置されているほどの人気ブランドだ。ヘアケア製品はオイリーヘア、薄毛、ボリューム不足、ダメージヘアなど、髪質や用途別に9種類のシャンプーと6種類のトリートメントがある。そのほか日本でも注目を集めているデリケートゾーン専用のケア製品がウオッシュジェルやクリームなど10種類をそろえる。同ブランドはオーガニックの食品や化粧品に精通しているマルティン・エヴァース(Martin Evers)創設者によって2001年に設立。乾燥肌、アレルギー肌、神経皮膚炎、乾癬、ニキビなどの肌トラブルを抱える人たちに向けて、乳清から得られる有機ホエイを主成分に使った医療発想のオーガニックコスメを展開している。

宮沢香奈:フリーランスライター兼コラムニスト。プレス、ブランドディレクターなどを経て、フリーランスとしてPR事業をスタート。その後、ライターとして執筆活動を開始。2014年に東京からベルリンに拠点を移し、ヨーロッパを中心に現地情報を多数の媒体で執筆中

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「バルミューダ」の掃除が楽しくなるクリーナー誕生秘話 社長自ら掃除好きに

 「バルミューダ(BALMUDA)」は11月17日、新製品“バルミューダ ザ・クリーナー(以下、クリーナー)”を発売する。同ブランドは予約受付を開始した10月15日に、東京・代官山で体験会を開催。新製品のプレゼンテーションは、いつも通り寺尾玄バルミューダ社長が行った。冒頭に寺尾社長は、「新型コロナウイルス感染拡大の中で、実際に発表会を行うことに対していろいろと考えたが、できるだけ予防をして経済活動をするべきだと思った」と語った。ベント開催を決定したのは9月中ごろ。まだ、対面の展示会や発表会は少ない時期だった。会場内の20人全スタッフはPCR検査を受けて陰性という結果を確認後にこのイベント開催に踏み切ったそうだ。

 このクリーナーが誕生するきっかけは社内スタッフの声から。今までの「バルミューダ」の製品は全て寺尾社長のアイデアから生まれた。 2003年にブランド設立後、空調、キッチン家電などジャンルを少しずつ増やしてきた。寺尾社長は「15年には、そろそろ次のジャンルへ移行しなければ」と考えていたそうだ。社内の声とは反対に、同社長は掃除に関しては、花王の“くるくるワイパー”派。さっと使えてしまえる便利さが理由だった。「自分が欲しいと思わないモノを開発するもどかしさもあり悩んだが、事業の都合上仕方ない。仕事だと割り切ってプロジェクトをスタートした」と言う。掃除機といえば、ロボット掃除機以外は、前後に動かしてゴミを吸い込むタイプがほとんど。可動域が前後という道具は掃除機くらい。しかも、掃除機は部屋の片隅にあると不自然なので、しまって出すという作業が必要。これらが、掃除が不便、面倒と思わせる理由だ」。同社長は、社内の開発チームと行きつけの蕎麦屋で作戦会議を開催し、3種類のプロトタイプが生まれた。悩みながらも寺尾社長が理想の掃除機としてイメージしたのはホバークラフト。雪、水などの上を浮かびながら移動する乗りものだ。「ホバークラフトは私にとってはユニコーンのような夢の存在。少し浮きながら滑るように動く掃除機があればいいなと思った」という。そこから、「バルミューダ」独自のホバーテクノロジーが開発された。

 通常の掃除機のブラシは1本だが、“クリーナー”には2本ブラシがあり、内側に回転し、床面から浮いている状態を可能にする。ヘッドは360度回転するスワイプ構造で、縦にも横にも斜めにも自由自在に動くようになっている。四隅にはローラーが付いており、壁の隅や階段などの狭いスペースの隅々まで吸いつくように掃除が可能だ。ハンディータイプとしても使え、サッシやソファなどの掃除にも使える。パーツは水洗いが可能なので清潔に保てる。デザインは立てかけられた1本のほうきのようにシンプル。「美しさをあえて追求せず、部屋の片隅や廊下にも自然に馴染むシンプルでクリーンなデザインにした」。

滑るように動く操作性抜群の“バルミューダ ザ・クリーナー”

 この“クリーナー”の開発にかかった期間は約2年。寺尾社長は、「自分が欲しいと思わず製品化したのは初めて。最初は悩んだが、事業における責務と思って取り組んだ。滑るように浮く掃除機だったら欲しいと思い、悩みから欲しさに変わった。欲しさにたどり着かなかったら製品化しなかった」と話す。「バルミューダ」としては初めてのクリーナー製品だが、クリーナー事業だけでゆくゆくは売り上げ100億円を目指すという。「掃除体験はこうあるべきということを考えて開発した製品だ。今まで開発してきたトースターなども同じコンセプト。時短とか効率とかスペックのようなものではなく、人々の生活において、どれだけ良質で楽しい体験を提供できるかということが一番重要だ」。トースターはいまだに最高出荷数を更新する製品になった。コロナの状況下においてもビジネスは予想以上に好調だという。「今まで変更せずやってきたことが正しかったと実感している。製品開発する基準は、基本、全て自分が欲しいモノ。開発は、スケジュールや予算など色々な制約があり辛いプロセスだ。しかし、今作れなくても、数年後には作れるようになるべきというもモチベーションに溢れている。開発においては、どれだけ夢を見られるかということが大切だ。一見無駄と思われる時間がそうじゃない場合もある」。試行錯誤しながら開発することにより大当たりが出ることがあるというのが寺尾社長の考えだ。5万4000円という価格設定に関しては、「自分が製品を試してこの価格だったら買うと思う値段にしている。他社製品の価格等は気にしない。大切なのは消費者がどう思うか、どう感じるかということだ」ときっぱり。来年には、想像を絶するようなノズルパッケージが登場するという。

 時代に左右されず、独自路線で邁進する「バルミューダ」。今後もファンはさらに増えていくことだろう。

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H&Mが商品の生産国や工場を開示する理由 トレーサビリティー実現の先をサステナビリティ責任者が語る(前編)

 「H&M」は2013年からサプライヤーリストの公開をはじめ、19年から製品の素材や生産国、サプライヤー名のほか、製造工場名と所在地、従業員数などの情報の公開も始めた。オンラインで購入できる、ホームを含めたH&Mブランド全ての商品が対象だ。実店舗でも消費のタグをスキャンすればその場で情報が確認できるという消費者フレンドリーな仕組みでもある。システム構築まで3~4年かかったというが、なぜ、商品情報の開示に至ったのか。またそれを今後どのように発展させるのか。アナ・ゲッダ(Anna Gedda)=サステナビリティ責任者にオンラインインタビューを行った。

WWD:なぜ一つ一つの商品情報を開示しようと思い立ちましたか。

アナ・ゲッダ=サステナビリティ責任者(以下ゲッダ):理由は2つあります。1つ目は、透明性、そしてトレーサビリティー(追跡可能性)は私たちのサステナビリティへの取り組みの基盤になっているからです。責任を果たす企業でありたいならば、取り扱う製品がどこで、誰によって作られたかを知っておく必要があります。ファッション産業のサプライチェーンは複雑なので、「オーガニックコットンを使用している」や「良質なリサイクルポリエステルを使用している」といったことを保証するには、サプライチェーン内のトレーサビリティーは欠かせません。信頼性を保つためにはとても重要なのです。

2つ目は、多くのお客さまがサステナビリティへの高い関心を持っている中で、私たちは必要な情報を届けなければいけないと考えるからです。多くのお客さまは関心があるものの、どのようにサステナブルな選択を行えばいいのかが分かっていないのが現状です。それは世の中にはさまざまな企業や団体によるラベルや情報共有するためのモノが溢れ返っているからです。ゆえに、お客さまから信頼され、そしてお客さまにとって何が良い選択で何がそうでないのかを理解してもらうための唯一の方法は透明性を保持することだと私たちは考えます。

私たちも開発に関わっている環境負荷の計測ツールのヒグ・インデックス(Higg Index)もそうですが、多くの企業がそれぞれにサステナビリティに取り組んでいる中で、まずは業界全体の底上げを行いたいと私たちは考え、製品レベル、工場レベル、そしてブランドレベルで各々のサステナビリティのパフォーマンスを計測できる統一された基準があれば、お客さまにとっても第三者機関を通じての比較が可能で有益だと考えました。

WWD:情報を開示するにあたって重視した点は?

ゲッダ:私たちがトレーサビリティーに取り組む理由の一つにもつながりますが、私たちはお客様がより良い選択ができるようにしたいと思っています。そのためにはただデータを提供するのではなく、お客さまにとってわかりやすい形であることが重要です。その点に関して段階的に取り組みを進めています。

興味深いのは、お客さまが興味を持つトピックが市場や地域によって異なることです。例えば、北ヨーロッパに住むお客さまは社会問題についての関心がより高く、アジアのお客さまは環境問題、特に化学物質関連の問題について関心が高いということがわかっています。

この点は透明性の機能を築く際に重要視しました。今後さらに多くのデータを回収することができれば、現在開示している情報に加え、お客さまがそれぞれ知りたいと思うものに応じた情報を提供できるようになります。人によっては工場の労働環境や衣料品従事者にいくら賃金が支払われているかを知りたい人もいるでしょうし、一方でこの素材がどこから来たものか、安全な地域から調達したものなのかなどの点に興味がある人もいるでしょう。つまりお客さまが重要だと思うことや、知りたいことは人によってさまざまなのです。将来的には、より広範なデータをお客さまにわかりやすく提供することを目指しています。

WWD:製品がトレーサブルでないと売れない時代が来ると思いますか?どれくらいの消費者が実際にモノを選ぶ基準にしていると思いますか?

ゲッタ:お客さまのサステナビリティへの関心は確実に高まっており、特にこの2~3年で加速しています。ただ、関心が高いだけでなく、懐疑的であったり、好奇的であったりすることもあるので、信用性が非常に重要な要素となります。お客さまによって関心のレベルはさまざまなので、すべての人に当てはまるわけではありませんが、多くの人々が自分が買うものが安全であることを求めています。商品がどこで作られ、何が含まれていて、何が良く何が悪いのかについて開示することで、信用と信頼を提供することが大事だと思っています。

将来、製品がトレーサブルでないと消費者が実際に購入しないのかということは、現状ではわからないですが、サステナビリティとは何かを理解して、消費者として自分の行動がどう影響し、実際に何ができるかを考えることにつながればと思っています。

WWD:今までに製品がどこでどのように作られたかなどの問い合わせはありましたか?

ゲッタ:もちろんです。まさにお客さまの関心が高まっている良い例です。これまでにも社員への教育は行っていましたが、最近、新たに店舗の社員向けにサステナビリティに関するガイドブックを発行し、お客さまからのお問い合わせに答えられるようにしています。「この繊維の由来はどこか」「誰がこの製品を縫製したか」などについて非常に興味を持っている場合もあります。そのような中で、すべてではなくとも大多数の質問に答えられるように取り組んでいるところで、将来的にはトレーサビリティーについてもこの中に導入したいと思っています。

ちなみに、トレーサビリティーは、循環型へのシフトにおいても大きな役割を果たします。なぜなら製品のさまざまな部分で活用することができるからです。例えばとある製品をリサイクルする場合に、どのような素材がその製品に紐づけられているかを把握していれば、生産工程で取り除く必要のある化学物質はないか、どのように繊維をリサイクルするのが最適かなどを正確に判断することができます。そういった意味では透明性やトレーサビリティーは私たちのリサイクルへの取り組みの土台にもなっています。

WWD:トレーサビリティーのサービス構築の中で直面した困難は?

ゲッタ:システム構築よりも、サービスを提供するためのプロセスや、それをどう発展させるか、どういうサービスが適しているかを決定していくプロセスに時間がかかりました。特に難しかった点は、お客さまにとって重要なことは何か、お客さまは何を知りたいと思っているのかをいかに理解し、どのような情報を提供するのかを定めることが難しかったです。そして、実際にデータを集めることも難しかったです。社内で運用しているさまざまなシステムをどう連携させて、そこから得た情報をどのようにお客さまにとってわかりやすいものに転換させるかに時間がかかりました。

今後の課題としては、さらなるトレーサビリティーが挙げられます。サプライチェーンのさらに前の段階へとさかのぼり、原材料がどこで取れたものなのか、リサイクルポリエステルでは元のペットボトルがどこのどういうものなのかなど詳細な情報が必要になります。そこで私たちは各素材や製品のトレーサビリティーに取り組んでいるのですが、やはりサプライチェーンの複雑性を考えるとそれは簡単なことではありません。
WWD:実現するにはサプライヤーの協力が不可欠ですが、サプライヤーに対してどのようなサポートを提供していますか?

ゲッタ:私たちは1997年にサプライヤーの評価などに取り組み初めて以来、長年サプライヤーと協働してきました。サプライヤーからデータを集めるだけでなく、彼らのパフォーマンスを向上するためのサポートも長きに渡って取り組んできています。この透明性のサービスを提供するにあたっては、それらをどうお客さま視点につなげるか、どのように変換してお客さまにとってわかりやすいものにするか、という点に取り組みました。このように私たちはサプライヤーと長年かけてパートナーシップを構築しており、その多くと15~20年近く共に取り組んできています。その間共に成長し、発展していく中で、信頼も築きましたし、とても良いビジネスパートナシップを構築することができています。

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「コム デ ギャルソン」が約40年ぶりの東京ショーで見せた 不協和音が生むポジティブなエネルギー

 「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」は10月19日、2021年春夏コレクションを東京・南青山の本社で発表した。7月にメンズの「コム デ ギャルソン・オム プリュス(COMME DES GARCONS HOMME PLUS)」のショーを同会場で開いたが、従来はパリで発表しているウィメンズの「コム デ ギャルソン」が東京でコレクションを披露するのは1981年のパリコレデビュー以降は初で、約40年ぶりのことだ。会場は赤いライトで照らされ、コンクリートのような囲いが建てられた空間。部屋に入ると、ソーシャル・ディスタンシングを取るために間隔を開けたパイプ椅子が並んでいる。
 

透明のウレタンで包まれた造形的なドレス群

 
 定刻の10時、ノイズ音とともに登場したファーストルックは「プレイ・コム デ ギャルソン(PLAY COMME DES GARCONS 以下、プレイ)」のアイコニックな目のモチーフをランダムにプリントしたAラインドレス。上からテーブルクロスに用いられる透明なウレタンで包み、ボリュームのある襟が可愛らしく装飾されている。
 
 その後も1ルックずつ、電車の通過する音、風の音など異なる生活音、ノイズが流れ、モデルがゆっくりとランウエイを歩く。優しいトーンの音に合わせて登場したのはバラの形をしたトップスに、波打つようなドレープが印象的なウレタンのスカート。それから、ドット柄のバルーンシルエットのスカートなど、造形的なシルエットが次々と登場する。モチーフは「プレイ」の目だけでなく、初期のコミック調のミッキーマウスや、カラフルなミニーマウス、モノトーンのベアブリック(BE@RBRICK)などのキャラクターをあしらったプリントを採用し、上からウレタンでラッピング。プリントの一部には、スプレーで描かれたグラフィティがのせられている。
 
 いずれもベースになっているのは、シルエットは正統派なクチュールドレスの形。そこに日常で目にするウレタンやレース、キャラクターたちのモチーフ、グラフィティなどの相反する要素を合わせて、不協和音を生み出した。それらの予想外のミックスは、新しい美しさを追求するポジティブなエネルギーを放っている。
 

“予想外のことが起こっても、後で心地よければ、それが理想”

 
 川久保玲デザイナーはショー後にプレス関係者の前に姿を見せて、今回のコレクションについて数分説明した。「相反する要素の不協和音がポジティブなパワーを生むということがテーマ」。「世の中には面白いことや、予想外のこと、悪いことも起こるが、終わったとき静かに考えて心地よかったと思えれば、それが理想です」と一言。新型コロナが与えた世の中への影響は計り知れないが、“必ずしも全てが悪いことではない。前を向いて、新しい日常で新しいものを生み出し続ける”―― そんなポジティブなメッセージを受け取った。

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美容師が選ぶ「イノアカラー」が進化 さらに広がるトレンドカラー の表現力

 「イノアカラー」は、多くの人気美容師がSNSで仕上がりを投稿している話題のヘアカラーだ。オイル配合率約60%という独自のテクノロジーを採用した“オイルグロスカラー”で、艶感と奥深い透明感で高い支持を得ている。業界を代表する50サロンに「実際に使って最も良かった製品」を聞いた「WWDビューティ ヘアサロン版ベストコスメアワード2020」ではヘアカラー部門の第2位を受賞。10月には新色の「クリア」が登場し、さらに色表現の可能性が広がった。ここでは、トレンドセッターサロン「シャチュー(SHACHU)」のみやちのりよし最高経営責任者(CEO)が手掛けた、今秋のトレンドカラー“グレープグレージュ”と“マロンアッシュ”のルックを紹介する。

艶はもちろん、
色みがパキッと出て
黄色みもきれいに消せる

 “グレープグレージュ”は、「バイオレット」を使うことで最近多い寒色のハイトーンよりも暖色がかり、マイルドなハイトーンが求められる最近の傾向にマッチしている。“マロンアッシュ”は、カーキっぽいくすみ過ぎないマロンで、くすんだグレージュからさらなる進化が要求されはじめている今秋、ニーズに沿った提案となっている。また、新型コロナによりサロンに行けない期間を経験したお客さまは、色持ちのよさや褪色の仕方を気にする傾向にある。その点「イノアカラー」は色みを強く入れれば入れるほど持ちがよくなり、特に「バイオレット」のラインアップは黄色みやオレンジみが出ない落ち方をするので提案しやすい。

 「イノアカラー」といえばまず“艶”や“透明感”といった印象があるが、持ちのよさや発色の鮮やかさ、伸びやすいことによるカラーリング作業のしやすさ、そして最近ではカラーバリエーションの豊富さも大きな強み。10月に新色の「クリア」が登場し、髪の傷みを配慮しつつ明度のニュアンス変化がつけやすくなり、トレンドを発信する美容師にとってこれまで以上に色表現の可能性が広がった。

エッジーなハイトーンで魅せる
「グレープグレージュ」

くすみ過ぎない進化系アッシュ
「マロンアッシュ」

 「イノアカラー」には“オイルがもたらす艶感”“奥深い透明感”というキャッチーな特徴があるだけに、そうした特徴に関する話題が先行し、これまでカラーバリエーションに関しては多く語られてこなかった。しかし、今年3月に14色のハイリフトが、そして10月には「クリア」が登場し、ラインアップは全45色に進化。トレンドカラーの提案においても、ニュアンスに変化をつけてオリジナリティーを出すことが容易となり、美容師のインスタグラムには色表現の幅や仕上がりの発色を楽しむ投稿が増えている。アッシュ系の色みにおいてシャンプーを重ねても黄み・赤みを抑制でき、滑らかな手触り、長持ちする艶感へと導く先進のオイル・デリバリー・システムなどに加え、カラーバリエーションの充実という特徴が追加された。今の日本人がヘアカラーに求める要素が搭載される形となり、艶感が強く求められる秋冬に向けてさらなる躍進に注目が集まる。

MAKE-UP:(GRAPE GREIGE)MOMO
(MARRON ASH)FUKA(SHACHU)
STYLING:MARIE HIGUCHI(TRON)
PHOTOS:SOICHI ISHIDA
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「ファセッタズム」が発信する“東京ファッションの明るい未来” 楽天支援で5年ぶりに東コレ帰還

 「ファセッタズム(FACETASM)」が楽天の支援プロジェクト「バイアール(by R)」の一環で、5年ぶりのファッションショーを東京で披露した。落合宏理デザイナーが「僕らは2011年の震災後に東コレデビューをしたころ、服の力を信じて自分たちのできることを模索していた。今回こうしてコロナ禍でショーを行うチャンスを得られて、東京のファッションの未来を見せられるようなショーを見せたかった」と語る通り、明るくポジティブなエネルギーに溢れたショーだった。

心を動かされた4歳の息子の絵

 会場は寺田倉庫のコンクリートに囲まれた無機質な空間。ライブ配信では趣向を凝らした演出を見せた。会場に設営した複数台のカメラの他に、客席の4人の協力を得てスマートフォンカメラでの撮影も行い、客席の目線に合わせたライブ感のある映像も取り入れた。

コレクションは、落合デザイナーが「心を動かされた」という4歳の息子の絵をグラフィックデザインとして採用している。「“レックレックアーヒーモンスター”っていう名前で(笑)。もうすぐ5歳になる今は仮面ライダーなどのヒーローを知ってしまったので、4歳のときにしか描けない絵だと思ったから」。フィナーレにはサンリオが作った“レックレックアーヒーモンスター”のぬいぐるみが登場した。また会場ではキャラクターが描かれたマスクを配布し、来場者たちが演出として着用した。ゆるいイラストで会場のみんなが笑顔になり、会場の一体感も生まれていた。

“+MORE”の大胆な力強さ

 発表したウエアは得意とする東京のストリートの要素を、異素材ミックスや装飾のハイパーミックスで誇張したスタイルだ。“More memories. SS21+MORE”と題して、20型ほどこの日のショーのために制作したショーピースを追加している。反射テープをランダムに貼り付けたファイヤーマンジャケット、タータン生地をミックスしたキルト、突き上がったハードチュールのブラトップなど、大胆な力強さが伝わってくる。

 落合デザイナーは「立ち上げから11年間はショーを行うという夢に向かって若さのままにつき進んでいたが、今は家族やスタッフを守るという責任がある。それでも今回はとにかく楽しくやりたいと思った」と語る。ブランドのステージも心境も変わった今、「人の気持ちも考え方も、変化していくけれど、積み重ねてきた記憶や思いを大切にしたい」という思いを刻んだショーだった。

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東コレに帰ってきた「ファセッタズム」とハイテクを駆使した「ケイタマルヤマ」がベスト 21年春夏・東コレトーク!後編

 6日間に渡って開催された2021年春夏シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO以下、RFWT)」が10月17日に閉幕しました。約40のブランドが、リアルショーやデジタルプレゼンテーションなど工夫を凝らして最新コレクションを披露。ここでは「RTFW」の取材班が“東コレトーク”と題して印象に残ったブランドをざっくりプレイバックします。参加するのは、東京ファッション・ウィークの取材経験者である2人の先輩記者と、今シーズンから取材班に加わった新米記者の計3人。今回は、4日目から最終日までをお届けします!

デザイナーの強さがにじむ「ヒロココシノ」

美濃島匡「WWDジャパン」記者:「RTFW」が幕を閉じました。今回は後半3日間の中から印象に残った3ブランドをあげて、ざっくり振り返っていきましょう!

大杉真心「WWDジャパン」記者:まず私が好感を持ったのは「ヒロココシノ(HIROKO KOSHINO)」です。ヒロコ先生が外出自粛期間に描いた“シュールな住人たち”という絵がモチーフとなったコレクションで、ファンタジーで優しく、少し滑稽な生き物たちが世界の圧力に屈しない物語をイメージしたそう。コロナ禍でもポジティブに“何事にも負けない”という先生の思いと、芸術的にブランドの世界観に盛り込むクリエイションが素敵でした。

大塚千践「WWDジャパン」ニュースデスク:アートをクリエイションに取り入れている姿勢がビンビン伝わってきたね。映像は10分という長尺だったけど、カメラの画質や撮り方を含めてコレクションを丁寧に見せたい姿勢は見て取れたな。

美濃島:厚底のサンダルやスイムショーツなど、スポーティなアイテムも用意していましたね。

大杉:コロナ禍での健康意識の高まりを反映しているのかもしれません。ヒロコ先生といえば、建築家の安藤忠雄が手掛けたアトリエで制作活動を続けてきましたが、映像でもコンクリートの壁が特徴的で、そのロケーションの選び方も先生らしさを感じました。

映像クオリティに度肝を抜かれた「ケイタマルヤマ」

美濃島:「ケイタマルヤマ(KEITA MARUYAMA)」は、マスクとファッションの融合を目指した“クチュールマスク”にフォーカスした映像。グリーンバックにCGを合成する最新技術を使って、デジタルでしか表現できない世界観を作り出すことに成功していました。

大塚:めっちゃよかったね。いい意味で予想を裏切られた。背景の合成は他ブランドでもあったけど、ここまで楽しく見られてハイクオリティーなものは無かったな。

大杉:映像としてもすごく面白いですし、「マスクを変えるだけでこれだけポジティブになれるんだよ」というメッセージも伝わって来ます。ブランドのファンタジーなムードとデジタル表現の相性がいいんでしょう。

美濃島:洋服はこれまでのアーカイブをリミックスしたもの。キャリアがあるのに新たなチャレンジから逃げず、むしろ若手以上にガンガン挑戦するスタンスが本当にすごいなと思いました。

大塚:「丸山邸」で実施された上映会には丸山敬太デザイナーとムービーに出演した福士リナさんが登壇したんだよね。

美濃島:はい。撮影の裏話を和やかな雰囲気で語ってくれました。作り手の話が聞ける場を設けるだけでもデジタルコンテンツの伝わり方は全然違いますね。

時代を超えて着想してしまう「アポクリファ」

大塚:「アポクリファ(APOCRUPHA.)」はレースをたっぷり使って、3シーズン目にして方向性をガラッと変えてきた。市場に受けるかどうかは未知数だけど、チャレンジしたシーズンだと思う。

美濃島:モノトーンなのでレースがかなり目立ってましたね。着るのに勇気がいるかもしれません。

大杉:ジェンダーを超えたレース使いの挑戦に共感しますが、使用していたのが女性のドレスや下着に使用されるような柄がはっきりしているラッセルレースだったので、フェミニンな印象が勝っていたように思います。もう少し柄が小さいものだったらニュートラルで、リアリティーを感じられかも。

大塚:面白いのは、着想源が1870年代にまで遡っていること。当時の服装はジェンダーレスで、そのムードをブランドの軸であるテーラリングに落とし込んでる。最近のメンズって1980年代のカルチャーや90年代のストリートウエアから着想するのが王道のやり方なのだけど、100年遡るっていうある種の文学的アプローチはほかではあまり見ない個性だね。

大杉:マスクを着けた一般人を映像として記録しているのも面白いと思います。時代をそのまま切り取ってるから、何年か後に見たとき、「そうそう、こんな感じだったよね」ってなりそう。ここも上映会を行ったんですよね?

大塚:そうそう。少人数を呼んで上映会を実施して、会場には洋服も用意されていたから実際に見ることもできた。そこまではよかったんだけど、上映後はあっさりと終了しっちゃったから、少し物足りなかった。その後が天王洲アイルで「ファセッタズム」のショーだったからというのもあったとは思うのだけど、「ケイタマルヤマ」みたいにデザイナーが少しでも思いを伝える時間をつくれば、わざわざ足を運んできた人たちの理解もより深まったのではないかな。

「タエ アシダ」は自然の美しさをデジタルに込める

大杉:「タエ アシダ(TAE ASHIDA)」の芦田多恵デザイナーは自粛期間中にアトリエが休業した際、クリエイティブな脳がストップしないように毎日散歩しながら、公園に咲く花や自宅周りの植物などを写真に収めていたそう。その中で、身近な自然の美しさに気が付いて、それを全面に押し出したクリエイションになっています。植物のフォトプリントは全て芦田デザイナー本人の撮影した写真なんです。自然の美しさに気づいたため、それを全面に押し出したクリエイションになっています。

美濃島:モデルを複製させたり、背景を変えたりとデジタルならではのギミックが光りますね。「ケイタマルヤマ」に通ずるものを感じます。

大塚:両者ともこのキャリアにして、変化を恐れない前のめりな姿勢が素晴らしいよね。服自体が強いから直球のショー形式の動画でも十分に伝わりそうなのに、あえて変化球で見せてる。モデルが5体ぐらいに分身するだけでも驚きなのに、終盤に登場したマットさんは9体に分裂して思わずのけぞりました(笑)。ユーモアを盛り込んでくれると動画も楽しく見られるね。

大杉:芦田デザイナーは、「無観客ショーを長々と映す映像は長くなってしまい、皆さんに飽きられるものは作りたくない」と、工夫されたと言います。動画はテレビCMやミュージックビデオなどを長年撮影されている武藤眞志監督との協業。短い時間で効果的に映像を見せることを特にするプロと一緒に取り組むことで、飽きずに41ルックを最後まで見ることができます。

「ファセッタ」でリアルショーの価値を再認識

大塚:「ファセッタズム(FACETASM)」のリアルショーが良かったね。ここ数シーズンは和やかなムードでの発表が続いてたんだけど、今回久しぶりにバッキバキなストリートが戻ってきた感じ。

大杉:パリコレデビュー前は、東コレの目玉ブランドとして”東京で最も勢いのあるブランド”というイメージでした。「WWDジャパン」でも毎シーズン表紙候補で、ベストブランドとして紹介することも多かったです。その時の興奮を今回のショーで感じました。

大塚:コレクションは6月のパリメンズに合わせて作られた映像で事前に公開されていたし、展示会にも行ったんだけど、モデルが着て実際に歩くところを見ると受ける印象がかなり違った。強い。段差を力強く踏みつけたり、ジャンプしたりする動線の面白さも良かった。リアルショーを全肯定するわけではないけど、現場ならではのエネルギーが一番伝わってきたブランドかも。
美濃島:僕はトレンチコートとかファイヤーマンジャケットとか、純粋にアイテムが格好良いなと思いました。冠スポンサーの楽天による支援プロジェクト「バイアール(by R)」のもとで発表したショーということも踏まえて、今シーズンのハイライトの一つです。

大塚:座席にはかわいいイラスト入りのマスクが置いてあってショーの演出として着用を促されたんだけど、業界の重鎮クラスまでちゃんと着けていて和みました。

東コレの幅を広げる「リコール」

大塚:「リコール(RE:QUAL≡)」は去年の「東京ファッションアワード 2020(TOKYO FASHION AWARD 2020)」に選出されたブランド。この賞ってビジネスの成功が審査基準の一つだったはずなんだけど、「リコール」はそこまで拡大してる印象が無かったから個人的に驚いたんだよね。世界観を突き詰めた洋服でショーにはハマりそうだなとは思ってたから、実際にショーが見られてうれしかった。こういうブランドが東コレに入ってくるのは大事だよね。

美濃島:絶対に着られないものばかりでしたが、後ろ身頃から肩へ布を引っ張って着たジャケットなど、個人的に着てみたいと思うアイテムも2〜3ありました。

大杉:私も「リコール」のように独自のクリエイションを強く押し出したブランドが東コレ出ることは賛成です。五感を使ってブランドの世界観をしっかり伝えられるのはショーの価値の一つ。例えば、「リトゥンアフターワーズ(WRITTENAFTERWARDS)」や「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」のように量産可能なアイテム以外の領域で勝負できるデザイナーは、企業とのコラボレーションを手掛けたり、美術館で作品が展示されるなど異なるフィールドで活躍しています。世界観を突き詰めて、世の中にメッセージを発信していくようなデザイナーの在り方も肯定したいです。

美濃島:なるほど。今までアートのような洋服を発表するだけのショーにあまり価値を見出せていなかったんですか、今やっと腑に落ちました。

大塚:ロンドンの有名校なんかはそこを前提に教育していると聞くよね。「服を綺麗に作るだけなら人を雇えばいい」という考え方が浸透してる。

大雨の中で野外ショー開催の「ミキオサカベ」

大杉:「ミキオサカベ(MIKIO SAKABE)」は坂部三樹郎デザイナーが手掛ける透明ソールの「グラウンズ(GROUNDS)」というスニーカーを軸にしたコレクション。スカートに白いニーハイソックスを合わせたり、ギャザーを寄せたハーフパンツで下半身にボリュームを出すなど、足元に目がいくコーディネートを目指していました。デザインは極力削ぎ落とし、足元の色と調和するパステルカラーを基調にした透明感のある素材使いも美しかったです。坂部三樹郎デザイナーはこのシューズビジネスを軌道に乗せていく考えです。

美濃島:「宮下パーク」の屋上で野外ショーを実施しましたが、残念ながら雨でした。色が明るくてシューズのソールも半透明だから、晴天だったらかなり気持ちいいショーになっていたと思います。

大塚:東京は雨が多いから、東コレのショーを屋外でやるのはけっこう勇気がいるなと改めて。「ミキオサカベ」にしては服がシンプルでちょっとびっくり。でも大杉さんが言うように、靴を目立たせたいという意図を聞いて納得した。

大杉:「ナカ アキラ(NAKA AKIRA)」のナカアキラ・デザイナーも好んで履いてると聞きました。ナカさんはデザイナーズブランドのスニーカーを数多く試してきたそうですが、「グラウンズ」の履き心地とコストパフォーマスを高評価しています。2万円台でデザイナーズスニーカーに挑戦できるのはお手頃ですよね。

「パーミニット」がリアルクローズの可能性を見せた

美濃島:「パーミニット(PERMINUIT)」はこれまでお人形さんのようなルックが並ぶコレクションで、街で着るイメージが全く湧かなかったのですが、今回初めてリアルの近づいた気がしました。

大塚:僕は動画で見たけれど、リアルだとは感じなかった。これまでと比較しての感想だと思うけど、現時点ではまだファンタジーな世界だと思う。

大杉:実験的なアプローチはそのままですが、ウエストポーチやリュックなどリアリティーを感じるものがプラスされて、一歩先に行った印象を受けました。

美濃島:これまでショーピースをプレゼン形式で披露することが多く、ロケーションを踏まえた服作りはしてこなかったそう。今回は「ミキオサカベ」同様に「宮下パーク」での野外ショーで、渋谷という街をイメージしてナイロン素材を多用したと説明していて、この素材使いが僕の受け取ったリアルさのだったのかもしれません。

大塚:かなり強い雨だったから、サンプルの風合いが変わっちゃうんじゃないかと心配になりました。ショーはもちろん大事だけど、悪天候の場合のプランBも用意しておくといいかもね。

大トリ「シュープ」はラストルックも注目

美濃島:大トリを飾った「シュープ(SHOOP)」はストリートとテーラリングを組み合わせたいつも通りのクリエイションでしたが、マルチポケットや着脱可能なアームなどギア感のあるクリエイションもありました。

大塚:ワークやテーラリングというメンズの王道に、ギミックを加えたディテールで変化させる手法はロンドンっぽいクリエイションという印象でした。「リコール」と同じく「東京ファッションアワード」組なんだけど、「シュープ」はビジネスも意識したクリエイションという感じで対照的だったから面白かったな。

大杉:全体の20%にアーカイブのストック素材を使用しているとのことでした。古着リメイクはよく聞きますが、メンズでこのような情報を開示するブランドは少ないので、好感が持てます。「アシックス(ASICS)」とのコラボがあったり、トリを飾ってることからも注目度は高いんですね。

美濃島:ラッパーのIOさんや女優の小松菜奈さんが出てたりとキャスティングでも楽しませてくれました。あとはスモークを炊いた空間にゴリゴリのテクノミュージックというアングラな演出も良かったです。

大塚:ちなみにフィナーレの最後を歩いたのは、ブランドのセールス担当しているワンダーラストの茶原さん。「え!」って3度見しちゃいました。(笑)。

後半のベストルック&東コレへの思い

美濃島:僕の後半ベストは「ケイタマルヤマ」です。デジタル表現とその発表形式含め、すごく心に残りました。

大塚:僕は「ファセッタズム」だな。

大杉:私も「ファセッタズム」です。

美濃島:2度目の「RFWT」ですが、もっと盛り上げるためにどうなってほしいですか?

大塚:「バイアール」はぜひ続けてほしい。現場で松村さん(楽天の松村亮執行役員。同社のファッション事業を率いる)に聞いたけど、あくまで東コレの一つのコンテンツというのを意識しながら、かつ際立たせようとしている姿勢がよかった。「ファセッタズム」のショー終了後、いつも冷静な松村さんがシンプルに「かっこよかった」と感想を言ってくれたのもグッときたよ。今回は第1弾で試行錯誤だったはずだから、今後は楽天の強みであるECを絡めたり、デジタルでの発信をどう強化していくのか。ひとまず継続していただきつつ、今後は支援ブランドの枠をもっと増やせば「RFWT」自体の盛り上がりにつながるのではないでしょうか。

大杉:コロナ禍でしたが、今回はパリコレへの参加を見送った「サカイ」や「コム デ ギャルソン」が日本でショーを行うことになっていたので、もしこの「楽天ファッション・ウイーク」に巻き込むことができたら、もっと盛り上がりを感じたのかなと思いました。まだ「東コレがやっている」ということが、なかなか周知できていない課題がありますが、もしかしたらデジタルがその鍵になるかもしれません。

美濃島:今シーズンいろんなデジタル・ファッション・ウィークを取材しましたが、東京はデジタルとの相性がかなりいいと思いました。あとは、ベテラン勢の凄みをまざまざと見せつけられたシーズンだったと思います。

大塚:ベテランが思いの丈を正直に話していたのが印象的だったよね。2年ぶりにコレクションを製作した「ジン カトー(ZIN KATO)」は、フィナーレで「コロナで月間の過去最低売り上げを記録した」と赤裸々に明かした上で、「引退しようかと思っていたけど、コレクションをやりたくなった。きつかったけど完成させて本当によかった」と話してくれました。若手や中堅デザイナーってつい格好つけてきれいなだけの言葉を並べがちだけど、不器用でも正直な気持ちから出た言葉の方が共感できます。これだけ取材していると、本音と表層的なコメントの違いってやっぱり分かっちゃうので。後者だと心に響かないからね。

美濃島:あとは、全体を通してもっと若い人を巻き込んでいいと思います。取材する人もベテランばかりだし、客席も若い人が全然いない。それでは若年層にリーチするのは難しいですよね。

大塚:課題はまだまだあるけれど、未来につながるポイントも見つけられたシーズンだったと思います。皆さん、6日間お疲れ様でした!

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#敦子スメ「新月・満月」ノート 人間関係がテーマのてんびん座の新月(10月17日)

 この連載では、新月・満月の流れを最大限に引き出すためのサポートをしてくれるコスメやインナーケアアイテムも紹介していきます。第21回は10月17日の新月とおすすめコスメについてお伝えします。

今回の新月(10月17日)はてんびん座

 てんびん座のテーマはズバリ“人間関係”。私がいて、あなたがいて、2人の間には距離感があるけれども関係性を築いていきながら自分が成長する。相手がいるから“他者から見られる自分”や“客観性”の感覚が磨かれる。そんなストーリーをてんびん座は持っています。会社でいうならまさに人事部というイメージなのですが、他者とか変わる時に押し引きが上手なのもてんびん座の特徴です。バランス感覚に優れるといわれるのもここがゆえんなのかもしれません。

 てんびん座のキーワードとしてよく挙げられるのがセンス、バランス、美意識、などなど。てんびん座の考える美しさとは、“調和的である”という事がキーワードかなと思うのですが、今日はそんな事をテーマに新月コスメをご紹介したいと思います。

今回の新月コスメ

 てんびん座のキーワードでもあるバランス、という言葉から連想するのはやっぱり香りの調合。数種類の香りがブレンドされているアイテムなら、香りを嗅いだ時の気分や体調によって香りの感じ方が変わることもあれば、興奮しすぎた時には鎮静作用のある精油を、反対に体が重たいなと感じる時にはスパイスフルな香り……など、自分自身を整えるサポートをしてくれます。

 最近もたくさん優秀なアロマグッズが売られていますが秋の夜長ということで、夜に嗅ぎたい香りをセレクト。「ザ パブリック オーガニック(THE PUBLIC ORGANIC)」の睡眠ディフューザー“スーパーディープナイト ホリスティック精油ディフューザー フォールアスリープ”は、ヒノキやシダーウッドなどの樹木系の香りが特徴。秋も深まる夜長タイムに取り入れてもらうと、木の香りが落ち着きやスムーズな入眠をもたらします。


 もうひとつ、てんびん座のキーワードとして気にかけたいのが「笑顔」。人当たりの良さや印象づけにはやっぱり笑顔が一番の武器であり潤滑剤ですよね。相手に見せる自分の表情や空気感などもてんびん座には大切な要素です。そんな笑顔の底上げといえば歯のメンテナンス。今年、自粛期間の影響で思うようにクリニックに行けなかった方もいらっしゃるのでは、と思いますが「ニューパール(NUPEARL)」“ スターティングキット”は、自宅で簡単にできる歯のホームホワイトニングアイテムです。しかも、特許技術により99%以上ナチュラル&約92%オーガニック処方という画期的なプロダクト。専用の器具にジェルを塗布してLEDライトをあてるだけなので簡単で、朝晩10分のケアで手軽にメンテナンスができます。

 自分のメンテナンスも忘れずに外の世界ともうまくバランスを取っていきましょう!

福本敦子(ふくもと・あつこ)/フリーランスPR・美容コラムニスト:コスメキッチンに14年間勤務後、現在はフリーランスPRとして活動するかたわら、ビューティコラムニストとしてイベント、SNSなど多方面で活躍。オーガニックに精通した知識を武器に、ライフスタイルに寄り添った独自のオーガニック美容論が、著名人やエディターをはじめ各方面から大人気。「#敦子スメ」は「読んだ瞬間試したくなる」と多くの反響を呼び、紹介した商品の欠品や完売も多数。2019年秋、初の書籍となる「今より全部良くなりたい 運まで良くするオーガニック美容本 by敦子スメ」を出版。発売前に増刷が決まるなど話題を呼んでいる。旅を愛し、占星術にも精通 instagram:@uoza_26

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進化を続ける「ダブレット」 愛にまみれたゾンビの館へようこそ

 「0点か100点かぐらいに評価が分かれてもいい」――「ダブレット(DOUBLET)」の井野将之デザイナーがインタビューでそう語っていたのは、2017年の3月のこと。東京ファッション・ウイークで初めてランウエイショーを行う直前だった。その言葉通り、デビューショーの奇抜な演出に評価は賛否両論。実際に取材した当時の自分も、100点だとは正直思わなかった。それから約3年半が経った20年10月12日、「ダブレット」は東京で再びショーを行った。以前とはブランドを取り巻く状況も激変し、取り引き先のアカウントも国内39、海外27にまで拡大した。それでも井野デザイナーは本番前日にブログを更新し、「賛否両論の中間意見がなく、賛か否に分かれるショーになる」と控え目に綴った。

ショーは楽天の支援で

 「ダブレット」のショーは、東京ファッション・ウイークの冠スポンサーである楽天が今シーズンから立ち上げた日本発ブランドの支援プロジェクト「バイアール(by R)」の第1弾として、「映像による発表を行う」と関係者に通達されていた。しかし実はこれ、盛大なサプライズへの布石。「渋谷のハロウィンパーティーが中止になったから、自分たちなりのハロウィンパーティーを」というテーマで動画を制作し、“上映会”として招待した有力ファッションメディアの編集長ら約20人の前に動画のゾンビたちが実際に現れるというドッキリ企画だ。

 そんな子どものようなイタズラを真剣に実行すべく、20時の本番に向けて各業界のプロフェッショナルたちが朝一に集結。25人のモデルたちにホラー映画「シャイニング(The Shining)」「悪魔のいけにえ(The Texas Chain Saw Massacre)」「ミザリー(Misery)」などからオマージュしたゾンビメイクを次々に施していく。上映会当日に撮影から編集までを行う超強行スケジュールのためただでさえ時間の余裕はなく、メイクや演出の修正を繰り返すうちにスケジュールはさらに押していった。しかし(本当に間に合うのだろうか?)という部外者の心配をよそに、現場には笑顔が絶えない。血まみれのおどろおどろしいゾンビたちも談笑したり、互いを撮影し合ったりと和やかで、見た目とのギャップについ何度も吹き出してしまった。そして本番まで2時間を切ったころ、井野デザイナーの「セーフ」という安堵の声とともに9時間以上にも及んだ撮影は終了した。「井野さーん!」「井野さん確認お願いします!」と呼ばれて四方八方走り回るデザイナーとは離れた場所で、「ダブレット」を陰で支えるパタンナーである村上高士とニッターの嘉納絵里奈がギリギリまで服を手直ししている姿がチームの一体感を表していた。

ドッキリ大成功なるか

 そしていよいよ本番。会場となった東京・青山のレストラン「ロアラブッシュ(Leau a la bouche)」の周囲が徐々に騒々しくなり、招待客が続々と席に着く。テーブルに用意されたVRゴーグルを装着し、映像が終わって外すと目の前にゾンビたちが出現!「ぎゃー!」という期待通りのリアクションは残念ながらほぼ見られなかったものの、会場には笑顔が溢れた。招待客も、取材班も、モニター越しでしか見られなかった裏方スタッフも笑っている。動画配信で画面越しに見た視聴者の中にもクスッとした人はきっと多いだろう。ゾンビたちが着ているのは“なんでもない日を祝う”というメッセージのもとに作られた21年春夏コレクションが7割で、残り3割はアーカイブがミックスされている。“アンデッド”として甦ったウエアの中には量産されなかったアイテムも見られるなど、コレクションに対する愛情が感じられた。楽天による初の試み、リアルとデジタルの融合、早すぎるコレクションサイクルへの問題提起――今のファッション業界を象徴するさまざまなニュースが凝縮されているのに、ハッピーな「ダブレット」ワールドがその全て飲み込んだ。

進化を続ける理由

 思えば17年3月のショーで「100点」と言えなかったのは彼らの“服”が好きで、奇抜な演出がトゥーマッチに感じたからだ。でも、今は違う。リアルとデジタルを駆使してブランドの世界観を立体的に表現する術を物にしつつあり、ドッキリが成功したかどうかは微妙なところだが、今回の試みは「賛」の声が圧倒的多数だ。もちろん、「バイアール」による支援の効果も大きいのだろう。しかし人々を笑顔にさせたのは、井野デザイナーのファッションや人への愛情である。「人を楽しませたい」という思いはブランドの知名度やビジネスが広がっても変わらないし、デザイナーは苦労人だからこそその思いは人一倍強い。「類は友を呼ぶ」「スタンド使いはスタンド使いにひかれ合う」という言葉通り、その根底にある愛情が「ダブレット」というブランドに相応しい、真剣に悪ふざけができる仲間たちを呼び寄せているのだろう。ショー終了後はスタッフ同士やモデルが抱き合い涙する姿も見られた。その場に足を踏み入れた誰もがハッピーな気持ちになる、愛にまみれたゾンビの館だった。

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ショーに熱狂した「ターク」とホラーな「ダブレット」がベスト 21年春夏・東コレトーク!前編

 2021年春夏シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO以下、RFWT)」が10月12日に開幕しました。17日までの6日間、約40のブランドがリアルショーやデジタルプレゼンテーションなど工夫を凝らした方法で最新コレクションを披露します。ここでは「RTFW」の取材班が“東コレトーク”と題して、印象に残ったブランドをざっくりプレイバック。東京ファッション・ウィークの取材経験者である2人の先輩記者と、今シーズンから取材班に加わった新米記者が、面白かったブランドについて語り合います。今回は初日から3日目までをお届け!

冬景色から真夏の海に切り替わる「タクタク」で爽快に

大塚千践「WWDジャパン」デスク:さあ、1年ぶりの東京ファッション・ウイークがいよいよ始まったよ。今回は10月12~14日の前半3日間を振り返りたいと思います。それぞれが印象に残った3ブランドを中心に話していましょうか。まずは僕から一つ。初日で開幕を飾った「タクタク(TAC:TAC)」がめちゃよくなかった?コレクションテーマと直結する演出で、爽やかな気分になる映像だった。

美濃島匡「WWDジャパン」記者:春夏なのに雪が降る冬景色にびっくりしましたが、パネルが外れて画面いっぱいに海が広がる演出が爽快でした。

大杉真心「WWDジャパン」記者:プレスノートには「Under the winter sky, everyone longed for their seaside」というタイトルがあり、“冬空の下では誰もが夏の海辺が恋しくなる”というようなメッセージが添えられていましたね。普段からレイヤードはベースにありますが、今シーズンはいつもと違う違和感を覚えました。なんでだろう?

大塚:重衣料に軽い素材を、逆に軽衣料に思い素材を使っていたのがその違和感の正体かも。このコートなんか重そうだけど、よく見るとスケスケだし。

大杉:なるほど!そうかもしれません。あとはグラデーションが綺麗だった。デニムかと思ったら先がどんどん薄くなっていくパンツなど、爽やかだけど、どこか冬の寂しさを連想させる洋服が好みでした。

「リト」は服よりも美術に目がいっちゃう?

大杉:表現の面白さで言えば「リト(RITO)」も印象的でした。白い背景に木のオブジェを置いたナチュラルなロケーションだけど、アクリル製のボックスなど人工的な美術もあって、アート感がにじんでいました。

大塚:そもそも木のオブジェがすごい存在感だったよね。ルックも同じシチュエーションで撮影されていたけど、オブジェの強さの方に目がいってしまうのもいくつかあった。

美濃島:映像は途中に白黒のシーンを織り交ぜるなど、細かいギミックも効いていました。尺は4分と長くないですが、ストーリー性が無い分こういった工夫が必要ですよね。

大塚:これはムービーありきのルックで連動性があったけど、逆に「ルックのおまけで撮影しました」って感じ映像って結構バレバレだよね。デジタル表現に慣れてきたから、視聴者の目も確実に肥えてきてる。今後もデジタル表現はある程度継続していくものだと思うけど、構想を練った映像でないと見てもらえないかも。

大杉:嶋川美也子デザイナーは、長年ラグジュアリーブランドに向けてテキスタイルデザインを手掛けてきた人。上質な素材へのこだわりが強く、映像からでも素材のよさ、軽やかさが伝わってきたました。

リアルショー1発目の「ターク」がすごかった

美濃島:僕が感動したのは「ターク(TAAKK)」です。初日の16時に、リアルショー1発目として新宿御苑の大温室でコレクションを披露したのですが、花のグラフィックやミントグレーのカラーリングなど、ボタニカルなモチーフが映える抜群のロケーションで、見ていてとても気分が上がりました。特に目立っていたユリのグラフィックは、外出自粛中に自宅のプリンターでプリントしたものだそうです。

大塚:「ターク」は20年春夏の“地球を着る”で手応えをつかんで、森川拓野デザイナーが環境を意識したクリエイションに独自のアプローチで取り組んでいるんだけど、花の転写プリントなんかはまさにそれだね。

大杉:すごくいいロケーションでしたよね。東京でも、こんな素敵な場所でショーが開けるんだ!という驚きがありました。森川デザイナーは前シーズンにも新宿御苑でショーを開きたいという思いがあったと聞いていたので実現して良かったですね。

大塚:音楽もディズニーランドのジャンクルクルーズっぽくて、場所にマッチしてた。森川デザイナーは自粛中にブランドの強さを改めて考えて、「素材こそが強みだ」と再認識したみたい。だけどこれ見よがしにアピールするんじゃなくて、見た目のインパクトだけに頼らず、よく見るとすごくヘンタイなバランスを重視してる。今回はそのバランスの良さが際立ったコレクションだったね。

弩級ロックにしびれた「リンシュウ」

美濃島:普段はパリ・メンズに参加する「リンシュウ(RYNSHU)」は初めて見ましたけど、超ロックなスタイルでインパクトありました。

大杉:タイトシルエットのテーラードジャケットやブルゾンをラメ入りのパイソン柄や黒いスパンコールなどで彩った洋服は、舞台衣装のようにキラキラでギラギラですね。

美濃島:でもその存在感に違和感はなくて、すんなり心に入ってくるんです。会場となった白金台の結婚式場「八芳園」の大広間という豪華なロケーションも良かったのかも。会場には20-21年秋冬で発表した香水“RYNSHU 1217”の香りが漂っていました。

大塚:衣装っぽいけど、それで一時代を築いてるからね。いつもと変わらず超ロックでシャープなスタイルなんだけど、少しカジュアルになったというか、ちょっと今っぽくなった印象でした。東京で見られるのは本当にレアだから、フロントローで見られた美濃島くんはいい経験をしたね。

「ダブレット」はゾンビだけじゃなくアーカイブも“復活”させていた

大塚:ホラー映画のような演出とルックで話題をさらった「ダブレット(DOUBLET)」も外せない。あの映像、実はその日に撮影・編集したもので鬼のスケジュールだったんだけど、特殊メイクや演出にこだわりすぎて、撮影も押せ押せだったんだよね(笑)。

美濃島:あれ当日に作られた映像だったんですね!現場はピリついたんじゃないですか?

大塚:むしろ、そのギリギリ感をスタッフ全員が楽しんでいて、モデルたちもずっと明るい表情だった。リアルイベントが久しぶりで、その喜びに浸っていたのかも。

大杉:どのルックもすごく怖かったんですが、メイクはどなたが担当されたんですか?

大塚:本格的なゾンビメイクも手掛ける特殊メイクチームが担当していました。「悪魔のいけにえ」や「シャイニング」、「ストレンジャーシングス」といったホラー映画や作品をオマージュしていたんだって。

大杉:コレクションでは、過去のシーズンのアイテムもリミックスしてましたよね?胸元にナプキンが入ったシャツは20年秋冬でも見たような気がします。あと韓国のブランド「ロク(ROKH)」とのコラボアイテムも出てて気になりました。

大塚:そうそう、よく気づいたね!コレクションを作るとき、「数シーズンで古くなっちゃうクリエイションって今っぽくないよね」ということで、新作を7割、アーカイブを3割組み合わせたコレクションになったそう。

美濃島:ゾンビとかけて、アーカイブもランウエイに“復活”させちゃったんですね!最後の井野将之デザイナーが襲われるシーンと、ブルーのシャツを着たモデルのやけにリアルな動きには少しギョっとしました。

大塚:ブルーのシャツの彼は唯一の役者さんで、その場にいたスタッフもそのときだけは笑顔がひきつるぐらい怖かったよ(笑)。

削ぎ落とされた上質さ 「ザ・リラクス」に変化

大杉:上質な素材と綺麗なシルエットが光る「ザ・リラクス(THE RERACS)」は、無観客ショーで洋服をストレートに見せる映像がよかったですね。

美濃島:アイテムのクオリティの低いブランドがこれをやると事故しちゃう危険性もありますが、「ザ・リラクス」にはぴったりのアプローチでしたね。海外コレクションでは「ルメール(LEMAIRE)」などがこの手法で披露していました。大杉さんと大塚さんは後日展示会にも行っていましたが、いかがでしたか?

大塚:ルックは削ぎ落とされすぎててプロダクトっぽい固さを感じたんだけど、展示会でみると1点1点に抜け感があって、柔らかい。そのギャップが面白かったです。

美濃島:へー。プロダクト感をスタイリングで打ち消した「ミーンズワイル」とは真逆ですね。いつもはブランドロゴをあしらったピンバッジが付いていますが、今回は見当たりませんでした。

大杉:実はこのシーズンからロゴを刷新して、服に付けてきたピンバッジもなくしたそうです。ブランド11年目に突入するということで、変化のシーズンなんです。裏テーマはトランスフォーメーションを意味する“X”になっているそう。バッグも初めて登場しました。

見せ方のセンスが光る「カイキ」

大杉:「カイキ(KAIKI)」は1分にも満たないムービーでしたが、すごく引き込まれました。ルックのついでに撮影したような裏舞台感を感じましたが、それもよかったです。

大塚:僕はしっかりと作り込んだ映像だなという印象を受けました。シャッターを切るシーンで始まったり、最後にロゴに寄って終わったり。ありがちかもしれないけど、テンポがよくてすごく楽しく見られた。

美濃島:ルックも含め、見せ方がうまいデザイナーさんですね。リアルショーへの意欲もあるとのことなので、開催する際はぜひ見てみたいです。

大杉:今シーズンは、これまでさまざまな理由で使用しなかった素材やアイデアを採用していて、一見プリーツにも見えるシワ加工や縮率の違う糸を使用して立体的にしたジャカードなど、クシャっとなる素材を多く使用したそう。デザイナーの飯尾開毅さんが自分自身で着たいと思うメンズを数型作っていて、彼の柔らかなキャラクターをそのまま投影した洋服に親近感を覚えました。

大塚:デザイナー自身が着たいと思う服って、やっぱりいいんだよね。今後のメンズの動向も気になります。

「ユウキハシモト」がDHLとの入念な仕掛けで魅せる

美濃島:「ユウキハシモト(YUKI HASHIMOTO)」は若い世代が好きそうなグラフィックやロゴ使いが光りました。DHLとコラボしていて、黄色と赤のコーポレートカラーを多用していたり、ロゴを効果的に差し込んだりしてよりキャッチーなコレクションになっていました。

大杉:大杉:ショーが行われたのは表参道ヒルズのイベントスペース「スペース オー」。ショーの運営スタッフがDHLとのコラボTシャツを着用していたり、ショー後には同じ館のショップでこのTシャツを販売したりと、立体的なプロモーションを行っていたのが面白かった。DHLデザイナーアワードを受賞していたそうで、3月に実現できなかった企画をこうして深みを出しているのがいいと思いました。DHLもデザイナーとの取り組みに柔軟に対応しているところが素晴らしい。

大塚:カルチャー好きな若い子がたくさん来場していて、そこにリーチできるのは強みだなと思った。でも、もうちょっと引き算を覚えたら、より洗練されていくポテンシャルはあるかも。

美濃島:大塚さんはどんなクリエイションを期待してるんですか?

大塚:例えばモチーフやディテール使いに今っぽさはあるんだけど、ややトゥーマッチかなと思った。デ全体的にミニマルな方向性が好きそうだから、余計にそこが際立ったのかも。もっと要素を絞ったクリエイションも見てみたいです。

美濃島:なるほど。さらなる進化に期待が高まりますね。

ショーの醍醐味が詰まった「ミーンズワイル」

大塚:3日目ラストの「ミーンズワイル(MEANSWHILE)」はアスレチックのようなセットとアーバンアウトドアなコレクションの空気感がぴったりで、地力の高さを感じた。

大杉:もともとアウトドアやミリタリーがベースのブランドですが、時代の空気を反映してかいつもよりプロテクト感が強かったです。“服は衣装ではなく、道具である”というブランドコンセプトの通り、部分使いできるアームウォーマーやレッグウォーマー、ポンチョのように着られるラグなど、ギア感のあるアイテムが目を引きました。

大塚:似たテイストのブランドって少なくないんだけど、服部昌孝さんのスタイリングの妙なのか、ルックがすごく格好良くて頭一つ抜けた感じがあった。トップスをスーパーレイヤードしてボリュームを出したり、インナーの絶妙な覗かせ方だったりと、よく見ないと気づかないような技がたくさん散りばめられてた。

美濃島:演出含めてかっこよかったのですが、個人的には色が暗いなと思いました。ルックも多かったですがほとんど無地だったので、色や柄で春夏らしい軽さを出してくれたらぐっと奥行きが生まれそうだなと思いました。

大塚:3月のショーが中止になったこともあって、秋冬のアイテムも混ぜてたのかもしれないね。セットにモデル、スタイリスト、音楽との合わせ技で、道具っぽい服とスタイルとして見せられるショーならではの醍醐味が詰まってました。

鼎談を終えて

美濃島:リアルからデジタルまで幅広いブランドが出ました。個人的なベストは「ターク」ですが、お二人はいかがですか?

大塚:僕は「ダブレット」かな。

大杉:私もその二つが強く残ってますね。

美濃島:ベストの意味がないじゃないですか(笑)。

大塚:あと「タクタク」もよかった。デジタルで短い映像なんだけど、リアルに負けない印象を与えてくれてたし、とにかく演出が気持ち良かった。

美濃島:難しく考えなくても「これ、いいな」と思える映像でしたね。その気持ち良さを喚起できるかどうかが重要で、リアルショーもデジタルもあくまでそのツール。そこに垣根はないんだなと痛感させられました。

大杉:リアルに固執するだけでは新しさを生み出せないし、デジタルも上手く活用すればリアル以上にメッセージを伝えられる。面白いですね。東コレ後半も、デジタルとリアル両方をカバーしながら取材を進めていきましょう!

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ファムメディコが三越伊勢丹HDスタッフに向け女性疾患の知識を学ぶセミナー 「症状が出てからではもう手遅れ」

 現代女性の健康問題の解決を目的にする医療コンサルディング会社、ファムメディコ(FEMMES MEDICAUX)は10月10日、三越伊勢丹ホールディングスのスタッフに向けて、女性特有の疾患と検査について知識を高めるセミナーを行った。

 セミナーでは、ファムメディコが提唱する女性の疾患率・死亡率の高い子宮がん、大腸がん、乳がんの検診を備えた「YOU検診」の紹介をはじめ、細胞診専門医・医学博士の上坊敏子(相模野病院婦人科腫瘍センター顧問)が疾患の特徴と検査方法について解説した。オンライン会議ツールのZoomを使用し、伊勢丹新宿本店の社員とテナントスタッフを含む約50人が参加した。

 ファムメディコによると現代女性が最も気を付けるべき3つの疾患部位は、子宮・卵巣、大腸、乳房とされている。子宮内膜症は20~40代女性の10人に1人が、子宮筋腫は3人に1人が発症しており、内膜症や筋腫は不妊症に、卵巣嚢腫(のうしゅ)は卵巣がんに発展することもある。大腸がんは女性の死因の1位である、40〜50代に多く発症。乳がんは年間9万人が発症し、部位別では女性の罹患率1位になっている。30代から急増し、40代が発症のピークだ。

“取り返しがつかなくなる前に”
検診の重要さを伝える

 上坊博士は現在女性に増えている疾患の特徴や検査方法などを説明。月経痛とPMS(月経前症候群)については、「月経痛やPMSが辛かったら早めに鎮痛剤やピルの力を借りてください。飲むのは罪悪ではありません。これらはQOL(生活の質)の低下、社会的活動にも影響を及ぼします。月経痛は低容量ピル以外にも漢方薬なども処方できるので、婦人科の先生に相談してみてください。また月経痛に悩んでいる方には子宮内膜症や子宮線筋症という疾患が見つかる場合もあります」と話した。

 検診については「受けてこなかった人に理由を聞くと『時間がない、費用がかかるから』ということをいう方がいますが、症状が出てからではもう手遅れ。それから、どんなに時間とお金を使っても取り返しがつかないですよ」と検診の重要さを伝えた。

ピルの服用以外のPMSや生理痛対処法は?

 参加者との質疑応答では、「子宮筋腫がある人が食事や生活で気をつけたほうがいいことは?」という質問に「何を食べたから、何をしたからといって大きくなるということはありません。よく、『子宮筋腫は筋肉の腫瘍だからお肉を食べるとなりますか?』ということを聞く方もいますが絶対にありませんので、お肉は普通に食べていただいて大丈夫です。ただ、筋腫があると月経量が多くなり、貧血になりやすくなるため、鉄分が豊富な食事を摂取するように意識することは大事です」と回答。

 また「ピルの服用以外のPMSや生理痛対処法があれば教えてください」という質問については、「月経痛は漢方薬などピル以外のホルモン治療があります。特に子宮の中にホルモンを出すタイプのミレーナは体内に入れると5年間、生理がほとんどなくなり、非常に楽になったという声もあります。しかし、入れることができない人や、適していない方もいますので婦人科の先生に相談していただけたらと思います。PMSについてはピルが非常によく効くので、ピルを飲み続けられるのがいいと思います。しかし、妊娠を希望しているなどピルを辞めざるを得ない人は漢方薬を処方することもできます」と答えた。

 ファムメディコは薬剤師で、医療コンサルタントとしてのキャリアを持つ佐々木彩華社長が立ち上げた医療コンサルティング会社。現代女性の健康問題解決を目的に、企業を対象に社内で働く女性に向けたセミナーのほか、企業に向けた健康経営のサポート、クリニックへの医療コンサルティング、女性特有の疾患に向けた商品の企画開発、調査・研究サポートを行っている。2021年春には東京・丸の内にレディースクリニックを開く計画。11月からは三菱治所の「まるのうち保健室」と取り組み、丸の内で勤める女性たちに向けた研修を行っていく予定。今後も働く女性の環境や制度を整えて「YOU検診」を推進する参加企業を募っていく。

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コロナ決算に見るオンワードと三陽商会の瀬戸際と再生 小島健輔リポート

 ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。大手アパレルの2020年3〜8月期決算が発表された。コロナ禍で再建を進めるオンワードホールディングスと三陽商会に焦点をあてる。

 三陽商会は10月6日、オンワードホールディングス(HD)は9日、2021年2月期の中間(第2四半期)決算と通期見通しを発表したが、そこには軽視できない経営リスクが現れていた。レナウンなき後、大手アパレルが追い詰められ百貨店離れが加速すれば、百貨店の閉店も加速して百貨店業界も共倒れするという最悪のシナリオが現実味を帯びてきた。両社の中間決算と通期見通しを検証し、再生への道筋を投げかけてみたい。

四重苦ですり減ったオンワードの財力

 オンワードHDの2021年2月期第2四半期(3〜8月)決算はコロナ禍の百貨店長期休業と営業再開後の売り上げ回復の鈍さに直撃され、売り上げは805億8500万円と前年同期から32.0%減少して114億8700万円の営業赤字、151億8800万円の純損失を計上。純資産は20年2月期末の940億3600万円から677億8700万円と262億4900万円も減少し、ピークだった15年2月期の1853億1500万円の46.1%まで目減りしてしまった。

 純資産の減少要因は親会社株主に帰属する四半期純損失151億8800万円に加え、配当金32億4000万円、会計方針変更による期首剰余金の減少100億1100万円を有価証券評価差益の増加21億9100万円が相殺した結果と説明しているが、前期までの会計処理で持ち越された損失も加わったと推察される。

 決算書を見る限り、ピークの15年2月期から今中間期までに失われた純資産1175億2800万円のうちコロナ禍によるものは129億3000万円(営業損失114億8700万円+臨時休業損失32億5400万円−雇用調整助成金18億1100万円)ほどで、百貨店販路の衰退による営業損失と店舗撤退減損がその倍強、あとは「ジル サンダー(JIL SANDER)」など欧米アパレルの買収や投資に関わるのれんや投資有価証券の減損と営業損失、自己株式の評価損失だったと推察される。オンワードHDは百貨店が衰退する中も積極的な投資や営業活動で業績を維持してきたが、リスクの大きい海外投資で資産をすり減らした。
百貨店からECへの転身にしても、18年3月の機構改革で支店在庫を全廃してECと一体の関東支店に在庫を集中するなど、後戻り困難なルビコンを渡っており、良くも悪くも自ら退路を断つ大胆さが指摘される。その決断で地方百貨店の命運が決まったことを思うと、百貨店に対する衣の下の鎧の極端な裏表には驚くほかはない。

オンワードHDの通期見通しと課題

 コロナ禍の上期売り上げでは、中核子会社オンワード樫山の百貨店が57.8%も減少してシェアが35.3%に落ち、EC売り上げが44.2%も伸びて39.3%とシェアが逆転。国内事業全体でも38%伸びて196億円9400万円に達したECが28.6%を占めてSCその他店舗販売の28.1%を僅差で上回り、百貨店は24.4%まで落ちた。とりわけ第1四半期(3〜5月)では瞬間風速とはいえ、百貨店売り上げが前年同期から71%、SCや駅ビルの売り上げが40%も落ち込む中、ECは50%も伸びて全社売り上げの45%に達し、オンワード樫山単体では45.8%に達した。コロナ禍の特殊事態とはいえ、ECと百貨店のシェアが逆転し、まだ何年もかかると見ていた「半分はECで売る」という目標がほぼ実現したインパクトは大きかった。

 下期は国内売り上げが前年比83.8%まで回復して855億6000万円、通期は同76.6%の1497億9400万円を予想。営業利益も下期は85億8100万円の黒字、通期でも5億6500万円の黒字になると見込んでいる。しかるに海外売り上げは下期も前年比77.2%の213億5500万円、通期も同71.5%の377億0600万円と回復が鈍く、営業利益は下期も55億3100万円の赤字予想で、通期は赤字が86億5100万円(連結営業赤字の96.7%!)に肥大する。結果、国内・海外合わせての通期連結売り上げは前期比75.5%の1875億円、89億4500万円の営業損失、86億円の当期純損失を予想している。ならば、単純計算では純資産は591億8700万円と600億円を割り込むことになる。

 国内事業は営業黒字に浮上しても海外事業の営業赤字が足を引っ張って連結損益が営業赤字になるという構図で、地域の明暗はあっても海外事業が業績回復のネックになりそうだ。失われた純資産1175億2800万円の恐らく半分近くは海外事業に起因するもので、今後も減損が発生するリスクを否定できない。

 前期と今期で百貨店内ショップを中心に1400店舗を撤退し、不採算の「23区 オム」を休止、「CKカルバン・クライン(CK CALVIN KLEIN)」の契約を終了するが、オンワード樫山の百貨店売り上げ比率は09年2月期の74.7%から20年2月期でも62.3%と大きくは下がっておらず、ECだけで大量退店による百貨店売り上げの急激な減少を埋めきれるものではない。21年2月期通期の国内EC売り上げは500億円を予想しておりECへの転換が加速するだろうが、百貨店顧客のEC取り込みはいずれ一巡するから、D2C※1.ブランドやショールーミングサロンによる新規顧客の獲得が急がれる。

 下期から出店を始め22年2月期中に数十店舗を布陣するというEC連動のブランド複合店舗「オンワード・クローゼット」は、主力百貨店ブランドに加えてD2Cブランドもそろえ、「お取り寄せ・お試し・受け取り」のC&C※2.利便を提供するショールーミングサロン業態と推察される。ならば、店在庫引き当てや店出荷、修理加工も出来る迅速かつ低コストなローカル物流体制が問われることになる。

 支店物流を切り捨ててEC軸で関東に集約した物流拠点だけでは全国各地の顧客に迅速なC&Cサービスは提供できないし、主力ブランドもいずれD2Cプライス(百貨店ブランドと同品質で5〜6掛け)に切り替えないと郊外やローカルで顧客を広げることはできない。百貨店内ショップも「オンワード・クローゼット」に集約して定期借家契約に切り替えれば、賃料負担を半減してお値打ちなD2Cプライスに統一できる。顧客の側に立った柔軟なOMO※3.マーケティングとローカル物流の確立が急がれるのではないか。

※1.D2C(Direct to Consumer)…ブランドメーカーが店舗やネットの小売業者を通さず、自社のサイトやショールーム、ポップアップストアで直販する販売形態
※2.C&C(Click&Collect)…ECから店舗に取り寄せて試したり受け取ったりする顧客利便サービス。一括配送の店舗物流を使うから送料無料で、店在庫を引き当てれば倉庫から出荷するより受け取りも早くなる。売り手にとっては顧客利便と在庫効率を高め物流費を抑制するOMO(ネットと店舗の融合)戦略
※3.OMO(Online Merges with Offline)…ネットと店舗の垣根を越えた融合を意味し、スマートフォンをキーツールとしてウェブルーミングとショールーミングを駆使するニューリテール戦略

コロナ禍のダメージが大きかった三陽商会

 三陽商会の21年2月期上半期(3〜8月)の売り上げは153億2800万円と前年同期から48.5%も減少して57億1200万円の営業赤字、66億4800万円の純損失を計上。純資産は20年2月期末の388億2200万円から313億7900万円と74億4300万円も減少し、15年2月期の651億4700万円の48.2%まで目減りした。

 コロナ禍でEC・通販売り上げが18.4%伸び、全社売り上げにおけるシェアも前期の12.7%から24.4%に伸びたが百貨店売り上げの4掛け強に過ぎず、ECが38%も伸びてシェアが28.6%に達し百貨店売り上げ(24.4%)逆転したオンワード(国内)とは比較すべくもない。長期休業で売り上げが半減したにもかかわらず百貨店売り上げシェアも前期の62.3%から56.9%にしか落ちておらず、コロナ禍に振り回されただけで販路の再構築は進まなかった。

 第1四半期(3〜5月)は百貨店の長期休業に直撃されて在庫が積み上がり、棚資産回転が469日と壊滅的に悪化したが、通常店舗のセールに加えてアウトレット店舗を9店舗増やすなどして在庫処分を進め、第2四半期では251日まで改善した。下期は新規調達を抑えて旧品(持ち越し品)40%、新規品60%の品ぞろえとし、建値消化率を45%から55%に、総消化率を70%から85%に高めて在庫処分を進め、今期中に160の不採算売り場を撤退して販売員500人を削減する。

 前期では建値消化率45%、総消化率70%だったということになり、期末に期中投入商品の30%が売れ残ったと受け取れる。三陽商会のように単価の高い重衣料中心の百貨店アパレルでは異例とはいえず、紳士既製服では30%前後が期末に売れ残って持ち越すのが常態化している。今や「正価」対比原価率が20%を切った百貨店アパレル商品にはお値打ち感は期待すべくもなく、重衣料比率が高く原価率の切り下げを進める三陽商会の原価率はさらに低いはずで、半年前後も前からの計画生産がほとんどでは需給対応もできないから、消化率はそんなものだろう。そんな実態のまま新規品の生産・投入を抑えても、消化率が大きく改善できるとは到底思えない。

三陽商会の通期見通しと課題

 21年2月期の通期連結業績は売り上げを380億円(前期は14カ月変則で688億6800万円)、営業損益を85億円の赤字、経常損益を96億円の赤字と予想し、旗艦店「ギンザ・タイムレス・エイト」の売却益67億円を補填して純損失を35億円にとどめるとしているが、これで5期連続の営業・経常赤字決算となる。在庫処分も終わるわけではなく、22年2月期へも在庫を持ち越して旧品20%、新規品80%の構成とし、在庫処分を続ける。

 重衣料比率の高い三陽商会は18年12月期でも174日と棚資産回転が異様に遅く、運転資金回転日数も112日と長く、年間売り上げ590億円にして運転資金を181億円も要していた。それがコロナ禍の20年3〜8月期では棚資産回転が251日(第1四半期では469日)、運転資金回転日数も231日(同334日)に伸び、必要運転資金は192億4000万円(同208億8000万円)まで肥大。純資産対比運転資金比率が61%を超え、有利子負債を40億円積み増している。

 三陽商会はそこまで商品財務が逼迫しても、純資産対比負債比率は41.4%と財務はまだ健全な範囲にあり、オンワードHDの129.4%(20年3〜8月期)、ワールドの119.0%(20年4〜6月期)よりは格段にゆとりがある。ワールドの買掛債務回転日数など200日に迫るから過剰在庫の処分を急ぐしかないが、コロナ禍の過剰在庫下でも買掛債務回転日数を前期の76.4日から56.6日へ短縮した三陽商会がそんなに在庫処分を急ぐ必要があるのだろうか。

 三陽商会の財務的余裕が「バーバリー(BURBERRY)」を失った後の戦略を手緩いものにして今日の苦境を招いたにしても、コロナ禍で後がない瀬戸際まで追い詰められたのだから、ようやく必死の巻き返しに転ずるかもしれない。それには上から目線の数値管理ではなく、自社の顧客と流通・販売、調達・生産背景の赤裸々な実態をつぶさに掌握する必要がある。三陽商会の本当の資産は高品質な国内自社生産体制とこれまで評価してくれた寛大な顧客であり、負債は無策な経営陣とコストに見合わない百貨店販路だった。この資産と負債の関係をリセットすれば三陽商会の未来は開ける。

お値打ちの復活以外に生き残る策はない

 オンワードも三陽商会もいかにECを拡大しても、法外な割高価格のままベタープライスブランドを販売するのは限界があり、お値打ちなD2Cプライスを実現して顧客を広げるしか生き残る術はない。その方策はただ一つ、百貨店内ショップを全て自社ブランド複合の大型店に統合し、定期借家契約に切り替えて賃料負担を半減し、その分、価格を切り下げてお値打ちを取り戻すことだ。百貨店側とて、主要な大手アパレルブランドにことごとく退店されては、地方店はもちろん都心店も営業の継続が難しくなるから、「ハイブリッド化」の一環として受け入れるしかないはずだ。定期借家テナントなら販売も在庫運用も自在だから、EC連携のO2O※4.もC&Cも堂々と進められる。

 加えて、三陽商会は財務的にまだ余裕があるのだから在庫処分を焦ってたたき売らず、通常店舗の品ぞろえに旧シーズン品をそのまま組み込む、あるいはリメイクして組み込むアーカイブMDを常套化することを提案したい。三陽商会の国内自社工場製品(に限る)は世界に誇れるラグジュアリー級の品質だから旧品もアーカイブ価値があり、たたき売らなくても売り続けられる。ライセンス契約が終わって市場から消えた「サンヨーバーバリー」や「バーバリー ブルーレーベル」がユーズドショップで人気アーカイブ商品になっていることを三陽商会の経営陣は知っているのだろうか。

 百貨店アパレル流通が長年にわたってロスとコストを価格と品質に転化してお値打ちを損ね顧客に離反され、コロナ禍でとことん行き詰まったのだから、商売のやり方もものづくりも価格設定も全部、ご破算にして組み直すしかない。何もかもが崩れてしまうならゼロから新たな秩序を組み上げても良いはずで、大手アパレルも百貨店も焦土からの再生を決意すべきだ。

※4.O2O(Online to Offline)…ネットで店舗や商品を選んで取り置いたりしてから店舗に行くのがウェブルーミング。店舗で商品を見てネットで情報を調べたりECで購入するのがショールーミング。両方を行き来するショッピング行動をO2Oという

小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。近著は店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)

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コロナ決算に見るオンワードと三陽商会の瀬戸際と再生 小島健輔リポート

 ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。大手アパレルの2020年3〜8月期決算が発表された。コロナ禍で再建を進めるオンワードホールディングスと三陽商会に焦点をあてる。

 三陽商会は10月6日、オンワードホールディングス(HD)は9日、2021年2月期の中間(第2四半期)決算と通期見通しを発表したが、そこには軽視できない経営リスクが現れていた。レナウンなき後、大手アパレルが追い詰められ百貨店離れが加速すれば、百貨店の閉店も加速して百貨店業界も共倒れするという最悪のシナリオが現実味を帯びてきた。両社の中間決算と通期見通しを検証し、再生への道筋を投げかけてみたい。

四重苦ですり減ったオンワードの財力

 オンワードHDの2021年2月期第2四半期(3〜8月)決算はコロナ禍の百貨店長期休業と営業再開後の売り上げ回復の鈍さに直撃され、売り上げは805億8500万円と前年同期から32.0%減少して114億8700万円の営業赤字、151億8800万円の純損失を計上。純資産は20年2月期末の940億3600万円から677億8700万円と262億4900万円も減少し、ピークだった15年2月期の1853億1500万円の46.1%まで目減りしてしまった。

 純資産の減少要因は親会社株主に帰属する四半期純損失151億8800万円に加え、配当金32億4000万円、会計方針変更による期首剰余金の減少100億1100万円を有価証券評価差益の増加21億9100万円が相殺した結果と説明しているが、前期までの会計処理で持ち越された損失も加わったと推察される。

 決算書を見る限り、ピークの15年2月期から今中間期までに失われた純資産1175億2800万円のうちコロナ禍によるものは129億3000万円(営業損失114億8700万円+臨時休業損失32億5400万円−雇用調整助成金18億1100万円)ほどで、百貨店販路の衰退による営業損失と店舗撤退減損がその倍強、あとは「ジル サンダー(JIL SANDER)」など欧米アパレルの買収や投資に関わるのれんや投資有価証券の減損と営業損失、自己株式の評価損失だったと推察される。オンワードHDは百貨店が衰退する中も積極的な投資や営業活動で業績を維持してきたが、リスクの大きい海外投資で資産をすり減らした。
百貨店からECへの転身にしても、18年3月の機構改革で支店在庫を全廃してECと一体の関東支店に在庫を集中するなど、後戻り困難なルビコンを渡っており、良くも悪くも自ら退路を断つ大胆さが指摘される。その決断で地方百貨店の命運が決まったことを思うと、百貨店に対する衣の下の鎧の極端な裏表には驚くほかはない。

オンワードHDの通期見通しと課題

 コロナ禍の上期売り上げでは、中核子会社オンワード樫山の百貨店が57.8%も減少してシェアが35.3%に落ち、EC売り上げが44.2%も伸びて39.3%とシェアが逆転。国内事業全体でも38%伸びて196億円9400万円に達したECが28.6%を占めてSCその他店舗販売の28.1%を僅差で上回り、百貨店は24.4%まで落ちた。とりわけ第1四半期(3〜5月)では瞬間風速とはいえ、百貨店売り上げが前年同期から71%、SCや駅ビルの売り上げが40%も落ち込む中、ECは50%も伸びて全社売り上げの45%に達し、オンワード樫山単体では45.8%に達した。コロナ禍の特殊事態とはいえ、ECと百貨店のシェアが逆転し、まだ何年もかかると見ていた「半分はECで売る」という目標がほぼ実現したインパクトは大きかった。

 下期は国内売り上げが前年比83.8%まで回復して855億6000万円、通期は同76.6%の1497億9400万円を予想。営業利益も下期は85億8100万円の黒字、通期でも5億6500万円の黒字になると見込んでいる。しかるに海外売り上げは下期も前年比77.2%の213億5500万円、通期も同71.5%の377億0600万円と回復が鈍く、営業利益は下期も55億3100万円の赤字予想で、通期は赤字が86億5100万円(連結営業赤字の96.7%!)に肥大する。結果、国内・海外合わせての通期連結売り上げは前期比75.5%の1875億円、89億4500万円の営業損失、86億円の当期純損失を予想している。ならば、単純計算では純資産は591億8700万円と600億円を割り込むことになる。

 国内事業は営業黒字に浮上しても海外事業の営業赤字が足を引っ張って連結損益が営業赤字になるという構図で、地域の明暗はあっても海外事業が業績回復のネックになりそうだ。失われた純資産1175億2800万円の恐らく半分近くは海外事業に起因するもので、今後も減損が発生するリスクを否定できない。

 前期と今期で百貨店内ショップを中心に1400店舗を撤退し、不採算の「23区 オム」を休止、「CKカルバン・クライン(CK CALVIN KLEIN)」の契約を終了するが、オンワード樫山の百貨店売り上げ比率は09年2月期の74.7%から20年2月期でも62.3%と大きくは下がっておらず、ECだけで大量退店による百貨店売り上げの急激な減少を埋めきれるものではない。21年2月期通期の国内EC売り上げは500億円を予想しておりECへの転換が加速するだろうが、百貨店顧客のEC取り込みはいずれ一巡するから、D2C※1.ブランドやショールーミングサロンによる新規顧客の獲得が急がれる。

 下期から出店を始め22年2月期中に数十店舗を布陣するというEC連動のブランド複合店舗「オンワード・クローゼット」は、主力百貨店ブランドに加えてD2Cブランドもそろえ、「お取り寄せ・お試し・受け取り」のC&C※2.利便を提供するショールーミングサロン業態と推察される。ならば、店在庫引き当てや店出荷、修理加工も出来る迅速かつ低コストなローカル物流体制が問われることになる。

 支店物流を切り捨ててEC軸で関東に集約した物流拠点だけでは全国各地の顧客に迅速なC&Cサービスは提供できないし、主力ブランドもいずれD2Cプライス(百貨店ブランドと同品質で5〜6掛け)に切り替えないと郊外やローカルで顧客を広げることはできない。百貨店内ショップも「オンワード・クローゼット」に集約して定期借家契約に切り替えれば、賃料負担を半減してお値打ちなD2Cプライスに統一できる。顧客の側に立った柔軟なOMO※3.マーケティングとローカル物流の確立が急がれるのではないか。

※1.D2C(Direct to Consumer)…ブランドメーカーが店舗やネットの小売業者を通さず、自社のサイトやショールーム、ポップアップストアで直販する販売形態
※2.C&C(Click&Collect)…ECから店舗に取り寄せて試したり受け取ったりする顧客利便サービス。一括配送の店舗物流を使うから送料無料で、店在庫を引き当てれば倉庫から出荷するより受け取りも早くなる。売り手にとっては顧客利便と在庫効率を高め物流費を抑制するOMO(ネットと店舗の融合)戦略
※3.OMO(Online Merges with Offline)…ネットと店舗の垣根を越えた融合を意味し、スマートフォンをキーツールとしてウェブルーミングとショールーミングを駆使するニューリテール戦略

コロナ禍のダメージが大きかった三陽商会

 三陽商会の21年2月期上半期(3〜8月)の売り上げは153億2800万円と前年同期から48.5%も減少して57億1200万円の営業赤字、66億4800万円の純損失を計上。純資産は20年2月期末の388億2200万円から313億7900万円と74億4300万円も減少し、15年2月期の651億4700万円の48.2%まで目減りした。

 コロナ禍でEC・通販売り上げが18.4%伸び、全社売り上げにおけるシェアも前期の12.7%から24.4%に伸びたが百貨店売り上げの4掛け強に過ぎず、ECが38%も伸びてシェアが28.6%に達し百貨店売り上げ(24.4%)逆転したオンワード(国内)とは比較すべくもない。長期休業で売り上げが半減したにもかかわらず百貨店売り上げシェアも前期の62.3%から56.9%にしか落ちておらず、コロナ禍に振り回されただけで販路の再構築は進まなかった。

 第1四半期(3〜5月)は百貨店の長期休業に直撃されて在庫が積み上がり、棚資産回転が469日と壊滅的に悪化したが、通常店舗のセールに加えてアウトレット店舗を9店舗増やすなどして在庫処分を進め、第2四半期では251日まで改善した。下期は新規調達を抑えて旧品(持ち越し品)40%、新規品60%の品ぞろえとし、建値消化率を45%から55%に、総消化率を70%から85%に高めて在庫処分を進め、今期中に160の不採算売り場を撤退して販売員500人を削減する。

 前期では建値消化率45%、総消化率70%だったということになり、期末に期中投入商品の30%が売れ残ったと受け取れる。三陽商会のように単価の高い重衣料中心の百貨店アパレルでは異例とはいえず、紳士既製服では30%前後が期末に売れ残って持ち越すのが常態化している。今や「正価」対比原価率が20%を切った百貨店アパレル商品にはお値打ち感は期待すべくもなく、重衣料比率が高く原価率の切り下げを進める三陽商会の原価率はさらに低いはずで、半年前後も前からの計画生産がほとんどでは需給対応もできないから、消化率はそんなものだろう。そんな実態のまま新規品の生産・投入を抑えても、消化率が大きく改善できるとは到底思えない。

三陽商会の通期見通しと課題

 21年2月期の通期連結業績は売り上げを380億円(前期は14カ月変則で688億6800万円)、営業損益を85億円の赤字、経常損益を96億円の赤字と予想し、旗艦店「ギンザ・タイムレス・エイト」の売却益67億円を補填して純損失を35億円にとどめるとしているが、これで5期連続の営業・経常赤字決算となる。在庫処分も終わるわけではなく、22年2月期へも在庫を持ち越して旧品20%、新規品80%の構成とし、在庫処分を続ける。

 重衣料比率の高い三陽商会は18年12月期でも174日と棚資産回転が異様に遅く、運転資金回転日数も112日と長く、年間売り上げ590億円にして運転資金を181億円も要していた。それがコロナ禍の20年3〜8月期では棚資産回転が251日(第1四半期では469日)、運転資金回転日数も231日(同334日)に伸び、必要運転資金は192億4000万円(同208億8000万円)まで肥大。純資産対比運転資金比率が61%を超え、有利子負債を40億円積み増している。

 三陽商会はそこまで商品財務が逼迫しても、純資産対比負債比率は41.4%と財務はまだ健全な範囲にあり、オンワードHDの129.4%(20年3〜8月期)、ワールドの119.0%(20年4〜6月期)よりは格段にゆとりがある。ワールドの買掛債務回転日数など200日に迫るから過剰在庫の処分を急ぐしかないが、コロナ禍の過剰在庫下でも買掛債務回転日数を前期の76.4日から56.6日へ短縮した三陽商会がそんなに在庫処分を急ぐ必要があるのだろうか。

 三陽商会の財務的余裕が「バーバリー(BURBERRY)」を失った後の戦略を手緩いものにして今日の苦境を招いたにしても、コロナ禍で後がない瀬戸際まで追い詰められたのだから、ようやく必死の巻き返しに転ずるかもしれない。それには上から目線の数値管理ではなく、自社の顧客と流通・販売、調達・生産背景の赤裸々な実態をつぶさに掌握する必要がある。三陽商会の本当の資産は高品質な国内自社生産体制とこれまで評価してくれた寛大な顧客であり、負債は無策な経営陣とコストに見合わない百貨店販路だった。この資産と負債の関係をリセットすれば三陽商会の未来は開ける。

お値打ちの復活以外に生き残る策はない

 オンワードも三陽商会もいかにECを拡大しても、法外な割高価格のままベタープライスブランドを販売するのは限界があり、お値打ちなD2Cプライスを実現して顧客を広げるしか生き残る術はない。その方策はただ一つ、百貨店内ショップを全て自社ブランド複合の大型店に統合し、定期借家契約に切り替えて賃料負担を半減し、その分、価格を切り下げてお値打ちを取り戻すことだ。百貨店側とて、主要な大手アパレルブランドにことごとく退店されては、地方店はもちろん都心店も営業の継続が難しくなるから、「ハイブリッド化」の一環として受け入れるしかないはずだ。定期借家テナントなら販売も在庫運用も自在だから、EC連携のO2O※4.もC&Cも堂々と進められる。

 加えて、三陽商会は財務的にまだ余裕があるのだから在庫処分を焦ってたたき売らず、通常店舗の品ぞろえに旧シーズン品をそのまま組み込む、あるいはリメイクして組み込むアーカイブMDを常套化することを提案したい。三陽商会の国内自社工場製品(に限る)は世界に誇れるラグジュアリー級の品質だから旧品もアーカイブ価値があり、たたき売らなくても売り続けられる。ライセンス契約が終わって市場から消えた「サンヨーバーバリー」や「バーバリー ブルーレーベル」がユーズドショップで人気アーカイブ商品になっていることを三陽商会の経営陣は知っているのだろうか。

 百貨店アパレル流通が長年にわたってロスとコストを価格と品質に転化してお値打ちを損ね顧客に離反され、コロナ禍でとことん行き詰まったのだから、商売のやり方もものづくりも価格設定も全部、ご破算にして組み直すしかない。何もかもが崩れてしまうならゼロから新たな秩序を組み上げても良いはずで、大手アパレルも百貨店も焦土からの再生を決意すべきだ。

※4.O2O(Online to Offline)…ネットで店舗や商品を選んで取り置いたりしてから店舗に行くのがウェブルーミング。店舗で商品を見てネットで情報を調べたりECで購入するのがショールーミング。両方を行き来するショッピング行動をO2Oという

小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。近著は店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)

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ファッション通信簿Vol.58 ネットフリックスで話題!「ラチェッド」主演女優のレッドカーペットファッションを米「WWD」が辛口チェック!

 米「WWD」の人気企画「ファッション通信簿」では、ストリートからパーティー、レッドカーペットに至るまで、海外セレブたちのファッションを厳しくチェック。評価を絵文字でお伝えするとともに、それぞれのファッションポイントを勝手に辛口ジャッジ!

 第58回は、ネットフリックス(NETFLIX)の人気ドラマ「ラチェッド(Ratched)」で主演を務めるサラ・ポールソン(Sarah Paulson)が登場。スターのファッションに興味津々とあれば、パンデミックの影響でプレスツアーが行われないことを残念に感じているだろう。しかし、ポールソンの歴代レッドカーペット・ファッションは期待を裏切らない。どんなファッションも着こなしてしまうポールソンへの評価はいかに!?

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美容家・石井美保がナビゲート GINZA SIXの珠玉スパ

 外出自粛等の影響で記憶に残る一年となった今年は、自分と向き合う時間が増えたという人も多いはず。出かけることがより特別になった今、足を運びたいビューティスポットを美容家の石井美保さんが紹介。心地よく癒されながらキレイをアップデートしてみては?

心身ほぐれる
オールハンドのトリートメント

 ギンザ シックス(GINZA SIX)館内にある「クラランス(CLARINS)」のエスティック サロン「クラランス スキン スパ」で体験できるのは、セラピストの手で行うオーダーメード感覚のトリートメント。「新型コロナウイルス感染症によるライフスタイルの変化で、知らず知らずのうちにストレスをため込みやすくなっていると思います。そんなときこそ、アロマの香りや温もりの力を借りたいところ。疲れをとりつつ、オールハンドによる独自のメソッド“クラランス タッチ”で凝りをきちんとほぐしてくれるのはうれしいですね」。

独自のメソッドで
“デジタル疲れ”をケア

 石井さんが注目したのは、デジタルによる疲れに着目した60分間のトリートメント。アーユルヴェーダのメソッドをもとに顔、首、肩〜肩甲骨、頭皮にアプローチし、緊張しやすい体のパーツのさまざまな巡りをよくする。さらにヘーゼルナッツ※1やマカデミアナッツ※2などの厳選した植物由来成分を含んだ人気の2相式乳液“プラントゴールド オイルーエマルジョン”やサロン用のプロ製品をふんだんに用いながら、肌にハリと艶感をチャージする。

 事前のカウンセリングでは施術内容の詳細についてだけなくその日に気になったカラーをヒアリングし、カラーに合わせてトリートメントルームの照明の色を調整してくれる。「在宅勤務などでPC画面を見る時間が増えて凝り固まった上半身だけでなく、心までリリースできますね。身を任せて香りと手のタッチを感じているだけなのに、施術の後は体が軽く感じられて肌トーンも上がります」。

※1 ヘーゼルナッツ種子油
※2 マカデミア種子油(保湿成分)

気持ちが高まるラグジュアリーな空間

 世界的なプロダクト&インテリアデザイナーのマルセル・ワンダース(Marcel Wanders)氏がデザインを手掛けた「コスメデコルテ(DECORTE)」のサロン「メゾンデコルテ」は、ラグジュアリー感満載。コンセプトの異なる完全個室制のトリートメントルーム3部屋が用意されている。「ドアノブ一つにもこだわりが感じられ、足を一歩踏み入れるだけで非日常的な空間を楽しめます。お部屋のコンセプトがそれぞれ違うので、気分に合わせて楽しめますね」。

憧れのスキンケアラインを堪能

 石井さんのお気に入りはブランド最高峰のスキンケアライン“AQ ミリオリティ”を堪能できる特別なトリートメント。「“AQ ミリオリティ”は『背伸びしてでも欲しい!』と手に取る若い女性も多いシリーズ。施術ではクレンジングから仕上げのクリームまで、たっぷりの量でトリートメントをしてくれます。自宅に全ラインアップをそろえることは難しくても、ここに来れば一通り試すことができるんです。製品の魅力を存分に味わえる場所でもありますね。

 スチームを当てながら丁寧にメイクをオフした後は、ミクロ単位にレーザーカットされた天然のダイヤモンドを使用した美容機器で肌を優しく磨き上げ、乳液と化粧水、クリームで整えていく。さらに頭皮、デコルテ〜背中、手先をほぐしながら透明感のある肌へと導く。「施術後の肌の触り心地や化粧ノリには驚くほど。普段のお手入れではたどり着けない肌に仕上がります」。

 「先の見えない不安やプレッシャーで、これまで以上に疲れを感じている人も多いかもしれません。そんなときこそ喧騒を離れて自分だけの時間を持つことで、心身ともにリフレッシュできると思います。2つのサロンは商業施設内にあることを忘れてしまうような、広々として落ち着いた空間。信頼のおけるテクニックと製品に安心して身を任せられる、とっておきの場所です。自分へのご褒美にもぴったりですね」。

INFORMATION
■クラランス スキン スパ

時間:10:30〜20:30

■メゾン デコルテ

時間:10:30〜20:30

※共に完全予約制
※営業状況には急きょ変更が生じる場合あり
場所:ギンザ シックス地下1階
住所:東京都中央区銀座6-10-1

PHOTOS:EMIKO TENNICHI
HAIR:TOMOKA OONO(AIR)

問い合わせ先
ギンザ シックス
03-6891-3390

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「フミエ タナカ」が演出振付家のMIKIKOとコラボ 2021年春夏イメージ動画を公開

 田中文江が手掛ける「フミエ タナカ(FUMIE TANAKA)」は、2021年春夏のイメージ動画を公開した。パフューム(Perfume)をはじめとするアーティストの演出振付家として知られるMIKIKO(ミキコ)がダンスを手掛け、音楽家の黒瀧節也がオリジナルの楽曲を制作した。

“雰囲気のいい、何度も見たくなるような表現”を模索

 今回振り付けを担当したMIKIKOは「フミエ タナカ」の前身である「ザ・ダラス(THE DALLAS)」から田中のデザインした服を愛用しており、2人はインスタグラム上でつながった。それから「MIKIKO先生と一緒に仕事をしたい」という田中の思いと、音楽を担当した黒瀧が個別にMIKIKOに連絡を取っていたという偶然が重なり、今回の協業が決まった。公開した1分間の映像では、6人のモデルたちがそれぞれ民族をイメージした異なる舞いを披露している。

 田中は「今だからこそ、デジタルの必要性を感じている。服を作って見てもらう、着てもらうということだけではなく、ワクワクできて、雰囲気のいい、何度も見たくなるような表現をブランドから発信したかった」と語る。「フミエ タナカ」は19年度「東京ファッションアワード」を受賞し、3月に東京でファッションショーを行う予定だったが、新型コロナウイルスの影響で開催を見送った。そのときから田中は「ファッションショー以外の表現で、見る人が笑顔になるような発表を行いたい」と発表方法について模索してきた。

“外に出るのが楽しみになる服”

 今季のコレクションは“源泉”を意味する「ザ ソース(The Source)」がテーマになった。アフリカや日本の民族から着想を得たオリジナルのバティックを使い、田中自身がコロナ禍の自粛明けに“外に出るときのことが楽しみになる服”をデザインした。「コロナ禍のモヤモヤを発散できるようなカラフルで大胆なデザインを思い描いた。ブランドイメージを濃厚に反映した“フミエ族”のような(笑)。着る人も、見る人も、楽しいと感じてもらえるような服を目指した」と説明する。今回披露したのはイメージルックで、このエッセンスを取り入れたコレクションを後日発表予定だ。

 ヘア&メイクは資生堂のトップヘアメイクアップアーティスト進藤郁子が担当。ヘアは日本髪からアフリカ民族のヘアスタイルをミックスし、“フミエ族”を表現した。江戸時代の“まげ”や大和時代の“みずら”のような非現実的なボリュームとシルエットを作り出しているほか、ダンスの動きを考慮してヘアは編み込んだ。メイクアップは筆で大胆にペイントした白やシルバーのアイシャドーがポイント。肌には洋服の柄をプリントしたタトゥーシールを施して民族のイメージを強めた。

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「シロ」のアールグレイの香りがSNSで話題に 今ビューティ業界で注目のキーワードは“紅茶”! 編集部が勝手に妄想

 

ビューティにまつわるニュースを編集部員が語り合う「WWDビューティポッドキャスト」は、「WWD JAPAN.com」の記事や、編集部で話題になったトピックスをピックアップし、解説と共にお届けします。

 今回は「シロ(SHIRO)」の限定フレグランス“アールグレイオードパルファン”がSNSを中心に話題になったことをはじめ、紅茶の香りのフレグランスが人気を集めている件について「WWD JAPAN.com」デジタルデスクの福崎明子と記者の澤田まり子、ソーシャルエディターの浅野ひかるが話します。そのほか、ビューティ業界で “紅茶”がバズるキーワードになっている件にも注目します。

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爆裂!健康美容マニア道 美肌もダイエットも全部かなえる究極の温熱療法、米ぬか発酵風呂

 1日8食、ジャンクフード漬けの超不健康児から超健康優良児へと大変身を遂げたフリーアナウンサーの名越涼。およそ15年かけて自らの体で人体実験を繰り返してきた結果、“超絶良かったもの”だけをここで余すことなくお伝えする。今回は米ぬか発酵風呂について。

血液は全身を巡る美容液

 最近、思う。健康と美容の源は、つまるところ“血行”なのかもしれないと。そういえば昔、通っていたエステの店長(全身うる艶の美魔女)がよく言っていた。「血液は全身を巡る美容液。だから血行を良くすることが美への近道なのよ。ふふ♡」と。そう、そうなのだ。血液をサラサラにし、全身の隅々まで栄養を行きわたるようにすればただ生きているだけで、日々美しくなれるのだ。うん、それ最高すぎる。ということで、今回は“レッツ!体内de美容液まつり”。それをかなえてくれる究極の温熱療法「米ぬか発酵風呂」をご紹介しよう。

超絶・発汗!米ぬか発酵風呂とは?

 およそ70℃に自然発酵させた米ぬかの中に入る温熱療法。ほっかほかの米ぬかで全身を包むことで体が内側から温められ、頭のてっぺんから足の指先まで血行が促進される。全身に血が巡って新陳代謝が活性化、老廃物の排出も一気に促されるというまさにスーパーデトックス風呂。入酵時間はわずか15分ほどだが、2時間近く有酸素運動をした分のカロリーが消費でき、マラソン15㎞の運動量とほぼ同じくらいの発汗作用もあるのだそう。だから、汗の量が尋常じゃない。それは例えて言うなら「え?私の前世、ナイアガラの滝?」と思うほど(どんなこっちゃ)。このように体の反応はすぐに出るものの、発酵熱はゆったり吸収されるので負担なく自己治癒力を高めることが期待できる。それだけじゃない。米ぬかにはビタミンやミネラルが豊富に含まれているし、なにより酵素がたっぷり。入るだけで、全身しっとりつるつる。もうこれ知っちゃったら、入るしかないでしょ。

超イチオシ!ぬか職人のいる米ぬか発酵風呂

 愛知県・栄にあるホットスパブラン(HOT SPA BRAN)との出合いはおよそ10年前。驚くほどの発汗と全身の温まり、さらに肌のツルスベUPに感激。疲れで完全に酸化していた体に血液が巡り、顔色も改善。それから各地の酵素風呂を試したものの、やっぱり戻ってくるのはここ。ホットスパブランが、何においても断トツなのである。1番の違いはやはり米ぬかの質の良さ。米ぬかを自然発酵させるのはたくさんの微生物たち。つまりは生き物。その日の天気や湿度、乾燥など、わずかな変化でも米ぬかの状態は左右される。だからこそ、どんな時でも常に最適な自然発酵を促すことのできるプロのぬか職人が必要なのである。ホットスパブランには、ちゃんとその職人がそろっている。いつでも「最高!」と叫びたくなる米ぬか発酵風呂を提供してくれるから、出張の時には何が何でも行くし、しばらく行けなくなると、とてつもなく恋しくなるのだ。

 では、どんな風に入酵するのか見ていこう。まずは水分補給から(ちなみに、発汗を促してくれる水素水の飲み放題♡)。発酵風呂は一つ一つが個室のようになっていて、誰を気にすることもなく入れる嬉しさ。さっとシャワーで汗を流し、いざ入酵。紙ショーツや紙ブラ、シャワーキャップなども備え付けてあるが、私は基本全裸。全身に酵素や栄養をダイレクトに届けたいので、生まれたまんまの姿で米ぬか風呂へと沈んでいく(この日は急いでいたので時短を考えシャワーキャップを装着)。

 埋まった。プロのぬか職人がその日の体調などにあわせ、温度を調整しながら手でかけていってくれる。私は常に「激熱で!」とドヤっているので、希望通りの激熱をたっぷり体にのせてくれる。たまに「ぬあぁ・・☆△◎!!」と声が漏れ出るほどの時もあるが、その熱を体が自然に吸収してくれるので全くつらくない。全身にお灸を据えられている、この感じが気持ちいいのだ(ちなみにこの日は68℃のぬかが体にのりました♡)。


 目も奥まで温まってじーんわり。およそ15分前後入った後、シャワーを浴びて終了……しないのがここの素晴らしいところ。休憩スペースがあり、ここでゆっくり体温を下げながら「第2の発汗」をすることができるのだ。ダブルの発汗で体中の毒素をしっかり出し切ろう。


 どーん。「どんだけ冷えとんねん・・」と突っ込みたくなる足のこの感じ。しっかり芯まで温まり、入酵終了。前回の冷凍美容と真逆だが、どちらも共通しているのは「血の巡りを劇的に良く」すること。究極に冷やすか、究極に温めるか。ぜひ自分に最適な方法を見つけてほしい。

名越メモ
ホットスパブラン
〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄5-7-30
TEL 052-261-0260
入酵料金 3980円(1回)

名越涼/フリーアナウンサー。香港出身。福井と愛知のテレビ局アナウンサーを経て独立。司会やライター、セミナー講師、企画・プロデュースなど幅広く活躍するパラレルワーカー。趣味・特技は手作り発酵食、食文化研究、ヨガ(歴15年)eスポーツと農業にも精通

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国産ナチュラルコスメ「エトヴォス」、コンシューマー業界特化型ファンドのLキャタルトンと事業拡大へ

 国産ミネラルコスメの先駆けとして2007年に誕生した「エトヴォス(ETVOS)」は、肌本来の力を高める皮膚科学に基づいて生まれるスキンケアとクレンジング不要のメイクアップを両軸に、ブランドファンを堅実に増やしてきた。このほどコンシューマー業界に特化した世界屈指のプライベートエクイティファンド、Lキャタルトンによる資本参画が実現し、新たな歩みを開始した。

 今年4月にLキャタルトンから投資を受けた「エトヴォス」は、同社創業者である尾川ひふみ会長、神田宏社長(今年6月に社長就任)および3名の社外取締役を加えた新体制のもと、同社の設立時より貫く「肌にとって、本当によいものを届けたい」という想いに更に磨きをかけ、今後も右肩上がりでの成長を目指していく。そして成長の実現にあたり、特に2つの重点施策に取り組む。1つはブランド認知度の向上。「知名度を高め、国内外にも通用するブランディングと製品開発を強化し、肌に優しくトレンドに敏感なブランドを確立したい」と神田社長。2つ目はブランディング。 同社は現在、百貨店とファッションビルに8店舗(2020年8月オープンのルミネ2新宿店を含む)の直営店を展開するが、今後はブランドの魅力を体現できる基地として直営店の出店を積極化、ユーザーとのタッチポイントを増やしていく。

 Lキャタルトンによる投資以降、同社清水を含めた3人の社外取締役が経営に参画し、事業拡大や経営体制強化にかかるさまざまな助言や支援を行う。ノルベール・ルレ社外取締役(写真右)は「日本を代表するビューティブランドとして、日本国内に加えてグローバルでも事業を拡大できるよう、私として最大限サポートしていきたい」と語る。また黒田眞稔社外取締役は、「今後リアル店舗とデジタルの両方においてブランディングを確立し、存在感をアピールすることで唯一無二のブランドにする」とコメントした。

 LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトンと戦略的関係を持つLキャタルトンは1989年の創業以来、「成長加速を希望する企業への“成長投資”」(清水俊孝Lキャタルトン・ジャパン代表取締役パートナー)を基本方針とする投資ファンドだ。日本の化粧品ブランドに対する初めての投資が「エトヴォス」となったが、同社が属するナチュラル化粧品市場が高い成長率を期待されていることから実現した。「今後は実店舗ネットワークの強化・拡大、および店舗における美容部員のサービス提供力向上に注力」し、ブランド力を高めていくという。

 Lキャタルトンによる日本企業への投資第1号は、SPA型眼鏡チェーンのオンデーズ。日本のほかシンガポールや台湾、タイなど12の国と地域に350店舗以上を展開し、海外売り上げ比率は60%を越える。2019年1月の投資後、Lキャタルトンのネットワークも活用し店舗拡大を加速。年間出店数は投資以降50店舗超に増加している。その一方で、業界ネットワークを通じた人材紹介による採用支援や経営・財務管理の高度化を通じた経営体制の強化もサポート。20年2月期の売上高は、前期比約20%増の約200億円に達した。

問い合わせ先
エトヴォス/Lキャタルトン・ジャパン
0120-047-780/03-4577-8940

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マシューによる新生「ジバンシィ」公開、遠い未来から希望を届けた「トム ブラウン」 デジコレでドタバタ対談パリ7日目

 2021年春夏のコレクションサーキットのラストとなるパリ・ファッション・ウイーク(以下、パリコレ)も7日目となりました。パリからはベルリン在住のヨーロッパ通信員が現地取材の様子をお届けしますが、オンラインでも日本の記者たちが対談レビューという形で、“できるだけリアルタイムに近いペース”で取材を進めていきます。今回は、今回はメンズ、ウィメンズともにこれまでも各都市のコレクションを取材してきた「WWD JAPAN.com」の村上要編集長とパリコレ取材3度目の丸山瑠璃ソーシャルエディターがリポートします。

リアリスティックな「スキャパレリ」ウーマン

丸山:「スキャパレリ(SCHIAPARELLI)」は、ダニエル・ローズベリー(Daniel Roseberry)がクリエイティブ・ディレクターに就任してプレタポルテをスタートしてからもう3シーズン目になるんですね。クチュールのイメージが強かったのですが、ウエアラブルなアイテムが予想外に多く驚きました。というのも、今季ローズベリーは現在も数十年後まで着られるエッセンシャルなコレクションを、クチュールのクオリティで作りたかったそうです。過去2シーズンのコレクションも見てみたのですが、ゴールドの装飾がちりばめられたクラシックなパンツスーツからツイストが加えられたイブニングドレスまで、確かに今後何年も使えそうなアイテムがそろいます。ベーシックではあるものの、創業者のエルザ・スキャパレリ(Elsa Schiaparelli)が好んで使っていたというゴールドのメジャーテープの装飾や南京錠、ロブスター、ゾウなどのアイコンが効いていますね。

村上:ダニエルさんは、「トム ブラウン(THOM BROWNE)」出身だけど、絵心あるクリエイティブ・ディレクターですね。ムービーでも、イラストの制作場面がなんども出てきます。スカーフのみならず、セットアップにまで本人直筆のイラストを用いているみたい。シュールレアリスムが信条のブランドが、アーティストのごときデザイナーを起用するのは、とても正しい選択な気がしました。正直にいうと復活以降、「難しいなぁ」って思って見ていたんです。オートクチュールとプレタポルテの中間“プレタ・クチュール”の確立を目指して再スタートを切ったけれど、シュールすぎて「お金とアートを愛でる心の双方がズバ抜けた、欧州のお金持ち以外にマーケットはあるのかな?」って思っていました。それがずっとリアルになって、それでもアートマインドは失わず、絶妙なバランスを模索しながら路線変更しつつある印象です。例えば寝転ぶと床と一体化した平面のように見えるジャケットは、もちろん実物はリアルウエア。でも写真に撮るとシュールに見えて、SNS全盛の今っぽい。マスクは販売するかわからないけれど、シュールの度合いが強い商品はアクセサリーに絞り込んでいるのも正解だと思います。

NYからパリにやって来た「ガブリエラ ハースト」

丸山:いつもニューヨークで発表している「ガブリエラ ハースト(GABRIELA HEARST)」は今季パリで発表しました。リアルなショーをライブ配信していましたが、映像ではランウエイだけでなくモノクロでバックステージの様子も見せていて、その緊張感が伝わってきました。ニューヨーク・ファッション・ウイークを取材している村上さんは「ガブリエラ ハースト」のクリエイションをこれまで見てきたと思いますが、彼女の強みは何なのでしょう?

村上:「ガブリエラ ハースト」の今季は編みや太めのコットン糸を用いたハンドステッチなどの手仕事を加えながら、オーガニックなムードを維持しながら、エキゾチックなスパイスを加える彼女らしさが発揮されていたと思います。シンプルなコットンワンピのショルダーストラップや、細い2連のベルトづかいも彼女らしい。ただ、そうそうたるブランドが集うパリだと、もうちょっとオリジナリティが欲しいのも事実。ニューヨークでは、他よりラグジュアリーな分、素材に人一倍こだわって独自性を保ってきたけれど、それだけじゃパリでも同様には輝けない。今後の進化に期待しましょう。

夜のパリをガツガツ歩く「バレンシアガ」

村上:「バレンシアガ(BALENCIAGA)」は、他のブランドよりも一足早く、21年プレ・フォール・コレクションに相当する21年サマー・コレクションを発表ですね。このブランドのサイクルは独特で、メインと次のプレで1つのストーリーが完成。つまり今回の21年プレ・フォールは、7月に発表したコレクションの続き、ですね。確かに、全体のシルエットは7月発表のコレクションよりも落ち着いている印象だけど、ボロボロのニットやロゴ入りのスエット、カラフルなトートバッグなど似たようなアイテムもチラホラ。モノすごく新しいとは思わなかったけれど、デムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)らしいクリエイションですね。サステナブルへの取り組みを明言しているけれど、これまでの残反やアーカイブも使っているのかな?アイデアが枯渇しないためにも、考え自体も使い捨てず、次に繋げる考えは賛成です。気になったのは、BGMの「Sunglasses at Night」でしょうか?元々は、好きな女の子のウソを直視したくないから夜でもサングラスっていう男の子の歌だと思うんだけど、その曲を今、用いた理由はなんだろう?業界の悪しき慣習に対するアンチテーゼ??

丸山:音楽はコリー・ハート(Corey Hart)の1983年の曲「Sunglasses at Night」をデムナと長年組んでいるプロデューサー、BFRNDがカバーしたものでしたね。ちなみに最後に仲間と合流したラストルックのモデルがBFRNDです。映像では曲の通り夜なのにサングラスをしたモデルがパリの街をガツガツ歩きます。勝手に3Dを駆使したSFチックな映像が来るのではないかと想像して身構えていたので意外でした。でも、デムナは事前インタビューでこのコレクションでは2030年のファッションを思い描こうとしたと明かしています。2030年ですが「レトロフューチャリスティックなスタイルの提案ではなく、何が必要不可欠でサステナブルかということをより探求するということ」だそうで、見たこともない新しいものというより、デムナが10年後も残ると思うエッセンシャルなアイテムを集めたコレクションだったのではないでしょうか。1983年の曲を使ったのも、それが現代まで残っているからなのかなと思いました。ですがフーディーを着ずに頭からかけたり、イブニングドレスにスリッパを合わせたり、ティックトック(TikTok)のように歌詞に合わせてモデルが口パクする演出など、どこか違和感のある要素は健在でした。違和感というのは新しいものを初めて見るから生まれる感情でもあると思うのですが、昔からあるものを違う見せ方をしているので新しいように感じます。ちなみにユーチューブでは映像をずっとループさせて見せていて、かれこれ十数時間ライブしているのですがいつまでやるのでしょう?

遠い未来の宇宙からユーモアを届けた「トム ブラウン」

丸山:「トム ブラウン」はリアルのショーと同じようにデジタルでもユーモアたっぷりな映像を公開。まず設定から、22世紀の月で開かれたスポーツ大会「2132 LUNAR GAMES」の開会式の実況とぶっ飛んでます。会場は実在のスタジアム、ロサンゼルス・メモリアル・コロシアム(Los Angeles Memorial Coliseum)なのですが、実況者によれば過去のアーカイブから再現したものだそう。スタジアムを埋め尽くす観客は全員「トム ブラウン」を着用。オリンピックの開会式で選手が正装で入場してくるときのように、最新コレクションをまとった選手が、各競技を現したロゴが描かれた旗とともに入場してきます。最後はトム・ブラウンの愛犬ヘクターをモデルにした犬型の宇宙船がスタジアム上空に現れ、双子のスター選手が宇宙船から降りた後、「トム ブラウン」のライターで聖火を灯すという、ツッコミ満載な映像でした。コレクションは白を基調にしていましたが、これは希望を表しているそう。デジタルでも変わらないユーモアを希望とともに届けてくれたトム・ブラウンに感謝です。

村上:「トム ブラウン」は、112年後も燦然(さんぜん)と輝き、代表選手団のユニホームを手がけているのね(笑)。112年後のオリンピック的なスポーツの祭典は、まだスタジアムをメーン会場に行われているのかな?ナレーターによると、このスタジアムは「20世紀のロサンゼルスを再現している」みたいだけれど。その後ナレーターは、グレース(Grace)さんのリポートの後、「Amazing Grace」とのコメントを発していたね。「Amazing Grace」はアメリカで昔から歌われる賛美歌で、春には新型コロナウイルスと戦う医療関係者に向けて贈られました。舞台は2132年だけれど、随所に過去へのリスペクトが感じられます。心温まるストーリーですね。2132年も「トム ブラウン」が打ち出し続けるフォーマルに代表される古きと、
スペースエイジ時代に欠かせないミラーサングラスのような新しきが入り混じっている素敵な世界だといいなぁ、って思っちゃいますね。絶対生きてないけれど(笑)。

パリジャンに着想を得たリアルな「パコ ラバンヌ」

村上:「パコ ラバンヌ(PACO RABANNE)」は、正直、もうちょっと何かを期待してしまいましたね。終盤のシルバー&ゴールドのスパンコールドレスは、「まさに!!」と興奮しましたが比して前半は、それなりにメタルづかいは含まれているけれど、「『パコ ラバンヌ』で買わなくてもいいかもなぁ」というアイテムも多く。ただメタル使いとか、ラミネート加工を増やすと重さ、着心地、価格などの面でリアルから遠ざかってしまうし、難しいところですね。終盤は、とっても「パコ ラバンヌ」だけど、あくまでコレクションピースでしかないワケで……。そう考えると、「スキャパレリ」は上手な落とし所を見つけつつある印象です。

丸山:今季の「パコ ラバンヌ」は、ジュリアン・ドッセーナ(Julien Dossena)=クリエイティブ・ディレクターがロックダウン中に自宅の窓から近所を歩くパリジャンの服装を観察してそれに着想を得たとのことで、ジーンズやブラトップ、キャミソールなど日常使いできるリアルなアイテムが多かったですね。一部のモデルもドッセーナの友人のパリジャンを採用していたとか。さらに会場の扉は開け放たれていて、ショーを見に集まった群衆や通りを走る車が垣間見えます。モデルは会場の外を歩いてから会場に入ってくるという演出で、パリの日常からランウエイにそのままやってきたようでした。ただ前回のジャンヌダルクに着想を得たコレクションは強さもありながら神秘的な素晴らしいコレクションで、ドッセーナの本領は日常着よりも洗練されたファンタジックな表現の方が発揮されるのかなと思っていたので、個人的には少し残念ではありました。ただ、コロナ禍で消費者もファンタジックよりもリアルな方を好む消費傾向にあるので、それに合わせた結果でもあるのかなと思います。

ビーズを用いたドリーミーな「ビューティフルピープル」

村上:「ビューティフルピープル(BEAUTIFUL PEOPLE)」はバルーンシルエットを基調に、フリルやプリーツをプラスしたひざ丈のドレスの裾にマイクロビーズを封入。すると裾まわりのボリュームがさらに誇張されて、という仕掛けですね。ショーの前に届いた招待状も、マイクロビーズを詰め込んだハンドピローみたいな物体だったんだけど、実際、ビーズも販売するのかな?とても自宅で気軽に詰め込めるシロモノじゃないけれど、軽くて暖かそうではあります。招待状みたいなハンドピローを数個セットにして販売したり、ドレスとセットで売ったりするのかな?そば殻を詰め込んだ枕とフカフカの布団のように、軽くて、ドレスだけど「おうち時間」にも良さそうで、リラックスできるアイテムでした。

丸山:「ビューティフルピープル」は服の表である“Side-A”と裏である“Side-B”、表と裏の間に着目した仕立てのアイデア“Side-C”を以前から採用していましたが、今回はこの間を相互につなげてマイクロビーズを入れられるポケットを作ったんですね。公開した映像は、封入されたビーズが服からモデルの動きに合わせてドラマチックに落ちるという演出でした。ビーズが詰まったポケットに寄りかかればそれはビーズクッションやアームチェアに早変わり。そのまま寝れちゃう枕にインスパイアされたヘッドピースや、ベッドリネンやテーブルクロスのような生地など、家の中にあるものに着想を得たコレクションでしたが、「もしも洋服が住居として変化したら?もしも洋服が感情を揺さぶる存在として、精神を高揚させつつも、穏やかな居心地良さと安心を与えることができたとしたら?」というアイデアを由来としているそうです。

マシュー・ウィリアムズによる新生「ジバンシィ」

村上:新生「ジバンシィ(GIVENCHY)」、私たちはルックを見ただけですが、なんだか良さそうですね。クロコダイルのようにゴツゴツした質感のレザー、喜平のメタルチェーン、スキャンダラスなブラックミニドレスなど、メゾンらしい強さとモード感が漂います。前任クレア・ワイト・ケラー(Clare Waight Keller)は、とっても優しいので、時に無理して力強い方向に振っていた印象もあるけれど、マシュー・ウィリアムズ(Matthew Williams)にとって、ブラックやモード、メタル使いに代表されるエッジーは、得意のフィールドだしね。詳しくは、ヨーロッパ通信員の藪野淳さんが現地でコレクションを見てリポートしてくれています。

丸山:やっぱりマシューの得意なアクセサリーは素晴らしかったですね。特にティーザーでも見せていた南京錠を用いたアイテムは売れそうです。しかもエントリー価格のアイテムも出すそうで、楽しみですね!「1017 アリックス 9SM(1017 ALYX 9SM)」でも最近はテーラードを意識していましたが、メゾンの技術によりまた別格なクオリティに仕上がっていました。ちなみにキャップやヒールに採用した角などゴシックな要素は意外だったのですが、アレキサンダー・マックイーン(Alexander Mcqueen)期のアーカイブからと聞いて納得。

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メイクアップの歴史に特化した博物館がマンハッタンに開業 海外ビューティ通信ニューヨーク編

 世界に目を向けると日本とは異なる美容トレンドが生まれている。そこで、連載「海外ビューティ通信」では、パリやニューヨーク、ソウル、シンガポールの4都市に住む美容通に最新ビューティ事情をリポートしてもらう。(本文中の円換算レート:1ドル=105円)

 メイクアップに特化した世界初の“メイクアップ博物館(MAKEUP MUSEUM)”が、9月1日にニューヨークのミートパッキング地区にオープンした。化粧の歴史とそれが社会でどのような役割を果たしてきたのかを展示している。当初は5月にオープンする予定だったがコロナ禍で延期となっていた。

 共同設立者はビューティデータ会社を創設し経営するドリーン・ブロック(Doreen Bloch)、美容マーケティングを専門とするケイトリン・コリンズ(Caitlin Collins)、そして著名メイクアップアーティストのレイチェル・グッドウィン(Rachel Goodwin)の3人だ。同博物館長であるブロック共同創設者は「このような危機の中でもビューティと芸術、文化はなお人々にとって非常に大切なものです。ビューティに捧げる文化的施設を開館できることをうれしく思います」と語り、コリンズ共同創始者も「この数カ月間、多くの支援の言葉をもらいました。博物館を開けるための情熱とクリエイティビティー、喜びは決して途絶えることがありませんでした」と述べる。

 スポンサーにはアーノラズロ(ERNO LASZLO)社、コンエア社(CONAIR)、アルコン(ALCON)社、ジボダン(GIVAUDAN)社が名を連ねる。現在、コロナ対策のために時間制限を設け、入館人数を収容可能人数の16%に抑えて運営している。チケット(40ドル=約4200円)は事前にオンラインで購入でき、入館時には検温と常時マスク着用が求められる。

 同館初の特別展は「ピンク・ジャングル:アメリカの1950年代のメイクアップ(PINK JUNGLE 1959s Makeup in America)」と題して、50年代の化粧品や香水の数々やロシアからの移民としてハリウッドで活躍したメイクアップアーティストのマックス・ファクター(Max Factor)のメイクアップルームも再現している。そして当時のアイコンであるマリリン・モンロー(Marilyn Monroe)やグレタ・ガルボ(Greta Garbo)、ジャクリーヌ・ケネディ(Jacqueline Kennedy)が愛用したアーノラズロ(Erno Laszlo)博士によるスキンケア製品や肌診断のメソッドも見どころだ。

 エルジン(ELGIN)社製の小鳥の形をした手首につけられるコンパクトは、サルバドール・ダリ(Salvador Dali)のデザインによるものという稀少な品だ。またブラック層をターゲットにした雑誌「エボニー(EBONY)」(1945年創刊)と「ジェット(JET)」(1951年創刊)のコピーが常設展示してあり、メインストリームの雑誌では見えにくいブラック層のメイクアップの歴史を辿ることができる。そのほか細眉とリップライナー、光と影を駆使して立体感を出すコントゥアリングを広め、革新的なメイクテグ額で90年代に一斉を風靡したメイクアップアーティスト、故ケヴィン・オークイン(Kevyn Aucoin)の日記も7冊が展示してあり、夭逝した彼の内面が窺い知れて興味深い。

 館内にはセルフィーにぴったりの色別にわけられた一角があり、ギフトや化粧品の販売コーナーも設けている。またメイクアップの歴史や展示物をインタラクティブに検索できるアプリも用意されている。とても興味深く一見の価値がある博物館だ。

黒部エリ/ライター:東京都出身。雑誌ライター、ジュニア小説家を経て1994年からニューヨーク在住。ニューヨークのトレンドやビューティ情報を女性誌などで発信している。著書に「生にゅー 生のニューヨーク通信」(文藝春秋社) ブログ「黒部エリぞうのNY通信」

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デジコレでドタバタ対談 パリ6日目 「コム デ ギャルソン」不在の土曜日、「エルメス」の“自由の再発見” 

2021年春夏のコレクションサーキットのラストとなるパリ・ファッション・ウイーク(以下、パリコレ)も6日目となりました。パリからはベルリン在住のヨーロッパ通信員が現地取材の様子をお届けしますが、オンラインでも日本の記者たちが対談レビューという形で、“できるだけリアルタイムに近いペース”で取材を進めていきます。今回は、ウィメンズ・コレクションを長年取材している「WWDジャパン」の向千鶴編集長と、大杉真心記者がリポートします。

常連不在で、若手ブランドの発表続く

向:今日は土曜日。パリコレ中の土曜日は通称“ギャルソン・デー”で、朝一番に「ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン(JUNYA WATANABE COMME DES GARCONS)」、昼には「ノワール ケイ ニノミヤ(NOIR KEI NINOMIYA)」、夕方には「コム デ ギャルソン」がショーを披露しています。今シーズンはでコム デ ギャルソン社の3ブランドに加えて同じく土曜日の常連「ハイダー アッカーマン(HAIDER ACKERMANN)」が不参加のため寂しい印象でした。空いたスロットに「エスター マニャス(ESTER MANAS)」「カルバン ルオ(CALVIN LUO)」といった初参加ブランドが組み込まれ、それはそれで楽しみだったけど正直心に響かず。とテンション低めでごめんなさい。

大杉:ギャルソン社3ブランドの穴は大きいですね。今回パリコレ初参加の「エスター マニャス」は今年のLVMHプライズのセミファイナリストで、サステナブルでインクルーシブなアプローチで注目を集めているベルギー発のブランドです。砂漠や海、宇宙をデジタルツアーで移動しながら、異なる体型、人種のモデルたちが同一のルックを着ることで、見え方の違いを表現しているのに好感が持てました。サイズはXXSからXXLまでそろえているそう。キャッチーなブランドロゴをのせたバッグのお披露目もありました。

「アルチュザラ」のドキュメンタリーに好印象

向:「アルチュザラ(ALTUZARRA)」はデザイナー本人がコレクションの説明をするシーンから始まりますが、生地を丁寧に触りながら「このリネンガーゼは大量のリサーチを経て決めたんだ」など実感のこもったコメントがよかった。その後もどうやってこういった形が生まれたか?について具体的なテクニックを丁寧に話していて引き込まれました。こういったことはショーを見るだけでは分からないし、展示会に行ってもデザイナー本人からここまで詳しく話を聞けるケースは少ない。モノ作りへの真摯な姿勢が伝わりましたね。取材陣だけじゃなく、ブランドのファンも嬉しいんじゃないかな。

大杉:オートクチュールの期間中に多かったドキュメンタリー形式の動画でしたね。デザイナーのジョセフ(Joseph Altuzarra)が描いていたデザイン画の服が、モデルが着用して出てきたときに「あの服だ!」と喜びがありました。軽やかな素材とアースカラーの色使いがとても優しい雰囲気でした。ボリューミーナドレープが美しいドレスは、スリットが深かったり、胸元や背中が空いていたりと、洗練された色っぽさがありましたね。

向:今シーズンのトレンドを凝縮したようなコレクションでしたね。綺麗な色、優しい質感、体を締め付けないボリュームあるフォーム。デザイナーの話を聞くと、ボリュームってただ単に布をたくさん使えばいいんじゃない、生地の質感とパターンの絶妙な掛け算で生まれるんだとわかります。ドレープをたっぷり寄せたイエローのドレスとジャケットのセットアップなど着たい服がたくさん見つかりました。

ヴィヴィアン本人が朗読する
「アンドレアス・クロンターラー フォー ヴィヴィアン・ウエストウッド」

向:「アンドレアス・クロンターラー フォー ヴィヴィアン・ウエストウッド(ANDREAS KRONTHALER FOR VIVIENNE WESTWOOD)」の最初に登場した緑のドレスの女性はまさか、とてもスリムになったヴィヴィアン・ウエストウッド本人!?白壁のスタジオで詩の朗読に合わせてモデルが一人一人ポージングをするのですが、服もモデル自身の個性もポージングも全てにインパクトがあり独特です。ファッションショーを見たときに受ける印象と全く同じですね。イエローのコートを着たグレイヘアーのヴィヴィアンのようなマダムもとてもきれいでこういう風に年齢を重ねられたら、と思いました。

大杉:ヴィヴィアン本人がモデルになって登場していましたね。ハイヒールを履いて、ボリュームのある髪型でいつもと雰囲気が違いました。イエローのコートを着たマダムもヴィヴィアン本人でした。中国版の「織姫と彦星」やウィリアム・シェイクスピア(William Shakespeare)の詩「ミツバチが蜜を吸うところで(Where the bee sucks)」などを朗読し、撮影はアンドレアス本人が行ったそうです。インスタグラムの情報によると、今回のコレクションはパンデミック前にデザインをした服で、存在感がある必須アイテムを目指したそう。花柄のブーツがコーディネートのポイントになっていましたね。

向:話はそれますが、先日発表された「アシックス(ASICS)」と「ヴィヴィアン・ウエストウッド(VIVIENNE WESTWOOD)」は、新作コラボスニーカー“アシックス × ヴィヴィアン・ウエストウッド ゲルカヤノ26(ASICS × VIVIENNE WESTWOOD GEL-KAYANO 26)”のビジュアルもユーモアたっぷりで面白かったです。本当に自由な発想です。

“明るい未来”へのメッセージが込められた「エルメス」のリアルショー

向:リアルショーを行った「エルメス(HERMES)」はエレガントであることは変わらないのですが今シーズンは力強さ、決意のようなものを見てとりました。上質できれいな色のレザーやウール、シルクといった素材をシンプルに使いながらカッティングが直線的で大胆。背中が大きく開いて肌を見せるスタイルが多かったですよね。

大杉:露出が多いのにとても上品ですね。ジャケットやサロペットの下にバンドゥを合わせるスタイリングや、体にフィットしたシルエットにヘルシーで美しい。モノトーン、ブラウン、ベージュのベーシックカラーに朱赤やオレンジ、ライトブルーをポイントに入れた色使いも心地よく、フレッシュです。また、このコレクションには“自由の再発見”という思いが込められていると書かれていました。不自由なコロナ禍のロックダウンを経験し、「次の春夏こそ、マスクを付けずに外に出て楽しみたい」というような解放感があります。

向:デザイナーのナデージュ・ヴァンヘ・シビュルスキー(Nadege Vanhee-Cybulski)は、約 6 カ月をかけて、12人の親しいアーティストたちと一緒にスクラップブックを作ったそうです。会場でモデルの後ろに見えるビジュアルがそうですね。「自粛生活を余儀なくされる中で、自由と明るい未来に対する人々の願いや、女性として生きることをビジュアルで表現した」とのこと。複数のアーティストの思想や視点をコラージュしているということですね。この“思想や視点のコラージュ”は今季のパリコレのテーマの一つだと思う。分断されたカルチャーをつなぎ合わせ、離れて生活しながら知恵を寄せ合うことで互いに勇気付けよう、そんなメッセージを受け取ります。そしてハッとする発色のリップが良かった。大ヒット中の「ルージュ・エルメス(ROUGE HERMES)」ですね。

大杉:ナチュラルなベースメイクに合わせたリップカラーが際立っていましたね。マスクが必需品となり、口紅がなかなか楽しめない日々なので、早くマスクを取って思いっきりメイクを楽しめる日が待ち遠しいです。私は多彩なカラーで登場したショルダーバッグや、スタッズ使いが特徴的なローファ風のクロッグなどの新作アクセサリーも気になりました。

10シーズン分のアーカイブ素材を使った「アナイス ジョルダン」

向:個人的に好きなのよね、「アナイス ジョルダン(ANAIS JOURDEN)」の世界観。ガーリーでトゲがあり力強い。フワフワしたドットのドレスに「ナイキ(NIKE)」のスニーカーといったミックススタイルが印象的です。コレクションのタイトルは「WORLD OF REALMS(現実の世界)」で、撮影場所はおそらくデザイナーの故郷である香港でしょうか?インスタには「過去10シーズンのアーカイブの記憶を再訪し、真実とファンタジー、時間と空間の境界線を曖昧にした新しいコレクションを作った」とあります。

大杉:迫力のある映像でしたね。香港の滝や港、ビルの屋上などフォトジェニックな場所でありながらも、ちゃんと服に焦点が当たっていて、サクサクと次のルックへ切り替わっていくのも見やすかったです。“アップサイクルコレクション”と題して、これまでの10シーズンで使った素材で、デザイナーのアナイス・マック(Anais Mak)が気に入っているものを再利用したそうです。ブランドとしてサステナビリティへの考えを深めるべく、まずは“ローカルで作る”ことから始めて、素材の調達から仕立てまで全て香港と中国国内で行ったそう。

向:以前、別の香港デザイナーに話を聞いた時、彼は中国との関係について触れて「僕ら香港のクリエイターは頭の上にずっとガラスの天井がある世界で仕事をしている。突き破りたいけど壊したら傷つく。だからずっと同じ場所でグルグル回っている気分なんだ」と話していた。今の香港でアナイスが何を思うのか、話を聞いてみたいな。

セーヌ川沿いをランウエイにした「アミ アレクサンドル マテュッシ」

向:9年目にして初めてウィメンズのファッションウィークに参加した「アミ アレクサンドル マテュッシ(AMI ALEXANDRE MATTIUSSI)」はリアルショーで、セーヌ側沿いの遊歩道をランウェイに見立て男女のモデルが歩きました。セーヌ川沿いの道っていつも大渋滞しているけど、車道から一段下がったこの遊歩道は喧騒から外れて穏やかに過ごせる場所だよね。夜は怖くて一人では歩けないけど。

大杉:川がライトに反射してキラキラしていてとても素敵なロケーションでしたね。ただ暗闇の中モデルたちがサングラスかけて登場するので、川に落ちてしまわないか少しハラハラしました(笑)。モノトーン、ネイビー、ブラウンのシャツスタイル、セットアップなど、ハンサムなルックが多かったですね。

向:ネイビージャケット、白シャツ、ボーダーカットソー、デニムにプリーツスカート、キャメルのコートなどクローゼットのベースとなるアイテムを上質素材で丁寧に作る姿勢は変わらず。 私の中では「アー・ペー・セー(A.P.C.)」のデザイナー、ジャン・トゥイトゥ(Jean Touitou)やエディ・スリマン(Hedi Slimane)のスタイルと通じるものがある。ザ・パリジャン&パリジェンヌという意味でね。だから夜のセーヌ川はぴったりだと思う。「アンリアレイジ(ANREALAGE)」が富士山の前で撮影したのと同じで、ブランドのルーツが一瞬で理解できます。

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ファッションショーの乱入ハプニング8場面 ネコちゃんのリアル“キャットウォーク”から抗議運動まで

 9月29日にパリで行われた「ディオール(DIOR)」の2021年春夏コレクションのショーでは、“私たちはみなファッション・ヴィクティム(We Are All Fashion Victims)”と書かれた黄色いバナーを持った抗議者がランウエイを歩いた。同ブランドのマリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)=アーティスティック・ディレクターは定期的にランウエイで社会的メッセージを伝えており、抗議者の登場が計画的だったのかどうか会場に困惑が広がったが、すぐにショーの一部でないことが判明した。

 今回のようにショーに登場して混乱をもたらすモデル以外の人物、いわゆる”ランウエイクラッシャー“はファッションショーにおいて珍しいものではない。突発的に奇抜な衣装で乱入したものから、メッセージ性を持った抗議運動まで、ここでは8つのハプニングを取り上げる。

1 「シャネル(CHANEL)」のフィナーレにユーチューバーが乱入

 パリで行われた「シャネル」20年春夏コレクションショーでは、グラン・パレ(Grand Palais)通りの屋上を再現したステージを歩くモデルの列に、ツイードのセットアップを着た観客が乱入した。

 乱入したのはインスタグラムで19万以上のフォロワーを持つユーチューバーでコメディアンのマリー・ベノリエル(Marie Benoliel)。ステージに上がりモデル同様ウォーキングするも、ショーのモデルを務めていたジジ・ハディッド(Gigi Hadid)に退場するようバックステージへと促された。

2 「グッチ(GUCCI)」にモデルのアイーシャ・タン・ジョーンズ(Ayesha Tan-Jones)がプロテスト

 いわゆる“ショークラッシャー”とは異なるが、「グッチ」20年春夏コレクションショーではモデルのアイーシャ・タン・ジョーンズが“メンタルヘルスはファッションじゃない(Mental health is not Fashion)”と書いた両手を掲げてランウエイを歩いた。イギリス出身のノンバイナリーモデルであるジョーンズは、「グッチ」が拘束衣のようなデザインを含むコレクションを、ベルトコンベアーを使って発表したことに対して抗議の意を表明した。

 ジョーンズはショーの後インスタグラムで、「メンタルヘルスをタブー視する風潮を終わらせるべきだと信じて抗議した。私を含めた多くのモデルもそうだと信じている。精神病患者を示唆するようなデザインを使うこと、そして食肉工場のようにベルトコンベアーで移動させることは悪趣味。この資本主義社会の中で人々の苦悩を洋服を売るための小道具として利用することは、メンタルヘルスに苦しむ世界中の何百人に対して想像力のかける行為であり、下品で侮辱的だ」と語った。

3 「ディオール(DIOR)」のキャットウォークにネコちゃん

 モロッコで行われた「ディオール」の20年プレ・スプリング(リゾート)では、モデルたちが行き交うランウエイのステージ、通称キャットウォークを本物の猫が歩いた。フィナーレを歩くモデルたちに混じって野良猫は、進行とは逆方向に闊歩した。

4 「プラバル・グルン(PRABAL GURUNG)」のショーに王冠をかぶった半裸の男性

 「プラバル・グルン」の14-15年秋冬コレクションショーでは、突然黒いトレンチコートに金の王冠、ヒョウ柄のビキニ、赤いソックスを身に付けた男性がランウエイに登場。すぐに警備員によって退場を促され、逮捕された。

 男性は後にウクライナ出身の記者だと判明し、ジジ・ハディッドやウィル・スミス(Will Smith)、キム・カーダシアン(Kim Kardashian)、ブラッド・ピット(Brad Pitt)、ミランダ・カー(Miranda Kerr)らをはじめとする多くのセレブリティーに悪ふざけやわいせつ行為を行なっていた人物だとわかった。

5 トップレスの女性が「ニナ リッチ(NINA RICCI)」のショーにカットイン

 「ニナ リッチ」14年春夏コレクションショーではトップレスの女性2人がランウエイに割って入った。それぞれの体には“モデルは売春じゃない(Models don’t go to brothels)”“ファッションの独裁者(fashion dictaterror)”と書かれていた。

 両者はトップレスによる抗議行動で知られるウクライナの女性権利団体、フェメン(Femen)のメンバー。同団体は13年にも「ヴェルサーチェ(VERSACE)」のショーや、ハイディ・クルム(Heidi Klum)司会のドイツのトップモデル発掘ライブ番組でも抗議を行なった。

6 英コメディアンが珍衣装でショーをクラッシュ

 英俳優のサシャ・バロン・コーエン(Sacha Baron Cohen)は、09年に行われた「アガタ・ルイス・デ・ラ・プラダ(Agahta Ruiz de la Prada)」のショーにマジックテープでさまざまな布や靴を装着した奇抜な格好で乱入した。コーエンはコメディアンとしてアリ・G(Ali G)やブルーノ(Bruno)、ボラット(Borat)など複数のキャラクターを持っており、ショーではブルーノのキャラクターとしてランウエイを闊歩した。警部員に連れ出された。

 また英「ヴォーグ(VOGUE)」によると、翌週に行われた「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」のショーでもコーエンは、レザージャケットとジーンズを着用して赤いビキニが露出した格好でフロントローに登場し、会場を混乱させたという。

7 「ディオール(DIOR)」のショーに抗議団体ペタ(PETA)が押し入る

 動物の倫理的扱いを求める人々の会(People for the Ethical Treatment of Animals、PETA)は、たびたび毛皮の使用をめぐって抗議運動を行なってきた。そのうちの一つが「ディオール」の03-04年秋冬コレクションショーだ。抗議運動を行なったPETAメンバーは“ファー・シェイム(Fur Shame)”と書かれたバナーを掲げてランウエイに上がったが、すぐに警備員に降ろされた。

8 「ヴィクトリアズ・シークレット(VICTORIA'S SECRET)」にもPETAが乱入

 02年に行われた「ヴィクトリアズ・シークレット」のショーでは、ブラジル出身のモデル、ジゼル・ブンチェン(Gisele Bundchen)を狙ってPETAメンバーが抗議運動を行なった。黒と赤のランジェリーに身を包んだジゼルがランウエイに登場するや否やPETAメンバー4人がバナーを持ちながら並んで歩いた。

 バナーには“ジゼル:ファーのクズ(Gisele: Fur Scum)”と書かれており、同モデルが毛皮の養殖会社ブラックグラマ(Blackglama)と契約を結んだことに抗議した。ジゼルは抗議者を無視して歩き続け、抗議者は警部員に取り押さえられた。

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ベールを脱いだ新生「ジバンシィ」 クリーンなテーラリングにハードウエアや激しいテクスチャーをミックス

 「ジバンシィ(GIVENCHY)」は10月4日、マシュー・ウィリアムズ(Matthew M. Williams)新クリエイティブ・ディレクターの手掛けた2021年春夏コレクションを発表した。これまでジョン・ガリアーノ(John Galliano)やアレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)、リカルド・ティッシ(Riccardo Tisci)、クレア・ワイト・ケラー(Clare Waight Keller)といった実力派デザイナーが率いてきた老舗クチュールメゾンに34歳で抜擢された彼のデビューコレクションは、今シーズンのパリコレ最大のトピックだ。しかし、コロナ禍でのランウエイショー開催は見送り、オンラインでウィメンズとメンズのルックを公開した。

 同日、パリ・モンテーニュ通りにあるショールームで行われたプレビューで、ウィリアムズは「コレクションに特定のテーマはない」と語り、プロダクト重視の考え方を明かす。それを最も象徴するのは、ハードウエアだ。コレクション発表に先駆けて公開したビジュアルも南京錠やチェーンなどにフォーカスしていたが、「自分にとってハードウエアはとても大切な要素であり、新しいプロジェクトに取り組むときは常にそこからスタートする」という。そして、それらを新たなブランドシグネチャーとして、アクセサリーだけでなくウエアやバッグ、シューズのデザインにも取り入れていく。自身のブランド「1017 アリックス 9SM(1017 ALYX 9SM)」でもローラーコースターバックルで人気を確立し、「ディオール(DIOR)」のメンズコレクションのバックルデザインも手掛ける彼らしいアプローチと言えるだろう。

 ハードウエアに加えて、今シーズンのウエアの鍵となるのは、直線的なテーラリングとハードなテクスチャーやプリントだ。「今の時代、メンズとウィメンズは流動的がいい」という考えから、共通した素材やシルエットを採用したアイテムも多い。テーラードジャケットやコートはボクシーなシルエットで、ウィメンズでは“グラブ・スリーブ”と呼ぶ袖を浮かせたようなデザインを提案。一方、メンズは隠しボタンもしくはハードウエアの留め具で仕上げた。そのクリーンな印象と相反するように組み合わせるのは、溶岩やひび割れた地表のような荒々しいテクスチャーに加工したジーンズや型押しクロコダイルレザーのアイテム、タトゥーのようなグラフィック。オーバーサイズのスタンドカラージャケットやアノラックなど、カジュアルなアイテムもある。また、「アーカイブから創業者ユベール・ド・ジバンシィ(Hubert de Givenchy)の透け感のある素材使いや装飾を研究し、それをいかにモダンに表現できるかに取り組んだ」とウィリアムズが語るように、ウィメンズのイブニングでは、ビジューやパールを飾ったシアドレスや背中の大きく開いたニットドレスなどセンシュアリティーを探求した。

 バッグはアイコンの“アンティゴナ”を再解釈。マグネット開閉を採用した長細いハンドル付きの新デザインを提案する他、ゴツいチェーンでアレンジしたモデルや縦長のミニバッグ、ボディバッグなどもラインアップする。また、新しいアイコンとして、ユニセックスな“カットアウト”バッグも2サイズで打ち出す。やや猟奇的にも感じる角型のヒールやツノの付いたキャップは、アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)時代のアーカイブからヒントを得たもの。ゴールド&シルバーカラーのインパクトのあるアクセサリーに加え、厚底のスライドサンダルやエアソールのスニーカー、ストラップ付きiPhoneケース、ウォーターボトル、コンパクトに折り畳めるサングラスなど若い層でも手が届きそうなアイテムが豊富で、顧客の裾野を広げることにつながりそうだ。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。20年2月からWWDジャパン欧州通信員

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スーツが嗜好品になる日 エディターズレター(2020年8月5日配信分)

※この記事は2020年8月5日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

スーツが嗜好品になる日

 米ドラマ「SUITS」は世界中で人気を集め、日本でもリメークされたのでご覧になった人は多いでしょう。一流弁護士事務所を舞台にしたドラマのタイトルは、SUIT=訴訟と、パワーエリートの象徴であるSUIT=背広という二重の意味が込められています。ただ、現実のビジネスの世界ではIT企業を例に出すまでもなく、仕事着のカジュアル化が加速中です。最近ではウォール街の金融マンですら、スーツを着ない世代が増えているようです。

 米国最大の紳士服店であるテイラード・ブランズが8月3日、日本の民事再生法に相当する米連邦破産法第11条の適用を申請しました。「メンズ・ウエアハウス」「ジョス・エー・バンク」などの屋号でビジネススーツを販売。「スーツを2着買えば割引」などの安さを武器にした販売手法で全米に約1400店舗を展開し、売上高は約3400億円の規模でした。「米国の青山商事」と呼ぶ業界人もいます。

 米国ではブルックス ブラザーズが同様に米連邦破産法第11条の適用を申請したのも記憶に新しいところです。既製服のスーツを初めて作った老舗であり、歴代大統領をはじめとしたエスタブリシュメントに愛されてきた名門の破綻は衝撃を与えました。

 低価格のテイラード・ブランズも高価格のブルックス ブラザーズもコロナ以前から経営状況は悪化しており、コロナによる店舗休業がダメ押しになった格好です。コロナ以前の悪化についてはそれぞれ複合的な要因もあるでしょうが、大きな流れとして男性のスーツ離れが痛手になったことは間違いありません。

 日本においてもコロナ以前からスーツ離れが顕著になっています。青山商事、AOKI、コナカといった大手紳士服専門店は業績が悪化。百貨店向けの有力ブランド「ダーバン」を販売してきた総合アパレルのレナウンも経営破綻しました。コロナ禍で在宅勤務が広がりを見せる中、スーツにとって明るい材料はあまりありません。

 戦後の日本でスーツはホワイトカラーの男性の仕事着という位置付けで、大きなマーケットを形成してきました。しかし今やホワイトカラーが必ずしもスーツを着ない世の中になってきている。残念ながらマーケットの縮小は避けられないでしょう。

 「SUITS」の弁護士たち、あるいは今放送中の「半沢直樹」に登場する銀行マンや証券マンもスーツを脱ぐ時代がくるかもしれない。現に三井住友銀行は昨年から、本店の一部とはいえ服装の自由化に取り組んでいます。多くの男性にとって仕事の必需品だったスーツは、かつて和服がたどったような嗜好品への道をたどることになるのかもしれません。

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NY撤退後の「鎌倉シャツ」の課題 小島健輔リポート

 ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。日本以上にコロナの影響が深刻な米国で、鎌倉シャツがニューヨークの店舗の閉鎖を決めた。当面はオンラインストアを受け皿にし、終息後の再出店の機会を伺う。日本ブランドの成功例といわれてきた同店の閉店は、コロナ下の米国小売業の厳しさを印象づけるものだった。

 メーカーズシャツ鎌倉(鎌倉シャツ)がニューヨークのマジソン・アベニュー店を年内で閉店すると発表した。2012年の進出以降、黒字を確保していたが、コロナによってマンハッタンの消費自体が壊滅的な影響を受ける中での決断だった。閉店の背景とコロナ後の課題を考えてみた。

NY撤退は避けられなかった

 鎌倉シャツは2012年10月30日にNYマジソン・アベニューに米国進出の1号店を開設した。続いて15年12月17日にはグラウンドゼロのブルックフィールドプレイスに2号店を開設したが、3年半後の19年9月15日に同店を閉店している。その段階で米国市場対応の難しさは見えていたはずで、コロナ禍による売り上げの激減で撤退を決断したと思われる。

 米国での鎌倉シャツの売り上げは、マジソンとブルックフィールドの2店舗体制だった19年5月期でも271万ドル(20%を占めるECも含む)に過ぎず、米国法人は投資に見合う収益には遠かったはずだ。コロナ禍のロックダウンで休業期間が4カ月にも及び、感染が収まらずリモートワークが定着してマンハッタンの人出は戻らず、売り上げは前年の10分の1という惨状だったから、撤退の決断はやむを得なかった。

 ではコロナ禍がなければ、いずれボストンやワシントンDCなど東海岸の諸都市にも店舗を広げ米国市場で一角を占める規模に成長できたかというと、それは難しかったのではないか。もしそんな勢いがあったならブルックフィールドの店舗を閉めてはいないし、進出から8年間もあったのだから3号店や4号店も出店していたはずだ。価格と品質のバランスを評価する手応えを感じても多店化するまでの勢いはなく、アウェイな米国事業を遠隔マネジメントする労力とコストは小さな会社には負担が大きかったと思われる。

 加えて、米国ビジネスウエア市場の変化も鎌倉シャツには逆風だった。ビジネスウエアのカジュアル化が加速してスーチング需要が激減しているのは日本と同様で、とりわけ伝統的な東部風ビジネススタイルに立脚するアパレル事業者の業績は近年、急速に悪化していた。そこにコロナ禍のロックダウンでわが国に倍する長期休業を強いられ、アメリカントラディショナルの大御所というべきブルックスブラザーズ(BROOKS BROTHERS)は7月8日、「米国の青山」ともいうべきテイラード・ブランズ(TAILORED BRANDS)も8月2日、連邦破産法11条を申請して破綻した。

ドレスシャツとワーキングシャツは違う

 米国のメンズウエア市場はわが国以上にカジュアル化が進んだ一方、階級意識もシリアスで、経営層の「スーツ」、中間管理職・現場監督層の「オフィサー」、労働者階級の「ワーカー」や「セールスマン」というビジネスウエアの階級区分がはっきりとある。「スーツ」はピッタリ仕立てのテーラードスーツと華奢なドレスシャツ、「オフィサー」はジャケットにタフなワーキングシャツとセンタープレス・スラックス、「ワーカー」はブルゾンやパーカにカジュアルパンツ、「セールスマン」は安手な吊るしの既製スーツ、というのが東海岸や中北部ではお約束になっている(自由な気風のカリフォルニアなどは異なる)。

 「スーツ」階級の着るテーラーメイドスーツは、ショーファー付きで汗して働くこともないから、ソフトな上質ウーステッド素材でかなりスリムに仕立てられている。合わせるテーラーメイドのドレスシャツも華奢な上質素材で、同様にスリムに仕立てられている。米国ドラマ「ホワイトカラー」の主人公、ニールのしなやかな着こなしを思い出してもらいたい。対して「セールスマン」の着る既製スーツは肉体労働も可能なようにフィットがややラフで、耐久力のある素材で手頃な値段に抑えてある。売っているところもロードサイドの「メンズ・ウエアハウス(MEN'S WEARHOUSE)」など、日本の青山商事やAOKIと変わらない。そんな「セールスマン」や「オフィサー」が着るのがワーキングシャツだ。

 テーラーメイドのドレスシャツに近い素材と造りの既製ドレスシャツとワーキングシャツは素材も造りも違う別物で、フィットも機能性も異なる。ドレスシャツは素材も華奢でしなやかだが胴回りや肩口、袖口などフィットがタイトで、体を動かして働く「オフィサー」や「セールスマン」には窮屈だ。「静」と「動」の違いといったら良いだろうか。

 鎌倉シャツはもとより「VAN」の血筋を引くトラッドマインドが通底しており、ノーネクタイでも着崩せる清潔感あるカジュアルさがあって、アイビースクール感覚が抜けないさわやかな大人を感じさせる。そこには「スーツ」や「オフィサー」「ワーカー」といった階級意識とは無縁のおおらかさがある。そんな鎌倉シャツにニューヨーカーたちはプレッピーの系譜を見たのかも知れないが、今日のシリアスな階級闘争を生きる「戦闘服」としては中途半端だったのかも知れない。「スーツ」階級のドレスシャツとしては華奢さが足りず、「オフィサー」のワーキングシャツとしてはタフさが足りない。前者にしては安価に過ぎ、後者にしては上質に過ぎたのだろう。

 わが国とはビジネスウエアの社会慣習が少なからず異なる米国市場では、品質と価格のバランスを評価する顧客は付いても、ビジネスウエアの社会慣習を変えるほどのインパクトはなかったと思われる。

日本の商品とビジネスにも負荷がかかった

 組織も資本も小さな鎌倉シャツにとって米国進出は夢ではあっても現実の経営は荷が重すぎ、日本の商品や経営にも負担が及んだのではないか。

 ニューヨーク進出直後から日本で展開する鎌倉シャツのフィットが微妙にスリムになり、米国事業の投資が嵩んでかベーシックシャツの価格が税別4900円から5900円になり、6900円とか7900円のベターラインが増えていった。創業間もない頃から愛顧してきた私など、これまで試着しなくてもおきまりのサイズを選べば済んでいたのが逐一、試着しないと買えなくなって戸惑った。ニューヨーカー風にスリムに着る若い顧客を取り込む効果はあったかも知れないが、馴染みの顧客は戸惑うばかりで、素材やデザインは目立って若返ることはなかったから疑問に思ったことを覚えている。

 日本のビジネスマンにとって既製ワイシャツは「コモディティ」であって、それぞれに買えるクラスは違っても、自分のご愛顧ブランドを決めて時々に好みの色柄を選び、値札も寸法も確かめることなくいつものサイズを買えば済むのが好ましい。忙しいときはECで済ましても良いし(鎌倉シャツは4分の1がEC売り上げ)、奥さんや秘書に代理購入してもらうのも容易だ。

 鎌倉シャツもグローバルなブランドになったのだから、フィットもニューヨーカー風にスリムになり、価格もブランドの付加価値(実際はコスト)が乗って多少は高くなっても仕方ないよね、と当時は思ったものだ。グローバルとローカル(実際は日本もNYもそれぞれローカル)のギャップやコストの上昇を解消しないまま、夢を追って19年11月7日に上海(上海は華南、北京は華北、2つのローカルがある)に進出して間もなく、コロナが襲ってさまざまな課題が露呈した。

コロナ禍のダメージと対策

 日本の鎌倉シャツの店舗はビジネス需要を狙ってターミナルやビジネス街に集中していたから、コロナ禍の直撃を受けた。緊急事態宣言下で1カ月半の休業を強いられ、リモートワークの定着もあって営業を再開しても顧客の戻りは限られた。ビジネスシャツの売り上げは3〜5月がピークなのに4月と5月の店舗売り上げがほぼゼロになり、メーカーズシャツ鎌倉の20年5月期売上は32億2900万円と前期の45億4700万円から29%も減少し、創業以来初めての減収となった。店舗スタッフを動員してのチャット接客で伸ばしたEC売り上げ※1、取り組み工場で急きょ作った布マスクの累計50万枚の売り上げはサダ・マーチャンダイジングリプリゼンタティブに計上されたから、両社合計の売り上げはそこまで落ち込まなかったと思われる。

 高齢で引退した創業者の両親に代わり2月に企画・生産・EC運営のサダ・マーチャンダイジングリプリゼンタティブ、5月に店舗販売のメーカーズシャツ鎌倉の代表取締役社長を引き継いだ長女の貞末奈名子氏は、両親の理念を受け継いで雇用と取引の継続に努め、店舗休業中の従業員給与を全額支給し、5月末の決算ボーナスも8月末との二分割にはなったが全額を支給。取り組み縫製工場に対しても布マスクの製造を発注して生産ラインの維持に尽力している。

 メーカーズシャツ鎌倉は営業外収益を計上して4割近い減益ながら4700万円の最終損益を確保し、決算が12月のサダ・マーチャンダイジングリプリゼンタティブ(前期売り上げは51億7000万円)もEC売り上げが下支えして黒字が見込めると奈名子社長は「繊研新聞」のインタビューに答えている。サダ・マーチャンダイジングリプリゼンタティブの売り上げの過半はメーカーズシャツ鎌倉への商品納入とEC販売の代行であって重複しているが(残りは外部のOEM受注)、両社の連結実態は開示されておらず推測の域を出ない。

※1.EC売り上げの計上はサダ・マーチャンダイジングリプリゼンタティブで、メーカーズシャツ鎌倉への売り上げ計上は不明。

浮上した4つの課題

 そんな課題を見据え、貞末奈名子新社長は以下の3つの改革を進めようとしているのだと推察する。

(1) 製販両社の一体化によるチームVMI※2の機動化効率化、店舗とEC一体のC&C顧客利便と在庫効率の向上

(2) 出店の抑制と適正店舗規模への回帰、店舗運営と接客プロセスの再確立

(3) 創業の地「鎌倉」へ回帰しての新創業と会社組織の再構築

 サダ・マーチャンダイジングリプリゼンタティブはメーカーズシャツ鎌倉への適時適品供給の一方、取り組み11工場の稼働率にも配慮して外部のOEM受注を確保するという両面対応を求められ、必ずしもメーカーズシャツ鎌倉へのVMI供給に徹していたわけではないし、ECも店在庫を引き当てての店受け取りや店出荷というC&Cまでは実現できていなかった。製販一体のようで二人羽織のような一面もあったのではないか。だからこそ、遠からずの組織一本化を考えているのだろう。

 出店立地や店舗規模、VMDや運営スタイルも再検討する必要がある。ターミナルやビジネス街に集中する出店はコロナで壁に当たり、郊外ターミナルなど生活圏立地に布陣する品ぞろえと店舗スタイルの確立が急務だし、少人数運営の小型店で後方ストックに多頻度に出入りする在庫運用は鎌倉シャツの原点から乖離している。鎌倉シャツの効率を実現したサイズ別ボックスVMDと店舗運営が崩れているという危機意識はないのだろうか。

 奈名子社長は米国事業も中国事業も担当して、商品でも物流でも店舗運営でもローカルギャップを痛感したはずから、「鎌倉」回帰は国内完結を志向したものという受け止め方もできる。上海の店舗は好調で撤退など考えないだろうし、ニューヨーク再進出の夢も捨ててはいないだろうが、多店化して一定の事業規模まで伸ばすつもりなら商品と物流のローカル対応は必須で、投資も手間もかさむ。コロナ禍のダメージの中、限られた資産や人材をどこに集中するかも問われよう。

 コロナ後を見据えるなら

(4) 需要の衰退が避けられないビジネスシャツをカバーする新アイテムの拡充

も急がれよう。それも取り組み工場の生産ラインで効率的に作れるものに限られるから、シャツの派生アイテムになる。単仕立てのシャツジャケットやシャツコート、パジャマやシャツガウン、ネルシャツやワークシャツ、夏場はアロハやカリユシ、ということになるのだろうか。それをシャツ同様の陳列・販売プロセスと製販一体のウィークリーVMIで回す仕組みを築き上げるとしたら、非効率な海外事業に時間も費用も割く余裕は到底ないはずだ、と思うのは外野の老婆心に過ぎるだろうか。

※2.VMI(Vendor Managed Inventory)……あらかじめ定めた陳列棚割と販売計画に基づいてベンダーに補給と在庫管理を委任する取引形態

小島健輔(こじま・けんすけ):慶應義塾大学卒。大手婦人服専門店チェーンに勤務した後、小島ファッションマーケティングを設立。マーケティング&マーチャンダイジングからサプライチェーン&ロジスティクスまで店舗とネットを一体にC&Cやウェブルーミングストアを提唱。近著は店舗販売とECの明日を検証した「店は生き残れるか」(商業界)

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「マスク荒れ」によるニキビのケア ゴッドハンド山崎有香が教える1分間動画セルフエステVol.2

 スパ・エステティック業界で、卓越した手技や接客術を持ち話題を集めている“ゴッドハンド”が、1分間でできるセルフエステを動画でレクチャーする当連載。第2回は、昨年行なわれたエステ業界最大級のコンテスト「エステティックグランプリ」の顧客満足サロン部門でグランプリを受賞した山崎有香「メディカルサロン Dr.いろは」代表兼エステティシャンが、“マスク荒れ”により生じるニキビの簡単なケア方法を紹介する。

花粉症の人は特に注意が必要

 ビューティの観点からも最近注目されているのが“マスク荒れ”。山崎代表によると、秋には稲科の花粉が多く飛散する傾向にあるため、花粉症の人は特に注意が必要だという。「花粉のアレルギーで肌が敏感になり、バリア機能が低下してしまうため、マスクによる摩擦の影響を過度に受けてニキビができやすくなる。また、摩擦に加えてマスク内は蒸れて雑菌が発生しやすいので、ニキビが炎症を起こしてしまうケースも少なくない」。

絆創膏と“マキロン”で簡単ケア

 そこで、ごく簡単にできる“マスクニキビ”ケアとして、絆創膏と、洗浄・消毒ができる“マキロン”を使ったケアを提案。「絆創膏の傷口に当てる部分に“マキロン”を1滴だけ垂らし、それをニキビに当てて貼る。そうすることで摩擦や雑菌による炎症を抑えることができる。絆創膏にも雑菌を防ぐ効果はあるが、マスクの中だとそれだけでは不安なので、“マキロン”を使うとより効果的。絆創膏を貼っても、上からマクスをするので外からは見えない」と話す。

 

 山崎氏が代表を務める「メディカルサロン Dr.いろは」では“細胞教育フェイシャル”と呼ばれる、マッサージと化粧品と機器を組み合わせて、肌の活性化を導くメニューが一番人気。使用する化粧品には徹底的にこだわり、常により良い商材を探していて、現在は再生医療に関する医療技術の研究開発を行っているサイセイが提供する、幹細胞培養液を導入している。

■メディカルサロン Dr.いろは
住所:東京都港区麻布台3-2-8
営業時間:11:00~18:00
定休日:月曜日

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パリコレ現地リポートVol.4 「ロエベ」に心を奪われ、「ヨウジヤマモト」に希望を感じた1日

 こんにちは、ヨーロッパ通信員の藪野です。この原稿を書いている3日の朝は久々に晴れました!天気がいいだけで、だいぶ気分が上がりますね。パリでの新型コロナウイルスの感染拡大状況は深刻化していて、週明け(5日)からレストランなどが閉鎖になるかもしれないと聞き、朝からスーパーに買い出しに行ってきました。いつもとは全く状況も雰囲気も異なるパリコレですが、早くも折り返し地点。「ロエベ(LOEWE)」や「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」を取材した5日目のダイジェストをお届けします!

10月2日(金)

14:00 今季も冴えていた「ロエベ」のクリエイション

 「ロエベ」はデジタルでコレクション発表を行いましたが、パリでもインスタレーションを開催しました。アーティストのアンシア・ハミルトン(Anthea Hamilton)が手掛けた柄の壁紙で飾られた空間に、新たな造形の探求に意欲的なジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)らしいコレクションを展示。コルセットやパニエに使うようなボーン(骨組み)とたっぷりのチュールで生み出す大胆なボリュームが印象的で、コットンやリネンといった素朴な印象の天然素材とのコントラストが際立っています。本音を言うと、実際にモデルが着て歩いているところを見たかったけれど、今季も素晴らしいコレクションでした。
 
 一方、イベントなど特別なオケージョンも少なく、家で過ごす時間が増える中、ちょっと今の現実とはかけ離れているなぁという気も。ただ、そんな心配は無用でした。地下に展示されていたコマーシャルピースには、コレクションピースの要素を取り入れつつもウエアラブルに仕上げたアイテムに加え、“おうち時間”にぴったりなダブルカシミアのフーディーやパンツをはじめ、シンプルなポロシャツ、タンクトップ、レザーのスリッパなどもありましたよ〜。
 
 また、個人的に大のバッグ&シューズ好きなのでついついそっちに目が行くのですが、きっと気になる方も多いはず!ということで、写真でたっぷりとご覧ください。
 

15:00コンパクトにまとめた「イッセイ ミヤケ」のコレクションがパリに到着

 「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」もデジタルでショー形式の映像を発表しましたが、パリのショールームでもインスタレーションを行うと聞きつけて行ってきました。今季のテーマは“UNPACK THE CONPACT”(「コンパクトにしたものを広げて」的な意味)なのですが、パリに小さく畳んだり丸めたりしてコンパクトにまとめたコレクションが到着。アートのように飾られていました。
 
 「イッセイ」のコレクションは毎回、楽しいアイデアやギミックが豊富です。丸めるとスポンジのような弾力があるニットのプリーツアイテムや、ポリエステルとフェルトを三層に重ねて立体的に成形したトップスなど、実際の服を見たり触ったりするのって大切だなと改めて感じました。ちなみに、プリントの柄は全てデザインチームのメンバーが手掛けたものだそう。
 

17:00 「オリヴィエ ティスケンス」は今回、アトリエで全てのアイテムを制作

 その後は、「オリヴィエ ティスケンス(OLIVIER THEYSKENS)」のアトリエ兼ショールームにお邪魔しました。今季は、オリヴィエ・ティスケンスが10代の多感な時期に自身の美意識に大きな影響を受けたという、歌手ミレーヌ・ファルメール(Mylene Farmer)へのオマージュ。ただ、「それぞれのルックのインスピレーションになった曲や写真が分かるのは、僕みたいな本当にコアなファンだけだと思うけどね」とオリヴィエは笑っていました。
 
 そして、このコレクションは新型コロナウイルスの影響により、パターンや裁断から縫製まで全てアトリエで行い、完成させたそうです。ちょっと驚いたのは、彼がコレクションのデッサンを全てiPadで描いていること。数年前にアントワープで開催されたオリヴィエの回顧展で紙のデッサンをいくつも見ていたので、時代の変化を感じました。
 

19:00 リアルショーを決行した「ヨウジヤマモト」 耀司さんにも直撃!

 暫定公式スケジュールが発表されたとき、今シーズンはパリでショーをやる日本ブランドはないだろうなと思っていました。しかし、「ヨウジヤマモト」が耀司さんも渡仏してリアルなショーを開くと判明。一気にテンション上がりました!これは何としてもコメントをもらわねば!!ということで、ショー後のバックステージでお話を聞いてきました。どんなことを語られたかは、ぜひこちらの記事をご覧ください。
 
 パリコレ取材を始めてから毎回ショーを拝見していますが、中でも今シーズンは個人的にかなり好みでした。もちろん黒を軸にしたカラーパレットやドレープを生かしたロングドレス、柔らかなテーラリングなどブランドの根幹は変わらないのですが、しっとりと心に響きました。特にワイヤーのクリノリンと花びらや葉のような有機的なフォルムを取り入れたブラックのドレスは、ドラマチックで儚さを感じる仕上がり。耀司さんは1年前のショーのフィナーレでは背中に「NO FUTURE」と書かれたコートを着ていましたが、今回のショーを真っ白で締めくくったところには未来への希望のようなものを受け取りました。

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化粧品ってアディクトになっちゃいますね エディターズレター(2020年8月17日配信分)

※この記事は2020年8月17日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

 

化粧品ってアディクトになっちゃいますね

 「ジーユー」が発表したデータで、「約2万8000人中62%が服にかけるお金が減った」と答えたというのがありました。確かにそうよね、って思います。私自身、自粛期間中に家でリラックスできるトップスとボトムスをECで購入しましたが、いずれも1万円以下のモノです。春先になると、「何か服、買いたい〜」と思うものですが、家にずーっといるとそんな欲は湧きません。ママ友らに聞くと、減ったというより「何も買っていない」と答えるんです。「だってあるモノで十分だもん」という返事です。だから「ジーユー」の“着まわし提案”はちょっと気になります。

 ファッション業界の片隅に身を置くものとして、「服にお金をかけない」というのは危惧することなんですが、じゃあ、ママ友らは何を買ったの??ママだから子どものモノかな?って思ったのですが、それも違うって。ましてや旦那さんのモノでは決してありません(笑)。で、いろいろ探っていると買ったモノは「化粧品」なんですよね。

 化粧品、恐るべしです。私は仕事柄、化粧品サンプルをいただくことが多いため、実際に購入することがあまりなく……。この感覚が分かっていなかったのですが。化粧品って日用品であって、し好品なんですよね。特にスキンケアでは、何十年って売れ続けている銘品は数ありますが、それらは当たり前ですが何年も使い続けられる訳ではなく、だいたいが3カ月でなくなります。スキンケアを含め化粧って一度始めるとやめられないもので、肌はスキンケアを求めますし、カラーメイクはしないと落ち着かなくなる。だから、3カ月でなくなったら買いに行かないとダメなんです。そこが日用品です。

 一方で、化粧品って効果効能はもちろんですが、華やかだったりモードだったり製品によってこだわり抜かれたパッケージや、癒やされる香り、心地よいテクスチャーの追求が、気分を上げてくれます。手に取った時に高揚感を抱けるのです。そこがし好品なんですよね。ちょっとアディクト。やめられない、買い続けることになるということなんですよね。

 ママ友らから「今、どんな服が流行ってるの?」とは聞かれませんが、「今、何の化粧品がいいの?」ってよく聞かれるなあって思っていたのですが、そういうことなんですよね。やめられないんです。

 余談ですが、化粧品がいっぱいあるわが家。娘から「お化粧してみたい!」「アイシャドウ塗りたい!」「リップつけていい?」っておねだりされます。その時、私は「ダメ、8歳のその肌は、そのままで十分素敵。塗りだすと止まらなくなるよ」と使わせません。なのに先日、仕事から帰宅すると、娘の目の周りはきらっきらっしてるんです(笑)。やっぱり手を出さずにはいられなかったようで、早くも化粧品デビューしちゃいました。あ〜娘のこれからの長い年月、化粧品と共に、です。

HER OPINION:ママ、女性に関連するファッション&ビューティ業界の話題をお届けします。今、働くママを含めた社会進出が進む女性に関わる情報が増えてきました。彼女らにまつわるニュースをピックアップすることで、彼女らを支える彼らにも役立つニュースを紹介します。

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パリコレ現地リポートVol.3 「クロエ」と「ロジェ ヴィヴィエ」はリアルでもデジタルでも映え!

 
 こんにちは、ヨーロッパ通信員の藪野です。早いもので、もう10月に突入しちゃいましたね。フランスでは新型コロナウイルスの1日の新規感染者数1万人超えが続き、パリも雨が降ったり止んだりという天気でパッとしませんが、元気に取材を続けております。これからは毎日のショーの数は少なめですが、プレゼンや展示会を含めた4日目のダイジェストをお届けします!
 

10月1日(木)

13:00 黒人でゲイという“自分らしさ”を押し出した「ケニス イゼ」

 2019年度「LVMH賞」のファイナリストで、昨シーズンランウエイデビューも果たした「ケニス イゼ(KENNETH IZE)」のプレゼンテーションにやって来ました。デジタルではアーティストのマティ・ビエヨンダ(Maty Biayenda)がイラストを描く映像を公開しましたが、リアルでは彼女のライブペインティングが行われ、その前に一人ずつモデルが登場しました。今季もデザイナーの故郷ナイジェリアで織られた伝統的なマルチカラーストライプ生地を使ったテーラードアイテムが豊富。さらに同様の柄を表現した軽やかなニットやシャツも新たに提案しました。

 幼少期にオーストリアに移住したケネスですが、彼が目指しているのはアフリカのカルチャーを世界に伝えること。そして、今シーズンはBLMやトランスジェンダーの人々への暴行事件など世界で起こっていることから、黒人でゲイであるというアイデンティティーや自分のフェミニンな部分を押し出すことにしたそう。ケネス自身も男性モデルもカラーメイクとマネキュアを施していて、チャーミングでした。

14:00 「クロエ」ガールズはパリの日常からランウエイへ

 「クロエ(CHLOE)」のショー会場は、パレ・ド・トーキョーの中庭。屋外だし、広々とした席配置で、これまでで最も安心感のある会場でした。雨が降ったり止んだりの天気なのできちんと各席の下に大きな傘が用意されていたり、温かい飲み物が配られていたりと心づかいを感じます。

 パラついていた雨もタイミング良く止んで、ショーがスタートしました。今回は会場の周りのセーヌ川沿いや通りにモデルを配置して、パリの日常のような風景からランウエイへとモデルが歩いてくる演出。翌日、ナターシャ・ラムゼイ・レヴィ(Natacha Ramsay-Levi)=クリエイティブ・ディレクターにZoomでインタビューをしたのですが、「今回はリアルもデジタルも大事で、優先順位はない。それにパリに美しいオマージュを捧げたかった」と教えてくれました。そして、そこからはリアリティーも感じられて良かったですよね。そう伝えると、「『クロエ』にとって、アティチュードはとても重要な要素。リアルなストリートで女性たちがどう動くか、どのような仕草を見せるかということが大切」とナターシャ。デジタルでの配信も考慮してリアルショーに趣向を凝らした演出を用意しているブランドが今季はとても多いですが、「クロエ」のショーはリアルで見てもデジタルで見てもそんなメッセージが伝わるショーだったのではないでしょうか。

 コレクションについては「女性たちは今、そこまで新しいものを求めていないから、突飛なことをやる必要はない。だから斬新さを探求するのではなく、知っているものをいかに違うように見せるかに取り組んだ」とコメント。これまでに提案してきたデザインやシルエット、柄、そしてブランドらしさを生かして、今シーズンのクリエイションに臨んだといいます。その結果は、安らぎを求めている今にぴったりで好印象!優しいカラーパレットと軽やかな素材使いが印象的な心地よいコレクションに仕上がっていました。そこに加えたアーティストのコリータ・ケント(Corita Kent)による鮮やかな色のアートワークもアクセントが効いていましたよね。

 

16:00 映像でも店舗でもファンタジーを作り上げた「ロジェ ヴィヴィエ」

 いつも“ホテル ヴィヴィエ”と題した夢の世界のようなプレゼンテーションで楽しませてくれる「ロジェ ヴィヴィエ(ROGER VIVIER)」も、今回はデジタルでの発表となりました。それを補完する展示会がパリに店舗であるということでお邪魔したのですが、いやぁ〜スゴかった!なんとショップの2階の一部を“プチ・ホテル・ヴィヴィエ”仕様に変えて、ゲストを迎えてくれました。地面には本物の土が敷かれ、植物が生い茂る中に新作が展示されていて、クリエイティブ・ディレクターであるゲラルド・フェローニ(Gherardo Felloni)の世界観が炸裂!発表されたシミュレーションゲームのような映像作品も妖しげな案内人のいる小さな試写室で拝見しました。

 今季の一押しは、ハンドペイントでフラワーモチーフが描かれたバッグやシューズ。イタリアの田舎で自然に囲まれてロックダウン中を過ごしたというゲラルドは、ブランドにとっても重要な要素である花に改めてフォーカスすることにしたそう。また、現在のライフスタイルを反映して“快適さ”を重視したフラットなサンダルを豊富に提案。手入れのしやすいパテントレザーのアイテムも増えています。ぜひ、写真でたっぷりとお楽しみください!
 

20:00 密なダンスにヒヤリ。超エネルギッシュな「イザベル マラン」

 「イザベル マラン(ISABEL MARANT)」は一言で言うと、とってもエネルギッシュ!パフォーマー集団「(LA)HORDE」の躍動的なダンスに圧倒されました。コレクションは、肩や袖にポイントを持ってきたデザインやウエスタン調のディテールをはじめ、同ブランドらしいアイテムがズラリ。今季は、パープルやピンク、赤、青などの鮮やかな色とそれらを薄めたようなパステルカラー、そしてメタリックなシルバーが中心になっています。

 ただ席がサイドだったのでモデルがパフォーマーの群れと同じトーンの服を着て一緒に歩いてくると、見落としそうになることも(汗)。正面の席だとモデルが中心にくる感じでよく見えたのだな〜と、オンラインで映像を見直して納得しました。終盤のペアが抱き合うダンスは、この時期にこの演出をやるのかとちょっとヒヤヒヤとしましたね……。

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ビーガンファーと人工ファーって何が違うの?

 動物や地球環境に対する消費者の意識の変化から、多くのブランドは毛皮の使用を廃止する“ファーフリー”を宣言し、アメリカでは2018年に毛皮製品の販売を禁止した州もある。毛皮製品をめぐってはこれまでサステナビリティの観点から「毛皮か人工ファーどちらを選ぶべきか?」という議論が活発に行われてきた。

 しかし近年は人工ファーから、ビーガンファーに注目が集まっている。一般的にビーガンとは、肉や魚だけでなく卵や牛乳などを含む動物由来のものを一切口にしないことをいう。しかしこれを食だけに限定するのではなく、身の回りの製品から動物由来のものをできるだけ避ける考えもある。ビーガンファーはそんな考えのもとに動物由来の成分や素材を一切使用せずに作られたファーだというが、これまでの人工ファーとどう違うのだろうか。またこういった人工ファーは毛皮と比べて“サステナブルでクリーン”という印象を押し出すが、エコラベルの乱用や“グリーン・ウオッシュ”(見せかけの環境配慮)の企業も存在する。ここでは人工ファーとビーガンファーの2つの定義の違いや、環境負荷を考えてみる。

人工ファーとビーガンファーはそれぞれどういう意味?

 専門家によると、この2つの間に材料による大きさ差異はないという。しかしビーガンファーの方が、サステナビリティへの関心の高まり比例して消費者の共感を呼んでいる風潮があるという。高級人工ファーで知られる香港のエコペル(ECOPEL)のアルノー・ブリュノワーズ(Arnaud Brunois)=コミュニケーション・マネジャーは、「ビーガンファーと人工ファーの間に物質的な違いはない。どちらも動物から得た材料を含まないもの。“ビーガン”という名称は最近になってファッションブランドが取り入れたように感じる。開発当初のビーガンアイテムは、ビーガンを名乗る人のみに認められたミステリアスなものという印象が強かった。ビーガンファーという単語はZ世代にうまく浸透したと思う」とコメントする。

 一方で人工ファーとビーガンファーの違いはブランディングによることも多いが、ニュアンスの違いはある。非営利団体テキスタイル・エクスチェンジ(Textile Exchange)のリーズル・トラスコット(Liesl Truscott)は、「簡単に言うと“ビーガン”は動物に由来する材料を排除して動物実験を行わず開発された製品のことで、“人工”は自然に対しての人造や代替品を指す」と説明している。これらの定義を用いることで、同じ製品でも人工ファーまたは、ビーガンフレンドリーなものとして販売することができるという。

人工ファーは本当にサステナブルな素材なの?

 定義の違いで揺れる部分はあるもののビーガンファッションは関心を集め続けており、ファッションブランドも動物を原料とする毛皮の使用を避ける傾向にある。19年にイギリスの調査会社であるテクナビオ(TECHNAVIO)が行った調査によると、人工ファー市場は19年から23年の間に19%以上の年平均成長率が見込まれている。そして人工ファーをよりサステナブルな材料から生産できれば、さらに市場は成長していく可能性を持っているという。開発者やブランドは毛皮に“人工”と“ビーガン”のどちらのラベルを付けるかだけでなく、その環境負荷や影響の大きさも考えなければいけない。

 多くの人工ファーは石油に由来する合成繊維から作られており、生分解(微生物の働きによって無機物まで分解されること)もできないので、海洋環境で大きな問題となっているマイクロプラスチックが排出されるケースも多い。またトラスコットは「トウモロコシやサトウキビといった農産物から作られるバイオ系素材の繊維も、肥料や水、土地利用など作物を生産する過程で環境負荷を伴う可能性もある。この意味でバイオ系素材を使用する人工ファーは、生産者とサプライチェーンに大きく依存している。動物の権利問題に直接的な影響は持たないものの、化石燃料やバイオ系素材を使用する人工ファーはどちらもマイクロファイバーの排出や化学物質の使用を通じて生態系に悪影響を与える可能性がある」と指摘する。

完璧な素材は存在しない 人工ファーとビーガンファーの今後

 サステナビリティを中心に考えたとき、人工ファー生産にとって完璧な素材は確かに存在しないのかもしれない。しかしエコペルのような企業は少しでも改善できるよう新たな開発に取り組んでいる。例えば同社は、37%がトウモロコシの副産物に由来するバイオ素材を使用した人工ファー“KOBA”を開発した。これによりエネルギーは30%減、温室効果ガスの排出量は63%減での開発が可能になった。

 また「アパリス(APPARIS)」は女性が主導で運営するビーガンファッションブランドで、16年に発売したカラフルな人工ファーでカルト的人気を獲得した。この8月には300万ドル(約3億円)の資金調達をして、ブランドの発展とより環境に優しい人工ファーの使用拡大を狙う。またリサイクルされたポリエステル素材の生産にも取り組んでおり、今年発売するビーガンカシミアに加えて、21年の秋にはトウモロコシがベースの植物繊維を使用した人工ファーを販売する予定だという。

 「アパリス」は、動物由来の素材を含まない毛皮を“ビーガン”ではなく“人工”と名付けている。ブランドとしてその二つに大きな違いを持たせてはいないものの、共同創立者のローレン・ヌチ(Lauren Nouchi)は「ビーガンメッセージを使い過ぎない」ようにしているという。さらに「私たちの目標は、人工ファーとともに背景のメッセージを発信すること。人工ファーは最初の一歩だった。ビーガンファーや人工ファーなど言葉の選択によって印象も変わってくるが、私たちはリアルな毛皮の使用と闘っている。それこそが本当の問題だ」と語った。

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ファッション通信簿Vol.57 “ニューノーマル”スタイルで開催 2020年「エミー賞」授賞式を米「WWD」が辛口ジャッジ!

 米「WWD」の人気企画「ファッション通信簿」では、ストリートからパーティー、レッドカーペットまで、海外セレブたちのファッションを厳しくチェック。米「WWD」が絵文字で評価をお伝えするとともに、それぞれのファッションポイントを勝手に辛口ジャッジ!

 第57回は、9月20日に米ロサンゼルスで開催された第72回「エミー賞(Emmy Awards)」授賞式からシーラ・ハース(Shira Haas)、ゼンデイヤ(Zendaya)、レジーナ・キング(Regina King)、トレーシー・エリス・ロス(Tracee Ellis Ross)、ヤーヤ・アブドゥル・マティーン2世(Yahya Abdul-Mateen II)、ジュリア・ガーナー(Julia Garner)、ダン・レヴィ(Dan Levy)、ビリー・ポーター(Billy Porter)が登場。例年の「エミー賞」はドレスアップしたスターたちがレッドカーペットに集う一大イベントだが、2020年は無観客の会場から候補者たちが中継で参加。「ステイホームの『エミー賞』にふさわしい究極のパジャマスタイル」から、普段通りにキメたレッドカーペットスタイルまで、スターたちのファッションから目が離せない。

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現地ショーを行った「ヨウジヤマモト」に仕掛け満載の「イッセイ ミヤケ」、日本勢が活躍したパリ5日目 デジコレでドタバタ対談

 2021年春夏のコレクションサーキットのラストとなるパリ・ファッション・ウイーク(以下、パリコレ)も5日目となりました。パリからはベルリン在住のヨーロッパ通信員が現地取材の様子をお届けしますが、オンラインでも日本の記者たちが対談レビューという形で、“できるだけリアルタイムに近いペース”で取材を進めていきます。今回は、今回はメンズ、ウィメンズともにこれまでも各都市のコレクションを取材してきた「WWD JAPAN.com」の村上要編集長とパリコレ取材3度目の丸山瑠璃ソーシャルエディターがリポートします。さらに、助っ人として各都市のメンズコレクションを取材してきた「WWDジャパン」の大塚千践デスクを呼び、佳境を迎えたパリ5日目を乗り切ります。

ボディコンドレスは健在な「エマニュエル ウンガロ」

村上:今日のトップバッターは、「エマニュエル ウンガロ(EMANUEL UNGARO)」ですね。最近は見かける機会が減って、創業デザイナーも昨年亡くなったけれど、バイアスカットのシルクやジャージーを使い、肩口のラッフルや深いスリットで彩ったボディコンシャスなドレスは健在でした。ムービーは、最新コレクションを着た女性を庭園で撮影という超オーソドックスなものでしたが、水玉模様のドレスを見て嬉しくなっちゃったのは、40代オーバーだからでしょうか(笑)?

丸山:「エマニュエル ウンガロ」は水玉模様がアイコンの一つなんですね。映像もそういったブランドヒストリーがわかるようなものにしたらよかったのに、と思ってしまいました。服をクロースアップで見たり質感をチェックしたい!というバイヤーやECサイトに掲載するのにはよさそうですが、他のブランドがコロナ禍を経て自らを振り返り、ブランドのヘリテージを打ち出すような映像やコレクションを見せている中で「エマニュエル ウンガロ」は素晴らしい創業者がいるにもかかわらずそうしたストーリーを読み取ることができなかったのは残念でした。パリコレの公式スケジュールに参加するのは数年ぶりとなるのですが、主催のフランスオートクチュール・プレタポルテ連合会(Federation de la Haute Couture et de la Mode、サンディカ)がパリコレを盛り上げるのに参加を頼みこんだのでしょうか。

「レオナール」

村上:お次の「レオナール(LEONARD)」は“Silky Wave”と題して、文字通りシルクドレスを波が打ち付ける浜辺に持ち込んでのシューティング。ムービーの後半に登場したマキシドレスやカフタンドレスの印象が強いブランドのせいか、前半のフーディや開襟タイプのシャツドレスが新しく見えました。極彩色のトロピカルモチーフも、若々しくてスキ。

丸山:ウェットスーツにビキニをはじめ、水着の上に着るキモノガウンやスエット、夕焼けのようなグラデーションのプリーツドレスなど、ビーチへのバケーションにぴったりなアイテムが多く登場しましたね。得意とする草花のプリントにヤシの木やハイビスカスが加わっていました。映像はビーチにやってきた女友達二人の一日をロードトリップ風に描いたようでしたが、2人がビーチで出会ったやたらサーフィンが上手な女の子は本当にプロのサーファーなんだとか。オケージョンがしっかりと描けたからか、何だかランウエイで見るよりも生き生きとしているように見えました。

「ロエベ」の等身大ポスターでショーを体感

村上:「ロエベ(LOEWE)」からはコレクション発表の直前、巨大な壁紙の上に貼り付ける、等身大のポスターが届いたんですよね。メッチャ重いの(笑)。ちなみにこの等身大のコレクションルックは今、渋谷パルコのショップのウインドーを彩っているんだよね?

丸山:そうなんです。あと、銀座の旗艦店のカサ ロエベ 東京、表参道店のウインドーにも貼られているそうです。ルックを等身大で体感できますし、一緒に写真を撮ったりしても楽しそう。コレクションのテーマは“Show-on-the-wall”で、ショーをリアルで見ることができない今、ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)はどうしたら観客がショーに参加できるか、コレクションと関わりたくなる状況とは?と考えてこの等身大のポスターというアイデアに至ったそうです。ポスター同様特大サイズのキットにはハケやのりがついていて、今すぐ壁に貼り付けることができます。

村上:コレクションは、こんな時だからこそ「ファッションの芸術性を」と考えたジョナサンによる、ボリュームを誇張したドレスの目白押し。マリー・アントワネット(Marie-Antoinette)の世界のようでもあり、「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」のファッションショーのようでもあり、という印象でした。パフスリーブも、フィット・アンド・フレアのドレスのスカートも巨大。そこに細かなラッフルや、メンズでも登場したレザーのバスケット編みなどのクラフツマンシップも加わり、アートピースのようでもありました。「実際、着れるか?」と問われるとなかなか難しいところも多いけれど、多くのブランドがストレスフリーを意識してシンプルを目指す中、シンプルを目指す中、こういうアプローチがあっても良いよね。「洋服どころじゃない」という人が、「洋服って、やっぱり素敵」と思ってくれたら、ジョナサン、とっても喜びそうです(笑)。

丸山:まさに再び夢を見させてくれるようなコレクションでした。ジョナサンは「たまには現実から洋服の世界に逃避するのも悪くない」とコレクション説明動画で話してましたね。服は職人の技術をとことんドリーミーに昇華したドレスが多かったですが、今季のバッグはジョナサンが「ブランドのクラシックなバッグを完成形により近づけた」と語っているだけあり、とても洗練されていました。長く使えるいいものが欲しいという需要がある今、売れそうだと感じました。特に“フラメンコ”バッグは無駄なものが一切なくて彫刻のような美しさがあり、見入ってしまいました。キットの中に入っていた巨大な壁紙は、アーティストのアンシア・ハミルトン(Anthea Hamilton)とのコラボレーションで、同じプリントのドレスもコレクションにありましたね。ジョナサンの動画と同時に、彼女のインタビュー動画を公開していましたが、2人とも仕事をするにあたり多くのリサーチを行っていて、だからこそ仕事に深みが出るのでしょうね。

コンパクトに畳める「イッセイ ミヤケ」

村上:「UNPACK THE COMPACT」と題した「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」のムービーが面白かった!パッカブルで小さなバッグに収納できるジャケットとか、クルクル丸められるプリーツウエアなど、コレクションは全部「コンパクト(COMPACT)」な形に収まるんだけど、ひとたび広げて、重ねて、合わせて、なんて作業をすると、どれもが素敵なドレスやトップス、パンツに早変わり!!でしたね。

丸山:服だけじゃなくてトルソーまで小さくなったときには「そこまでする!?」と驚きました(笑)。コンパクトに畳めるだけじゃなくて、パンツの紐をほどいて結び目を変えるとトップスになったり、ワンピースがリバーシブルだったりと、1つのアイテムを2通りで着ることができるのも感動。そして服を広げるとそれは「イッセイ ミヤケ」の根幹にあるアイデア“一枚の布”であることがわかります。そして最後に大きめのスーツケースサイズの箱に全ての服が収納されます。これ全部スーツケースに詰め込んだら旅先の服は全部カバーできちゃいますね。最後に箱に服を詰めた男性は、顔は見えずでしたが近藤悟史デザイナーとみました。

村上:こういう工夫は男子が大好きな気もするけれど、女性にも響くのかな?深読みかもしれないけれど、「おうち時間」が長くて、生活圏が「コンパクト」になっている今だからこそ、響くのかもしれません。遠くない将来、再び世界中を自由に行き来できるようになったら、それはまさに人類の「UNPACK THE COMPACT」。小さなバッグを広げると素敵に早変わりする「イッセイ」の洋服のように、僕らの未来も近いうちにまた素晴らしいものになるというメッセージを発信してくれたように感じます。それぞれの洋服の動きを収めたムービーも楽しかった。プリーツの入ったプルオーバーはクリオネみたいに見えたけれど、「あぁ、一枚の布って、ホントに命を持っているようだなぁ」と感じました。

丸山:女性でもこういうギミックが好きな人はいると思いますよ。少なくとも私は終始感嘆してました。2通りにも着ることができてサステナブルな上に、コンパクトで旅先にも持っていける。パンデミック以来、外に出る際は自分で洗える服を選ぶようになりましたが、「イッセイ ミヤケ」だから洗える商品も多そうですし、さまざまなニーズにオールインワンで応えることができるのが魅力ですよね。日本で撮影・キャスティングしているから当然といえば当然なのですが、福士リナさんや新井貴子さんをはじめ、中島沙希さん、AIKAさん、HANAKAさんなど活躍中のモデルさんが多く出演していたのもうれしかったです。

iPhoneの画面風の映像がユニークな「ニナ リッチ」

村上:ルシェミー・ボッター(Rushemy Botter)とリジー・ヘレブラー(Lisi Herrebrugh)による「ニナ リッチ(NINA RICCI)」は、風になびくシルクをたっぷり使ったコレクション。ジャケットの背面、ドレスのスリットの中からシルクを垂らし、歩いたり、風を受けたりするたびにドラマチックに揺れ動く洋服は、メゾンのアーカイブにインスピレーションを得つつも、ボッターの出身地、オランダ・キュラソー島のカルチャーにも刺激を受けたものみたいですね。

丸山:映像もユニークでかわいかったですよね。iPhoneのロック画面をオープンするところからスタートし、その後カメラロールに手が伸びます。検索したのは、キュラソー島のウィレムスタット(Willemstad)。キュラソー島はカリブ海に位置する美しい街並みの島なのですが、カメラロールでこのカラフルな色彩の街並みやカリブ海の海の色を振り返っていくとともに、画面が分割されてそれをレファレンスにしたルックが登場します。さらに着想源にした「ニナ リッチ」のアーカイブと2人が蘇らせたルックも対照に表示するのも、イメージソースがすごく分かりやすかった。またボッターがアントワープの王立芸術アカデミー出身だからこそ、アントワープが検索候補に出てきたり、「ニナ リッチ」の本店の住所“39 Avenue Montagne”が出てきたりと細かい仕掛けがたくさんで2秒に1回くらいのペースでスクショしてしまいました。

村上:とってもエレガントなのに、打ち込み音でガンガン進行しちゃう映像とのミスマッチがユニークでした。普通なら、クラシックとか流したくなっちゃうのにテクノ。さすが、新世代のデザイナーデュオです。

日本から唯一現地でショーを行った「ヨウジヤマモト」

丸山:「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」は日本ブランドで唯一、現地でリアルなショーを開催しました。この状況下でもショーを変わらず届ける姿勢が山本耀司デザイナーらしくてとても頼もしく、今回のパリコレでも特に楽しみにしていました。しかも今回はいつもはなかなか入ることができないバックステージにヨーロッパ通信員の藪野さんが入れることになり、耀司さんのインタビューができるとのことで、さらにわくわくして日本時間の夜2時まで待機。30分くらいスタートが遅れていますが目はギンギンです。が、流石にこの時間まで要さんは起きていらっしゃらないようですね……。

大塚:お疲れー!要さんが不在らしいから、メンズ担当の大塚が代打としてやって参りました(笑)。

丸山:大塚さん!こんばんは!ありがとうございます。大塚さんは「ヨウジヤマモト」のメンズのショーをいつも取材していらっしゃいますが、ウィメンズはどう思いましたか?

大塚:メンズのショーはここ数年続けて見させてもらっているけど、ウィメンズはルック写真で見ていたから新鮮でうれしい!写真で見ると伝わりきらない素材の動き方が分かるし、今回のショーでは「ヨウジヤマモト」の強みの一つはそこにあるのだなと改めて思ったよ。モチーフは控えめで、ミニマルなカラーリングや潔いシェイプのベースに凛とした美しさがあるコレクションだったね。ここは世界観が強烈だから街でもワンブランドコーデが最強という印象だったけど、今シーズンはいい意味での余白があるからほかとミックスしても面白そうだなと思ったよ。

丸山:そうですね。最近はアーティストとのコラボなどで色鮮やかなアイテムが登場するコレクションもあったのですが、今季はフォルムを大事にしたミニマルなコレクションでした。最後に出てきたワイヤーで形作ったクリノリンをベースにしたドレスは、凛とした強さもありながら脆さや儚さもあり、美しかったです。最後は百合の花びらのようなフォルムのオールホワイトのルック群がショーを締めくくりました。フィナーレに登場した耀司さんの背中には、“HEART OF GLASS(ガラスのハート)”とありました。ブロンディ(Blondie)を代表する曲でもありますよね。ただ、自分はショーの音楽を聴いて終始ドキドキしていました。というのも、「ヨウジヤマモト」のショーの音楽は耀司さんの歌声であることが多いのですが、今回は“This is the very last to sit this chair(この椅子に座るのはこれが本当に最後)”という歌詞が登場したり、“Sayonara”というフレーズを振り返して歌うので、「まさかこの後引退発表したらどうしよう」「だからショー後のバックステージ取材を受けてくれた?」「しかも耀司さんは今日が誕生日!これは偶然?」などあらゆる考えが頭をぐるぐる回ります。しかし、藪野さんによるバックステージ取材で完全に私の早とちりだったことが判明。ショーの曲は男女の別れを歌ったそうです。早とちりで本当によかった!

大塚:それは心中穏やかじゃなかったですね(笑)。というか耀司さん誕生日だったんですね!おめでとうございます。メンズのショーはいつもギュウギュウの会場でそのライブ感が楽しいのだけど、こうやってベッドの上で見る「ヨウジヤマモト」も新しい発見があって面白かったわ。と、いうことで代打の役割は果たしたので寝ます(笑)。残りも頑張れー。

丸山:代打ありがとうございました!おやすみなさい。引き続き頑張ります〜!

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あぁジョン・ガリアーノ、全部見せてくれてありがとう エディターズレター(2020年8月4日配信分)

※この記事は2020年8月4日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

あぁジョン・ガリアーノ、全部見せてくれてありがとう

 17日にデジタルで発表された「メゾン マルジェラ」の2020-21年秋冬“アーティザナル コーエド コレクション”のことです。52分という長時間でしたが、その間椅子の上で膝を抱えてほぼ動かずというか、引き込まれて動くことができず、半分息を止めて見ました。これまで何度も「メゾン マルジェラ」のショーを見てきましたが、今回が一番感動したと言っても過言ではありません。

 前提としてジョン・ガリアーノが私のアイドルであるという理由があります。また「メゾン マルジェラ」が匿名性を特徴とするブランドであるにもかかわらず今回は制作過程をつまびらかにするというある意味究極の“奥の手”を使ったというのもあります。52分の間、BGMはほぼジョンの声。何にインスピレーションを受けて、何を作りたいのか、スタッフに情熱的に説明し打ち合わせをする様子が詳細に公開されました。

 ジョンがインスピレーション源であるダンスの映像を見て楽しそうに笑う表情、イントネーション、人との接し方、たばこの持ち方、きれいなおでこなどなど細部が気になります。なぜならアイドルだから(笑)。そしてコレクションの美しさは、彼自身の美意識からくると思うからです。

 私はファッションショーの取材がとても好きです。それは、何か新しいモノ、価値観が生まれるその瞬間に立ち会うことが好きだから。ファッションショーはデザイナーを中心にクリエイターのセッションで出来上がってゆく即興音楽のようなもの。それ故ショーの本番以上に緊張感漂うバックステージの取材が好きです。この映像はその“瞬間”が連続して52分続くような興奮がありました。

 一着の服が生まれるまでにはこれだけの知識があり、ソースがあり、アイデアがあり、技術がある。デザイナーズブランドが私たちの、少なくとも私の人生には必要だと改めて思いました。全部見せちゃったことで匿名性が薄れて価値が下がった?いえいえ、そんなことはありません。さらけ出してそのエネルギーを放出した姿を見て、次への期待感が高まりました。ありがとうジョン!

IN FASHION:パリコレもストリートも。ジュエリーもインテリアも。今押さえておきたい旬なファッション関連ニュースやコラムを「WWDジャパン」編集長がピックアップし、レターを添えてお届けするメールマガジン。日々の取材を通じて今一番気になる話題を週に一度配信します。

エディターズレターとは?
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デジコレでドタバタ対談 「クロエ」がカメラ何台で撮影したのか気になり、「Y/プロジェクト」のHOW TO動画で学んだパリ4日目

2021年春夏のコレクションサーキットのラストとなるパリ・ファッション・ウイーク(以下、パリコレ)も早4日目。パリからはベルリン在住のヨーロッパ通信員が現地取材の様子をお届けしていきますが、オンラインでも日本の記者たちが対談レビューという形で、“できるだけリアルタイムに近いペース”で取材を進めていきます。今回は、長年コレクションを取材してきた「WWDジャパン」の向千鶴編集長と、コレクション対談初参戦の皆合友紀子がリポートします。

4分間のお絵かき動画に困惑した「ケネス イゼ」

皆合:「ケネス イゼ(KENNETH IZE)」といえば、織物の伝統を生かした華やかな色使いのイメージがありますが、4分間終始紫のマーカーで女性のお絵描きをしていましたね。あれはどう解釈すれば良いのでしょう?ラフの一部?インスピレーションか何か?紫がメインのコレクションがたくさん見られるのかなと予想したら、実際発表になったルックは鮮やかな色使いでした(笑)。

向:画面の下に「More digital content available soon」とありますね。こだわり過ぎて間に合わなかったのかな。とはいえ後日見に戻ってくる人は少ないだろうな。後からコンテンツを追加できるのがデジタルの強みだけど、リアルな締め切りがある方がクリエイティブを発揮しやすいのかも、などとデッサン動画を見ながら思いを馳せました。リアルのショーは時間を決めて告知したら開催しないと信用を失いますからね。注目のアフリカ勢だけに残念でした。

女子の妄想さく裂な映像に惹きつけられた「ディーチェ・カヤック」

皆合:今シーズン、デジタルで発表しているブランドは、映画のようにストーリー性のある作り込まれた映像が多く見られますね。「ディーチェ・カヤック(DICE KAYEK)」もそのひとつ。学校で物理の授業を受けながらうたた寝しかけている3人の女子生徒たちが、突然超能力を持ったスーパーガールに!スローモーションで浮遊したり、敵を追いかけながらアクションを起こすたびにルックが切り替わったりと、最後まで飽きずに見られました。ラストは先生に起こされ、あれは夢だったのか……というところで映像は終了。

向:女子の妄想がさく裂していました。実際高校生の頃ってこんな感じだったかも(笑)。リアルなショーは最近見ていなかったけれど、今回デジタルで見てカワイイと気がつきアンテナの張り方が鈍かった自分を反省。こういう再発見ができるのもデジタルコレクションの良いところですね。ショート丈のフレアスカートを軸としたプロポーションバランスは日本の女性に似合いそう。

皆合:今シーズンもリアルクローズとして着こなせそうなフェミニンでフォルムが美しいルックが多く見られましたね。個人的には裾部分にフリルがふんだんに重なったオレンジのバルーンワンピと、ビッグボウタイのブラウスが気になりました。前シーズンに引き続き、今シーズンもボウタイがちらほら見られますね。

街中から会場へ 一連の移動をコレクションにした「クロエ」

皆合:「クロエ(CHLOE)」はデジタルとリアルがミックスされたコレクションでしたね。映像では、パリ市街のあちこちに佇む最新コレクションをまとったモデルたちを遠くから隠し撮りのように撮影。そして彼女たちが街を歩きながらショー会場へと集結する演出でしたが、現地で参加していたゲストもモデルが会場に到着するまでは私たちと同じように映像で見ていたのですよね?

向:いったいカメラを何台用意したのだろう?画面が3分割されていて、3か所の映像が同時に流れてくる。最近思うのだけれど、我々は映像情報処理能力が日に日に向上していて、リアルなスピードで流れる単一動画ではすぐに飽きてしまう。こうやって多角的な動画を同時に見せられることで好奇心が刺激され、没入感も得られて思わず最後まで見ちゃう。パリの街を歩く等身大のモデルの笑顔を見ていると晴れてよかったね、と応援の気持ちも芽生えます。

皆合:カラーはペールトーンやグレイッシュトーンが主でしたね。繊細なタッチだったり大胆に太く描かれたものだったりと表現はさまざまでしたが、全体を通してフラワーモチーフも多かった印象です。また、“HOPE”と“GET IT”ぐらいしかハッキリとは読み取れませんでしたが、現在の私たちに向けたメッセージとも捉えられるロゴデザインも見られました。1つ1つ何と書かれているのか気になります。美佳さんも参加されていましたね!

向:シーズンタイトルはズバリ“A SEASON IN HOPE”。女性ならではの視点で世界情勢をシルクスクリーンアートに映し出すアーティスト、コリータ・ケント(Corita Kent)の作品を組み込んだそう。流れるようなシルエットやデニム使いなどが特徴の力強くしなやかな女性像には憧れます。フィナーレで、クリエイティブ・ディレクターのナターシャ・ラムゼイ=レヴィ(Natacha Ramsay Levi)がブーツにショートパンツで登場したのには驚いた。堂々としていて快活でした。

360度ディテールと着こなしを丁寧に見せた「Y/プロジェクト」

向:「Y/プロジェクト(Y/PROJECT)」のデジタルプレゼンテーションも画面を3分割で使用し情報量が多くて見ごたえがありました。終始無音で自分のスピーカーやイヤホンの問題かとあれこれチェックしてしまいましたが、どうやら元から無音なんだよね?

皆合:そうだと思います。「HOW TO WEAR」のタイトル通り、カメラを定位置で固定して、モデルが90度ずつ回転しながら1ルック1ルック丁寧に見せていたのが、見ている側に寄り添ってくれていて良かったです。360度ディテールがより伝わりました。1ルックにつき2パターンのスタイリングを提案していましたが、スタイリストがスタイリングを変更しているシーンも一部始終撮影することで、「あ、この服はこういうやって着ればいいのか」と参考になった人も多いはず。あの着せ替えシーンがなければ、とてもじゃないけれど一人では着こなせないルックもちらほら(笑)。

向:このままバイヤーのバイイングや店頭の接客ツールに使えますね。服作りを学ぶ学生さんにとっても最高の教科書かと。「Y/プロジェクト」の服は複雑で、ショーではその構造を解き明かすことを諦めていました(笑)。魅力は複雑だけれど奇をてらっているようには見えず、仕上がりはエレガント。サテンの素材使いやボリュームやドレープの作り方がそうさせているのだな、ということもよくわかりました。

マイルドな色と素材多用でいつもより優しいムードだった「リック・オウエンス」

皆合:今シーズンは、コレクションにマスクを取り入れたり現況を反映したブランドがちらほら見られますが、「リック・オウエンス(RICK OWENS)」も全ルックマスク着用でしたね。モードなルックにも馴染んでいて、リックが作るとマスクもこんなクールなアイテムになるのか!と感動しました。

向:ピンクバージョンが欲しいと思いました!リアルのショーを収録したデジタルコレクションは客席で見る感覚に非常に近かったです。カメラとモデルの距離があるため服の詳細は見えませんが、いつものように縦に非常に長いシルエットをベースにパワーショルダーや超ロングスリーブ、サイハイブーツなどでパンチを加えている。ただし、マイルドなピンク色や柔らかい生地を多用することでいつもより優しいムードをたたえていました。

皆合:テーマは2021年春夏メンズコレクションと同様、ダンテの『神曲』に登場する川「フレゲトン(PHLEGETHON)」。地獄の中心に向かう途中に出てくる川の1つを指しているとのことですが、コレクションも柔らかな素材を使い、繊細でありながらも力強く、パワフルな印象を受けましたね。構築的なシルエットが美しかったです。映画「スターウォーズ」シリーズの中に出てきても違和感なさそうだな、とも(笑)。あと余談ですが、時折画面に映る背中が完全に開いたデザインの服を着こなしているフォトグラファーの後ろ姿も気になりました(笑)。会場の雰囲気とマッチしていて格好良かった!

向:スタッフがノリノリなので爆音が流れていたのだろうと想像がつきます(笑)。「リック・オウエンス」のショー会場には服もヘアメイクもガッツリ「リック・オウエンス」スタイルの濃いファンが集まり、ファンミーティングの場の役割を果たしていました。彼らは今日も「リック・オウエンス」で盛装をしてデジタルコレクションを見ているのかな、などと想像しました。きっと「デジタルよりリアルに参加したい」と思っているだろうけれど。

ダンサーとモデルが絡みながら登場 ハッピームード全開の「イザベル・マラン」

向:会場はいつもと同じパリ1区のパレ・ロワイヤル。ただし、会場の使い方がいつもとは全く違いました。いつもは客席の間に狭くて長いランウエイを作り、そこをトップモデルたちが駆け抜けるように歩く。客とモデルの一体感で高揚感を生んでいました。今回は客席とモデルが歩く場所を切り離し、広いフロアをコンテンポラリーダンサーとモデルが絡みながら登場する。表現方法は違うけれど、いずれにしても「イザベル・マラン(ISABEL MARRANT)」がショーで大切にしていることはライブ感や躍動感であることがわかります。しかも後半はパフォーマー同士がしっかりと抱き合い、ソーシャルディスタンスの真逆の演出でしたね。

皆合:オープニングのパフォーマーたちのダンスで一気にテンションが上がりました。元気をもらいましたね。ハッピーなムード全開で何度でも見ていられそう。ルックは同系色でまとめながらも素材違いを組み合わせることで、メリハリとリズム感が生まれていました。

向:ハイウエストパンツにワンショルダー、パフスリーブのボディコンシャスなミニドレスと基本的にいつものスタイル。ただし、ピンク、赤、ブルー、シルバー、白と色で切り替えることでシーンを明確に展開していましたね。

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【動画】ウオッチプラス ファッションウオッチを味方にすればコーディネートはもっと楽しくなる!

  •  「WWDジャパン」とハースト婦人画報社の時計デジタルメディア「ホディンキー・ジャパン(HODINKEE JAPAN)」による時計番組「ウオッチプラス」の今回のテーマは“ファッションウオッチ”です。ファッションブランドによる時計のことを指し、同時に3万円前後の手ごろな時計を言うこともあります。ただ「WWDジャパン」が考えるのは、“ファッションの世界観を多分に盛り込んだ時計”であること。時計の入り口として機能し、市場の裾野を広げる存在です。

     「グッチ(GUCCI)」は時計においてもクリエイティブ・ディレクターのアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)らしさがあふれ、“時計も自由でいいんだ!”と感じさせてくれます。一方で、セイコーウオッチは「イッセイ ミヤケ ウオッチ(ISSEY MIYAKE WATCH)」と、シチズン時計は「マーガレット・ハウエル アイデア(MARGARET HOWELL IDEA)」と時計を作り、米時計大手のフォッシルグループ(FOSSIL GROUP)は「ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)」や「エンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)」とプロフェッショナル同士のタッグによりブランドの世界観を具現化します。“着けず嫌い”はやめて、ファッションウオッチを味方に付けましょう。きっとファッションがもっと楽しくなるはず!

     出演は、関口優「ホディンキー・ジャパン」編集長、和田将治「ホディンキー・ジャパン」ウェブプロデューサー、村上要「WWDJAPAN.com」編集長、三澤和也「WWDジャパン」記者(時計担当)の4人。“四者四様”の時計観も見どころです。

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  • パリコレ現地リポートVol.2 豪華絢爛な「バルマン」のショーに世界からセレブや編集長が集結!?

     
     こんにちは、ヨーロッパ通信員の藪野です。今回のパリコレはデジタル発表が中心だし、ゆったりしたスケジュールかな〜と思いきや……スケジュール調整や日本とのやり取りからZoomでのデザイナー取材やショールームでのアポイントメントまで一人でカバーしているので、やっぱりバタバタしております。でも、今シーズンは“健康第一”ということで、毎日睡眠時間6時間以上と栄養のある食事(もちろん自炊)は死守します!それでは、「ケンゾー(KENZO)」や「バルマン(BALMAIN)」など、6つのリアルなショーやプレゼンテーションを取材した3日目のダイジェストをどうぞ!
     

    9月30日(水)

    10:30 「ケンゾー」はモードな養蜂家スタイル!?

     「ケンゾー」の会場は前回と同じ、ろう学校の庭園です。前回はビニール製のトンネルのようなテントの中に席がありましたが、今回は芝生の上に距離を置いて椅子を配置。全部で100席あるかないかという感じです。そして、席の上にはオリジナルの瓶入り蜂蜜。インビテーションにも養蜂家のような男性の写真とハチのモチーフが描かれていて、今シーズンの鍵になっています。
     
     フェリペ・オリヴェイラ・バティスタ(Felipe Oliveira Baptista)による新しい「ケンゾー」のキーワードと言えば、“プロテクション”と“ノマド感”。今回も養蜂家さながら顔や体がベールで包まれたルックがキースタイルとなり、前回とは別のベクトルで身を守っています。また、放浪の旅に欠かせない機能的なディテールも引き続き。ファスナー開閉でデザインやシルエットが変わるアイテムやいくつもポケットのついたハンズフリースタイルは健在です。
     
     そんなコレクションの背景にあるのは、新型コロナウイルスのパンデミック中にフェリペ自身が経験したことや感じたことだそう。リリースの一文には「世界は泣いている」と書かれていて、アーカイブから採用したフラワープリントも涙で滲んだようにぼやけています。こう書くと悲観的に感じますが、そんなことはなく、ショーからは前向きなエネルギーを受け取りましたよ!
     

    12:30 「ゴシェール」のスピリチュアルな儀式

     「ゴシェール(GAUCHERE)」のショーは、スピリチュアルな雰囲気を醸し出す女性がパロサント(香木)を燃やし、太鼓を叩きながら会場を歩く儀式的な演出でした。落ち着いたトーンで見せるオーバーサイズのスーツやワントーンスタイルも心地よく、なんだか穏やかな気分になれました。

     会場では、ティファニー・ゴドイさんを発見。これまでフランスと日本を行き来していた彼女ですが、コロナの影響で今はずっとパリにいるそうです。僕自身も一時帰国をずっと先延ばしにしていますが、早くまた自由に行き来できるようになるといいですね。


     

    14:00 「エルメス」のアートなハイジュエリーにうっとり

     「エルメス(HERMES)」は10月3日にウィメンズのランウエイショーを控えていますが、その前に新作ハイジュエリーのプレゼンテーションも開催しました。デザインしているのは、同ブランドのシューズも手掛けているピエール ・アルディ(Pierre Hardy)。グラフィカルなデザインで知られる彼ですが、ジュエリーでもその強さが発揮されていて、まるでモダンアートのよう。特にダイヤモンドやトルマリン、ヒスイなどを使い、さまざまな色とアシンメトリーなラインを組み合わせたイヤリングやネックレスが素敵でした。
     

    16:30 「Y/プロジェクト」のプレビューは急遽キャンセルに

     一度ホテルに帰って、「Y/プロジェクト(Y/PROJECT)」のグレン・マーティンス(Glenn Martens)とZoomでミーティング。もともとショールームでコレクションのプレビューをしてもらう予定だったのですが、グレンと一緒に食事した友達が新型コロナの陽性と発覚したらしく、アポはキャンセルに。友達も彼自身も特に症状はないとのことですが、検査の結果が出るまで自宅隔離しているそうです。こういうことがリアルに起こるんですよね。あらためて気を引き締めないと!
     
     今シーズンのコレクションはというと、コロナによるロックダウンを経て、原点回帰。ジョン・ガリアーノによる「ディオール(DIOR)」のショーに感銘を受けてデザイナーを志ざし、「Y/プロジェクト」を始めたときの気持ちを思い出したそうです。なので、着る人の個性や気分でさまざまな着こなしを楽しめるというブランドらしさを追求しています。いつもショーではデザインの構造が分からないアイテムも多いのですが、デジタルで発表された映像だといろんな着方ができることが非常に分かりやすいですね。
     

    17:00 とことん可愛いギョームの「パトゥ」

     「パトゥ(PATOU)」は今回もシテ島のアトリエでプレゼンテーションを開催しました。いつものような新作を着たモデルたちが自由に話したりポーズを決めたりという演出はなく、今回は新作を着せたトルソーが並べられていました。
     
     コレクションは、いつもよりドリーミーで大胆なシルエットが印象的。セーラー風の大きな襟や大きなパフスリーブをはじめ、バルーンスカートやドレス、オーストリッチの裾飾りがとってもラブリーです。大ぶりなゴールドのアクセサリーもハートモチーフで、やはり「パトゥ」には“可愛い”が詰まっています。
     

    19:00 “光”がポイントの「アクネ ストゥディオズ」

     久々にウィメンズのパリコレに参加する「アクネ ストゥディオズ(ACNE STUDIOS)」は、ミニショー形式のプレゼンテーションでの発表でした。観客が4つの部屋を順に進みながら、それぞれでモデルのウオーキングを見るというスタイルです。30分ごとの入れ替え制になっていたので、次のショーに間に合うかヒヤヒヤしながら拝見しました。
     
     各部屋全く異なるライティングの中で披露されたコレクションは、基本オーバーサイズorタイトフィット。光を通す透け感のある生地もしくは光を反射するメタリックやホログラム素材が中心で、オーロラのようなプリントもありました。今シーズンは演出も含め、“光”がポイントのようです。そして個人的に気になったのは足元。他のブランドでもよく見るトング・サンダル(鼻緒の付いたサンダル)が、トレンドになりそうな予感です。
     

    20:00 仕掛け満載な「バルマン」のスペクタクル

     「アクネ ストゥディオズ」終了後、急いで向かったのは「バルマン」です。いつもはセレブリティーが来るので結構開始が遅れる印象なのですが、今回はセレブも観客も少ないだろうし早く始まるかも……と思い、焦りました。しかし、会場のパリ植物園に着いたら、エントランスにはコロナ禍とは思えない人だかり。セレブの到着を待っているような若者がたくさんいて、ショーは結構押しそうな気配。やっぱり「バルマン」は「バルマン」でした(笑)。
     
     まず会場に入って驚いたのは、ランウエイの両サイドにある客席の片側はフロントロウから3列目まで約60台のスクリーンが並べられていること。その一つ一つに名前が表示されていて、よく見ると、アナ・ウィンターやジェニファー・ロペス(Jennifer Lopez)、アッシャー(Usher)と今回パリに来られなかったセレブや著名業界人がズラリ。もしやショーが始まったら生中継!?と思ったのですが、事前に撮影したショーを見ているような映像が流れるという仕掛けでした。ちょっと残念でしたが、アイデア自体は面白いですよね。
     
     今シーズンの注目ポイントは、ウエアからバッグやシューズにまで幅広く用いられたモノグラムです。ブランド設立75周年を記念してピエール・バルマンが手掛けた1970年代のアーカイブデザインを復刻させたそう。ショーの冒頭には、フランク・シナトラ(Frank Sinatra)の「My Way」とピエール・バルマンの肉声をバックに、当時活躍していた往年のモデルたちがモノグラムのルックを着てウオーキングし、創業者へのオマージュを捧げました。その後も色や大きさを変え、さまざまなスタイルで使われていました。
     
     コレクションは、いつもながらパワフルで振り切ったデザイン。クリエイティブ・ディレクターであるオリヴィエ・ルスタン(Olivier Rousteing)は、華やかなファッションを心底楽しんでいるデザイナーだと思います。これでもかという煌びやかな世界がなぜか嫌味に感じないのは、そんな彼の少年のような素直さが垣間見えるからかも知れません。今回は彼自身の最近のお気に入りスタイルを反映したようなオーバーサイズのダブルブレストジャケットや、超ロング丈のタイトフレアパンツ、スキニーなショートパンツが印象的でした。一方、極端に肩の盛り上がったジャケットやドレス、ド派手なネオンカラーのワントーンルックは正直、目が点に。ただ、ヴィサージ(Visage)やデペッシュ・モード(Depeche Mode)の反復するリズムに乗りながら繰り返し見ていると、「バルマン」はこれで良いのだ!と思えてくるんですよね。フィナーレは、デヴィッド・ボウイ(David Bowie)の「Life on Mars?」をバックに、オリヴィエと約100人のモデルがウオーキング。1日を締めくくるのにぴったりなエンターテインメントで、疲れも吹っ飛びました!

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    「パトゥ」の可愛さにときめき、サイケな「ドリス」に一瞬ヒヤリとしたパリ3日目 デジコレでドタバタ対談 

     ミラノ・ファッション・ウイークが終了し、2021年春夏のコレクションサーキットもいよいよ最終章、パリ・ファッション・ウイーク(以下、パリコレ)も3日目。パリからはベルリン在住のヨーロッパ通信員が現地取材の様子をお届けしますが、オンラインでも日本の記者たちが対談レビューという形で、“できるだけリアルタイムに近いペース”で取材を進めていきます。今回は、パリコレ取材3度目の丸山瑠璃ソーシャルエディターと今年からコレクション取材をスタートさせた「WWDジャパン」編集部の美濃島匡の若手2人がリポートします。

    ベールで身を守りながら2020年と対峙する「ケンゾー」

    丸山:フェリペ・オリヴェイラ・バティスタ(Felipe Oliveira Baptista)による2シーズン目の「ケンゾー(KENZO)」は、ソーシャルディスタンシングを意識した広い庭園がショー会場。コレクションで何より印象に残ったのは、養蜂家の服装からインスパイアされたという顔や体をすっぽり覆うメッシュのベール。ベールというより、帽子のヘムから垂れて、アウターやスカートと合体するタイプもあり、外の世界と内の世界を分かつ透明な防護服という感じ。オリヴェイラ・バティスタのファーストコレクションも、放浪の旅の中で自分を守ることをイメージしたもので、“プロテクション”がキーワードになっていました。今回はそれをアップデートしてきたように思います。

    美濃島:全体的にサファリな雰囲気でしたが、ベールが神秘的な雰囲気を加えていましたね。ゆったりとしたシルエットに大きなフードを付けたコートにも、ベールと同じく防護服の意味合いを感じとりました。ただ、防護服といっても、自立した女性が自らを守るために選択するような力強さがあり、ネガティブさはありません。ただ、花のグラフィックはどこか寂しげな印象でした。

    丸山:今季のために開発したフラワープリントは、ブランドのアーカイブのポピーとオルテンシアのプリントにデジタルで泣いているような効果を与えたそう。理由は、世界が泣いているから。その花から繭のように身を守るのがベールです。「ケンゾー」といえば、楽観的でどんな時も楽しむことを忘れない前向きなのがブランドらしさですが、今の世界の状況やさまざまな問題を棚に上げて「元気出して!前を向いて!」と言うのは不適切。オリヴェイラ・バティスタは、世界の深刻な状況ときちんと対峙しながらどうしたらファッションで人に希望を与えることができるか、考え抜いたんだと思んだよね。リリースにある「前向きな答えには一定の実用主義な考え方が伴う。では、ここからどうしたら良いのか?どうやって人々を助ける事が出来るのか?彼らに希望を与え同時に人生を促進させるには?」という文言から、その葛藤が読み取れるみたい。

    美濃島:「世界が泣いているから」――強いメッセージですね。丸山さんのおっしゃる通り、これまでの「ケンゾー」とは一線を画すシリアスさでしたが、僕はとても共感しました。手放しにポジティブな意見を発するよりも、どうしたらよいか悩むありのままの姿を見せてくれた気がします。

    “soon”っていつ!?な「ゴシェール」

    美濃島:「ケンゾー」から少し時間が空いて、パリコレの公式サイトに戻ってきたんですが、「ゴシェール(GAUCHERE)」は定刻になっても全然始りませんね……。“Digital available soon”の表記が出されたまま更新されず、次のショーの時刻になってしまいそうです。“soon(もうすぐ)”とは一体いつなんでしょう(笑)。リアルでもショーをしているはずなのですが、もしかしてその映像はライブ配信せず、編集したものを後日公開するのでしょうか?

    丸山:そうかも。ただリアルは予定通りスタートしていて、「WWDジャパン」ヨーロッパ通信員の藪野さんが現地で取材しているはずなので、この場はお任せしようか。藪野さんの現地レポは後日公開予定です!

    「リトコフツカヤ」で大自然に癒される

    丸山:ウクライナ発の「リトコフツカヤ(LITKOVSKAYA)」は、ブランドの“アーティザナル”ラインのコレクションをウクライナの大自然の映像とともに届けました。その合間にデザイナーのリリア・リトコフツカヤ(Lilia Litkovskaya)がコレクションに込めた想いやその過程を語る映像が差し込まれていて、背景やストーリーをスッと理解できたね。

    美濃島:デザイナーのパーソナリティーも見て取れる素敵な映像でしたね。無機質なドキュメンタリーではなく、どこか温もりのある映像になっていたのは木琴の音楽の鳥のさえずりなどの自然音のおかげでしょうか。ハンドメイド感あふれるボーダー柄がとても可愛かったし、生地を織る作り手の顔も見られるから買ったらいっそう愛着が湧きそうです。個人的には、工房のスタッフがユニホームとして着ていた、ブランド名が入った白いショップコートを商品化してほしいです。

    丸山:山に囲まれて育ったというリトコフツカヤは今回、ウクライナの自然が生んだ素材を使い、その服を着た都市で生きる人々に自然のエネルギーや人の手による温もりを伝えたかったんだって。「リトコフツカヤ」は過去にもパリでリアルのショーをしていたけど、地元の自然が着想源なら、こうして映像を見た方がすごく理解が深まるかも。着る人が自分のストーリーを描けるようにラストルックは毎回白い服にしているというエピソードもよかった。

    一瞬身構えた「ドリス ヴァン ノッテン」

    丸山:21年春夏メンズの「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」はモデルがサイケな背景の中でドラムを叩くだけの映像だったと聞いていたので、今回もサイケっぽい映像が流れたとき「まさか、ドラムの再来か!?」と思って一瞬身構えたよ(笑)。でも、今回はちゃんと服も見れてよかった。

    美濃島:前回の映像をリアルタイムで鑑賞し「何だコレ?」を全身全霊で感じた僕も、丸山さんと同様かなりヒヤっとしましたが、だいぶコレクションがイメージできる映像に進化していてホッとしました(笑)。

    丸山:見れたといっても、服に映像をプロジェクションしている演出だから、ちゃんと見えたかどうかと言われると微妙なんだけど(笑)。でもオンラインで発表するものは必ずしも服が見れなくてもよいとようやく割り切ることができるようになったかも。映像は極彩色や強いコントラストの作風で知られる写真家、ヴィヴィアン・サッセン(Viviane Sassen)が撮影していたね。プロジェクションされていた映像は、カメラを使わずフィルムに直接絵を描くテクニックで映画史に影響を与えたというレン・ライ(Len Lye)の映画でした。

    美濃島:丸山さん安心してください、ルックではちゃんと服が見れますよ!サッセンは「トーガ」の映像も手掛けてましたよね。コレクションは今季も染めのモチーフが健在で、コントラストの強いボーダーやタイダイなどが登場。力強い色彩はカラッとしたアフリカの大地を彷彿とさせます。ほかにも民族衣装のようなシャツもあって、アフリカンなイメージをさらに加速させますね。コートの襟元や袖などをくり抜く手法は他ブランドでも多く見られたので、次のトレンド候補かもしれません。

    「エリー サーブ」の強さを実感 キャスティングには違和感も

    丸山:ブライダルドレスやイブニングドレスを得意とする「エリー サーブ(ELIE SAAB)」の今季のテーマは“HYMNE A LA VIE(人生の賛歌)”。孤独から目覚め、人生を謳歌するエネルギーあふれる女性を描きました。「エリー サーブ」はレバノンのベイルート拠点で、アトリエも8月に起こった大爆発の被害に遭ってしまったんだけど、それを乗り越える気概を見せてくれるような強いテーマです。

    美濃島:火曜サスペンスのような岩波のロケーションときらびやかなドレスのギャップが面白かったです。効果音にもサスペンスチックなものを入れ込んでいて、きれいな雰囲気で終わらせず違和感を持たせていましたね。

    丸山:ランウエイでは序盤にデイリーウエアを、終盤でイブニングドレスを見せるのが王道だけど、「エリー サーブ」が公開した映像も徐々に空が暗くなって、ルックもより装飾的でフォーマルになっていったね。少し気になったのは、有色人種のモデルが少なく、カメラのフォーカスも全然当たっていなかったこと。ブランドから届いたリリースには、「not one woman is the same nor wants to be(女性は誰一人として同じではないし、同じになりたくもない)」というメッセージがあっただけに、違和感を感じたな。

    美濃島:中東系の人はところどころで見られましたが、アジアやアフリカ系はほとんどいませんでしたね。ただ、僕はそれほど気になりませんでした。「Behind The Scenes」と題して裏側を切り取った映像も同時公開していたのですが、モデルたちが移動の際に手を取り合ったり、和やかに会話していたりと、楽しそうな現場の雰囲気が伝わってきました。むしろこっちをメインにしたほうがコレクションの魅力を伝えられたのでは?と思ったほどです。

    とびきり可愛い「パトゥ」で心踊る

    丸山:「パトゥ(PATOU)」は相変わらずかわいかった〜。ギョーム・アンリ(Guillaume Henry)が20年春夏に再始動させて以来、「パトゥ」はパリのシテ島にアトリエを移したんだけど、窓の位置や椅子などからこの動画もアトリエで撮影されたとみた(笑)。コレクションは毎回このアトリエで発表しているんだけど、中に入るとアンリが来場者とフランクにお話ししていたり、スタッフが作業をしていたりとすごくアットホームな雰囲気で、まさにフレッシュでフレンドリーな今っぽさを体現しているような空間なんだよね。デジタルだからといってロケーションを変えず、いつもの場所から発信してくれたことに感動しました。

    美濃島:毎回アトリエで発表しているんですね!勉強不足でした。ロケーションを知っていると伝わって来る情報量が違いますね。自然光がたっぷり入る空間で、あえてボヤかした映像はホームビデオを見ているかのよう。温かい気持ちになりました。

    丸山:コレクションは、ドレスが増えたりパフスリーブや襟がより大振りになったりして、 “ドレスアップ”用にさせたよう。これで頑張れば買える価格帯だからうれしいです。

    美濃島:時折、「バルーンスリーブの付いたネイビーのメタリックなサテンドレス」などの説明が入るのも理解しやすかったですね。中世ヨーロッパの貴族が着ていたドレスをとびきり可愛くアレンジした洋服がたくさんあって、丸山さんのテンションが上がっているのも納得です。日本でももっと人気が出そうですね。

    ナチュラルとドレスで奥行きを見せた「アクネ ステュディオス」

    丸山:「アクネ ステュディオス(ACNE STUDIOS)」はグラン・パレ(Grand Palais)内にモダン美術館のような部屋を4つ作りました。映像はカメラが部屋を順に巡っていくもので、最初の部屋ではモデルたちが天井に吊らされている球体を見上げているんだけど、その後カメラはネオンライトが置かれた夕暮れのような色合いの部屋、最後に日没直後のような色の青いライトの部屋に移っていく。アイデアは「エリー サーブ」と似ていて、最初の部屋ではビックシルエットのジャケット、クロシェ編みのニットなどニュートラルなカラーのルックで、2つ目の部屋に移ると色を帯びたルックが最後の部屋ではグラデーションカラーのトップスやシルバーのドレスなどが登場しました。

    美濃島:クロシェ編みのショーツやビキニトップスがとってもかわいかったですね。洗いざらしのリネンのようなザラついた質感のドレスも気取らず着られる安心感がありました。最後の青いライトの演出は、服のきらめきはわかったのですが、そのほかのディテールが少し見えづらかったです。ピンポイントでクリアな光を当てればもっと伝わったのではないでしょうか。多数のルックが着用していたクリアメガネには、ベールで防護感を出した「ケンゾー」に近いものを感じました。

    セレブはリモートでも「バルマン」のフロントローを死守

    美濃島:こんな時代でも、尖ったクリエイションを期待するブランドはいくつかあって、「バルマン(BALMAIN)」もその一つ。最初に登場したゆったりシルエットのワントーンスタイルを見たときは「やっぱりニーズに合わせて来たか」と一瞬落胆したのですが、鮮やかすぎるネオンカラーのルックが立て続けに登場した時は「これこれ!」とテンションが爆上がりでした。

    丸山:創業者のピエール・バルマン(Pierre Balmain)の録音音声とともに幕開けしたね。今回のコレクションの鍵となるのはピエール・バルマンが70年代に使っていたモノグラム。このモノグラムを使ったパンツスーツにハイネックトップスなど、コロナ禍でベーシックで長く使えるものに投資するような消費傾向に応えるスタイルだったけど、ストロングショルダーのテーラードジャケットや同素材のサイクルパンツとピンヒールなど、これぞ「バルマン」!なアイテムも多かったね。最後は200万もの「スワロフスキー(SWAROWSKI)」クリスタルを使ったジャケットで、あまりのまばゆさで目が眩みそうだった。BGMのザ・ウィークエンド(The Weeknd)の「Blinding Lights」にぴったりだったね。

    丸山:フロントローをスクリーンが占拠してる図がシュールすぎて笑っちゃった。ライブでつないでいるのかと思いきや、事前に録画された動画を流していたんだって。スクリーンにはジェニファー・ロペス(Jennifer Lopez)やアッシャー(Usher)、クリス・ジェンナー(Kris Jenner)、カーラ・デルヴィーニュ(Cara Delevingne)がいて、本当に豪華!フロントローに誰が座っているかはブランドの勢いを知る一つの指標でもあり、すごく重要。特にオリヴィエ・ルスタン(Olivier Rousteing)はセレブからとても親しまれているデザイナーでゲストも毎回豪華なので、今回セレブをリアルで呼べなかったのは無念に違いない。でも、それを解決する奇想天外すぎる発想に脱帽だよ。

    美濃島:スクリーンによるフロントローの占領は、もはや事件です(笑)。一般席がかなり密だったのに、セレブはスクリーンで鑑賞って、なんだかディストピア映画のワンシーンみたいだなと思いましたが、映像は録画だったのですね。安心しました。

    丸山:最後に出てきたキッズモデルがリモコンでスクリーン消したのに気づいた?会場が暗転するのにスクリーンをつけたままでは画面が光っちゃうからね(笑)。最後までコミカルな演出でした。

    美濃島:キッズモデルはグレーのおそろいセットアップを着てましたね。あれ、商品化したら売れそうだな。

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    ミラノコレ現地取材で明るい未来を見た 「プラダ」「トッズ」などリアル&デジタル融合の成果は上々

     9月22〜28日に開催された2021年春夏シーズンのミラノ・ファッション・ウイーク(以下、MFW)に参加してきました。私が暮らすフランスでは、新型コロナウイルスの1日の新規感染者数が過去最多の1万人を記録するなど、9月以降再び感染が拡大しており、イタリア政府はフランスからの渡航者に陰性診断書の提示を求める入国制限措置を23日に行いました。私は22日に到着したためスムーズに入国できましたが、渡伊予定だったフランスのプレスやバイヤーの多くはキャンセルしたそうです。街が正常通りに動き、バカンスを過ごし、気が緩んだところでの第二波……。なんだか先行きが不安なスタートとなりました。

     リアルとデジタルの両軸で開催された今季は、全てのショー開催ブランドは公的機関の勧告を順守していました。各ブランドから事前に健康状態の確認やマスク着用義務などの注意事項が伝えられ、ショー会場の入り口では申告書への署名や体温計測の徹底や、マスクが配布されていました。会場内の座席は1mの間隔を開けたソーシャル・ディスタンスを確保した配置で、来場者数は通常の3分の1かそれ以下という少なさでした。「フェンディ(FENDI)」に至っては招待客を通常の1割にまで制限したのだとか。アジアとアメリカからの渡航者は14日間の隔離期間が義務付けられていたため、私の知る限りそれら地域からMFWに参加した方はいません。ヨーロッパの隣国からでさえも、企業が国外渡航を禁止していたり、自己判断で不参加だったりという人も多かった印象です。日本のメディアは、ロンドン在住者と現地ミラノ在住のジャーナリスト合計5人と、ミラノにオフィスを持つ百貨店のバイヤー1人だけでした。会場外でスナップ撮影を行うストリート・フォトグラファーは意外に多く、例年の半分程度の人数といったところ。フォトグラファーはヨーロッパ在住者が多いことと、フリーランスのため自己判断で渡航できたことが大きいのではないでしょうか。ミラノのストリートでの様子については、下の関連記事で詳しくお伝えしています。

    ミラノ時間9月23日
    10:00 「サントーニ」

     私のミラノコレは、シューズブランド「サントーニ(SANTONI)」のプレゼンテーションからスタートしました。通常のプレゼンテーションは開催時間帯であればいつ訪れてもよいのですが、今季は会場内への入場に人数制限を設けており、どのブランドも事前のアポイントメントが必ず必要でした。日本人らしく時間ぴったりに到着すると、今季から数シーズンにわたって同ブランドのカプセルコレクションを手掛けるイタリア人シューデザイナー、アンドレア・レニエリ(Andrea Renieri)が迎えてくれました。「バリー(BALLY)」「コスチューム ナショナル(COSTUME NATIONAL)」「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」「フェンディ」「マルコ デ ヴィンチェンツオ(MARCO DE VICENZO)」で経験を積んだ彼は、「アートや建築からインスピレーションを得たんだ」と語ります。結び目を多用した彫刻的なデザインのドラッポ(Drappo)シリーズが彼の一番のお気に入りで、結び目が最も多いデザインにはナッパレザーを30mも使用しているのだとか!クラシックなイメージの強い同ブランドにコンテンポラリーなニュアンスが加味され、新鮮さを兼ね備えていました。

    16:00 「ヌメロ ヴェントゥーノ」

     「ヌメロ ヴェントゥーノ(N°21)」が私にとってのMFW初のショーです。フェザーやシルク、シフォン、エナメルなどの多彩な素材感を生かし、さまざまなテクスチャーをレイヤリングで遊ぶアイデアに心が弾みました。コレクションを擬音語で表現するなら、キラキラ、ピカピカ、フワフワ、ツルツルとたくさん出てきます。それにしても、フェザーがランウェイに登場すると必ずスローモーションで動画を撮りたくなるのは私だけ(笑)?

    16:30 「トッズ」

     「トッズ(TOD’S)」がデジタル発表前日に開いたプレス向けプレビューに参加しました。クリエイティブ・ディレクター、ヴァルター・キアッポーニ(Walter Chiapponi)がコレクションについて詳しく説明し、「今季は全ての女性に向けたラブレター」と素敵なひと言。さらに「マスキュランとフェミニンを共存させ、女性が自信を持てるような服を作りたかった。自信と知性を兼ね備え、内側からにじみ出るセンシュアリティ(官能的魅力)を表現した」と続けます。セクシュアリティ(性的魅力)ではなく、センシュアリティというのが重要で、優しい色彩を豊富に使って、若々しくも上品で麗しげな「トッズ」らしさを感じました。スポーツウエアやワークウエアの機能性も加えて、ミリタリーのペンシルスカートやカーゴパンツ、トラッキングシューズやバレエシューズなどが登場。ショートフィルムの制作に取り組んだキアッポーニは「最高に楽しかった」そうで、デジタル化されるショーについて「若手の小規模なブランドにとって、デジタルは現実的なコストで世界中とコミュニケーションをとれる素晴らしい機会」とポジティブに語っていました。

    18:00 「エトロ」

     ”イタリアの夏”がテーマの「エトロ(ETRO))」は、会場内にレモンの実がなる木を飾って南国ムード満載でした。1992年に制作された旗がモチーフのプリントを復刻させ、レトロで華やかさがあり、陽気なルックがランウエイを彩りました。リゾート感たっぷりなコレクションのフィナーレは、ビキニトップの上にシャツを羽織り、アイコンのペイズリー柄のショートパンツで統一されていました。ステイホームしている間に過ぎ去ってしまった夏ですが、「エトロ」のショーで少しだけ取り戻せた気分になりました。

    ミラノ時間9月25日
    街散策

     

     私は7月上旬「ジル サンダー(JIL SANDER)」のショールームに訪れるためミラノへ来ました。その時はロックダウン(都市封鎖)が明けてから1カ月ほど経過したころで、現地の人々は外出を控えていたため街は静かで寂しかったです。それから2カ月経過した今回は、旅行者こそ少ないものの、街は活気を取り戻しつつあります。私のお気に入りレストラン5つのうち2つは営業を再開していませんでしたが、食事時になるとどのレストランも人でいっぱいでした。ランチからワイン片手にパスタをほおばるイタリアの人々を見られて、なんだか嬉しかったです。

     ショップのリサーチのためディエチ コルソ コモ(10 CORSO COMO)やアントニオーリ(ANTONIOLI)、スラムジャム(SLAM JAM)を周りました。んん……アントニオーリとスラムジャムに関しては特筆することがありません。ブランドリストも店内の雰囲気も、いつ来ても大きく変わることはあまりなく、今回も相変わらず。ディエチコルソコモは商品数が半分程度にカットされていたのが大きな変化です。特にシューズコーナーとその奥のスペースは、展示品を並べるギャラリースペースとなっていました。デジタルとリアルなショーと同じように、ECと実店舗のあり方は今後ますます変わっていきそうです。

    ミラノ時間9月26日
    14:30 「プラダ」

     今季のMFWの目玉といえば、ミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)とラフ・シモンズ(Raf Simons)が共同で手掛けた「プラダ(PRADA)」のファーストコレクションでしょう。デジタルでのショー終了後にミウッチャとラフが対談していたのも同じ会場内で、2人が座っていた席に着席するとなんだかソワソワしてミーハー心がうずきます!会場内はマネキンを使ったルックが並べられており、ショーには登場しなかったアクセサリーも見ることができました。詳しくは、下の関連記事でチェックしてみてください。

     コレクションは、ラフ好きの人には刺さるものだったのではないでしょうか。唯一気になるのは既存顧客の反応です。熱しやすく冷めやすいのもファッションがもつ側面なので、いい温度で成長していくことを期待しています。ホテルに戻る途中、大好物のジェラートをまだ食べていなかったことに気付いてプラダ傘下の老舗洋菓子店「パスティッチェリア・マルケージ(Pasticceria Marchesi)」へ。おいしくてニヤニヤしていたので、怪しい人に見えたかも(笑)。

    9月27日 14:00 「ヴァレンティノ」

     MFW最後のショーは「ヴァレンティノ(VALENTINO)」でした。インビテーションとともにミラノの老舗バー「ジンローザ(Ginrosa)」のリキュールが2本が届きました。日本でもカクテルによく使われるリキュールでチンザノとよく似た味ですが、アルコール度数25%とかなり高め!

     セレブリティの来場が多いこともあって、会場外に集まったフォトグラファーの数は今季のMFWで一番多かったです。会場の廃工場の建物の中には自然に生えたかのように植物が飾られていました。無機質な廃工場と緑鮮やかな植物のコントラストが素敵でした。困難な環境下で生きる強くたくましい生命を感じるようで、ショーが始まる前からうっとり。ショーとコレクション内容については、下の関連記事をご覧ください。

    苦しみの先に希望はあった

     MFWは無事に終了。連日雷雨に見舞われた5日間でしたが、今私の心はとても晴れやかです。飛行機に乗り、出張に出かけ、取材をし、ファッションを通してメッセージを受け取る――そして記事を通して読者と体験や感情を共有できること。これら全てが自分の幸せであり、情熱をかたむけられることなのだ改めて実感できたから。なによりいつもファッション・ウイーク中に顔を合わす友人や仕事関係者、ブランドなどファッション業界に携わる人々が明るい未来を見据えてポジティブで、この業界に身を置いていることに誇りを感じました。ロックダウン中は、気持ちが沈んだときに「大丈夫。苦しみの先には必ず希望がある」と自分自身に言い聞かせていた言葉は、ただのなぐさめではなかったのだと実感しました。ウイルス感染の脅威はまだまだ消えませんが、苦しみも喜びも分け合い、ファッションを通してつながれるこの世界は捨てたものではありません。改めて気を引き締め、パリのファッション・ウイークの取材も続けます!

    ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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    #敦子スメ「新月・満月」ノート 活力と新しいものが生まれる力があるおひつじ座満月(10月2日)

     この連載では、新月・満月の流れを最大限に引き出すためのサポートをしてくれるコスメやインナーケアアイテムも紹介していきます。第20回は10月2日の満月とおすすめコスメについてお伝えします。

    今回の満月(10月2日)はおひつじ座

     おひつじ座は“スタート”“生まれる”“とりあえずやってみる”など、一番先頭に立って物事を起こしていく役割の星座です。実は今、11月半ばまで情熱や行動を示す火星が同じくおひつじ座で停滞中。本来ならおひつじ座のスタート力に火星の力も作用して新しいことやアイデア、前へ進む力が加速するはずが、この火星の逆行により11月半ばまでは物事が前に進みにくく、それよりも足踏みをすることによってやっていなかったことを終わらせたり、これからの方向性を考えたり、そんな時期に入っています。

     思い返すと今年はずっとそんな時期だったような気がします。計画が全然違うことになってしまったり、やろうと思っていたことが全てできた!という人は地球上どこにもいないのでは?そんな気すらしてきますよね。ただ、これが良いあれが悪いという判断は抜きにして何か新しいことが始まろうとしている、今までとこれからの時間の境目にいる、そんな感じがしてなりません。

     思い通りにいかない時代でも、新しく生まれたコスメにはなんだか特別な役割があるように感じます。本来おひつじ座は“生まれる”というエネルギーの強い星座。そして満月は“実る、形になる”タイミングーーということで、今回はこの秋生まれた2つのブランドを紹介します。

    今回の満月コスメ

     植物療法士の森田敦子さんが監修する新ブランド「ワフィト(WAPHYTO)」には、植物の持つ力を最大限に生かすことはもちろん、よりよい未来や社会、介護サポートまで視野に入れた女性のライフスタイルに向けたメッセージが込められているように思えてなりません。私のおすすめは化粧水“レジェナ トナー”と頭皮用ローション“スキャルプローション”です。

     9月に新しく生まれ変わった「アルジェラン(ARGELAN)」 は、ゴースト細胞に着目して肌の巡りを改善するスキンケアラインという目的に加えて、ジュース製造後に捨てられる予定だった原料を使用したり、環境負荷を低減した製法の原料を可能な限り採用したり、また容器や資材に配慮するなど、化粧品という日常的なアイテムを通して環境や社会に関するメッセージや姿勢も込められています。洗顔料“オーガニック 透肌フェイスウォッシュ”と化粧水“オーガニック認証 高保水化粧水”がおすすめです。

     この秋新しく生まれた、生まれ変わった上記の2つのブランドには、化粧品という枠を超えた素敵なメッセージが詰まっています。なかなか思うように進まなかったり、予想外だったりする中で目的や意識を持って生まれた2つのブランドをぜひチェックしてみてください。

    福本敦子(ふくもと・あつこ)/フリーランスPR・美容コラムニスト:コスメキッチンに14年間勤務後、現在はフリーランスPRとして活動するかたわら、ビューティコラムニストとしてイベント、SNSなど多方面で活躍。オーガニックに精通した知識を武器に、ライフスタイルに寄り添った独自のオーガニック美容論が、著名人やエディターをはじめ各方面から大人気。「#敦子スメ」は「読んだ瞬間試したくなる」と多くの反響を呼び、紹介した商品の欠品や完売も多数。2019年秋、初の書籍となる「今より全部良くなりたい 運まで良くするオーガニック美容本 by敦子スメ」を出版。発売前に増刷が決まるなど話題を呼んでいる。旅を愛し、占星術にも精通 instagram:@uoza_26

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    ファッション、ビューティ、サステナビリティの旬なトレンドを体感 「ルームス」がリアル&オンラインで開催

     アッシュ・ペー・フランスが主催する合同展示会イベント「ルームス(rooms)」は、OMO(オンラインとオフラインの融合)サービスを導入し、初のリアル&オンライン融合型の展示会を開催する。リアルイベントは東京ファッション・ウイーク期間中の10月15~17日に、東京の新宿住友ビル三角広場で開催。一方、オンライン展示会は9月から12月まで長期開催し、出展希望者は会期途中からの参加も可能だ。日程や会場までの移動といった制限を受けにくいデジタルにも軸を置くことで、さらに活用しやすい魅力のあるイベントへと進化する。

    エシカルや次世代の
    クリエイティブが集結

     「ルームス 41」では “サステナビリティ”“自然との共生”“次世代育成”など、社会的にも注目が集まるキーワードをもとに、多彩なプロジェクトやインスタレーションを企画。さらにリアルイベントでのBtoC施策として雑貨や一点もののアートなどを購入できるマーケットイベントも予定し、SNS時代に、業界関係者だけでなく一般の来場者にもダイレクトにブランドの魅力を伝えられる場を設けている。

    新進気鋭のアーティストから
    世界的デザイナーまで
    注目の出展者をチェック

     イベントの目玉となるのは、2020年度の「LVMHプライズ」ファイナリストに選出された「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」の小泉智貴デザイナーによる、若手デザイナーの発掘・育成プロジェクト“SPOT LIGHTS by TOMO KOIZUMI”。世界で活躍できる可能性を持った次世代ブランドの作品を披露する。さらにラグジュアリーブランドで経験を積んだ実力派デザイナーデュオ「リブノブヒコ(RIV NOBUHIKO)」や一点ものジュエリーを制作する「ミャカレ ジュエリー(MYACALE JEWELRY)」、新しいガーデニングスタイルを提案する「ヴェクスセットジャパン(WEXTHUSET JAPAN)など、展示会には多彩なジャンルのブランドが出展する。

    “旬を学ぶ”
    セミナー&ワークショップ

     スペシャルトークショー「ルームスアカデミー」をルームス41会期である10月15~17日に開催。ファッションやエシカルなど各ジャンルを代表するプロフェッショナルを迎え、ゲストの頭の中をのぞき込むような対談を通して、クリエイションやビジネスのヒントを紹介する。オンライン展示会の登録者限定で、対談はアーカイブ配信(10月下旬から12月10日までの期間中)で視聴することも可能だ。

    オンライン化でさらに便利に!
    受注や商談も可能

     「ルームス」のオンライン化にあたり、デジタル展示会サービス「エグジブ(EXIV)」を導入。出展者は分析機能を使用して、よく見られている商品と実際にオーダーにつながった商品などを可視化することができる。一方で、来場者はオンライン商談を申し込んだり、会場で気になった商品を後日確認・注文したりするなど、さまざまな使い方が可能。今後も“日本最大級のクリエイティブの祭典”として、クリエイターとバイヤー双方がメリットを感じられるオン・オフライン一体型のプラットフォームを目指す。

    INFORMATION
    rooms 41

    期間:10月15~17日(17日は一般入場可能)
    時間:10:00~18:00
    会場:新宿住友ビル三角広場
    住所:東京都新宿区西新宿2-6-1
    業界関係者入場料:招待券持参者は無料(招待券がない場合は1500円)
    一般入場者 前売券:1000円、当日券:1500円

    rooms41 ONLINE TRADESHOW

    期間:9月10日~12月10日(業界関係者限定)

    TEXT:ANRI MURAKAMI

    問い合わせ先
    ルームス
    03-3499-0822

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    デジコレでドタバタ対談 「ディオール」の荘厳さに心打たれ、実在のスパイが着想源の注目ブランド「テベ・マググ」に感嘆

     2021年春夏のコレクションサーキットもいよいよ最終章、パリ・ファッション・ウイーク(以下、パリコレ)に突入。パリからはベルリン在住のヨーロッパ通信員が現地取材の様子をお届けしていきますが、オンラインでも対談レビューという形で、引き続き“できるだけリアルタイムに近いペース”で取材を進めていきます。今回は、パリコレ2日目(9月29日、現地時間)をリポート! 長年コレクションを取材してきた「WWDジャパン」の向千鶴編集長と、コレクション対談初参戦の皆合友紀子がリポートします。

    まるでSF映画!な「マリーン セル」の映像でスタート

    皆合:2日目のトップバッター「マリーン セル(MARINE SERRE)」はデジタルでの発表でしたが、キーキーと耳障りな不協和音とともに映像がスタート。真っ白な空間に全裸でオペ台の上に横たわる性別不明の人造(?)人間、その周りにゾロゾロと人々が集まり手術のような行為を始めるシーンは、SF映画のオープニングのようでした。

    向:13分間目が離せなかった。環境問題か、コロナと生物多様性と人間か、メッセージが何であるかは映像を見るだけじゃわからないけれど、「マリーン セル」が作るものだからそういったことなのだろうと素直に受け止めつつ(笑)、それ以上に無条件で引き込まれる世界観です。リアルのショーでは作れない、映像だから表現できる内容ですね。で、どんなストーリーだったんだろう。

    皆合:オープニングでオペ台の上に乗せられていた人物が、オン・オフのスイッチ代わり(?)のネックレスをつけられて命を吹き込まれ、実験室、自然界、水の世界とシーンを移動し、さまざまな出会いをしながら旅をするストーリーでした。最後はネックレスを外され、またオペ台の上に乗せられて終了。タイトルの「AMOR FATI」は、ラテン語で“運命を愛する“という意味だそうです。「人生におけるあらゆる喜びと逆境を取捨選択することなく、積極的に受け入れることへの“招待状”」とセルが言うように、現在のコロナ禍の状況や環境問題など、良いことも悪いことも全てを受け入れ、自分たちの運命を愛そうということなのかなと私も受け止めました。

    向:ルックは、体を守るプロテクターの要素を組み込んだスポーティーなアイテムもいいけど、個人的には最初に登場した「改造する側の人間」が着ていた「マリーン セル」柄のレトロなセットアップが気になりました。「マリーン セル」の服は体を鍛えている人の方が似合うと思う。このセットアップも鍛えた体で着たらとてもカッコいいと思う。

    皆合:確かに! 筋肉美の映えそうなフィット感のある細身のデザインが多かったですね。あと、忍者ルックも気になりました。どうやって着こなせばいいんだろう……?など思いながら見ていました(笑)。

    原点回帰の「アンリアレイジ」 テーマは服と家をつなぐ“ホーム”

    皆合:「アンリアレイジ(ANREALAGE)」は、“ホーム“というテーマのコレクションをデジタルで発表しました。◯△□のコレクションの延長線ということでしたが、今回はデザインの構成やパターンも3Dでシミュレーションを行いながらリモートで制作したとか。開放感のある富士山の麓の緑の中にカラフルな色使いのコレクションが映えていて、見ていて明るい気持ちになりました。

    向:小さな家がそのまま服になるとは! 時代と共鳴したコレクションでしたね。「家が一番安心できる」や「一人っきりになれる家がほしい」は世界中の人が今抱いている心理だと思うから。「アンリアレイジ」のショーはコンセプチュアルなんだけど、ユーモアもあるから重いメッセージでも受け止めやすくて好き。「あ、家を2枚レイヤードしている」とか「あ、モデルが中で寝ちゃった」とか、映像に向かって突っ込みどころを残してくれるところがいいね。

    皆合:三角錐のインビテーションもかわいかったです!ハリ感のある素材については、森永さんが「殺菌効果のある銅繊維をベースに、メディカル分野で用いられている抗ウイルス繊維と抗ウイルス加工を用いて、結界のような新しいテキスタイルを作った」と言っていて、こんなスタイリッシュな殺菌・抗ウイルス服とか喜んで着ちゃいます(笑)。

    向:これらが実際に店で販売されるリアルクローズとしてどう落とし込まれるのかがカギですね。ヘッドピースならぬ“ヘッドアーキテクト”は建築家の隈研吾さんによるデザインで、インテリアのランプシェードにもなるとか。ニュースが盛りだくさんです。

    皆合:映像の中でモデルが身につけていたアクリル樹脂の中にドライフラワーを閉じ込めたクリアなハンドルのバッグやネックレスなどのアクセサリーは、今シーズンデビューの新ブランド「アンエバー(AN EVER)」と発表がありましたね。「アンリアレイジ」しかりですが、今回も“A NEVER(一瞬)”と“AN EVER(永遠)”のワードの掛け合わせたとか、言葉選びのセンスが素敵すぎます。

    生歌が響く中、“視覚的”な詩で魅せた「ディオール」

    皆合:向さんは、パリに赴いている欧州通信員の藪野さんと中継でつないで、ライブ配信番組「着点」に出演しながら見ていましたね。現地の映像を見ていると、会場の内外共にやはり従来のガヤガヤにぎやかな感じはなく、とても静かでした。現地に赴かないパリコレは10年ぶりとのことですが、遠隔で見ていてどうでしたか?

    向:薮野さんが「ショー会場では何を見るべきか」を分かっているので、彼のスマホを通じて見るライブ映像は視点が的確で満足度が高かったです。また、ユーチューブの視聴者がライブでコメントをくれるので一緒に見ている感があり楽しい!コレクションは黙って一人で見るより皆でワイワイ話しながら見る方が情報量も多くて盛り上がることが、デジタルコレクション取材を始めてよくわかりました。確かに現地での盛り上がりはいつもの数分の1だけど、デジタルの先でこうやって盛り上がっている人がこれまで以上にいるならそれは新しい一歩だと心底思うな。

    皆合:真っ白な外観からは想像できない、ステンドグラスの大聖堂をほうふつとさせるショー会場が荘厳で素敵でした。一見厳かな雰囲気だけれど、近くで見ると実はKISS風メイクの女性がいたり、雑誌から構成されたステンドグラスであったりと、遊び心があるころもさすが粋だなぁと。イタリアのアバンギャルドな実験芸術を象徴するアーティスト、ルチア・マルクッチ(Lociana Marcucci)の作品に着想を得たとのことでしたが、なぜ大聖堂だったのでしょう?

    向:一言で言えば、“愛”なんだと思う。ベタだけどこれ以上適切な言葉が見つからない(笑)。コロナにより分断されたカルチャーや人とのつながりを集めてつないだステンドグラスに私には見えました。ロマンチックすぎるかな?コレクションは、ヴァージニア・ウルフ(Virginia Woolf)やスーザン・ソンタグ(Susan Sontag)といった書くことを仕事とする女性たちがインスピレーションとのことで、彼女たちの写真を見てからルックを見ると“なるほど”と思います。メンズシャツのアレンジなどどこかキリリとしたスタイルが印象的です。

    皆合:ルックにはオリエンタルな印象を受けました。色使いもナチュラルカラーや優しい色味のものが多かったですね。柔らかい素材で、体にフィットしないゆったりとリラックスしたデザインも目立ちました。

    向:日本のためにデザインされた1957年秋冬コレクションのシルエットを再解釈したそうで、羽織のようにゆったりしたシルエットが多かったですね。

    「コーシェ」はショー後の発信力の弱さが残念

    向:「コーシェ(KOCHE)」はリアルのショーを開いたことを薮野通信員に聞いたけれど、パリコレ公式サイトには動画が上がっておらず、ブランドオフィシャルのホームページやインスタグラムにも動画はなし。インスタのストーリーにはスマホ撮影と思われる動画が数本上がっていたけど……せっかく人気ブランドが公式スケジュールでショーを開いたのに世界に伝えないのではもったいないなあ。ショーは公園を会場に、バグパイプの演奏がリードする形でモデルが歩いたみたい。いつものようにレース×スポーティー、そして得意の羽飾りも随所に。風に揺れる羽根がきれいだったんだろうな。デザイナーが囲み取材を受ける動画もストーリーに上がっていて、彼女がつけているレースのマスクがかわいかった。

    自国の歴史を掘り下げた「テベ・マググ」 スパイの指紋が水玉柄に

    皆合:「テベ・マググ(THEBE MAGUGU)」の短編フィルムはコンセプトが斬新でしたね! 何が始まったんだろう?と見入ってしまいました。今シーズンは、テベの出身国である南アフリカのスパイコミュニティーに触発されていて、南アフリカの旧アパルトヘイト政府に協力していたと自白した女性スパイに対して彼自身が行ったインタビューからヒントを得ているとか。

    向:今シーズンは自分のルーツをたどって掘り下げるデザイナーが多いけれど、南アフリカ出身のテベが自国の歴史を掘り下げるとはこういうことなのだとハッとしました。実は最近、南アフリカの故ネルソン・マンデラ(Nelson Mandela)元大統領の伝記を読んだばかりで。伝記にモデルの姿がオーバーラップしてモノクロ写真に急に色がついた感覚に陥りました。

    皆合:映像内のナレーションはジャーナリスティックな内容だけれど、モデルがまとっている服はタイトなテーラードピースやフェミニンなドレスまでさまざま。でもそれが不思議とマッチしていましたね。こういうコレクションの見せ方もあるのか!と固くなった頭をなぐられた気分でした。

    向:そうですよね。ベースのテーラードやドレスのラインがきれいだから、インスピレーションが効いている。ドレスの水玉柄は実在する自白したスパイの指紋をスキャンしたものなのでしょう?しかも本人がコレクションのためだけに指紋を提供してくれたとか。

    皆合:すごい。最新コレクションだけでなく、自分のルーツである南アフリカについても知ってほしいという思いが込められているようにも感じました。個人的には、女性がプリントされたネクタイ付きシャツワンピ&ニーハイブーツのルックと、ドットのアシンメトリーなスカートが気になりました。

    向:告白をする女性スパイを撮影した本物の映像を使ったプリントですよね。南アフリカ司法部がテベに提供したそう。リリースには女性スパイの言葉で「スパイは私たちの周りにいて、彼らは私たちの先生や家族や友人でもあるのです」とあります。何とも重い。激しい人権運動の中では何が正義で何が罪か、部外者にはわかりようもない複雑な人間関係も多いのでしょう。まさかパリコレをきっかけにこんなことを考えるなんて思いもしませんでした。

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    パリコレ現地リポートVol.1 リアルでも開幕!「ディオール」の会場からは生中継

     皆さん、こんにちは。「WWDジャパン」ヨーロッパ通信員の藪野です。9月28日にパリ・ファッション・ウイークが開幕しましたね。新型コロナウイルスの影響によりデジタルとリアルを組み合わせて開催されている今回ですが、公式スケジュールの84ブランドのうち、リアルなショーで発表を行うのは18ブランド。その他、プレゼンテーションや展示会を開くブランドもあります。とは言っても、この状況下で日本から出張というのは難しいので、今回は私が現在暮らしているドイツ・ベルリンからパリにやって参りました(EU内での渡航はそんなに制限がないのです)。パリでは新型コロナの感染が再拡大しているので最大限自衛をしつつ、これから最終日の10月6日まで数回に分けて現地からのリポートをお届けしていきます。いつもミラノやパリは編集部チームと一緒に和気あいあいと取材しているので一人はちょっと寂しいのですが、少しでも“リアル”なパリコレを感じてもらえると幸いです!それでは、まずは1発目のリアルショーが開催された2日目のダイジェストをどうぞ。

    9月29日(火)

    11:30 初っ端から招待状届かず。執念で59階まで上って見た「コペルニ」

     今回のパリコレ1つ目のリアルなショーは、「クレージュ(COURREGES) 」の元クリエイティブ・ディレクターでもあるデザイナーデュオによる「コペルニ(COPERNI)」です。前々回はアップルストア、前回はインキュベーション施設とユニークな会場でコレクションを発表する彼らが今回選んだのはパリ南部にある高層ビル、トゥール・モンパルナス(Tour Montparnasse)の屋上。朝からテンション上がる〜と思っていたのですが、あれ??ホテルにインビテーションが届いていない……。最近はデジタルインビテーションも多いので、メールも確認したけれど来ていませんでした。しかし、“1発目のショーを見逃すわけにはいかない!”という執念で、とりあえず会場前まで行ってみることに。

     ビルの入り口でPRスタッフに説明したところ、やはり何かの手違いで席がないとのこと。いつもはそれでも交渉するのですが、今回はコロナ禍での開催なので衛生基準がかなり厳しく、スタンディングは基本なしで、席をちょっと詰めたりするのも難しいという話だったので、諦めムードに……。ただ、入り口にいたスタッフの一人が屋上にいる担当PRと連絡をとってくれて、スタートギリギリで来場していない人の席をゲットしてくれました。ありがとう、優しいお姉さん!!ということで、59階まで猛ダッシュ(実際には56階まではエレベーター)で上がったのですが、到着したころにはもうショーは中盤。ソーシャル・ディスタンシングを守りつつ、スタッフと一緒に立って拝見しました。

     コレクションは、今回もクリーン&モダンなデザイン。“衣服は身体の相棒である”という考えから、抗菌性やUVカット効果のあるオリジナルの新素材や伸縮性に優れた素材を使い、セカンドスキン(第二の皮膚)となるようなアイテムを提案しました。サイクリングパンツやトレンカ風レギンス、フロントジップなどで作るスポーティなムードが印象的です。ショーが終わって外を眺めると、あいにくのお天気でしたが、パリの街が一望できる絶好のロケーション。今度は晴れた時に来たいな〜と会場を後にしました。

    12:30 「ビクトリア トマス」は新型コロナで服作りを一新

     お次は、夫婦デザイナーデュオによる「ビクトリア トマス(VICTORIA/TOMAS)」。ショーが始まると、モデルが2人ずつ並んで歩いてきます。勘がいい方はお気づきかもですが……そうです、今回から全てのウエアがリバーシブルになりました。片側はワークウエアや伝統的なメンズウエアから着想を得たデザイン、そしてもう片側は刺しゅうやギャザーでより装飾的なスタイルで仕上げられています。例えば、ストライプのスタンドカラーシャツは、裏返せば肩から背中にかけてたっぷりギャザーを入れたスカーフヘムのブラウスに。さらに今季から生産も100%フランス製に切り替えて生産時にかかる環境負荷の低減を目指すとともに、現在年4回発表しているコレクションも半分に減らします。

     その背景にあるのは、やはり新型コロナウイルスです。2人は外出自粛期間中に、ファッションへの向き合い方を考え直したそう。全部リバーシブルというのは手入れのことなどを考えると、正直どうだろう?と思いますが、生産やコレクション数に対する取り組みには賛成です。

    14:30 「ディオール」には日本から着想を得た“バー”ジャケットが登場

     7月にイタリアで無観客ショーを行った「ディオール」ですが、今回は念願のゲストありでの開催です。ただ、いつもは1000人以上を収容する会場に今回は350人のみ。生の雰囲気を少しでも多くの方に味わってもらえるように、「WWDジャパン」のYouTube配信番組「着点(きてん)」でパリから生中継しましたので、まだの方はぜひアーカイブをご覧ください!

     会場は、先シーズンからチュイルリー公園になりました。巨大な白い箱のような会場に入ると、中はまるで大聖堂。真っ黒な空間の三面にステンドグラスが飾られているのですが、よく見るとアートに関する雑誌のコラージュになっています。こちらはアーティストのルチア・マルクッチ(Lucia Marcucci)の作品だそう。そしてショーは、12人の女性による合唱をバックにスタート。身近な人を亡くした悲しみや苦しみを表現した言葉や音が、教会さながら会場内に響き渡ります。

     コレクションで最も印象的だったのは、日本のためにデザインされたという1957年秋冬コレクションのシルエットを再解釈した、羽織のようなノーカラージャケット。レザーや共布のベルトを使うと、“バー”ジャケットのシルエットが仕上がります。そういえば、1年前にLVMH賞の取材でマリア・グラツィアを見かけた時に、彼女が着物をアウターのように羽織っていたことを思い出しました。

     そんなオリエンタルなムードはイカットや絞り染めのようなパターンにも見られる一方で、ビンテージの調度品やスカーフのような花柄やペイズリーも多出。プリントやニットをはじめ、刺しゅうやビーズで、ドレスやスカートを飾ります。また、新たな模様でアップデートされた人気バッグ“ブックトート”も数多く登場しました。いつもは強さを感じるマリア・グラツィアによるクリエイションですが、今シーズンは全体的に落ち着いたトーンやゆったりしたシルエットも手伝って、心地よさや優しさを感じるコレクションでした。他都市でも多く見られましたが、この不安渦巻く時代には“安らぎ”ムードが広がりそうです。

     フィナーレの後には、“WE ARE ALL FASHION VICTIMS”と書かれた布を広げて歩く抗議者の女性が乱入!関連記事でも上がっていますが、特に大きな騒ぎになることもなく、普通にランウエイを歩いて去ったので、あれ?今のはショーの一部⁇という感じで終わりました。

    18:00 のどかな風景と音楽に癒された「コシェ」

     パリコレブランドの中でもいち早くリアルショーの開催を表明していた「コシェ(KOCHE)」の会場は、北東部のビュット=ショーモン公園。採石場の跡に作られた公園の中には湖があり、その真ん中にある高さ30mの島が象徴的です。湖の周りがランウエイだったのですが、カモも泳いでいて、のどかな風景に癒されました〜。ショーが始まると、バグパイプの音楽隊が「アメイジング・グレイス」や「ハレルヤ」を演奏。これまた癒しでした。

     コレクションの冒頭には、アウトドアブランド「エーグル(AIGLE)」とコラボしたカプセルコレクションを披露。来場者にも着ている人がいたので調べたところ、もう販売中のようです。ユニセックスのポンチョが可愛い!そして、モデルは全員ストリートキャスティングで選ばれたパリジャン&パリジェンヌで、個性が際立っています。写真を撮ろうと思ったら、生中継後に充電するのをすっかり忘れていて、まさかの電池切れ……(泣)。ショー終了後、急速充電器を車に取りに帰って、会場とバグパイプ隊のお兄さんだけギリギリ撮影できました。

    20:00 大画面で見る「マリーン セル」のコレクション映像は迫力満点

     本日のラストにやって来たのは、街中にある映画館。今朝デジタルでコレクションを発表した「マリーン セル(MARINE SERRE)」の上映会でした。関係者とブランドのアイテムを着たオシャレな若者が集まっていて、中にはシグネチャーである三日月パターンのマスクをつけた来場者も発見しました!

     会場に入る際にはきちんと消毒を済ませ、お隣さんと一つ間隔を開けて着席。肝心の短編映画は、マリーンらしいミステリアスな世界観に引き込まれました。大画面で見ると一層映えますね!これからデジタルでの発表が増えるなら、家や会社にプロジェクターがあるともっと楽しめるかもしれません。

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    随時更新:2020年クリスマスコフレまとめ 今年はコラボが充実

     今年もクリスマスコフレの季節が到来。人気漫画のコラボから豪華なアドベントカレンダーまで、注目必須のホリデーコレクションを発売順に随時更新でお届けする。
    ※すべて数量限定発売

    シュウ ウエムラ

    ・10月15日(公式オンラインストア限定発売)、11月1日、11月15日発売
    ・今年は人気漫画「ワンピース」とコラボ
    ・人気アイテムの限定デザインが多数登場
    「シュウ ウエムラ(SHU UEMURA)」のホリデーコレクションをチェック

    ジバンシイ

    ・10月16日(9月16日予約開始)、11月20日(10月20日予約開始)、12月4日発売(11月4日予約開始)
    ・“きらめくランウエイ”をエレガントに落とし込んだアイテム
    ・欲張りパレットも
    「ジバンシイ(GIVENCHY)」のクリスマスコレクションをチェック

    ランコム

    ・10月16日、11月6日、11月27日発売
    ・毎年人気の「ビューティーボックス」も登場
    ・サラ・シャキールとコラボしたアイテム
    「ランコム(LANCOME)」のホリデーコレクションをチェック

    クレ・ド・ポー ボーテ

    ・10月21日発売
    ・人気製品の限定パッケージも
    ・ミニリップのセットもそろえる
    「クレ・ド・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BEAUTE)」のホリデーコレクションをチェック

    イヴ・サンローラン

    ・10月23日、11月13日発売
    (10月16日にECと表参道フラッグシップブティックで先行発売)
    ・“ドレスミーワイルド”がテーマ
    ・アドベントカレンダーも
    「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」のホリデーコレクションをチェック

    ロクシタン

    ・10月28日発売
    ・アールグレイが香る限定コレクション
    ・アドベントカレンダーも
    「ロクシタン(L’OCCITANE)」のホリデーコレクションをチェック

    アディクション

    ・10月30日発売
    ・グラマラスなアイテムが勢ぞろい
    ・定番アイテムの限定色も
    「アディクション(ADDICTION)」のホリデーコレクションをチェック

    ジルスチュアート

    ・10月30日、11月13日発売
    ・テーマは“ダズリングワンダーランド”
    ・星やダイヤのモチーフをあらった限定デザイン
    「ジルスチュアート(JILLSTUART)」のホリデーコレクションをチェック

    貝印

    ・10月30日発売
    ・タイのナチュラルスキンケアブランド「タン(THANN)」とコラボ
    ・両社の人気製品を詰め合わせた
    貝印のホリデーコレクションをチェック

    サボン

    ・10月30日発売(10月16日から予約開始)
    ・着想源はくるみ割り人形
    ・ホリデーシーズン限定“シュガー・プラム”の香り
    「サボン(SABON)」のホリデーコレクションをチェック

    コスメデコルテ

    ・11月1日発売(9月10日から予約開始)
    ・特別デザインを施した限定コレクション
    ・8色入りのアイカラーパレットに注目
    「コスメデコルテ(DECORTE)」のホリデーコレクションをチェック

    ポール & ジョー ボーテ

    ・11月1日発売(10月18日から予約開始)
    ・ドラえもん&ドラミちゃんとコラボ 
    ・“ドラえもんリップ”第2弾も
    「ポール & ジョー ボーテ(PAUL & JOE BEAUTE)」のクリスマスコレクションをチェック

    RMK

    ・11月1日発売(10月17日から予約開始)
    ・漫画家・桜沢エリカとのコラボポーチ付き
    ・赤をキーカラーにしたメイクアップキット
    「RMK」のホリデーコレクションをチェック

    SHISEIDO

    ・11月1日発売
    ・アーティストの舘鼻則孝(たてはな のりたか)氏とコラボレーション
    ・マットリップのミニサイズ3色セットも
    「SHISEIDO」のホリデーコレクションをチェック

    スック

    ・11月2日発売
    ・“綾羅錦繍(りょうらきんしゅう)”がテーマ
    ・8色セットのアイシャドウパレットに注目
    「スック(SUQQU)」のホリデーコレクションをチェック

    ルナソル

    ・11月6日、11月20日発売
    ・コレクションテーマは“マージング アディクト”
    ・人気アイシャドウパレットの限定色も
    「ルナソル(LUNASOL)」のホリデーコレクションをチェック

    シャネル

    ・11月6日発売
    ・ゴールドのチェーンと黒のレザーストラップが着想源
    ・限定デザインのフレグランスも
    「シャネル(CHANEL)」のホリデーコレクションをチェック

    THREE

    ・11月11日発売
    ・3アイテム11種をラインアップ
    ・“グラムロックのエモーション”がコンセプト
    「THREE」のホリデーコレクションをチェック


    2020年クリスマスコフレの最新情報はこちらから

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    「パナソニック ビューティ」の人気ヘアードライヤー“ナノケア”がパワーアップして新登場

     美容家電をリードするブランド「パナソニック ビューティ」の人気製品ヘアードライヤー“ナノケア”がパワーアップして新登場する。髪の内部までうるおう高浸透「ナノイー」搭載で、従来よりも高いヘアケア効果をかなえる。さまざまな機能をそなえた高機能ドライヤーが多数登場する中で、なぜ“ナノケア”が支持されているのか。「パナソニック ビューティ」と「WWD JAPAN.com」が行ったライブ配信で、髪のプロである美容師と共に解説した。

    ヘアサロン「ノラジャーニー」の
    阿形聡美がライブ配信で
    正しいドライヤーの使い方をレクチャー 
    スペシャルゲストにGENKINGが登場

     「パナソニック ビューティ」と「WWD JAPAN.com」は9月18日にライブ配信を行った。ヘアサロン「ノラジャーニー」の阿形聡美プロモーションディレクターをゲストに迎え、髪のプロである美容師の視点でヘアードライヤー“ナノケア”を解説。昨今のハイトーンカラーの流行にも着目し、ブリーチやカラーリングでダメージを受けた髪にとってドライヤー選びも重要であると解説し、正しい髪の乾かし方などもレクチャーした。さらに、スペシャルゲストにGENKINGを迎え、“ナノケア”の魅力が語られた。GENKINGは以前から「パナソニック ビューティ」のドライヤーの愛用者で、「今までも愛用していましたが、新しい“ナノケア”はさらに髪のまとまりがよくなり、艶が出ます。本当におすすめです」とコメントした。

    新“ナノケア”は高浸透「ナノイー」と
    新構造でヘアケア効果がアップ

     「パナソニック ビューティ」の“ナノケア”シリーズのドライヤーは、一般的なマイナスイオンの約1000倍以上の水分を含む「ナノイー」を発生させることで髪にうるおいを与え、まとまりのある髪へ導くが、昨年登場した高浸透「ナノイー」搭載モデルは、従来の「ナノイー」の18倍※1の水分発生量を実現し、髪へのうるおいが1.9倍※2になった。10月1日発売の最新モデル“ナノケア EH-NA0E”は、高浸透「ナノイー」とミネラル※3を含む風を髪に届きやすくした新構造で、カラーリングした髪のダメージの抑制やヘアカラーの退色防止にも効果的だ。さらに、「パナソニックビューティ」ならではの速乾ノズルで毛束をほぐし、スピーディーに髪を乾かすことができるためオーバードライによる髪のダメージも防ぐ。

    スタイリッシュな
    カラーバリエーションにも注目

     今回新たにネイビー(-A)、グレージュ(-H)、コーラルピンク(-P)の3色で登場する。最近では美容家電のデザイン性も重要視しているという声も多く、インテリアとしてなじむスタイリッシュなカラーリングが好評を得ている。

    愛用者続々!
    “ヘアードライヤー ナノケア”の魅力

    ※1 「ナノイー」と高浸透「ナノイー」との比較(パナソニック調べ)
    ※2 従来品2019年発売EH-NA9Bとの比較(パナソニック調べ)
    ※3 亜鉛電極から発生されるミネラルマイナスイオン

    問い合わせ先
    パナソニック

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    まだ、あなたが知らないニューヨーク最新トレンド キム・ジョーンズ、「フェンディ」就任とその軌跡 Kim Jones Rises to the Top

     ニューヨークのファッション業界で活躍するクリエイティブ・ディレクター、メイ(May)と、仕事仲間でファッションエディターのスティービー(Stevie)による連載も第13回。“You’d Better Be Handsome”では、トレンドに敏感なレイチェル(Rachel)も加わって、ニューヨークのトレンドや新常識について毎回トーク。今回のテーマは、こんな不景気なご時世においても出世街道を着々と進むキム・ジョーンズ(Kim Jones)、そして時代の風雲児たちのこれまでとこれからについて。

    今回のランチはオフィスでデリバリー。以前は絶対に店内でしかいただけなかった高級寿司から、人気ラーメン店の冷製担々麺、「ジョーズ上海」の小籠包まで、パンデミックのおかげで(?)デリバリーしてもらえる便利な世の中に。本日はチャイナタウン近辺に3軒、フィラデルフィアにまで進出しているおしゃれ飲茶屋「ノムワ(NOM WAH)」からのデリバリーを仲良くシェア。

    スティービー:先週はニューヨークファッション・ウイークだったけど、よっぽど気をつけてないと開催されていることに気づかないレベルだよね。

    メイ:ほとんどがデジタル配信で、「ジェイソン・ウー(JASON WU)」は屋外でランウエイを、この夏にロスで復活した「イミテーション・オブ・クライス(IMITATION OF CHRIST)」も路上でショーを開催していたよ。

    レイチェル:アメリカファッション協議会(CFDA)が立ち上げたサイト「ランウエイ360」で一気に見られるというのは便利ではあったけど。普段は見ないデザイナーをチェックしてみたり、なかなかインビテーションがもらえない「トム・フォード(TOM FORD)」の動くショーを見られたり。

    スティービー:ただビデオのクオリティーにはかなりの差を感じたよね。見る側だけでなく、見せる側も世界のどこにいてもいいわけで。実際にニューヨークにいなそうなデザイナーもたくさんいた。

    レイチェル:パリのプルミエールクラス(PREMIERE CLASSE)とかは、予定どおり今年10月2〜4日で開催されるみたい。しかもたくさんのブランドが参加するらしい。パリコレはスケジュールが発表されたけど、各ブランドがどのような形式をとるかの詳細は出ていない。「シャネル(CHANEL)」「ディオール(DIOR)」「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」などの老舗メゾンは名前が挙がっているけど、「コム デ ギャルソン(COMME DES GARÇONS)」「サカイ(SACAI)」「サンローラン(SAINT LAURENT)」「セリーヌ(CELINE)」はファッション・ウイークへの不参加を表明している。

    メイ:というか、ニューヨークからそもそもパリへ行けないし。きっと来年2月のショーもデジタルだよね。メトロポリタンオペラ(METROPOLITAN OPERA HOUSE)が来年の秋まで全キャンセルを発表したくらいだから。

    スティービー:ニューヨークは早々に「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」や「マイケル・コース(MICHAEL KORS)」といった大御所がショーをキャンセルしていたからね。逆に若手デザイナーがこれを機に参加しているような印象。

    メイ:アメリカだけ新型コロナの死者数2万人を超えて、しかもまだ増えていて、ファッションショーそのものの在り方にまで影響してきている。この間の業績を理由にLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)がティファニー(TIFFANY & CO.)の撤回してきたのも、分からなくもない。ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)=LVMH会長兼最高経営責任者(CEO)に専属の占い師がいたとしても、グローバル・パンデミックは予期できなかったということだね。

    スティービー:2020年が劇的な年になるとは前々から言われ続けていたけど、占い師だけでなく、投資家も読めなかったわけ。ティファニー買収の話が伝えられたのは、去年の終わりのことだったから。今回の買収撤回の背景には、フランス政府が圧力をかけてきたということもあるらしいけど。確かにトランプ政権がワインや高級品の関税を上げてきているから、フランス政府としてはおもしろくない。もちろん消費者の僕たちにとってもつらいところ。

    レイチェル:ヨーロッパからのワインやチーズにかかる関税が昨年の秋から25%アップしているし、ウールスーツ、ブランケット、ベッドリネン、航空機なんかも対象になっている。

    スティービー:そういえば2010年ごろ、LVMHがエルメス(HERMES)を買収するとかしないとかの話があったのを思い出したよ。あのときも裁判沙汰になったけど、結局エルメスはLVMHの傘下に収まることなく今の成功を手にした。

    メイ:ティファニーもアメリカを代表するブランドとして、独自の道を進んでほしいかな。政府が絡んでいる今、そんな単純な話ではないと思うけど。

    キム・ジョーンズ、「フェンディ」でウィメンズを

    スティービー:不景気なニュースばかりのなかでも、前に進んでいる人たちもいるわけで。LVMHと言えば、「ディオール(DIOR)」メンズのアーティスティック・ディレクターのキム・ジョーンズ(Kim Jones)が、LVMH傘下の「フェンディ(FENDI)」のウィメンズのアーティスティック・ディレクターに就任することが決まった。

    メイ:カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)が死去してからは、フェンディ家のデザインチームが手掛けていた?

    レイチェル:フェンディ家のシルヴィア・ヴェントゥリーニ・フェンディ(Silvia Venturini Fendi)が今後もメンズとアクセサリーのディレクションをしていき、キム・ジョーンズがウィメンズをやっていくという。ミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)xラフ シモンズ(Raf Simons)式かと思ったけど、領域がきちんと分けられている。カール・ラガーフェルドの跡を継ぐデザイナーって誰なんだろうとはずっと気になっていたけど、「シャネル」もカールの右腕だったヴィルジニー・ヴィアール(Virginie Viard)が引き継いだわけで。

    スティービー:キム・ジョーンズは今回のコロナの間にも「ディオール」と“エアジョーダン”のコラボレーションを発表して、定価2000ドル(約21万円)が一気に転売されて10倍の値段になっているという記録を出した。すごい。

    メイ:キム・ジョーンズは前からコラボに強いという印象はあるけど。

    スティービー:スポーツブランドの「アンブロ(UMBRO)」とのコラボとか覚えてる?

    レイチェル:私は彼が、「ルイ・ヴィトン」のメンズ・アーティスティック・ディレクターから「ディオール」に移る一瞬の間に「GU」でもプロジェクトを発表していたのが印象的だった。

    スティービー:大きな声では言っていないと思うけど、韓国のサムスン(SAMSUNG)が展開する「ビーンポール(BEAN POLE)」というファッションブランドでもクリエイティブ・ディレクターを数年務めていた。地道に着々と上って行ってる感じよね。

    メイ:キム・ジョーンズだけど、18年に就任してすぐに、ハリー王子(Prince Henry, Duke of Sussex)とメーガン・マークル(Meghan Markle)のロイヤルウエディングに、デビッド・ベッカム(David Beckham)が新生「ディオール」のメンズを着用して出席したり、最初から話題も多かったよね。

    レイチェル:BTSのワールドツアー、「LOVE YOURSELF」のコスチュームをデザインしたのも、「ディオール」メンズのキム・ジョーンズだったし。

    スティービー:彼の強みはデザインだけではなく、グラフィックやフォトグラフィーの知識などを生かしてディレクションができること。そして横のつながりが強いこと。ロンドン、ニューヨーク、そしてパリのクリエイティブ・コミュニティーとうまくコラボレーションしてきている。

    レイチェル:そういえばドラァグショーのバックステージで、マーク・ジェイコブスと一緒にいるキム・ジョーンズを見たことが何度かある。マークとは、「ルイ・ヴィトン」にいた時期が重なっているし、プライベートでも仲がいいんだなと。

    スティービー:「ルイ・ヴィトン」時代には、歴史に残る「シュプリーム(SUPREME)」とのコラボレーションを実現しているから、そういう意味ではストリートに強いところ、ストリート要素をラグジュアリーに落とし込めるところがキム・ジョーンズのいちばんの強みだね。「フェンディ」が求めているのもそのストリート感かと。

    メイ:日本のファッション業界ともわりと親密よね?

    スティービー:「GU」以前に、06年に開催された新宿伊勢丹本店の120周年プロジェクトにも、「ヴィジョネア(VISIONAIRE)」や「コム デ ギャルソン」などと一緒に参加している。それに東京ベースのジュエリーデザイナー、「アンブッシュ(AMBUSH)」のYOONを「ディオール」メンズのアクセサリーデザイナーとして起用している。

    メイ:自分が自分がというよりも、みんなで仲良く成功するという性格が、LVMHみたいなコーポレートでも受け入れられたのかもね。

    レイチェル:そしてやっぱりファッション業界では、ウィメンズをデザインするようになると位が上がるというか。キム・ジョーンズはウィメンズをデザインしたこともあるけれど、クリエイティブ・ディレクターを務めるLVMHブランドではずっとメンズだった。今回「フェンディ」ではウィメンズをデザインするわけで。

    スティービー:エディ・スリマン(Hedi Slimane)も、(当時の)「ディオール オム」で大成功を収め、次に「サンローラン」のウィメンズとメンズデザイナーになったわけだし。「セリーヌ」のクリエイティブ・ディレクターに就任した際には、当たり前のようにウィメンズをデザインしている。

    ファッション業界の風雲児たち

    メイ:そういえば数年前、まだカール・ラガーフェルドも健在だった頃、ジェレミー・スコット(Jeremy Scott)と仕事をする機会があって、関係者の一人はジェレミーが次の「シャネル」のデザイナーになるかもくらいのことを本気で言っていて、実はけっこう驚いた。

    スティービー:マーク・ジェイコブスが「シャネル」の後継者になるとか、元「セリーヌ」のフィービー・ファイロ(Phoebe Philo)の名前も挙がっていたよね?だけど、カールの仕事を全部引き継ぐっていうこと自体が無理のある話で。

    レイチェル:パリもミラノも、多くのメゾンがショーをキャンセルしたようだけど、そんななかプラダ(PRADA)はショーをしていたね。

    メイ:今回ラフ・シモンズが加わって初めてのコレクションだしね。ラフも「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」での完敗がまだ記憶に新しいけど、「プラダ」をより素敵なブランドに若返らせるのに今後も貢献してほしい。

    スティービー:さっきも名前が出ていたサムスンの「ビーンポール」だけど、実は元「バンド・オブ・アウトサイダーズ(BAND OF OUTSIDERS)」のスコット・スタンバーグ(Scott Sternberg)も、「ビーンポール」とコラボレーションしていたよね?10年以上前の話になるけど。

    メイ:そうそう、私たちも当時のスコットのスタイリスト、ティナ・チャイ(Tina Chai)を連れてソウルにまで行ったから。パーティーには、東方神起まで来場して盛り上がっていたけど、スコットはまるでやる気がなかったという記憶。1秒でも早くロスに帰りたそうだった。

    レイチェル:スコットはあのブランドを15年に全借金ごとベルギーの投資会社に買ってもらい、18年に「エンタイアワールド(ENTIRE WORLD)」という、ダイレクト・トゥー・コンシューマーブランド(D2C)を立ち上げている。

    スティービー:「エンタイアワールド」とスコットは、8月6日号の「ニューヨーク・タイムズ・マガジン(New York Times Magazine)」で大きく取り上げられていたけど、今回のコロナ自粛中にすごく売れたらしいよ。

    メイ:みんな家で過ごしていたわけだから、スエットパンツくらいしか買い換えるものがなかったし。

    レイチェル:カラフルなソックスやトートバッグも売り切れていた。ちなみに売り切れたというスエットパンツとスエットシャツはそれぞれ88ドル(約9200円)。

    メイ:私はその記事をポッドキャストで聞いたけど、スコットはファッション界のいろんなシステムにすごく振り回されたと言っていたよ。自分が提案するコレクションピースのほかに、特に店が特別コラボ商品を要求してきて、そのためにマージンの低いものをさらに作らなくてはいけなくなって、ということが多かったようで。

    スティービー:それでD2Cブランドなんだね。百貨店やセレクトショップを通さずに、直接販売できるから。

    メイ:けっこう昔のことだけど、「タクーン(THAKOON)」のショーに客として出席していたスコットに偶然会って声をかけたら、「ショーはすごくよかったけど、自分は絶対にショーはしないという決意ができたから見てよかった」とつぶいていた。それなのに、その後ショーをスタートしたときは、なんでなんだろうって思っていた。ポッドキャストを聞いて、それは米「ヴォーグ(VOGUE)」やアメリカファッション協議会からのプレッシャーだったんだなと今になって分かった。

    スティービー:デザイナーたちは、キム・ジョーンズやエディ・スリマンのように大企業に守られて仕事をするか、またはスコットのように構築されたファッション業界から飛び出て動くか、選択していかないと生き残れなくなってきている。

    メイ:ポッドキャストの最後にスコットが話していたのは、以前はファッションに投資したい人がたくさんいたけど、今はすぐに結果が出ないファッションに投資したい人を探すのが大変らしい。

    レイチェル:ティックトック(TikTok)みたいなソーシャルメディアに投資した方が、リターンは確かに早そうだし。

    スティービー:でもティックトックのレベルになると、自分から投資家を指名してくるわけで。マイクロソフトも断られたくらいだから。オラクル(ORACLE)とのことがどうなるのか。どちらにしても一つのジェネレーションの個人情報を握っていて、トレンドを操作しているのは間違いないから。

    メイ:この秋は騒々しい大統領選挙も控えているし、西海岸の火事は収まらずここニューヨークにまで煙が届いてしまう勢いだし、学校はほぼ全リモートのまま。トランプ大統領は、11月までに買収が決まらなければ、ティックトックに米国からの撤退を命じると言っているけど、あれに頼りきっている子どもたちは立ち直れないかも?

    スティービー:また何か新しいトレンドが始まるよ。きっとみんなワクチン開発くらいの勢いで、今頑張っているはず。ファッションに投資してもらえない理由が分かる気がする。

    メイ/クリエイティブディレクター : ファッションやビューティの広告キャンペーンやブランドコンサルティングを手掛ける。トップクリエイティブエージェンシーで経験を積んだ後、独立。自分のエージェンシーを経営する。仕事で海外、特にアジアに頻繁に足を運ぶ。オフィスから徒歩3分、トライベッカのロフトに暮らす

    スティービー/ファッションエディター : アメリカを代表する某ファッション誌の有名編集長のもとでキャリアをスタート。ファッションおよびビューティエディトリアルのディレクションを行うほか、広告キャンペーンにも積極的に参加。10年前にチェルシーを引き上げ、現在はブルックリンのフォートグリーン在住

    レイチェル/プロデューサー : PR会社およびキャスティングエージェンシーでの経験が買われ、プロデューサーとしてメイの運営するクリエイティブ・エージェンシーで働くようになって早3年。アーティストがこぞってスタジオを構えるヒップなブルックリンのブシュウィックに暮らし、最新のイベントに繰り出し、ファッション、ビューティ、モデル、セレブゴシップなどさまざまなトレンドを収集するのが日課

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    デジコレでドタバタ対談 「マメ」でパリコレ開幕!予想外の豊作ぞろいに感動した初日

     ミラノ・ファッション・ウイーク終了し、2021年春夏のコレクションサーキットもいよいよ最終章、パリ・ファッション・ウイーク(以下、パリコレ)が開幕しました。パリからはベルリン在住のヨーロッパ通信員が現地取材の様子をお届けして行きますが、オンラインでも対談レビューという形で、引き続き“できるだけリアルタイムに近いペース”で取材を進めていきます。今回は、パリコレ1日目(9月28日、現地時間)をリポート!各都市のメンズコレクションを取材してきた「WWDジャパン」の大塚千践デスクとパリコレ取材3度目の丸山瑠璃ソーシャルエディターがリポートします。

    パリコレ前に「JW アンダーソン」でほっこり

    丸山:さて、いよいよパリコレがスタート!の前に、「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」がオフスケジュールで発表しました。前日には豪華なキットが編集部に到着。前回のメンズコレクション同様、“show in a box(箱の中のショー)”というアイデアで、箱の中から大きなバインダーが現れました。バインダーには、リリースのほか、さまざまな色の紙やルックや写真などが詰まっており、ルックを切り取ってみたり、展示したりと受け手が好きに「各々のインスタレーション」を作りコレクションと関わることができます。

    大塚:メンズのときよりも動画に慣れたのか(笑)、ジョナサンのリラックスした語り口に癒されたわ。ボリュームの強弱を極端につけたシェイプに遊び心は感じるけれど、色使いも潔いし、基本的にはベーシックなウエアをベースにしている感じがする。メンズと同じく、長く愛される服作りに気持ちが移っているのかな。あとデザイナー自身の丁寧な解説を発信するのは、なんだかんだでバイヤーやジャーナリストに好評ですね。ジョナサンはメンズでき先陣を切っただけあって、ホスポタリティーが抜群でした。

    丸山:「ジェイ ダブリュー アンダーソン」は今回、ティックトック(TikTok)でもライブ配信を実施していました。ティックトックで公開された動画は、ユーチューブなどで公開されたボックスの説明の動画の他にもアンダーソンによるコレクションの説明が差し込まれていました。ハリー・スタイルズ(Harry Styles)が着ていたカーディガンを作ってみようチャレンジでティックトックユーザーからの知名度を上げた「ジェイ ダブリュー アンダーソン」ですが、ティックトックのライブの性質上フォロワー以外のおすすめページにもランダムで表示されるので、わかりやすい説明を挿入したのは良い対応だったと思います。

    国がサポートを強調

    丸山:トップバッターの「マメ(MAME KUROGOUCHI)」を見ようとしてパリコレの公式サイトを開いたら、なんとその前にロズリーヌ・バシュロ(Roselyne Bachelot)仏文化大臣によるスピーチがありました。内容は、リアルイベントは衛生規定を守って行われることや、特に苦しい状況に置かれている新興ブランドへきちんとサポートを行うという宣言でした。フランスでは感染者数が増えていますが、この状況を省みて安全性を強調したのかもしれません。日本政府が東コレ開催前にこうしたスピーチを行うとはちょっと想像できないのですが、やはりフランスは国全体でファッションを盛り上げようという姿勢を感じました。その後、女優のシャロン・ストーン(Sharon Stone)が登場してパリコレ開幕を宣言しましたね!といいつつ、ちょっと自分はシャロン・ストーンがピンと来ずだったのですが(笑)、何か有名な映画に出演されてますか?

    大塚:シャロン・ストーンといえば「氷の微笑」でしょ!って言っても昭和世代じゃないとわかんないか……。まだまだお若い姿を見られて、深夜だけど元気出ました。動画の画質はもうちょっと何とかならなかったのかと心の中でツッコミつつ、アンバサダーがパワフルでオシャレだとワクワクしてくるね。

    丸山:自分のWi-Fi環境が悪いのかと思いましたが、やっぱり画質悪かったですよね(笑)。指を鳴らして開幕を宣言したのがキュートでした。

    窓を通して記憶を辿る「マメ」

    丸山:いよいよパリコレのオフィシャルスケジュールがスタート!トップバッターの「マメ」は写真家の奥山由之による映像を公開。窓から差し込む日差し、カーテン越しにうっすらと見えるドレスなどを曇りガラスを通して見ているような繊細で美しい映像なのですが、プロデューサーのSeihoによる音楽もあいまってちょっとゾクっとするような、冷たさもある仕上がりになっていました。

    大塚:先ほどの「氷の微笑」ではないけれど、「マメ」も奥山由之による映像のもやっとした質感とムードに昭和の美を感じた。今は何でも鮮明に映し出される時代だからこそ、こういう奥ゆかしさを含んだ表現につい見入ってしまったよ。作家性が強いから、ルック写真とセットで見ないと全体像はつかめないけどね。世界を舞台に、堂々と和の創作で挑むスタンスがかっこよかった。世界の人がどう見たのか気になるね。

    丸山:そうですね。パリコレの公式サイトもNYのように動画とルックがセットで見れるとうれしいんですが……。コレクションのテーマは“窓”で、すりガラスをイメージしたニットや格子柄のアイテムが登場しました。特に黒河内デザイナーはカーテンには住んでいる人の記憶や日差しの色が染み込み、その人らしさが出ると考えているそうで、レースカーテンのような刺しゅうを施したドレスや、日に焼けたカーテンのようなイエローがかったワンピースなどにその思考が反映されていました。リリースとは別に黒河内真衣子デザイナーからの手紙も入っていて、これがすごくよかった。黒河内さんがコレクションに至るまでの考えてきたことや見てきたものの回顧録のような内容なのですが、コレクションをスッと自然に理解することができましたし、一字一句に「マメ」らしさが反映されている美しい文章で、全文掲載したいくらいです(笑)。配信に先立ってアポイント制でメディアをアトリエに招いて黒河内さんがじっくりと製作背景を説明されたそうですよ!うらやましい!ちなみにそのリポートはこちらから読めます。

    「ウェールズ ボナー」

    丸山:「ウェールズ ボナー(WALES BONNER)」はデザイナーの父親の出身地でもあるジャマイカで撮影した映像を公開しました。映像では8人の若者が目的地にたどり着くまでの様子を表現したそうで、自然の中でスタートした映像は次第にカラフルなジャマイカの街に移ります。コレクションは、ジャマイカの名作映画「ロッカーズ(ROCKERS)」にインスパイアされたそうです。

    大塚:「ウェールズ ボナー」の映像はかなりコンセプチュアルだけど、ルックで服を見ると一時期に比べて肩の力が抜けていい意味で“隙”ができたクリエイションを継続していた印象。私生活が順調なのも関係しているのかな。シャープなテーラードを主軸にしていたころはすごみがある一方、ストイックすぎてちょっととっつきづらかったんだよね。それが1月に発表した2020-21年秋冬にリラックスしたムードが強まって、今シーズンはスポーツウエア色が濃くなって快活さもプラスされていた。とはいえまだまだハードルが低い服ではないのだけど、昔ながらのデザイナー気質がある骨太な彼女の姿勢はいつか化けそうな気もするので、僕は応援したい!

    「キムへキム」

    丸山:「キムへキム(KIMHEKIM)」が公開した映像は、モデル同士がふざけあったりライトで遊んだりとルック撮影の現場の裏側のようでほっこり。コレクションテーマは“Dreams in the City”。眩い都市の中で自分自身を探す人に捧げたコレクションだそうです。ブランドはパリ拠点で生産はデザイナーのキミンテ・キムへキム(Kiminte Kimhekim)の出身の韓国で行っているのですが、キミンテはソウルでロックダウンを過ごし、自分を信じることや情熱を持つことの大切さを再確認したそう。そう考えるとテーマが“Dreams in the City”となったのも納得です。

    大塚:さわやかなBGMとモデルたちの自然体な様子に対し、服はゴリッゴリにモードなのがちょっと笑っちゃった。フォーマルの脱構築的クリエイションは世に溢れているけれど、彼の強みって何なのでしょう?

    丸山:2シーズン前にパリコレデビューした比較的若いブランドなのですが、大ぶりのパールでドレープを作ったデザインの“ヴィーナス(VENUS)”シリーズや、デザイナーの出身地である韓国の韓服にも使われるオーガンザを使ったアイテムなど、売れるアイコン商品をたくさん持っているのが強みだと思います。若手デザイナーっていろんなアイテムに挑戦しがちですが、彼はアイコン商品を育て、少しずつアップデートしていくのが上手。今回は自分自身を見つめ直す、という意味でパールではなく鏡を使ってたり、オーガンザも今回はシャープなテーラーリングに組み込んでいます。“ヴィーナス”シリーズはボッティチェッリ(Botticelli)の「ヴィーナスの誕生」に出てくる布のドレープを着想源にしているのですが、今回「ヴィーナスの誕生」が透け感のあるプリントで登場していました。かわいい。売れそうです。

    大塚:なるほど。「マメ」や「ウェールズ ボナー」もそうだけど、自身のルーツや自国のカルチャーにまっすぐ向き合うことが、世界と戦う上では強い武器の一つになるのだね。

    母国ジョージアの日常を映した「シチュエーショニスト」

    丸山:パリコレ初参加の「シチュエーショニスト(SITUATIONIST)」は、デザイナーのイラクリ・ルザゼ(Irakli Rusadze)の母国、ジョージアの日常とともに最新コレクションを届けました。街ゆく人がストロングショルダーのスーツやペンシルスカートをまとったモデルたちを物珍しく見つめたり写真を撮ったりしているのが面白かった。ジョージアといえば「バレンシアガ」のデムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)の出身国でもありますが、名前は知っていていもこういう日常までみる機会はなかなかないですよね。先ほどの「ウェールズ ボナー」しかり、パリコレなのに世界の様々な地の様子を垣間見ることができるのは面白い体験です。

    大塚:「シチュエーショニスト」は母国ジョージアではそれなりに知名度があって、かつブランド立ち上げからはもう10年以上のキャリアがあるのだけど、映像はたぶんほぼゲリラ撮影のインディーズ感バリバリ。デムナ直系な強い色柄の服はもちろん、撮影の舞台となったジョージアの街並みも普段はなかなか見ることがないけれど、かなり個性豊かだったわ。故郷の街の様子を伝えたかったのかな。通行人のおじさんがジロジロ見ていたり、モデルがおばあちゃんの手を引いて道路を歩いていたりして微笑ましかったけど、要素が盛り盛りで迷子になりました。

    瞽女に着想源を得た「セシル バンセン」

    丸山:「セシル バンセン」といえばコペンハーゲン・ファッション・ウイークを代表するブランドの一つですが、今回はコペンハーゲンではなくパリで発表。コレクションは、1970年代の瞽女(ごぜ)の白黒写真にインスパイアされたそうです。瞽女は三味線を弾きながら全国を転々としながら盲人芸能者ですが、映像は閉塞的な雲が空を覆う北欧の草原から始まり、晴れ間が見える海岸へと移ります。最後ビーチに現れた巨大な鏡(?)にモデルが吸い込まれてる展開は突然でびっくりしましたが(笑)、美しい映像でした。デンマークのユトランド半島で撮影されたそうです。

    大塚:生っぽい「シチュエーショニスト」から一転して、クリアな映像と抜けのロケーションが気持ちよかったですね。最近はガーリーとテーラードのバランス感をものにしてきた印象で、映像も2つのスタイルを表現しているように見えたよ。曇天の草原ではモノトーンのシックな服、ラストの日が差した砂浜ではカラフルなガーリーで、壮大な世界観ととも成長していきそうなさらに力をつけていきそうな予感がした。

    「S.R. STUDIO. LA. CA.」

    丸山:スターリング・ルビー(Sterling Ruby)による「S.R. STUDIO. LA. CA.」が配信したのは、“VEIL FLAG”と題し、米50州を表す星がない星条旗をまとったモデルが跪いた状態からゆっくりと立ち上がるという映像でした。音声は教えを叩き込むように男性一人が言った言葉をもう一人の男性が繰り返すというものでしたが、最後の“President of Grand Dragon”はドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領のことを揶揄しているのでしょう。“Grand Dragon”はKKK幹部の呼び名。プレジデントはこの場合は総統ではなく大統領ととらえられます。さらに“marching against leaderless leadership(リーダーなきリーダーシップに行進する)”という文言は、ホワイトハウスに向かって行進したBLM運動を想起させますね。白人至上主義と往々にして指摘されている現大統領を批判し、11月の選挙で退陣させることを呼びかけているのだと捉えました。

    大塚:こりゃもう完全にアートですね。意味深な冒頭で何が起こるんだろうと凝視していたら、星条旗広げて終了しちゃった(笑)。コレクションの全貌はまだわからないけど、さすがアーティスト発のブランドという感じ。背景にちゃんと意味をもたせつつ、表現は振り切ってるわ。昨年のピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO)でデビューショーを見たんだけど、震えるほどかっこよかったのです。一点一点が服というより“作品”という感覚で、見た目以上の強さがあるというか。その分、価格も非常にかっこいいのだけど。代名詞のブリーチ加工が施されている星条旗は650ドルでした。正真正銘のただの布なんだけど、なんか欲しくなるほど引かれてきた。

    丸山:650ドル(約6万8000円)はなかなかの値段ですが、動画のクレジットにも出てきたアメリカ自由人権協会(ACLU)に、売り上げの一部が寄付されます。ACLUは、6月にBLMのデモ隊がホワイトハウスを囲った後、トランプ大統領が教会を訪れることを理由にデモ隊を武力で解散させたとして、大統領などを相手取って訴訟を起こした団体。そこに寄付されることも加味すればちょっとお安く感じるかも(!?)です。

    大塚:ちなみに彼はラフ・シモンズ(Raf Simons)とあらゆる形で協業しているもの有名だよね。ラフの「プラダ(PRADA)」デビューは、盟友のピーター・デ・ポッター(Peter de Potter)のグラフィックを採用していたけれど、今後はスターリング・ルビーも絡んできたりして。ああ、妄想が勝手に膨らんでいく!ちょっと、今日面白くない?知名度でいうとまだまだこれからなブランドばかりで、個々で見るとクオリティーや方向性はバラバラなのに、続けて見るとアイデンティティーを強く打ち出そうとする姿勢が共通してる。しかも自分たちのルーツを発展させて表現しているから、ファッションを通じて異文化が競演する様が映像を通してでもわかるぐらい面白い。

    丸山:そうですね。これまでは外の世界に着想源を得ていたけど、ロックダウンで外に出れず、また考える時間も多くなったからか自分自身のルーツや考えを反映したブランドが多かったですね。パリコレ1日目は若手ブランドや、初めてパリコレの公式スケジュールに加わるブランドが多いので、インディーズ感満載の映像を予想していましたが、いい意味で期待を裏切ってきたブランドが多く面白かったです!

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