この有松絞りには、寛斎も僕も思い入れがある。2004年、日本武道館の床全面に水を張った「KANSAI SUPER SHOW(寛斎スーパーショー) アボルダージュ」において、有松絞りを施した浴衣姿の女性陣の舞いによって、幽玄で情緒溢れる情景を演出したのだ。ダークブルーの照明と、深い藍の中に艶やかに白地が散った浴衣のコントラストがとても美しかった。
ホフマン:アディダスにとって、アスリートのために最高の製品を作ることが大きなミッションだが、それは地球を犠牲にしてまで行うことではない。25年までに品目の90%にサステナブルな技術、素材、デザインもしくは製造方法を採用するという私たちのゴールで大事なポイントは、ポートフォリオ全体にわたる目標であるということだ。この目標を実現するには、全てのカテゴリーにわたり、綿密な開発プロセスと妥協のないパフォーマンステストが必要となり、また同時に途中で失敗すること、実験を恐れない姿勢も必要となる。パーレイは単一のプロトタイプから始まり、多数のアパレルへと広がった。“メイド・トゥ・ビィ・リメイド(Made to be Remade、以下MTBR)”、(オールバーズと協業する)“フューチャークラフト.フットプリント(FUTURECRAFT.FOOTPRINT)」も同じく、プロトタイプから始まっている。
ホフマン:プラスチックごみ問題を解決するには、業界全体のソリューションだけではなく、業界を超えたソリューションも必要だ。また、「Fashion For Good」のような団体を介して、革新的な解決策をもたらすスタートアップ企業を見つけることも非常に重要。もしくは、地球のために競争を脇に置いて、オールバーズ(Allbirds)のような「競合」とも考えられるブランドと協働し、カーボンフットプリントを抑えたシューズを作ることも一例だ。私たちは、ビジネスとイノベーションの方法を再発明しようとしているさまざまなブランドや志を同じくする企業と協力し、可能性を広げることが、業界のリーダーとしての務めだと考えている。
“ラン・フォー・ジ・オーシャンズ”のイベントの様子
WWD:アスリートや生活者を巻き込んだ“ラン・フォー・ジ・オーシャンズ(Run for the Oceans)”が毎年拡大し、影響力が増している。
勝見ケイ/「シェリフ」ドラマー、イラストレーター:(かつみ・けい)。1956年生まれ。小・中学生の時にブームだったグループサウンズに影響を受け音楽に目覚める。ドラマーとして多くのバンド活動を経験し、2016年に、1980年代に活躍しているバンド「シェリフ」に加入。また、イラストレーターとしても活動し、17年度東久邇宮文化褒賞を受賞した。「シェリフ」は新作アルバム「湘南サマーブリーズ」を6月29日にリリース PHOTO:KAZUSHI TOYOTA
もう一つは、既存モデルをサステナブルな素材・制作過程に代替する。例えば「レザーワーキンググループ(LEATHER WORKING GROUP)」認証のレザーのみを使用すること。この認証はブランドとタンナー、薬剤メーカーが参加し、工場内の安全性や原料のトレーサビリティーなどを徹底するもので、どの牧場のどの牛から来たレザーなのかも把握できる。今後はさらにステップアップして、牧場で使う農地の活用も再生可能なものにしたいと考えている。
「プラージュ」とコラボレーションしたブラトップ(同8690円)とショーツ(同3190円)。サイズはS〜Lで、カラーはピンク、ブルー、ブラックの3色をそろえる。PHOTO:KAZUSHI TOYOTAブラカップ付きのタンクトップ(同1万2100円)。サイズはMとLで、カラーはホワイトとチャコールグレーの2色を用意する。PHOTO:KAZUSHI TOYOTA
平手宏志朗/ジョイファ代表:2017年からブロックチェーン事業に携わり、日本およびシンガポールの企業において、データ管理・証券取引・エネルギー取引といった分野における、ブロックチェーンプロジェクトをリード。2020年4月にNFT x エンターテイメントのエコシステムを開発しているEnjinにジョインし、同社が発行する仮想通貨の上場や、国内外の企業との事業提携を推進。2021年5月に株式会社ジョイファを創業。「NFTの教科書」(朝日新聞出版)のNFT×ファッションのパートを執筆
平手:きっかけとしては、NBA Top Shotの存在が大きいと思います。NBA選手のトレーディングカードゲームをNFT化したようなモノですが、NBAが非常に分かりやすいIP(知的財産)だったことや、ユーザー体験の良さなどから大きな売り上げを出し、NFTというものの認知度・注目度が上がっていった印象を受けています。
ハビア・カジェハ:1971年生まれ、スペイン・マラガ出身。日常に潜むさまざまな出来事や事象にひねりを加えた、トリッキーかつユーモラスな作風が特徴。影響を受けたアーティストには、ルネ・マグリッドや奈良美智らを挙げる PHOTO:KAZUSHI TOYOTA
スペイン・マラガを拠点に活動するアーティストのハビア・カジェハ(Javier Calleja)が、展覧会「ミスター・ギュンター 、ザ・キャット・ショー(MR.GUNTER, THE CAT SHOW)」を渋谷パルコ4階の「パルコミュージアムトーキョー(PARCO MUSEUM TOKYO)」で18日まで開催中だ。カジェハは「ヴァンズ(VANS)」や「ケースティファイ(CASETIFY)」とのコラボレーションや、渋谷パルコの1周年記念イベントでは大型立体作品を制作するなど、幅広く活動している。同展では、日本未発表の大型立体作品2点や新作ペインティング、ドローイングを展示するほか、会場内の随所にカジェハの愛猫“ギュンター”をモチーフとした作品も設置している。開催に合わせて来日したカジェハに、アートの道を志したきっかけや、“BIG EYE(大きな目)”をトレードマークとするキャラクターが生まれた経緯、本展の見所などについて話を聞いた。
渡邊:私は小さい頃、母親のクローゼットの中で香水が香る洋服に囲まれて、眺めながら、仕事が忙しく不在がちだった母親への寂しさを紛らしていました。「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」のオートクチュールのドレスやスーツの優雅さや格好良さにウットリした記憶があります。その後、芸能の仕事をするようになってからは、「洋服好きで、よかったな」と感じることが多々ありました。木村佳乃のデビューと同時にスタートした芸能の仕事は分からないことだらけで、未熟な自分には悩みが押し寄せる日々でしたが、洋服が支えてくれました。休みの日には南青山の「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」によく行ってパワーチャージしていました。特に着こなしが難しそうな「ジュンヤ ワタナベ(JUNYA WATANABE)」の服は、試着室にこもって延々と試しました。そして着こなしに成功した服を、御守りの感覚で仕事現場に着て行ってました。ジュンヤさんの既成概念に囚われない自由な発想の服は、理屈抜きで迷い多き当時の自分を肯定してくれていたんだと思うんです。一番印象が強いのは、たまたま銀座のセレクトショップで、欲しかった「アライア(ALAIA)」の黒いカーディガンを試着していると、とても強いオーラを放った素敵な女性に「あなた、それとても似合う」と声をかけられたことです。すぐに川久保玲さんだとわかりました。あまりのサプライズに興奮しながら、そのカーディガンを握りしめてレジに向かいました。その時に改めて気がついたんです。これからも、自分が好きな服を着よう。周りの目を気にするのではなく、自分が自分らしくいられるかを気にしよう。EverWonderを通じて次世代の優れたデザイナーさん達と出会い、その人たちが創る服を着て新たなワクワクをもらえたら、これ以上の幸せはないな!と思っています。
阿部のビジョンであり、今回のコレクションのテーマでもある“安心と裏切りのバランス“、クラシックで普遍的な“トリニティ”のDNA(=安心)は残しながらも、一度解体して新たなものに再構築した(=裏切り)絶秒なバランスは、キャンペーンムービーの中でも描かれている。空間に現れる3つの光のリングは、宇多田の身体に絡み合っていくように接近。彼女が光を迎え入れるように手を伸ばすと、新しく構築された“トリニティ”が実体化される。宇多田ヒカルによる「Somewhere Near Marseilles -マルセイユ辺り-」の楽曲と革新的なライティングの空間で、普遍的なデザインを持つ「カルティエ」のアイコン、“トリニティ”が進化する演出を楽しみたい。
例えば(NOUS ETUDIONS)」は、テキスタイルの質感を大事にしたミニマムでオーバーサイズなシルエットが特徴、新しい世代と時代を打ち出すジェンダーレスでサステナブルなアルゼンチン発のブランドだ。「ヴィーガンオロジー(VEGANOLOGIE)」は「Fashion should be caring(ファッションには思いやりがあるべき)」をコンセプトに100%リサイクルの素材で生産した商品を展開するドバイ発のビーガン・アクセサリー・ブランド。「ヴィーガン・タイガー(VEGAN TIGER)」は、トレンディなコレクションで注目される、韓国でのビーガンなファッションシーンを先導する存在だ。カナダの「マインドフル・ピッグス(MINDFUL PIGS)」はモダンな思想を現代に落とし込み、ウィットに富んだファッション性の高いアイテムが揃える。「センティエント(SENTIENT)」は、サボテンレザーを使用するメキシコの発ビーガン・レザー。ブランドだ。「シューズ・ゴーサンゼロヨンゴー(SHOES 53045)」は、生産や輸送の過程で発生する二酸化炭素排出量の多さに気づき、それらを見直すフランス発のハイテクスニーカーブランド。そしてアメリカからは、「ダーク・ソウル」をコンセプトにエッジの効いたコレクションを展開する「ファン・オール・フレームズ(FAN ALL FLAMES)」や、生産と消費が環境に与えるインパクトの大きさを念頭に置いた上で洗練されたシューズを提示する「シルバン・ニューヨーク(SYLVEN NEW YORK)」、そしてオールプラントベースで作られたルームシューズブランドの「ドゥーリーズ(DOOLEYS)」が参加した。
エリー・ローズ:私は生活のムードやフィーリング、肌や体のコンディションを全て「トーン」=「音」で捉えています。音楽もスキンケアも、私を心地よい状態に仕上げてくれる生活に欠かせないものです。スキンケアと音楽を融合させることで、自分にしか作れないストーリーが生まれるのではないかと考えました。ブランドのコンセプトは“setting the tone”。「オトネ」はそんな「トーン」と、「音」(オト/ネ)を重ねています。
(左)鎌本勝茂/「スキット」オーナー:(かまもと・かつひで)1978年青森県生まれ。東京・吉祥寺や大阪・堀江など全国4カ所に居を構える、スニーカーショップ「スキット」のオーナー。珍しいアイテムや良心的な価格設定で、スニーカーヘッズのみならず海外からも注目を集める。自身も日本有数のコレクターであり、その数は2000足を超える (左)マイ/「サヴォイ」ブランドディレクター:(MAI)シンプル&エフォーレストをテーマに、日常で気軽に楽しめるスタイルを独自の世界観で発信。カルチャーありきのスタイルを確立させるのに必須なスニーカーと、自身のブランドをミックスしたコーディネートに定評がある。特に「ニューバランス」はコアなセレクター PHOTO:KAZUSHI TOYOTA
フランス・パリ発ジュエラー「ショーメ(CHAUMET)」のジャンマルク・マンスヴェルト(Jean Marc Mansvelt)最高経営責任者(CEO)が2年半ぶりに来日した。今回の来日の目的は、日本の市場動向を肌で感じるためだ。同CEOは、1990年から(他社に在職中も)2019年まで、毎年3カ月に1度は来日。「コロナ禍の2年半は、まるでバツゲームのように来日いる」と親日家の一面を見せる。マンスヴェルトCEOにコロナ前後の市場の変化や日本市場、今後の戦略について聞いた。(PHOTOS:TSUKASA NAKAGAWA)
クリームラー:アクリスは 目的を持ち自立した女性(Independent Woman With Purpose)のために服作りをしてきた。アクリスのファッションは女性の生活をより快適にし、女性が持つありのままの美しさや優雅さを引き立てることにある。クリーンでスリーク、ミニマリストなデザインは女性の個性を引き立て、エンパワーし、女性のあらゆるライフシーンをサポートする。これがアクリスのコアバリューだ。アクリスの服はただ女性を着飾るのではなく、洋服をまとった時女性がどのように感じるか、ファブリックが肌に触れたときの感覚、つまり着心地を何よりも大切にしている。
篠原ともえ:1979年3月29日生まれ。1995年に歌手デビュー。その後、文化女子大学短期大学部服飾学科でファッションデザインを学び、衣装デザイナーとして松任谷由実や嵐などの衣装を手掛ける。2020年に夫でアートディレクターの池澤樹とクリエイティブスタジオ・STUDEO(ストゥディオ)を立ち上げ、さらに創作の幅を広げる。 PHOTO:KAZUSHI TOYOTA
サリー楓 PROFILE:(サリー・かえで)1993年京都生まれ。日建設計NAD コンサルタント。国内外のデザインファームを経験後、ブランディングコンサルタントとして独立。2017年から女性として生活。現在、日建設計を拠点に建築や事業の提案を行う傍ら、トランスジェンダー当事者としてLGBTQ+に関する講演を行う。21年、自身が出演するドキュメンタリー映画「息子のままで、女子になる」が公開された。 PHOTO:KAZUSHI TOYOTA
サリー楓(以下、楓):大学在学中は、LGBTQ+に関する講演を行ったり、メディアのインタビューを受けたりといった活動が中心でした。モデルとして活動するようになったきっかけは、2018年にレスリー・キーさんが撮影を手掛けるセクシュアルマイノリティーを可視化することを目的としたプロジェクト「OUT IN JAPAN」に参加したことでした。以降、ジェンダーフリーファッションを提案する「ブローレンヂ(BLURORANGE)」のランウエイショーを歩いたり、「パンテーン(PANTENE)」や美容室「TAYA」などの広告に出演したりしました。文化人してテレビやラジオ番組にも出演しています。
白河:世界的な流れであるジェンダー平等の影響は大きい。14年にUNウィメン(国連女性機関)の大使に就任した女優のエマ・ワトソン(Emma Watson)は女性たちをかなり勇気づけた。また17年に米国から広がった「Me Too」運動の影響も大きい。これをきっかけに女性たちが連帯する動きがあった。近年はLGBTQへのサポートプログラムも盛んで、国内ではソフトバンクはが家族割を同性パートナーでも使える制度や、福利厚生を男女のカップルに限らない制度を導入している。また広告の力でジェンダーに関するステレオタイプを打ち破ろうという動きも活発で、ユニチャームの生理プロジェクト“no bag for me”キャンペーンや、P&Gの「パンテーン」が行った「令和の就活ヘアを自由に」というキャンペーンなど、社会のジェンダー表現に対する意識が高くなっている。ここ数年は一種のジェンダーブームとも言える状況にある。