デジタル・コレクション賛否両論 「ボッター」「コーシェ」などデザイナー4組が踏み出す新たな一歩

 2021年春夏シーズンのコレクションサーキットが開催されている中、参加するデザイナーたちはデジタルでの表現についてどう考えているのだろうか。またパンデミックを機に、ファッション業界のサプライチェーンと販売スケジュールを持続可能なものに見直すべきという声も上がっており、ファッションビジネスを取り巻く環境が劇的に変化しようとしている。しかし、大きな変化には予算とリクスが付き物でもある。「ボッター(BOTTER)」「ロク(ROKH)」「セシル バンセン(CECILIE BAHNSEN)」「コーシェ(KOCHE)」のデザイナー4組に、理想と現実を聞いた。

BOTTER
「リアルかデジタルかではなく時代に適応すること」

Q.6月のパリ・メンズに映像で参加していたが、デジタルでの発表をどう感じた?

ルシェミー・ボッター(Rushmey Botter以下、ルシュミー):新しい挑戦にはいつだって前向きだし、柔軟に対応していきたいとは思っている。けれど、やっぱりリアルのショーのパワーには及ばないと個人的には感じた。

リジ―・ヘレブラー(Lisi Herrebrugh以下、リジー):リアルかデジタルかという選択肢ではなく、時代に適応していくことが必要。バーチャルでのプレゼンテーション形式やこれから始めるデジタルショールームなどすべてが新しいことばかりで今は不安よりも期待の方が大きい。業界全体の新しいチャプターの始まりである時代を体験していることはとても貴重な経験だ。

Q.ロックダウン(都市封鎖)期間中に2人に変化は?

ルシェミー:ブランドをスタートさせてからの2年は、2人でシャボン玉の中にいるような感じだった。外の世界との交流が少なく、ファッションという枠の中でデザインに集中し、緊張感が張りつめていた。それは決して悪いことはないけれど、ロックダウン中の2カ月はそのシャボン玉を割って、もとの自分に復元できたように思う。実家のあるオランダに帰省し、お互いの家族と約2カ月間一緒にいた。たくさんスケッチを描き、これからの未来についてゲームプランを立てるようにワクワクしながら過ごせた。

Q.新しいファッションカレンダーには適応できる?

リジー:効率的でとても理に適っている。もし実現するならとてもポジティブな変化だし、過剰生産を抑える点については共感できる。私たちも適応できるだろう。制作チームや工場と密にコミュニケーションをとって構造を組み立て直す必要はあるが、私たちは大きいブランドではないからこそ柔軟に対応できる。約1年間は調整期間としてかつて以上の労力を要するだろうし、資金面でも苦しくなる可能性はあるけれど、世の中に求められるブランドであり続ければ生き残れる。逆にそうでなければ、どんなブランドも業界の変化に関係なく消えていくだけだ。ただ顧客がどのように受け入れるのはまだわからない。本気で実現するためには業界全体が一気に足並みをそろえないとだめだ。

ルシェミー:以前から在庫品を残すことには違和感を感じていた。「ボッター」は以前から過剰生産を回避するためにシーズンレスなデザインを進めたいと思っていたし、パンデミックを機にその思いは強くなった。環境問題を考慮して一着ずつの価値を上げるためにも、各商品の生産数は制限している。例えばコートなら32着しか生産せず、それぞれにシリアルナンバーを振っている。僕たちが提供したいのは“ワードローブになじむアートな服”であり、生産した服が在庫として眠るのではなく、誰かにとってかけがえのない一着になってほしいと願っている。

ROKH
「デジタルで新しい視点が生まれるはず」

Q.デジタルでの発表方法に可能性を見出している?

ロク・ファン(Rok Hwang以下、ロク):バーチャルのショーをリアルでの体験と完全に置き換えることはできない。それぐらいリアルでの体験は特別なものだから。会場や音、光、聴衆、動き、そしてモデルはとても素晴らしい体験を与えてくれる。ただ一方で、デジタルのプレゼンテーションも今後は非常にクリエイティブになっていくとも思う。そう遠くない未来に、多くのアイデアとテクノロジーによって私たちに新しい視点が生まれるはずだ。

Q.デジタルショールームではどのような施策を取った?

ロク:多くの準備が必要だったが、ブランドとして明確な視覚的情報を可能な限り取引先と共有したかった。バーチャルミーティングとショールームで予約のスケジュールを組み、ルックブックとともに360°のアングル写真、着用時の詳細写真、全身の動きをビデオで撮影した。服のフィット感を伝えるために、モデルとのバーチャルミーティングも毎日行った。リクエストに応じて、クライアントには生地と柄のサンプルをまとめて郵送もしている。とにかく関わる相手とのコミュニケーションを密にとり、つながりを維持することが大事だ。デジタルでもリアルでも、結局は人間同士のやりとりなのだから。

Q.新しいファッションカレンダーについてはどう思う?

ロク:賛成だ。顧客や消費者にとっても、季節や気候に合わせて商品を手に入るため理にかなっている。現実的だし、ファッションがより感情的に顧客に寄り添えるのではないか。セール期間を縮めることも、広い視野で見れば業界全体がもっとサステナブルになれる可能性を秘めている。ただし、ファッションのシステムやカレンダーが分断されてしまうことも考えられる。

Q.メリットとデメリットは何だと思う?

ロク:メリットの方が多いとは思う。アイテムの自由度は高まり、ブランドにとっては気候に合わせたデザインのアプローチができるようになる。欠点は、新たなスケジュールに変更になった場合に生産時期とバカンスシーズンが重複してしまう可能性がある点だ。ただ、事前に工場と連係して計画すればクリアできるとも確信している。パンデミックが起こった際もそうやって乗り越えてきたのだから。

CECILIE BAHNSEN
「ファッションは時代に合わせて発展し続けるから美しい」

Q.デジタルでの発表方法に可能性を見出している?

セシル・バンセン(Cecilie Bahnsen以下、セシル):デジタルとリアルの体験が同等になることは決してないが、デジタルは音と視覚を通してブランドの感情を示すことができる方法だ。デジタルでの発表は、私たち自身の解釈を通して時代に発信することができるので素晴らしいこと。受け取り手の想像力を膨らませて新しい価値観を生み出せそうな可能性を感じた。
 
Q.新しいファッションカレンダーが実行されたら、適応できる?

セシル:仕事のやり方を変えることは難しい部分もあるが、ファッションとは常に進化し、時代に合わせて発展し続けるもの。それがファッションの美しさの一つでもある。その過程で問題が生じても、サステナブルに機能するよりいい方法であれば、私たちは乗り越えないといけない。

Q.工場との連係などで懸念している点は?

セシル:懸念点はない。なぜならパンデミックの前から常に過剰生産の問題を意識してきたからだ。無駄のない生産方法を考えているし、工場とともに進化できるように常に研究と努力を重ねている。製品とファブリックの全てが廃棄されることなく利用されるために、これからも続けていきたい。

KOCHE
「リアルでのショーはお金で買えない貴重な財産」

Q.デジタルでの発表方法に可能性を見出している?

クリステル・コーシェ(Christelle Kocher以下、クリステル):ファッションは全てが実現可能だ!今後は多くの人を引きつけるデジタルフォーマットが出てくると確信している。でも正直なところ、6月のデジタル・ファッションウイークでは、本当に魅力的なプレゼンテーションは見つけられなかった。私にとってリアルのショーは、個人のビジョンを共有して感情をかき立て、異なるコミュニティーに招待する方法である。ブランド立ち上げ当初からショーはブランドの基盤になってきた。東京のファッション・ウイークでも2回ショーを行い、日本の人々とも関係を築くことができた。これはお金で買うことのできない貴重な財産である。私にとってコレクションを発表する最良の方法は間違いなくリアルであり、現時点ではテクノロジーに置き換えることはできない。リアルな衣服、リアルなモデル、リアルな職人によって成り立っているファッションは、“リアル”なのだから!

Q.デジタルショールームではどのような施策を取った?

クリステル:OTBグループと、初めてのデジタルショールーム「ハイパー リアル ルーム(HYPER REAL ROOM)」を開発した。これはバイヤーと私たちにとって全く新しい体験だった。重視したのは、デジタルツールに私のインスピレーションとコレクションの雰囲気を投影すること。これがかなり大変だった。デジタルショールは2つのフェーズに分かれている。ひとつは映像や音楽、芸術性に重きを置いた“感情面”。もうひとつは、価格やラインシートなどの必要事項を表示するもので、ビジネス的な使いやすさを重視している。生地に触れてサンプルの試着ができるリアルなショールームと同じとは言えないものの、結果にはとても満足している。

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デジタル・コレクション賛否両論 「ボッター」「コーシェ」などデザイナー4組が踏み出す新たな一歩

 2021年春夏シーズンのコレクションサーキットが開催されている中、参加するデザイナーたちはデジタルでの表現についてどう考えているのだろうか。またパンデミックを機に、ファッション業界のサプライチェーンと販売スケジュールを持続可能なものに見直すべきという声も上がっており、ファッションビジネスを取り巻く環境が劇的に変化しようとしている。しかし、大きな変化には予算とリクスが付き物でもある。「ボッター(BOTTER)」「ロク(ROKH)」「セシル バンセン(CECILIE BAHNSEN)」「コーシェ(KOCHE)」のデザイナー4組に、理想と現実を聞いた。

BOTTER
「リアルかデジタルかではなく時代に適応すること」

Q.6月のパリ・メンズに映像で参加していたが、デジタルでの発表をどう感じた?

ルシェミー・ボッター(Rushmey Botter以下、ルシュミー):新しい挑戦にはいつだって前向きだし、柔軟に対応していきたいとは思っている。けれど、やっぱりリアルのショーのパワーには及ばないと個人的には感じた。

リジ―・ヘレブラー(Lisi Herrebrugh以下、リジー):リアルかデジタルかという選択肢ではなく、時代に適応していくことが必要。バーチャルでのプレゼンテーション形式やこれから始めるデジタルショールームなどすべてが新しいことばかりで今は不安よりも期待の方が大きい。業界全体の新しいチャプターの始まりである時代を体験していることはとても貴重な経験だ。

Q.ロックダウン(都市封鎖)期間中に2人に変化は?

ルシェミー:ブランドをスタートさせてからの2年は、2人でシャボン玉の中にいるような感じだった。外の世界との交流が少なく、ファッションという枠の中でデザインに集中し、緊張感が張りつめていた。それは決して悪いことはないけれど、ロックダウン中の2カ月はそのシャボン玉を割って、もとの自分に復元できたように思う。実家のあるオランダに帰省し、お互いの家族と約2カ月間一緒にいた。たくさんスケッチを描き、これからの未来についてゲームプランを立てるようにワクワクしながら過ごせた。

Q.新しいファッションカレンダーには適応できる?

リジー:効率的でとても理に適っている。もし実現するならとてもポジティブな変化だし、過剰生産を抑える点については共感できる。私たちも適応できるだろう。制作チームや工場と密にコミュニケーションをとって構造を組み立て直す必要はあるが、私たちは大きいブランドではないからこそ柔軟に対応できる。約1年間は調整期間としてかつて以上の労力を要するだろうし、資金面でも苦しくなる可能性はあるけれど、世の中に求められるブランドであり続ければ生き残れる。逆にそうでなければ、どんなブランドも業界の変化に関係なく消えていくだけだ。ただ顧客がどのように受け入れるのはまだわからない。本気で実現するためには業界全体が一気に足並みをそろえないとだめだ。

ルシェミー:以前から在庫品を残すことには違和感を感じていた。「ボッター」は以前から過剰生産を回避するためにシーズンレスなデザインを進めたいと思っていたし、パンデミックを機にその思いは強くなった。環境問題を考慮して一着ずつの価値を上げるためにも、各商品の生産数は制限している。例えばコートなら32着しか生産せず、それぞれにシリアルナンバーを振っている。僕たちが提供したいのは“ワードローブになじむアートな服”であり、生産した服が在庫として眠るのではなく、誰かにとってかけがえのない一着になってほしいと願っている。

ROKH
「デジタルで新しい視点が生まれるはず」

Q.デジタルでの発表方法に可能性を見出している?

ロク・ファン(Rok Hwang以下、ロク):バーチャルのショーをリアルでの体験と完全に置き換えることはできない。それぐらいリアルでの体験は特別なものだから。会場や音、光、聴衆、動き、そしてモデルはとても素晴らしい体験を与えてくれる。ただ一方で、デジタルのプレゼンテーションも今後は非常にクリエイティブになっていくとも思う。そう遠くない未来に、多くのアイデアとテクノロジーによって私たちに新しい視点が生まれるはずだ。

Q.デジタルショールームではどのような施策を取った?

ロク:多くの準備が必要だったが、ブランドとして明確な視覚的情報を可能な限り取引先と共有したかった。バーチャルミーティングとショールームで予約のスケジュールを組み、ルックブックとともに360°のアングル写真、着用時の詳細写真、全身の動きをビデオで撮影した。服のフィット感を伝えるために、モデルとのバーチャルミーティングも毎日行った。リクエストに応じて、クライアントには生地と柄のサンプルをまとめて郵送もしている。とにかく関わる相手とのコミュニケーションを密にとり、つながりを維持することが大事だ。デジタルでもリアルでも、結局は人間同士のやりとりなのだから。

Q.新しいファッションカレンダーについてはどう思う?

ロク:賛成だ。顧客や消費者にとっても、季節や気候に合わせて商品を手に入るため理にかなっている。現実的だし、ファッションがより感情的に顧客に寄り添えるのではないか。セール期間を縮めることも、広い視野で見れば業界全体がもっとサステナブルになれる可能性を秘めている。ただし、ファッションのシステムやカレンダーが分断されてしまうことも考えられる。

Q.メリットとデメリットは何だと思う?

ロク:メリットの方が多いとは思う。アイテムの自由度は高まり、ブランドにとっては気候に合わせたデザインのアプローチができるようになる。欠点は、新たなスケジュールに変更になった場合に生産時期とバカンスシーズンが重複してしまう可能性がある点だ。ただ、事前に工場と連係して計画すればクリアできるとも確信している。パンデミックが起こった際もそうやって乗り越えてきたのだから。

CECILIE BAHNSEN
「ファッションは時代に合わせて発展し続けるから美しい」

Q.デジタルでの発表方法に可能性を見出している?

セシル・バンセン(Cecilie Bahnsen以下、セシル):デジタルとリアルの体験が同等になることは決してないが、デジタルは音と視覚を通してブランドの感情を示すことができる方法だ。デジタルでの発表は、私たち自身の解釈を通して時代に発信することができるので素晴らしいこと。受け取り手の想像力を膨らませて新しい価値観を生み出せそうな可能性を感じた。
 
Q.新しいファッションカレンダーが実行されたら、適応できる?

セシル:仕事のやり方を変えることは難しい部分もあるが、ファッションとは常に進化し、時代に合わせて発展し続けるもの。それがファッションの美しさの一つでもある。その過程で問題が生じても、サステナブルに機能するよりいい方法であれば、私たちは乗り越えないといけない。

Q.工場との連係などで懸念している点は?

セシル:懸念点はない。なぜならパンデミックの前から常に過剰生産の問題を意識してきたからだ。無駄のない生産方法を考えているし、工場とともに進化できるように常に研究と努力を重ねている。製品とファブリックの全てが廃棄されることなく利用されるために、これからも続けていきたい。

KOCHE
「リアルでのショーはお金で買えない貴重な財産」

Q.デジタルでの発表方法に可能性を見出している?

クリステル・コーシェ(Christelle Kocher以下、クリステル):ファッションは全てが実現可能だ!今後は多くの人を引きつけるデジタルフォーマットが出てくると確信している。でも正直なところ、6月のデジタル・ファッションウイークでは、本当に魅力的なプレゼンテーションは見つけられなかった。私にとってリアルのショーは、個人のビジョンを共有して感情をかき立て、異なるコミュニティーに招待する方法である。ブランド立ち上げ当初からショーはブランドの基盤になってきた。東京のファッション・ウイークでも2回ショーを行い、日本の人々とも関係を築くことができた。これはお金で買うことのできない貴重な財産である。私にとってコレクションを発表する最良の方法は間違いなくリアルであり、現時点ではテクノロジーに置き換えることはできない。リアルな衣服、リアルなモデル、リアルな職人によって成り立っているファッションは、“リアル”なのだから!

Q.デジタルショールームではどのような施策を取った?

クリステル:OTBグループと、初めてのデジタルショールーム「ハイパー リアル ルーム(HYPER REAL ROOM)」を開発した。これはバイヤーと私たちにとって全く新しい体験だった。重視したのは、デジタルツールに私のインスピレーションとコレクションの雰囲気を投影すること。これがかなり大変だった。デジタルショールは2つのフェーズに分かれている。ひとつは映像や音楽、芸術性に重きを置いた“感情面”。もうひとつは、価格やラインシートなどの必要事項を表示するもので、ビジネス的な使いやすさを重視している。生地に触れてサンプルの試着ができるリアルなショールームと同じとは言えないものの、結果にはとても満足している。

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「やっぱりサロンワークが好き」 ファッション業界人のファンも多いヘアサロン「フリューリ」誕生秘話

 「WWD ビューティ」の月刊化第1号となった9月号では、「ファッション業界人も通うヘアサロン」を特集した。取り上げた「フリューリ(FLEURI)」は、昨年9月にヘアメイクとしても活躍するSakieスタイリストが立ち上げたヘアサロンだ。特集内では、「フリューリ」のこだわり、なぜファッション業界人も通うサロンなのかについて解説しているが、そもそもなぜサロンをオープンしたのか?サロンから独立してフリーランス美容師として、ヘアメイクの仕事なども行う20代後半〜30代の若手美容師がここ数年増えている中で、あえてサロンをオープンした理由を聞いた。

WWD:まずこれまでの経歴を教えてください。

Sakieスタイリスト(以下、Sakie):専門学校卒業後、都内のサロンに就職しました。そのサロンは海外にも店舗展開をしていたので、自分が希望したことやタイミングもあって、ニューヨークでも2年間スタイリストとしてサロンワークをしました。ヘアメイクの仕事は前サロンのときからやっていて、自分のサロンをオープンした今でも月に5〜6件ほどヘアメイクの仕事をしています。

WWD:雑誌の撮影やアートワークの制作などヘアメイクとして精力的に活動しており、サロンをオープンしなくてもヘアメイクとしての道も選べたのでは?フリーランス美容師も最近ではどんどん増えていますよね。

Sakie:昨年、前サロンを離れることを決めたときにはヘアメイクとしての道も考えましたが、やっぱりサロンワークが大好きなんです。撮影やこういった取材もサロンのお客さまがきっかけとなってつながっていくことも多いですし、サロンでの会話から撮影が決まることもあります。モデルさんも、撮影のときに自分のサロンを持っていることを話すと来てくれることも多く、いろいろなつながりを持てます。撮影現場ではアレンジや毛流れを変えたりしてその瞬間でかわいいものをつくるという点が勉強になります。一方でサロンワークはカットやカラーをして1〜2カ月間はお客さまがそのヘアスタイルで過ごします。だからすごく大切な仕事だと思います。だからこそ美容師はすごく好きな仕事ですし、来てくれるお客さまもいたので、長い目で自分のビジョンを考えたときにヘアメイクだけをするよりはお店を立ち上げていろいろな交流を持ちたいと考えました。

WWD:この取材も「フリューリ」のお客だという、ファッション業界人への取材から実現したものですよね。しかし、お店を持つことはさまざまな苦労もつきものだと思いますが。

Sakie:物件探しから内装など、オープン準備期間は3カ月とかなり急ピッチで進めました。大変という気持ちよりも、待ってくださっているお客さまもいたのでできるだけ早く作ろうという気持ちでいっぱいでしたね。「(当時)27歳でお店を開くってすごいね」と言ってもらえることも多いんですけど、資金面は公的機関から融資を受けることもできますし、やりたいことや場所が明確に決まっていれば、みなさんが想像しているよりも意外と大変ではないと思います。また20代で始めれば軌道修正がいくらでもきくと思ったのも大きいです。

WWD:若い世代のオーナーの考え方はこれまでとは大きく変化してきたように思います。

Sakie:美容師の仕事は手に職の仕事ですし、自分で働いていくために技術を学んできたわけで、「ずっとうちのサロンで働いてくださいね」って言われるとお店の経営や金銭面のことだけを考えて言われているような気がしてしまって……。50代60代になってもスタイリストとしてサロンに立ち続けることができるかと考えたら、難しいかなと思いました。

WWD:「フリューリ」にはSakieさんのほかにスタイリストの方が2人所属しているんですね。

Sakie:メンバーとしていますが出勤時間もバラバラですし、お客さまの来店に合わせて出勤するのもありにしています。完全歩合制なのでフリーランスで「フリューリ」に所属しているようなイメージです。ヘアメイクとしても活動しているスタイリストとは1カ月会わないときもあるぐらいです。個々に取り組んでいる仕事について報告はしてもらっていますが、「フリューリ」を使って自分がなりたい将来のために動いてほしいという思いと、サロンをたくさんの人に知ってもらいたいのでお店の発信をしてもらうこととトレードしている感じです。スタッフには、チームではあるけれども自分のやりたいことに向かって自由に動ける時間として使ってほしいという思いが強いですね。

WWD:最後にそんな思いを抱えるSakieさんはどんな人と働きたい?

Sakie:常に採用募集をかけているわけではないのですが、うれしいことに新卒採用や中途採用について聞かれることも多いんです。美容が好きな気持ちが伝わってくると嬉しいですけど、将来的に夢をかなえるかかなえないかは別として、自立して目標がしっかりしていて、「フリューリ」のことを理解してくれる人であればできるだけ協力したいと考えています。

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コンセプトは “お客さまに感動を その先の快適さを” 「ジジ」がヘアサロン「チル」を渋谷にオープン

 「WWD ビューティ」の月刊化第1号となった9月号では、「ファッション業界人が通うヘアサロン」を特集した。取り上げた「ジジ」は、“お客さまに感動を、その先の快適さを”をコンセプトに、ヘアサロン以外にも多方面で事業を展開している。特集内ではファッション業界人から支持されている理由について解説したが、コロナ禍の中、今年9月末に渋谷に3店舗目となる「チル」をオープンした。その理由をここでは間島勇大オーナーにインタビュー。

 また、休業中にネットショップサービス「ベース(the base)」を活用して施術の前売りチケットやオンラインを活用したサロン向けセミナーチケットなどを販売し、独自の取り組みでも注目を集めた「ジジ」の新型コロナウイルスとの向き合い方とは──。間島勇大オーナーに聞いた。

WWD:新型コロナウイルス感染拡大の影響で4月は約1カ月間の休業を強いられましたが、その後顧客の戻りはどうでしょうか。

間島勇大オーナー(以下、間島):5、6、7月と売り上げが徐々に戻ってきて、8月は前年同月を上回る結果になりました。しかし密を避けるために予約の制限や席の間隔を空けるなどしているため、予約に対して席数が足りない状況に陥っていました。

WWD:コロナ下でのサロンの新規オープンはいつにも増して大きな決断だと思いますが。

間島:経営・資金面でのリスクはあるけれども、お客さまとスタッフのことを考え、箱を用意する、環境を整えるという意味合いが大きいですね。

WWD:原宿店ではビニールシートが席と席の間に設置されていますが、新店舗ではこういった感染症対策が当たり前になりますか。

間島:「チル」ではベースとして感染症対策を考慮した上で、空間にゆとりを持たせた設計にしていますし、予約数の制限もしながらスタートします。店舗が増えることでスタッフも移動するので、原宿店も渋谷店も空間をより広く使えるようになったと思います。

WWD:代表は原宿店で店長を務めていた豊島春華スタイリストが務めるのですね。

間島:はい。店舗名の「チル」も豊島が命名しました。人事やリクルートも基本的には任せています。原宿店でトップデザイナーを務めていた大園佳穂トップデザイナーがディレクターに就任することになりました。サポートはもちろんしますし、最終的な決定は僕が下しますが、基本的には意見を取り入れながら任せようと思います。スタッフの人数が増えれば僕一人で統括するのは難しくなるので、「ジジ」では代々木店もそうですが代表を設けて、各店舗ごとの査定によってスタッフの評価や成長に寄り添えるようにサポートしています。

WWD:「チル」の内装について、また今後の計画があれば教えてください。

間島:「ジジ」では“お客さまに感動を、その先の快適さを”をコンセプトに、ライフスタイルカンパニーとしてお客さまの一生に寄り添うためにインテリア事業やウエディング事業、不動産事業なども手掛けています。「チル」でもこのコンセプトに基づき、自社で内装も手掛け、豊島の意見を取り入れながら木材をふんだんに使った温かみのある店内に仕上げることができました。ライフワークカンパニーとして今後も新たなサロンの出店などを計画中です。

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OMOアプリ「フェイシー」のスタイラーが中国のテンセントと協業 「クラウド技術を生かしコロナで苦戦する日本の小売市場に新たな可能性を」

 ファッションのオンライン接客・購買サービスのアプリ「フェイシー(FACY)」をプロデュースするスタイラー(STYLA)はこのほど、中国のIT大手、テンセント(TENCENT)と協業することを発表した。スタイラーは「フェイシー」以外にも、オンラインとオフラインを融合させて豊かな購買体験を設計するOMO事業を手掛けており、今回はテンセントのクラウド事業部門であるテンセントクラウドと業務提携を行った。

 実店舗への集客が困難になりつつあるニューノーマルの時代において、スタイラーはテンセントクラウドの技術を活用し、日本の小売業者や商業施設のデジタルトランスフォメーション(DX)を目指す。ブランドや販売員によるライブ配信・ライブコマースのほか、店舗が閉店時でも営業を継続できる仕組みを提供する。また、商業施設に入ったときにスマホで館内マップなどを見られるロケーションサービスや、消費者が買い周りを避けて効率的に買い物できるようなサービスなども届ける。すでにOMOなど“ニューリテール”が発達している中国の技術を用いることで、日本の小売業界のDXを加速させる狙いだ。

 そんなスタイラーの小関翼代表取締役CEOに、今回の協業についてや、新型コロナウイルスの影響でさまざまな壁に直面している日本の小売業界について聞いた。

WWD: テンセントとタッグを組んだ理由は?

小関翼スタイラー代表取締役CEO(以下、小関): 弊社はユーザーと店舗をデジタルでマッチングするアプリ「フェイシー」を提供している。日本だとリアルな店舗を集約するようなものは珍しく、そのためアプリも年々成長してきた。そこで国内だけでなく海外事業にも挑戦すべく、台湾にも進出していたり、今は中国や東南アジアに新たに進出することにトライしている。その中で中国現地の巨大プレイヤーであるテンセントとつながったことがはじまり。テンセントは店頭のコミュニケーションや店頭の在庫のデジタル化に長けた技術を持っている一方で、われわれは小売り業や不動産開発業の接点が非常に多いので、その2つがコラボレートしたら日本の小売業界にも大きく変化できると感じた。

WWD:今回日本で提供する主なサービスとして発表したのは、ライブ配信やオンライン接客、ロケーションサービスなど。それ以外にはどのようなことを提供するのか?

小関:主に小売業や商業施設の開発に焦点を当てたことを発表したが、実はほかにも沢山ある。ECサイトのメッセージ機能、AIを使った画像の予測サービスの導入から、在庫管理などのバックエンドのサポートまでも可能だ。

WWD:提携の理由の一つに、新型コロナウイルスの影響でメーカーや商業施設から多くの問い合わせが寄せられたことを挙げていたが、具体的にどういった相談があったのか?

小関:よくある悩みは、消費者は商業施設に入れないのに、家賃は払わなければならないということ。店舗が閉店中も販売員を生かしたいという思いもあるだろうし、ライブ配信などをはじめたものの質が良くなかったりノウハウがなくて、思ったよりうまくいっていない。そんな相談を受けることが多い。

WWD:こういった新たなサービスを日本の小売業界に提供することで、一番期待することは?

小関:前提としてユーザーにとってベストなショッピング体験を提供すること。買い物体験が向上することで、苦戦する小売業が新型コロナから復活することをサポートしたい。ECは非常に重要なチャネルのひとつだが、小売り(実店舗)全体を賄えるようなチャネルでもない。今後も店舗には人は戻るとなると、店舗のコミュニケーション、接客のデジタル化、在庫のデジタル化など、店舗とデジタルを両立させたOMO戦略はますます必須になるだろう。今回の提携によって、売り上げの大半を占める実店舗でのショッピング体験を向上させることで、小売り業のコロナ対策と、小売り業の今後の活性化を考えている。

WWD:今回は中国のテンセントと協業したが、中国と日本はだいぶ状況が違うのでは?そのうち日本も中国のようになるのか?

小関:スマホ社会の中国では、パソコンを使わずに全てスマホで完結している。そもそもパソコンは職場で使うくらいで、家に持っていない人も多い。大学生はレポートを音声入力で、スマホで行うくらいだから。そうしてみると、オフラインの場でもスマートフォンが出てくるのは当たり前で、店に行く前も、店舗の中でも商品情報を調べたり、店頭で試して、その場でスマホを使ってECで買うというのも珍しくない。例えば百貨店の化粧品フロアに行ってほしいものがなければ、高確率で店員は「ウィーチャット交換しませんか?」という。つまり店頭の人がスマートフォンを使ったコミュニケーションをするのが標準になっている。日本の若い子も今はあらかじめスマホで調べてから物を買いに行ったりするので、いずれはそうなると思う。

WWD:今は当たり前になっているが、そもそもファッションやビューティなどのライフスタイルカテゴリーが、これまでECやデジタルの発達が進まなかった、その理由は?

小関:洋服やコスメは気分やムード、センスの世界。要は答えがない市場で、選択肢が多い。選択肢が多い中で、自分で選ぶのは面倒くさいし、難しいと感じる人も。だからやっぱり店頭の販売員による接客を求める傾向にある。また日本特有の問題があるとすれば、人材の流通。日本はあまり転職しないことが普通になっていて、業界を変える人も(海外に比べて)少ない。そうすると業界をクロスさせた知見をもっていない。ひとつの業界からすれば当たり前のことを、ほかの業界では気づいていない。新しい技術とか新しいトレンドにキャッチアップするのが遅れがちになる。そもそも硬直的な労働市場で、そもそも店舗のデジタル化、ECにチャンスを見出してもおかしくないけど、そこの人材が供給されない。

WWD:最後に今の日本のファッション、ビューティ、ライフスタイルの小売りの課題は?今後どのように変化していくと思うか?

小関:おそらく、ビジネスモデルの刷新が遅れている企業が多いのではないか。優秀な人材が流れ込みにくくなっていたり、さらに言うとオーナー企業が非常に多い。それらの会社の全盛期が40年前、50年前だとすると、ビジネスモデルの刷新やユーザー向けのサービスの向上が止まっているところも少なくないだろう。コロナは悪い話だが、考える機会を与えたとも思う。今までの考えだと、在庫の8〜9割を店舗で消化しないといけない。ただ店舗が閉まっているし、ECに在庫をあててみたけど思ったほど動かない。これがコロナでみんなが抱える問題。こんな状況下で改めて、ユーザーにどのような価値を提供できるのか、考えるきっかけになったと思う。

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今なぜ革靴ブランドをつくるのか? “日本発のアメリカ靴”「アーチケリー」の場合

 ビジネスウエアのカジュアル化やコロナショックによる自粛生活の長期化により、革靴の需要が減っている。そんな中にあって、今年7月にデビューした日本の革靴ブランドがある。名前は「アーチケリー(ARCH KERRY)」。既製品を作らず、全て受注生産する。価格は9万3000円~と決して安くはないが、清水川栄ディレクターは自信を見せる。今、革靴ブランドをスタートさせる意義、またその勝算について聞いた。

WWD:大逆風の中での船出となった。

清水川栄「アーチケリー」ディレクター(以下、清水川):もともと4月のデビューを目指していたが、コロナショックを受けて最初の展示受注会を7月に延期した。

WWD:「アーチケリー」は受注生産のみで、既製品の卸はしない?

清水川:ブランディング、生産力の2つの側面から現状では考えていない。前者は“一人一人に適正な靴を届けたい”という思いによるもので、東京・文京区にある事務所の階下のイベントスペースで定期的に展示受注会を開催している。次回は9月26、27日で、これが3回目となる。年内にあと3回は実施したい。後者は現状、納品が4カ月待ちになってしまっているので、これを半分の2カ月に短縮にすることが先決だと思っている。また、コロナ下で在庫を抱えることのリスクも考えた。そういった総合的な判断によるものだが、近い将来、百貨店やセレクトショップ、専門店でトランクショー(出張展示受注会)が開催できればと考えている。

WWD:世間にはあまたの革靴が存在しており、同時に市場は縮小している。そんな中でも光る「アーチケリー」の特別性とは?

清水川:約20年間、小売りの現場でたくさんの靴を見てきた。確かに市場には革靴があふれているが、ないものが一つあった。それが“1950~60年代風のアメリカンドレスシューズ”だ。アメリカ靴と聞くと武骨なイメージがあるが、一気に量産化が進む70年代以前の靴には繊細さと個性がある。「アーチケリー」の代表モデルであるパンチドキャップトウシューズは内羽根の7アイレット仕様だ。アイレットの数が増えるとレースステイが広くなり、結果としてキャップトウ(先端)部分が狭く、ドレッシーな印象になる。

目指したのは“繊細な美しさを持ち、履き心地のよいドレス靴”

WWD:実際どんな人がオーダーしている?

清水川:靴好き、ビンテージ好きの男性だ。インスタグラムを使って告知したこともあり、年代は30代が中心と若い。

WWD:オーダーの流れを教えてほしい。

清水川:まずはパンチドキャップトウ、Vチップ、Uウイング、ホールカットの4つから好みのデザインを、続いて国産カーフ、スエード、コードバンなどから革を選ぶ。そしてサイズサンプルを用いてフィッティングを行う。人間の体は左右が完全に対称ということはなく、スポーツ選手やケガをした方の場合、足のサイズが左右で異なることもある。そういった悩みにも対応できるのがオーダーメードだ。また甲高の日本人の足に合わせて、アッパーの調整も可能だ。カウンセリングを経て完成した仕様書は東京・浅草にある工房に送られる。そこで待っているのがビジネスパートナーの舘篤史マスターシューメーカーだ。舘を中心とする職人チームが一足ずつ手作業で生産し、これによって履き心地とフォームの美しさが向上する。

WWD:生産過程にも「アーチケリー」らしさがある?

清水川:特筆すべきは精緻なステッチワークだ。また革の縫い合わせ部分を薄くすいて、折り込んで縫い付ける“カールエッジ”と呼ばれる技法も用いる。靴底は全てレザーソールで、これらはいずれも50~60年代のアメリカ靴の特徴だ。こういったアイデンティティーを日本人のきめ細かな仕事で完成させる。“精緻な表情”こそ「アーチケリー」らしさと言える。

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卑弥呼の新社長はアルバイトから入社した30代 「オリエンタルトラフィック」成長の立役者

 婦人靴の卑弥呼が、新たな改革を進めている。5月1日付で婦人靴ブランド「オリエンタルトラフィック(ORIENTAL TRAFFIC)」を運営するダブルエーの子会社となり、新社長にはダブルエーの新井康代取締役(38)が就任した。

 2020-21年秋冬はこれまで展開してきた6ブランドを、「卑弥呼」「HIMIKO」「ウォーターマッサージ 卑弥呼(WATER MASSAGE HIMIKO)」の3ブランドに統合し、ロゴも一新。商品供給では型数を絞って売れ筋商品の在庫を確保し、店頭とECの在庫を連動させて欠品による買い逃しを減らす。また「オリエンタルトラフィック」でのノウハウを生かし、トレンド感を取り入れたデザインを増やすほか、ノベルティーフェアや、下取りサービスなどの顧客サービスも充実させる。

 新井新社長は「オリエンタルトラフィック」での顧客目線のモノ作りをはじめ、サービスの向上、ブランドイメージの確立に寄与してきた人物。下北沢1号店でのアルバイトを経て、新卒入社。店長やマネジャー、商品企画、取締役などを経験してきた。ファッション企業ではまれな30代の女性社長である同氏にこれまでのキャリアや今後の卑弥呼の戦略について聞いた。

WWD:簡単にこれまでの経歴を教えてほしい。

新井康代・卑弥呼社長(以下、新井):文化服装学院でシューズデザインを学んでいた2002年に、靴の勉強をしたいとアルバイトを始めたのが下北沢の「オリエンタルトラフィック」1号店でした。卒業後にはそのままダブルエーに新卒で入社し、販売員を経て、マネジャー、店舗統括、商品部部長、13年には商品部部長と兼任で取締役になりました。振り返れば、売り場から社長に意見を出すなど、とても生意気な社員だったと思うんですけど、「会社がよくなるために」と行動してきました。現状の下取りやサイズ調整、修理などの店頭サービスの導入に携わってきたほか、出店を加速したタイミングで、モデルを起用したカタログ制作などを始めるなどブランディングにも関わってきました。今もダブルエー取締役を兼任しているので、ダブルエーの恵比寿本社と卑弥呼の渋谷オフィスを半日ずつで行き来しています。

WWD:ダブルエーは女性リーダーが多い?

新井:たくさんいます。役員も社長以外は全員女性です。社長自身がやる気のある人の意見を尊重してくれるタイプなので、どんどん任せてもらってきました。社長はいつも「女性にはかなわない」と言っています(笑)。

WWD:卑弥呼社長に就いて、率直な感想は?

新井:「オリエンタルトラフィック」では合皮皮革を中心に使った海外生産のシューズを扱ってきたので、国産の革靴という新しいジャンルを勉強できるのも魅力に感じました。異なる百貨店の売り場の知識も広がると思って引き受けました(「オリエンタルトラフィック」はショッピングセンターなどが中心)。

課題は「定番頼りで、新しいデザインが少ない」

WWD:卑弥呼の印象は?

新井:強みはこだわりを持ってしっかりと商品を作っているところですね。長い歴史があるので、履き心地のいいラスト(木型)や、特許を取得している水様液を入れたインソールを使った「ウォーターマッサージ」など、戦っていけるブランドがあります。履き心地のいい定番が多く、顧客さまに人気の商品っていうのはたくさんある一方で、常に売り上げの上位が定番で、新しいデザインが少ないのが課題に感じました。

WWD:どのように改革を進める?

新井:新しいお客さまを取り込んでいくためにブランドを編成し直すことにしました。これまで6ブランド展開していたところを、分かりやすく「卑弥呼」「HIMIKO」「ウォーターマッサージ」の3ブランドに集約。漢字表記の「卑弥呼」は3年ぶりに復活させ、ロゴも少し女性らしさが出るように、線を細くしてデザインをリニューアルしました。「卑弥呼」は社を代表する定番商品を扱い、サイズ展開もしっかりそろえていき、ローマ字の「HIMIKO」では、トレンド感のある素材感、少し遊びを取り入れて新規のお客さまにもアプローチできるブランドにしていきます。「ウォーターマッサージ」はこれまでも独立したブランドでしたが、「ウォーターマッサージ卑弥呼」として、“卑弥呼”の名前を入れて打ち出していきます。

WWD:ブランドを絞ることで、在庫の持ち方も効率化する?

新井:在庫はしっかりと積んでいきたいと思っています。特に「卑弥呼」は通年で売っていく定番商品なので、型数を狭めることで1型当たりの発注数を増やすことができますし、より一点一点をヒット作につながるようにしていきたいと思っています。今後、型数は増やす可能性もありますが、吟味しながら対応していきたいです。

WWD:サービス面ではどのようなことを強化していくのか?

新井:販促面では、春夏からシューズボックスを一新しました。これまではすぐつぶれてしまうような箱だったのですが、厚みのある高級感を持たせた素材に変更し、保存袋も一緒にお付けしています。すでに好評をいただいており、秋冬も継続することに決めました。また、新たにノベルティーフェアを開催し、ティペットをプレゼントして他者と差別化を図ります。さらに、お客さまの不要になった靴を引き取って、金券に引き換える下取りサービスも取り入れたいと考えています。「オリエンタルトラフィック」でも行ってきたサービスですが、来店頻度も上がり、リピーターを増やすことができました。「卑弥呼」はすでに顧客、リピーターが多いので、買い替えの施策として取り入れたいと考えています。

他社も厳しい状況は逆にチャンス 
「私たちやる気あります!」とアピール

WWD:現在50店を出店しているが、店舗は増やしていくのか?減らしていくのか?

新井:経営状況を見て検討していく部分ですが、他社も厳しい状況にあるので逆にチャンスでもあると思っています。例えば、もっと売り場面積が広ければ売り上げを見込める店舗については、拡大を考えるなどアプローチをしたいですし、店舗開発も考えていきたいと思っています。百貨店関係者の方にも「在庫ありますよ!私たちやる気あります!」ということをお伝えして攻めているところなので、結果を出していきたいと思っています。

WWD:店頭とECとの連動を強化するオムニチャネルを進めている。

新井:店頭スタッフへのヒアリングを進めていると、「在庫がない」ということが一番の不満になっていました。サイズ欠けで売り逃すことも多く、取り寄せをしても1〜2週間先になってしまうため、せっかく接客をしてもお客さまにご提供できず、売り場のモチベーションも下がってしまう。その解決策として、ECに多く在庫を持ち、店頭で販売したい商品をECから発送できるようにしました。できるだけお客さまが“欲しい”と思ったものを購入できるような体制を作りたいと考えています。

WWD:ECの戦略については?

新井:現在のEC化率は約15%ですが、今後直近で20%くらいにしていきたいと思っています。「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」、マルイ、ロコンドなどのECモールにも出店していますが、自社ECが圧倒的に強いです。ECは成長の一つのエンジンだと思っているので、しっかりと在庫をそろえて店との連携も強化していきます。

WWD:職場のカジュアル化でのパンプス離れ、コロナ禍でリモートワークが進み通勤靴の売れ行きに変化がありそうだ。今後の提案は変わると考えている?

新井:通勤とプライベートとの併用が増えていくと思うので、「卑弥呼」では強みである履き心地は今後もアピールしていける部分だと思っています。きれいな形のパンプスやヒールシューズが定番でそろっているので、今後も履き心地には注力していきたいですね。また、ローマ字表記の「HIKIMO」では、トレンド感のあるデザインも取り入れていきます。シューズを履くときの高揚感というも大事ですので、お客さまにぴったり合う一足を提供していきたいです。

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デジタル・コレクションの賛否両論 海外ジャーナリスト6人が予想する今後のファッション・ウイーク

 6月に開催されたメンズのデジタル・ファッション・ウイークを海外のファッション業界人はどう見たのだろうか。パンデミックを機に、ファッションショーはデジタルという手法で世界中の人に開放された。ポジティブな面もある一方で、ファッションショーの目的やジャーナリストの役割にも変化が起きている今後のデジタル・コレクションの可能性や課題について、各国ジャーナリスト6人の見解を聞いた。

「犠牲はファッションに魅了されるための魔力」
アレキサンダー・フューリー/「フィナンシャル・タイムズ」「アナザー・マガジン」

Q.デジタルのショーやショールームを体験した感想は?

怒濤のスケジュールではあるがショーを見逃すことはなく、リンクをクリックするだけで全てがそこにある便利さは言うまでもない。しかし、直接取材できないことがこれらの長所を打ち消している。ジャーナリストとして、間接的に話すことの大変さに気付かされた。電話やZoomでの取材は対面のそれとは大きく異なり、効率的かもしれないが、妥協でもあると感じた。ファッションにはコミュニティーがあり、人々はそれを愛し、夢を見ているから。私はその感覚を恋しく感じた。 

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

「ディオール(DIOR)」でのキム・ジョーンズ(Kim Jones)のフィルムとドキュメンタリーの組み合わせは、深みと豊かさをもたらせた。またオンラインとフィジカルを融合したジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)の能力の高さが「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」と「ロエベ(LOEWE)」の両方で際立っていたし、「プラダ(PRADA)」も、ブランドの精神を反映した5つの異なる見せ方で新たな可能性を示してくれてうれしかった。「エルメス(HERMES)」はパリのアトリエで撮影した美しい動画だった。クラフトを優先し、甘くエレガントで、服の軽やかさが画面でもはっきりと知ることができた。

Q.今後もデジタル・コレクションは継続してほしい?

デジタル・コレクションは私にとって有益なトレーニングになったと考えている。不満を言うことは控えたい。私たちは、狂気的なスケジュールや遠方への移動、長い日中と短い夜というリアルなファッション・ウイークでは当たり前の状況に嘆き、苦しんできた。でも「その犠牲はファッションに魅了されるための魔力」なのだと伝えたい。みんなが安全な状況で集まり、素晴らしく感動的で有意義なファッションショーを見ることができるようになるのを待ちきれない。私がファッションを愛する理由はそこにあるからだ。

「ショーの価値を再考する機会に」
カティ・チトラコーン/「ヴォーグ・ビジネス」

Q.デジタルのショーやショールームを体験した感想は?

ブランドがショーの価値を再考する機会になるだろう。消費者もよりイベントにアクセスしやすくなり、ファッション業界の排他性が低下して民主化が進むと考えている。ただ、デジタルのショーをフィジカルのイベントの感覚と置き換えることはほぼ不可能だ。一部のブランドは実際に服を見るのが難しく、消費者に役立つかどうかも疑問だった。ほとんどの大手ブランドはこの状況が落ち着くのを待って、ファッション・ウイークは再び通常通りに戻るのではないだろうか。

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

「エルメス」「ジェイ ダブリュー アンダーソン」「ロエベ」だ。「エルメス」はクラフト感を優先した映像で、甘くエレガント、かつ軽快で、画面で服をはっきりと見ることができた。通常は見られないアトリエの中が見られたのもよかった。「ロエベ」は、プレスやバイヤーにはエレメントを詰めたボックスを送り、消費者にはソーシャルメディアや公式サイトで24時間のストリーミングコンテンツを配信して、全方位を完璧に網羅していて感心した。

Q.デジタル・コレクションを体験して感じたメリットとデメリットは?

デジタルのショーは資源や関わる全ての人の時間を節約する。しかし、オンラインに格納されて急いで見る必要がなくなる分、インターネット上の全てのコンテンツが競合関係となる難しさもある。「ファッション・ウイークは誰のために開かれるもの?」という議論が、世界で加速していくだろう。ケリング(KERING)の「グッチ(GUCCI)」や「サンローラン(SAINT LAURENT)」は、秋のファッション・ウイーク参加を見送り、コレクションのスケジュールを再編する意向を表明しているものの、今後はほとんどのブランドが状況が落ち着くのを待ち、ファッション・ウイークは以前のように戻るのではないかと思う。

「デジタルに置き換えることはできる」
マキシム・ルテイヨ/「アンチドート」

Q.デジタルのショーやショールームは今後も継続してほしい?

リアルのファッション・ウイークはたくさんの人に出会うきっかけになるし、感情を揺さぶる力を持っているから大好きだ。でも、それらをデジタルに置き換えることだってできると考えている。フィジカルなショーには巨額の資金が必要で、若手デザイナーにはハードルが高い。でもデジタルであれば彼らのコレクションを多くの人に見てもらうチャンスが広がる。また環境に配慮した物作りを推進するならば、参加するイベントについても同様に考えるべきだ。

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

「Y/プロジェクト(Y/PROJECT)」は映像とショールームでのプレゼンテーションを活用した見事な対応だった。ビデオプレゼンテーションではデザイナーのグレン・マーティンスがスタイリングをいくつも披露してくれて、わかりやすかった。リアルのショーでここまでの奥行きを見せるのは不可能だと思う。

Q.従来のファッション・ウイークのあり方についてあらためて考えたことは?

まず、メンズとウィメンズは一つにまとめるべき。時代が変わっているので、別々に開催することの意味はますます薄れていくだろう。統合することで、世界のジャーナリストやバイヤー、インフルエンサーの移動も少なくなる。

「インフルエンサー頼みではなく本質を考えるきっかけに」
ロッティ・ホウ/中国版「フォーブス」「エル」「ヴォーグ」

Q.デジタルのショーやショールームを体験した感想は?

移動の労力と時間がかからず、ストレスが少なくてよかった。ブランドにとっても、自分たちがどこを目指すべきかを考えるきっかけになったのでは。インフルエンサーの目を引くだけではなく、新しい技術で本質をどう伝えるかを考えて取り組めたはずだ。一方で、ファッションは特権的であるともあらためて思った。全てがデジタル化し、世界中の誰もがファッション・ウイークに参加しても、大衆のマーケットがファッション業界を先導するとは思えないし、フィジカルなショーの魅力をバーチャルの便利さと置き換えることは私にはできなかった。

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

「エルメス」のショーはライブストリーミングの面白さがあった。チーム全体がどのように連係したか、スタイリストがモデルに服をどう着せたか、ディレクターがどう指揮しているのかなどを確認できた。とても興奮したし、緊張感もあった。

Q.デジタル・コレクションを体験して感じたメリットとデメリットは?

ファッション・ウイークのデジテル化は、ファッション業界に必要な革命だったと思う。予算が少ないブランドもチャンスが広がっただろう。ショールームにはさらに適している。バイヤーやジャーナリストは服を見られる機会がさらに増える。しかし現状はリアルと置き換えるものではなく、デジタルはあくまでリアルを補完するものである。次の革命が起こるまで、リアルとデジタルは共存していくだろう。

「ベッドの上で体験するクチュールには違和感」
キャサリン・コリングス/「フー・ワット・ウェア」

Q.デジタルのショーやショールームを体験した感想は?

世界中からでも誰でも参加できることは、明白なメリットだ。デザイナーがデジタル化に挑戦しているのもよかった。大きな変化は、独創性や新たな視点をさらに磨いてくれるから。ただリアルのショーでの魔法のような経験は、デジタルに置き換えられるものではない。ソーシャルメディアでは視聴者が集中して見られる時間は短い。私の拠点はアメリカ西海岸なので、時差も辛かった。ベッドの上でクチュールの美しさを体験するのは違和感があった。

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

「シャネル(CHANEL)」「バルマン(BALMAIN)」「ジャンバティスタ ヴァリ(GIAMBATTISTA VALLI)」は見事だった。「シャネル」はコレクションのムードと職人技に対する理解を深めるのに役立つ素晴らしい内容だったし、「バルマン」の映像からは強いエネルギーを感じた。セーヌ川を下るボートの上をランウエイにし、パリの人も喜んだのではないだろうか。デザイナーのオリヴィエ・ルスタンの若々しさも魅力的だった。「ジャンバティスタ ヴァリ」は催眠術のような映画仕立てで、ほかの多くのブランドよりも完成度は抜きんでていた。

「今後は服のデザインだけでは通用しない」
ユラ・オウ/韓国版「デイズド」

Q.デジタルのショーやショールームは今後も継続すると思う?

世界が大変な状況だが、それでもフィジカルなショーは続くと考えている。韓国・ソウルだと時差があり、就寝前にスマートフォンでコレクションを見ていた。一部のブランドは事前に契約を結んだり、承認が必要だったりで、アクセスが非常に困難だったため、混乱した。でも今後は、ブランドのクリエイティブ・ディレクターはデジタルコンテンツ制作を担う必要があると感じた。服のデザインだけでは通用せず、あらゆる表現方法をビジネスにどうつなげるかを考えなければならない。

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

「プラダ」は何十年にもわたってショーを行ってきたが、今回発表したムービーの最後に残した“The Show That Never Happened”という字幕が強烈だった。ミウッチャ・プラダがいつものショーのように挨拶に出てきたとき、彼女にまた会いたいと強く思わされた。5人のアーティストがそれぞれの解釈で異なる「プラダ」を表現したのも興味深かった。ほかにも「ジェイ ダブリュー アンダーソン」から届けられたキットにはデザイナー自身の誠意を感じたし、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」もよかった。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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デジタル・コレクション賛否両論 海外バイヤー&セールス5人の本音

 ウィメンズでは初となるリアルとデジタルを融合したファッション・ウイークが開催中だが、何ごとにもいい面と悪い面がある。6月に開催されたメンズのデジタル・ファッション・ウイークを海外のファッション業界人はどう見たのだろうか。通常であればバイイングのために現地に渡航し、サンプルを見たり触れたりするバイヤーにとって、実物を見ることのできないデジタルではどう機能したのか。各国のバイヤー4人とショールームのマネジャー1人に、デジタル・コレクションを体験した印象を聞いた。

フランス「プランタン」メンズ・ファッションディレクター兼オンラインビジネス開発ディレクター
「実物に触れられず物足りない」

Q.デジタルでのショーや買い付けの感想は?

製品に触れられないという物足りなさはあるものの、実用的なプロセスであったと思う。

Q.新型コロナは買い付けにどう影響しそう?

セレクトの傾向はクラシックなシェイプに加え、旅行の楽しさを思い出させるために旅を連想させる柄物や、長年大切に着られるタイムレスなピースを意識している。顧客の消費行動にこれまで以上に注意を払い、私たち自身を適応させていく必要がある。

イギリス「ブラウンズ」メンズウエアバイヤー
「新しいかたちでブランドと関われる」

Q.デジタルでのショーや買い付けはどうだった?

想像以上に難しかった。モデルに着せた状態でサンプルを見られないし、触れたり、感じたりできないことはバイヤーにとって大きなマイナスではある。でも、新しいかたちでブランドと関われるのは素晴らしいこと。オンラインは自分のタイミングで見られるのが便利なので個人的には楽しめている。フィジカルの体験とは異なるものだが、オンライン・プラットフォームであればいつでも再訪して繰り返し確認したりメモを取ったりできるので、ブランドの世界観に深く没入できる。

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

「アルワリア(AHLUWALIA)」が本の出版に合わせて行ったVR展示がよかった。デザイナーの作品の多くは自身のルーツであるナイジェリアの文化と遺産に紐づいたもので、アイデンティティーの探究に熱心だ。そんなデザイナーの魂と心が輝いているようで、最高の出来だった。「ロエベ(LOEWE)」の手法も気に入っている。物理的なオブジェクトを使い、ブランドと人々をデジタルでつなぎながら体験を生み出すことに成功していた。

香港「ジョイス」バイヤー
「強気なバイイングを心掛けた」

Q.デジタルでのショーや買い付けの感想は?

良かったのは、渡航のための時間と費用を削減できたこと。バイイングの期間でさえ、チームや友人、家族と過ごしながら仕事ができた。悪かった点は、コレクションや商品を解釈するのに、いつも以上に時間を要したこと。アポイント前に各ブランドから送られてきた生地サンプルやルックブックを用意してのぞんだか、触れることが許されず、世界観を完全に感じ取ることは難しかった。

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」がよかった。ルックブックやインスピレーションに加え、アンダーソンからのメッセージが書かれたキットに世界観が表現されていた。また「アンダーカバー(UNDERCOVER)」も3Dでルックを見ることができてわかりやすかった。ズームして細部を確認できるといった配慮が明確で、助かった。

Q.今後もデジタル・コレクションは継続してほしい?

ショーは将来的にフィジカルとデジタルが融合していくだろう。しかし今は、フィジカルのショーがとても恋しく感じる。ランウエイで表現されるコレクションのムードや舞台、世界観を感じながら、生地を間近で見ることに意味があると思うから。

Q.今シーズンの買い付けにコロナの影響はどう出てきそう?

実際に生地に触れることができない分、セレクトにはより注意深くならなければならない。しかし、顧客のことを考えて強気なバイイングを心掛けており、挑戦的なピースも意識的にセレクトしている。

フランス「トム・グレイハウンド・パリ」バイヤー
「リアルに置き換えることはできない」

Q.デジタルでのショーや買い付けの感想は?

デジタルショールームはリアルを補足するために役立つが、置き換えることはできない。資料に目を通すだけで時間がかかるため、リアルよりも非効率だと感じている。実際にどんな商品が店に届くのかという不安もある。やはり写真は写真でしかなく、触れられない、着られないデメリットは大きい。セレクトした商品もほぼ記憶に残っておらず、驚きに満ちたシーズンになりそう。

Q.デジタルに対応したベストブランドは?

最もよかったのは「コモン スウェーデン(CMMN SWDN)」だ。ビデオやルックブックの見せ方がとても新しく、素晴らしいデジタル体験だった。数シーズン取り扱っているので世界観やメッセージも受け取りやすく、セレクトに困らなかった。ほかには「ジェイ ダブリュー アンダーソン」は専用プラットフォームに加え、ジョア(JOOR)で確認もできて便利だった。ジョアのアカウントを持っているとバイヤーは助かるため、ブランドは活用した方がいいと思う。逆に、手に触れないと理解できないような詰め込み過ぎなブランドは難しかった。

Q.今後もデジタル・コレクションは継続してほしい?

リアルなショーがもつ魔法の力を信じているから、デジタルの利点は見出せない。

ショールーム「トゥモロー」シニア・アジア地域エリアマネジャー
「デジタル・コレクションは絶対に継続して」

Q.デジタルでのショーや買い付けにどう対応した?

デジタルでの買い付けに対応するため、画像と動画を含む360度の多機能ショールームのプラットフォームを構築した。ビデオ会議でバイヤーを案内しながら、デジタルショールームでスムーズにサンプルを紹介できるように試みている。

Q.デジタル・コレクションを体験して感じたメリットとデメリットは?

次のアポイントメントを気にしてスケジュールに追われることがないため、急ぐ必要がないというのは利点だ。バイヤーは都合のいい時に繰り返しコレクションを見ることができ、柔軟性が高いと感じた。アジアとアメリカのバイヤーはヨーロッパ時間に合わせる必要もない。ただし環境によって画像の見え方が変わったり、黒い服はディテールを見せるのが難しかったりするなど課題はある。

Q.デジタル・コレクションを経験して気付いたことは?

リアルとデジタルが今後はより融合し共存していくのだろうと感じた。ラグジュアリーな体験を提供するメゾンはリアルを、新進ブランドや若年層をターゲットにするブランドはデジタルを活用してくのだろう。だからデジタル・コレクションは絶対に継続してほしい。デジタルのショールームは時間と予算に制限のある小規模なチームにとって非常に機能する。ファッション・ウイークの多忙なスケジュールを考慮すると、対面のアポイントメントよりも快適にオーダーを行えるのではないか。

ELIE INOUE:パリ在住ジャーナリスト。大学卒業後、ニューヨークに渡りファッションジャーナリスト、コーディネーターとして経験を積む。2016年からパリに拠点を移し、各都市のコレクション取材やデザイナーのインタビュー、ファッションやライフスタイルの取材、執筆を手掛ける

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泉ピン子が語るファッション観 「キングリーマスク」とのコラボから見えためくるめく服遍歴

 女優の泉ピン子がファッションブランド「キングリーマスク(KINGLYMASK)」とコラボレーションした。メディアからは“シャネラー”と呼ばれていたし、泉自身も「世界中の洋服は着つくした」と豪語するほどの洋服好きで知られるが、意外にもファッションブランドとのコラボは初めて。細かい部分までこだわったというギンガムチェックシャツ(9980円)をはじめ、ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」で演じる小島五月のフォトTシャツ(4980円)や“PINKO IZUMI”と描かれたグラフィックTシャツ(3980円)、トートバッグ(2980円)、マスク(1980円)など、ユニークなアイテムをラインアップし、9月19日11時から「キングリーマスク」の公式オンラインショップで予約販売を開始する。コラボレーションの背景やファッション遍歴、そしてコロナ禍で変わってきたという価値観など、これまでほとんど語ってこられなかった泉ピン子のファッション観に迫る。

WWD:ファッションブランドとコラボした感想は?

泉ピン子(以下、泉):声がかかってびっくりしてますよ。原宿にある(「キングリーマスク」の)お店にも行かせてもらったんだけど、今はなかなか行かない場所じゃない。ちょうどコロナで人出は減っていたんだけど、おもしろかったわ。自分の名前を出すなら品質にもこだわりたいから、お店の商品を何点か買って帰ったの。最初は疑ってかかったんだけど、値段の割に洗濯してもヨレないし、色落ちもないので本当にいいわね。だから最近は「キングリーマスク」のTシャツばかり着て、犬の散歩とかしていますよ。

WWD:“シャネラー”とも言われていましたが、ピン子さんのファッション遍歴を教えてください。

泉:私ね、「ヴェルサーチ(VERSACE、現在はベルサーチェ)」を最初に日本に入れた女よ?(笑)東京プリンスホテルの地階に「ピサ(PISA)」(高級ブティック)ってお店があったの。そこのオーナーに「『ヴェルサーチ』入れてくれない?」って言ったのが最初。最初に買ったのは大小のチェックをミックスした2ピースね。若い頃からミラノに行ったときは「アルマーニ(ARMANI)」に行って自分のサイズに合う服は端から端まで買ったり、ほとんどのブランドのクロコダイルのバッグも買った。「プラダ(PRADA)」でナイロンバッグを買ったこともあるんだけど、それも当時は日本で持ってる人なんていなかったわね。若い頃、友達に「これは似合わないとかこれは着ないとか、そういうことを言い出したら老けた証拠よ」って言われたのが鮮明に頭に残ってるの。だからパッと見ていいなと思ったら今でも買ったうわね。本当にたくさんのブランドの洋服を着ていたから“シャネラー”とも言われたけど、「やめてよ、他にもたくさん着てるわよ」と思ってたわ(笑)。

WWD:コロナ禍でファッションの価値観は変わりましたか?

泉:そうですね。もう高いバッグや洋服は必要ないんじゃない?「ルイ・ヴィトン」も「シャネル」も閉まっているパリの様子を見てそう思いましたね。もう洋服にお金をかける時代は終わったのかも。だから、これを機に服やバッグの断捨離をはじめて、マネージャーの家族にあげたり、着物も全部坂本冬美にあげたの。それで残ったものを見たら全部“使い勝手がよいもの”だったんですよね。

WWD:コラボアイテムの仕上がりを見てどうですか?

泉:デザイナーの佐藤(秀樹)君のアイデアもあって、とても気に入っています。五月のTシャツ、最高でしょ?“PINKO IZUMI”って書いてあるTシャツなんて、逆さにしても“PINKO IZUMI”って読めるの。ナイスアイデアよね。

WWD:今着ているギンガムチェックのシャツもこだわったそうですね。

泉:若い頃からギンガムチェックが好きだったの。だからギンガムチェックの生地を使いたいとリクエストしました。ユニセックスで着てもらいたかったから丈の長さやボタンの位置にもこだわって。女の子は上まで閉じてもかわいいし、男の子にはオープンカラーで着てもらいたいわね。あとは、エコバッグも。レジ袋も有料になったし、エコバッグって大事じゃないかなと思って。

WWD:ファッションに関して、若い人にメッセージを送るとしたら?

泉:今しかないおしゃれをしなさいってことね。私の若い頃は髪の毛を染めたら怒られていたし、何センチじゃないとダメとか、そういう時代だったの。私もみゆき族だったから好きな格好をして、めちゃくちゃ怒られた。おしゃれのために丈の長い洋服を着て、真夏に長袖を着て歩いていたら、うちの親に「お前どうかしたのか?」って言われたから。今の若者は本当に好きな格好をした方がいいと思う。これじゃなきゃダメってのは全くないから。若くなきゃできないファッションもあると思うけど、おばさんだって好きな格好をすればいいと思う。老い先短いんだから大きなお世話じゃない(笑)。でも若者にはもっとおしゃれを楽しんでもらいたいわね。

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スナップ常連だったハイセンスな販売員が語る「仕事の醍醐味」 ケイスリー藤江莉紗子

 かつて「フルーツ」などのストリートスナップ誌の常連だった藤江莉紗子さんは現在、「ジーヴィージーヴィー(G.V.G.V.)」を展開するケイスリー(K3)が運営する、東京・表参道のセレクトショップ「グレープバイン ケイスリー(GRAPEVINE K3)」と同社のオリジナルブランド「ケイスリー(K3)」渋谷パルコ店の2店舗の店長を務めている。オリジナリティーあふれるスタイリングで個性豊かな雰囲気を醸し出していた藤江さんに、ファッションのこだわりやセンスの磨き方、個性派セレクトショップで働くことについて話を聞いた。

―ケイスリーがセレクトする服や「ジーヴィージーヴィー」が個人的に好きなのですが、藤江さんはケイスリーのここが好きってありますか?

藤江莉紗子さん(以下、藤江):そうですね。入社したての頃ならピュアに何でも言えたけど、恥ずかしいですね(笑)。でも、一貫して持っているテーマがあって、時代に流されず、フェミニンとマスキュリンの要素が同居する、その絶妙なバランス感覚が好きです。「ジーヴィージーヴィー」はデザイナーのMUGさんのその時の気分がよく表れていて、人間味のある素敵なブランドだと思います。直接、本人からデザインの意図を聞くことができるのですが、話を聞くほど「服が大好きなんだな」と感じます。着心地、素材、色味とかも緻密に考えられていて、そういった服をお客さまへ自信を持って紹介できるのはうれしいですね。俗にいう“売れ筋”は全くと行っていいほど意識していないので、それを潔く貫いているのもカッコいいです。それに共感するお客さまもたくさんいて、しかも皆さんおしゃれなので刺激があり、働いていて楽しいです。

―それは楽しそう!やりがいがありますか?

藤江:大きい会社ではない分、一人ひとりが関与する領域が大きいのでやりがいはあります。私の場合はショップスタッフであり、2店舗の店長というマネジメントの仕事もあり、それ以外にバイイングも任されているので、そういった幅広い仕事に携われるのはこの規模の会社ならではだと思います。

―お客さまのことを理解している販売経験者がバイイングするのは賛成です。

藤江:私もそう思います。この店の店長になった1年半前からバイイングも任されるようになったんですが、今はいろんなことを任されて何でも屋さんみたいです(笑)。

―そもそも、ケイスリーに入社した経緯は?

藤江:専門学校の同級生に「似合いそうじゃない?」と言われたのがきっかけです。当時、「ジーヴィージーヴィー」はすでに学生の間では人気もあったので、ブランドは知っていましたが、ショップのことはあまり知りませんでした。いろいろと調べてみたら、当時在籍していたスタッフにつながり、トランプルームで紹介してもらったんです。今考えればクラブでファッション関係者とつながるって、その当時らしい流れですよね。

―確かに(笑)。クラブカルチャーに勢いがあった頃の話ですね。子どものころからファッション業界には憧れていた?

藤江:実はそんなにファッション業界で働くことに強い興味があったわけではないんです。学生時代まで本当にやりたいことがなさ過ぎて……(笑)。ただ、両親が百貨店に勤めていたこともあって、ファッションだけでなくヘアメイクやインテリアなどいろいろなことに興味がありました。さらに美大出身の叔母もいて、音楽やアートなど色んなカルチャーを教えてくれたので、興味の幅が広がったんです。進学を決めたときも結局は消去法で「アパレルなら文化(文化服装学院)だよね」というくらいの軽い気持ちで選びました。

―実際に文化に進学してみてどうでした?

藤江:母が専門卒で「専門学校は楽しいよ」と聞いていたんです。それで大学生のようなキャンパスライフを想像していたら、授業や課題が毎日しっかりあって、高校と変わらない生活でビックリしました(笑)。でも、学校自体は楽しかったです。1年次は基礎課程で何着か服を作るのですが、このディテールを作るにはこの工程を経ないと作れないということが分かり、今の仕事にも生かされています。素材の授業は先生から「一番仕事に使うぞ」と言われつつ、覚えることが多くて苦手でしたね。今となっては先生の言葉を信じて、真面目に取り組んでおけばよかったと思います。

―確かに素材は覚えることが多いですもんね。

藤江:一番好きな授業は服装史でしたね。先生が面白い方で「映画からファッションを学ぼう」ということで、年代別に当時の服装が分かる映画を観るんです。紀元前レベルだと「グラディエーター」や「十戒」とか、80、90年代や近年の作品だと、スタンリー・キューブリック(Stanley Kuburick)の作品やゴルチエが衣装を手掛けた映画は勉強になりました。あと、音楽カルチャーとファッションのつながりを解説するために「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」や「ファクトリー・ガール」などのロックミュージカル映画、ニルヴァーナ(Nirvana)やジョイ・ディヴィジョン(Joy Division)のライブ映像など、色んな映像作品を観ました。元々、映画もすごい大好きなんで楽しかったです。

―それは楽しいそう!うらやましい。

藤江:画期的だったと思います。この時代を知るならこの映画を観ろ!という感じでした。
2年次からはコースが分かれて、私はモデルコースに進みました。これも特別な理由はなくて、当時ストリートスナップで写真を撮られることもあったので、役に立つかなと思ったくらい。ウオーキングやヘアメイクなどのモデルとしての授業もあるのですが、被写体になるという授業では自分の脚が一番細く見える角度を研究しようというものがあって、クラスメートとキャッキャッ言いながら研究していましたね。でも、これは今でも役に立っています。

―今はインスタ時代ですもんね。その後ケイスリーでアルバイトを始めますが、例えば他のショップで働こうという気持ちはなかったんですか?

藤江:声はかかっていましたけど、店に行って、商品などを見ていて「あぁ、この店では働きたくないな」と感じました。その店には申し訳ないのですが……。そこでいろいろなショップを見てまわり、自分にはセレクトショップが合うというのが分かりました。飽きっぽい性格なのと、自分が着たいと思ったものを着たいのでブランドやテイストで縛られると窮屈そうだなって(笑)。何より自分が着ていて楽しいと思う服を取り扱っているとことで働きたいと思いました。

―この仕事の醍醐味は?

藤江:販売は難しいけど、楽しいです。自分には向いていると思いますが、ずっと働いていろんなタイプのスタッフとも仕事をしてきて、正直感じるのは「向き・不向き」はあるなと。

―インスタでもそんな質問に答えられていましたね。

藤江:見てくれたんですね!ありがとうございます。コロナ禍で店が閉まる中、ケイスリーのECショップも今までで最高の売り上げをたたき出しているのを見たり、店が再開しても中々ショップに来られないという方が多いのを目の当たりにすると、ショップスタッフの役割や意義って、商品情報や知識を伝えること以上に、キャラクターが大事なのではないかと思ったんです。その商品の魅力を伝えるのは人にしかできない。そこに人柄や話の面白さ、雰囲気、外見、ファッションセンスなどなど、いろいろな要素が加わって、自分の個性を際立たせればおのずとファンがついてくる。そう思うようになりました。

―その考えに行きついたのは?

藤江:入社当初は「ドロップトーキョー」「フルーツ」などのストリートスナップに出してもらっていたので、私に会いに来てくれる方が多かったんですが、それも徐々に減っていきました。その後はおしゃべり好きなのと幅広い趣味のおかげで仕事は楽しくできましたが、その中でコミュニケーション能力が大事だと確信しました。そこであらためて「じゃあECサイトで買おうか」と思わなくなる接客とは?」などと考えるようになりました。

一斉休業することになって、あらためて店や販売員の存在、接客について、私も深く考えさせられました。

藤江:私は今の会社しか経験がないのですが、自分にはこの会社が合っていて、何でも挑戦できる規模感がよいと感じています。反面、何でもできるからこそ体力勝負、体育会系なところもあるので、店頭でキラキラ輝いているところだけを見て入社すると、先ほどの向き・不向きにつながるのではないかと思うのです。私は憧れや夢はそこまで持っていなかったのと、周囲にこの仕事をしていた人がいたから、現実的に捉えることができてよかったのかもしれません。

―改めて、どんな方がショップスタッフに向いていると思いますか?

藤江:まずは、おしゃべりが好きな方、服が好きな方にはおすすめします。ただし、服に詳しければいいってものでもないかな?と思います。私自身はオタク気質があって、小学生の頃は図鑑を持ち歩いて読む子でした。今でも漫画、映画、音楽、それ以外にも趣味が広く浅いのですが、そういった趣味で蓄積したことが100%生かせる仕事なんです、販売って。接客中の会話の引き出しの数を人より多く持ち、お客さまをよく見て、この方にはこの引き出しという選別をする。この選別する力は経験即もあるかもしれませんが、どの引き出しを開けるかの見極める訓練はしておいた方がいいです。

―それは同感です。いろいろなことに興味を持持っていると、会話が広がりますよね。

藤江:服に関しては究めた方がよいという人もいると思いますが、知らないことがあっても、それがお客さまの詳しいことであったら逆に教えてもらえばいいんです。これはお客さまに限らず、取引先の方や仕事相手でも同じで、会話が広がるきっかけになるので、これは若い方にやってほしいなと思います。あと、ファッションに関してはいろんなものを着てみることと、自分には似合わないと決めつけないこと。単純だけど、似合わなそうなものにトライしてみるとしっくりきたり、色の組み合わせも合わなそうなものを組み合わせると面白いことが起きるんです。そうやってトライしていると、周囲が「あの子ならやりそう」みたいな感じで一目置かれるようになるので、他人の目は気にせず試してみること。コンプレックスは隠そうとすると逆に目立ちます。

―びっくりするコーディネートでも自分のものにする感じですね。では最後にこれからやってみたいことは?

藤江:これは子どもの頃から思っていたことですが、自分が欲しいと思ったことが世の中にないことが多いので、企画的なことに携わってみたいです。でも、大々的に自分のブランドをつくりたいとか、独立したいとは思ってないですね(笑)。

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ファストリが見据えるサステナビリティ戦略のセカンドステップ

 「ユニクロ(UNIQULO)」などを擁するファーストリテイリング(FAST RETAILING)は、2020年度のESG-CSRの日本調査評価会社による「SASTAINA ESG AWARDS」の小売部門でゴールドを獲得し、「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス(Dow Jones Sustainability index)」のスコアは41とランクを上げている。

 同社はこれまでサプライチェーンの人権問題など人に重点を置いてきたが、気候変動や循環型社会への関心の高まりから環境問題にも力を入れる。椹木秀作サステナビリティ部グローバル環境マネジメントチーム リーダーにファーストリテイリングのこれまでの環境への取り組みを聞く。

WWD:自社やサプライチェーンにおける環境負荷低減のための取り組みはいつから着手しましたか?

椹木秀作サステナビリティ部グローバル環境マネジメントチーム リーダー(以下、椹木):本格的な取り組みとして最初に着手したのは有害化学物質の排出削減です。アパレルの生産工程で使用される化学物質が工場周辺の水質汚染などの原因になっていると問題視されたことを受けて2013年に、商品や生産プロセスにおける有害化学物質の排出を20年までにゼロにする対策に取り掛かりました。

WWD:2013年以前の取り組みについては?

椹木:もちろん以前から、着用時の消費者安全の観点に立ち有害物質の基準を設けて管理をしてきましたが、13年にこの管理の範囲を、環境保護と労働安全を目的として生産工程と排水にまで拡大しました。制限物質リストの作成と公開、工場における定期的な排水検査など、法律を超える厳しい基準を採用して工場とともに取り組みを進めています。19年末時点で、継続的な取引のある全ての主要素材工場における排水基準の順守率99.8%を達成しています。

WWD:有害化学物質以外の取り組みは?

椹木:サプライチェーンのより広義な環境負荷を把握する目的で、16年から主要素材工場の一部を対象として水とエネルギー使用量の把握を始めました。工場からメーターの計測値を申告してもらう方法で使用状況の把握を進め、20年までの削減計画を策定しました。削減の余地が大きい工場に対しては、外部専門家と実地検証を行い、各工場の削減余地に応じた目標設定と削減施策を実施しています。排水の再利用率の向上、水の使用量が少ない設備への更新、サブメーターの導入による使用量の管理の向上などを通じて、主要素材工場における水使用量を20年末までに16年実績対比で15%削減する見込みです。また現在は、すべての主要素材工場と縫製工場を対象に、ヒグ・インデックスのファシリティー・エンバイロメンタル・モジュール(FEM)を導入しています。

WWD:店舗運営で行っていることはありますか?

椹木:自社で直接管理する店舗については、国内「ユニクロ」を対象に温室効果ガス排出量の把握を進めています。照明では9割以上の店舗にLEDを導入し、19年度末時点で13年度実績比(単位面積当たり)31.6%の消費電力削減を達成しました。並行して、店舗運営や商品の環境負荷低減の取り組みとして、使い捨てプラスチックの使用量削減を進めています。プラスチック製ショッピングバッグを環境に配慮した紙製に切り替えるとともに、一部商品のパッケージでも使い捨てプラスチックの撤廃や他素材への切り替えを進めています。

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【動画】「京大卒モデル一ノ瀬のモード飯~Cuisine à la mode~」Vol.1 “エルメス・オレンジのエスニックガスパチョ冷麺”

 「京大卒モデル一ノ瀬のモード飯~Cuisine à la mode~」は、モデル兼俳優の一ノ瀬遼による料理番組です。「オシャレな料理を作りたい!!」「たまにはお家でご飯を食べたい!!」という、多忙な業界人でも簡単に作れる料理を学びます。また京都大学薬学部出身の知識を生かした、料理にまつわるさまざまなウンチクや雑学もプラス。一ノ瀬についてもっと詳しく知りたい人は、下記の関連記事をチェック!!

 今回は、「エルメス(HERMES)」を代表する“エルメス・オレンジ”に着目した“エルメス・オレンジのエスニックガスパチョ冷麺”を学んでいきます。野菜と春雨、少量のパンと調味料のみを使用することで、ヘルシーかつビタミン豊富な料理に仕上げました。盛り付けは「エルメス」の箱をモチーフに、リボンにはクリームタイプのバルサミコ酢を使用して再現しました。

 動画下に同料理のレシピを掲載します。

レシピ

(約2人分)
・トマトホール缶 100g
・パプリカ赤 1/4個
・スイカ 約50g
・ビネガー 10g
・EVオリーブオイル 約25g
・パン 一欠片

(盛り付け用)
・きゅうり 少量
・オイスターソース 小さじ1/2
・ナンプラー 9g
・タバスコ 5滴(お好みで)
・コショウ 適量(お好みで)
・春雨 1食分
・パクチー 少量
・クリームタイプのバルサミコ酢

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ESG経営高評価のヒューゴ ボス、「ポイントは環境負荷をLCAで分析」

 ドイツのヒューゴ ボス(HUGO BOSS)はESG(環境、社会、ガバナンスの重視)経営で高い評価を得ている。「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス(Dow Jones Sustainability index)」のスコア89で、アディダス(ADIDAS)、ケリング(KERING)、バーバリー(BURBERRY)に次いでテキスタイル、アパレル&ラグジュアリーグッズ部門で4位にラインクインしている。英国のNPO団体ファッションレボリューション(Fashion Revolution)の「ファッション トランスペアレンシー インデックス(Fashion Transparency Index)」では透明性41%と健闘(編集部注:1位のH&Mは73%で、多くのブランドが40%以下の低スコア)。また、毛皮使用の廃止や、レザーの代替品として注目されているパイナップル由来の人工皮革を採用するといったアクションも早く、サステナビリティ分野でも注目すべき企業である。アンドレアス・ストルービッグ(Andreas Streubig)=グローバル・サステナビリティ部門ディレクターに取り組みを始めたきっかけを聞く。

WWD:サステナビリティに取り組むときに何から始めましたか?

アンドレアス・ストルービッグ=ディレクター、グローバル・サステナビリティ(以下、ストルービッグ):早い段階から意識的に天然資源を使うことと、当社の事業活動が環境に与える負荷について取り組んできました。この分野で何が重要なのかを理解する必要がありました。だからこそ、株主の皆さまとの継続的な対話を確立したのです。

理解を深めるために2009年、全ての商品に対してLCA(ライフサイクルアセスメント:製品やサービスのライフサイクル全体〈資源採取―原料生産―製品生産―流通・消費―廃棄・リサイクル〉、またはその特定段階における環境負荷を定量的に評価する手法)を開始しました。LCAを実施することによって、全体のバリューチェーンに沿った環境への影響を数値化することが可能になりました。できるだけ正確にわれわれの足跡をたどり理解するために、膨大なデータに取り組む必要がありました。また、さまざまな負荷を比較可能にするために、私たちは自然資本プロトコル(Natural Capital Protocol)を導入しました。これは二酸化炭素の排出や水消費量等の異なる影響を金銭的価値に変換するという標準化された枠組みで、私たちはこれを早い段階で導入したブランドの一つです。これにより局地的に何かの数値が高い部門や地域の割り出しや、その削減のために最適な、そして最も効果的な方法を決定するのに役立っています。結果はコーポレートウェブサイトにて公開しています。

WWD:環境負荷を知ったことによる変化や成果は?

ストルービッグ:私たちが割り出したホットスポットは主にサプライチェーンにあったので、ベター・コットン・イニシアチブ(Better Cotton Initiative)やレザーワーキンググループ(Leather Working Group)等の組織と連携して、より多くのサステナブルな原料を調達することを重視するようになりました。25年までに100%持続可能なコットンに切り替えるという目標も立てました。この目標は、例えば水消費量や生物学的多様性への負荷を減らすのに役立ちます。さらに、化学物質の管理過程についても、有害物質ゼロを目指すZDHC(Zero Discharge of Hazardous Chemicals)の「ロードマップ・トゥ・ゼロプログラム(Roadmap to Zero Program)」の枠組みのもとに、サプライヤーと共に危険有害化学物質の除去に努めています。この対策によって何よりも、サプライチェーンにおいて従業員の健康に与える負荷を最小限にします。私たちはまた、サプライヤーによるエネルギー利用などの改善を目指し、グローバル・ソーシャル・コンプライアンス・プログラム(Global Social Compliance Program:GSCP)に基づいた環境プログラムを導入しています。

WWD:他の取り組みは?

ストルービッグ:より環境負荷を減らすために、全ての領域で長期的な目標を設定しています。特に、サプライヤーと一緒に、有害危険物質の除去への取り組みに注力しています。また私たちは18年に、国連主導の「ファッション業界気候アクション憲章(Fashion Industry Charter for Climate Action)」に加入しました。これは50年までの気候中立(二酸化炭素排出の実質的なゼロ)を実現するべく、サプライチェーンを中心に気候変動への負荷を減らすことを目的としています。強固なネットワークで互いに協力し合わなくては達成できないことです。

WWD:それに向けて具体的に何をしていますか?

ストルービッグ:環境負荷を本当に減らすことができるのかを判断するために、私たちは常にそれぞれの対策を実行に移す前に査定します。例えば、新しい素材や梱包、またはプロセスを導入する前には、LCA上での環境負荷を分析します。そして現在私たちが使っている方法に基づいて比較し、負荷が本当に最小限に抑えられるかどうかを確認します。

さらに、私たちが直面する最大の挑戦として特に気候変動に焦点を当てています。この目的に向けて、私たちは温室効果ガス削減のためにScience Based Targets(SBT:科学的根拠に基づく目標)を策定し、SBTイニシアチブの認証を得ました。私たち独自のプロセスでの排出削減のための対策以外にも、現在、気候変動枠組条約(UNFCCC)と共に、私たちのサプライチェーンのための戦略や対策について取り組んでいます。ここでの焦点は、環境負荷や進歩を測れるように目標を策定することです。これらをサプライヤーが実行に移せるように支援するために、私たちは現在研修プログラムを開発中です。私たちはこれらの対策がサプライチェーンにおける二酸化炭素排出の削減に大きな影響を与えると確信しています。

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丸井グループはいかにしてESG経営先進企業になったのか

 日本の小売業界で、新しいビジネスモデルに挑戦する先進企業として知られる丸井グループ。これまで“売らない店舗”として従来の店舗から体験型ストアへの転換を推進するなど、新たな領域に参入してきた。その丸井グループはESG(環境、社会、ガバナンスを重視した会社運営)でも高い評価を得ている。ESGの格付けランキングとして知られる「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス」でもスコア96と高得点をマークしている。

 丸井グループは2016年、環境への配慮、社会的課題の解決、ガバナンスの取り組みがビジネスと一体となった“共創サステナビリティ経営”を行うためにESG推進部を新設し、情報開示の強化・推進の体制を整えてきた。どのようにしてESG経営先進企業になったのか。そのきっかけを同グループの関崎陽子サステナビリティ部長に聞く。

WWD:サステナビリティの分野の先進企業にとって、そうなる契機は自社とサプライチェーンの環境負荷を知ったとき、と聞くことが多くあります。丸井グループのきっかけは何でしたか?

関崎陽子サステナビリティ部長(以下、関崎):丸井グループでは、以前より省エネ・省資源をはじめ環境保全に配慮した取り組みを進めてきましたが、大きなきっかけになったのは2005年のCSR推進部(17年4月サステナビリティ部に)発足でした。それを機に環境省が定める「環境会計ガイドライン」や「温室効果ガス排出量算定報告マニュアル」等を参考に、エネルギー使用量・CO2排出量、水資源使用量・排水量、廃棄物排出量等について経年で把握し、08年以降、CSRリポートやウェブサイトでのデータの開示・充実を図ってきました。

そして14年以降、私たちは丸井グループ自らの温室効果ガス排出量(Scope 1&2:1は事業者自らによる直接排出、2は他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出)に加え、サプライチェーンにおける排出量Scope3の算定に着手しました。きっかけは、CDP(英国のNPOで、投資家、企業、国家、地域、都市が自らの環境影響を管理するためのグローバルな情報開示システムを運営)などの外部評価機関等のアンケート調査への対応でした。調査項目を確認する中で、たとえばScope3といった新たな概念が社会的要請として高まっていることを知ったのです。

この算出を通じて、丸井グループ内の環境負荷(Scope1&2)のみならず、原材料の調達から輸送や、お客さまご購入後の排出量(Scope 3)を含むサプライチェーン全体の排出量の見える化ができ、お客さま・社会と共に進める環境負荷低減という視点を持つきっかけになりました。

WWD:環境負荷を知ることによって何が変わりましたか?

関崎:自社排出の温室効果ガスの多くが電力に由来していることを知りました。その電力を再生可能エネルギーに切り替えることによって環境負荷低減に貢献しようと、18年にRE100(使用する電力の100%を再生可能エネルギーによる電力にすることに取り組む企業が加盟する、国際的な企業連合)に加盟し、30年までに再生可能エネルギー100%を達成するという目標を掲げることにつながりました。なお、2020年度は50%達成の見込みです。

WWD:廃棄物のリサイクルも強化しているとか。

関崎:はい。事業所での廃棄物を詳細に把握することが、リサイクル率向上の取り組みにつながっています。15年には59%だった資源リサイクル率は19年には63%に向上しました。現在、25年に75%以上を達成する目標を立てて、廃棄物置き場のエコファクトリー化を進めています。

WWD:エコファクトリーとは?

関崎:資源リサイクル率を高めるため、生ごみのリサイクルに重点的に取り組んでいます。マルイファミリー溝口では、ビル管理会社のみぞのくち新都市と共同で、19年にごみ処理施設のリニューアルを行い、「ノクティ エコファクトリー」と名称も変わりました。集積場のレイアウト変更や、テナントごとのごみ排出量の見える化などを実施しています。導入3カ月で生ごみのリサイクル率は100%に、資源ごみ全体のリサイクル率も30%以上向上し、76%となりました。今後は全店の資源リサイクル率を高め、さらなる環境負荷の低減をめざしています。

WWD:現状把握、目標設定、そして取り組みへの移行についてはどういうプロセスで行っていますか?

関崎:16年以降、丸井グループでは、ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス(DJSI)やFTSE(株価指数の算出・管理や、関連する金融データの提供サービスを行う企業)、CDPをはじめとするESG評価機関やサステナビリティに関するさまざまな調査に対し、積極的に回答・開示を進めています。こうした調査は私たちにとって、企業が注目すべき点・対応が求められる環境項目などの気づきとなり、グローバル基準を知るきっかけにもなります。

毎年ESGデータブックとして開示する中で、環境項目についての不足点や開示を拡充する点がないかを考えるとき、こうした外部評価機関からの投げかけは大変貴重なものです。また、実態の把握や今後の取り組みを検討するためには社内の連係が欠かせず、それにより、事業戦略にサステナビリティ戦略が組み込まれていくことにつながると考えています。

WWD:環境負荷を減らしていくために、何を参考にしていますか?

関崎:SBT(SCIENCE BASED TARGETS:環境省の定義は「パリ協定の基準が求める水準と整合した5~15年先を目標年として企業が設定する、温室効果ガス排出削減目標」)やTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース:G20の要請を受け、金融安定理事会が気候関連の情報開示および金融機関の対応をどのように行うかを検討するため、マイケル・ブルームバーグ氏を委員長として設立。企業などに対して気候変動関連リスクの項目を開示することを推奨)といったイニシアチブにも積極的に参加しています。自社の環境負荷について現状を把握することによって課題が明確になり、環境負荷低減の取り組みの必要性と具体的目標が明確になります。

私たちは今後も、自社の環境負荷低減はもちろんのこと、ビジネスを通じて、環境という社会課題解決に向けて取り組みを推進していきたいと考えています。

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ジュエリーを知り尽くしたバイヤーによるジュエリー「リューク」が登場

 セレクトショップのジュエリーバイヤーによるジュエリーブランド「リューク(RIEUK)」がデビューした。ディレクターの和田麻里子は、ジュエリーのセールスを経て約15年間セレクトショップのジュエリーバイヤーとして活躍。国内外でジュエリーの買い付けを行いながら、「自分が欲しいものを作りたい」という思いから「リューク」をスタートさせた。リューク」のコンセプトについて、また、ジュエリーの楽しみ方について和田に聞いた。

WWD:「リューク」を立ち上げたきっかけは?

和田麻里子「リューク」ディレクター(以下、和田):夫の仕事によりアメリカ在住で仕事をしていたが3年前に帰国し、何か新しいことをやりたいと思った。ジュエリーに関して知識はあるが作ったことがない。多くのジュエリーを見る中で、「こんなジュエリーがあったらいいな」という思いを形にしようと思った。

WWD:「リューク」という名前はどこから?

和田:ブランド名は世の中に存在しない言葉にしたかった。アール(R)の響きが好きで、日本語にない。あえて意味を持たない名前を音から選んで感覚的に作った。

WWD:「リューク」のブランドフィロソフィーは?

和田:ファッションを楽しむ感覚で、重ねづけして楽しむジュエリー。グラデーションになっているので、全てのジュエリーと合わせられるようになっている。大きいものから小さいものまで好きなバランスで組み合わせることが可能だ。重ねづけというときゃしゃなものが多いが、「リューク」では大き目でパンチの利いたものが多い。たとえば大ぶりなブラスのチェーンは2個つないで長くすることも可能だ。

WWD:展開アイテムとメーンの素材、中心価格帯は?

和田:イヤーカフ、ピアス、ネックレス、ブレスレット。長く使えるようシルバーにこだわった。それにゴールドメッキを施したタイプもある。大ぶりのネックレスの素材をブラスにしたのは、シルバーだと価格が高くなってしまうから。中心価格帯は3万円程度。

WWD:デザインはスケッチから?インスピレーション源は?

和田:ラフを書いて職人にサンプルを作ってもらい、バランスを調整している。インスピレーションは、自然から。オーガニックな形が好みだが、それを自分のフィルターに通して、あえて構築的であったり、機械的であったり、分かりやすい形で表現している。例えば、水の滴一つをとってもいろいろな表情があり形状が変化する。その一瞬をとらえて幾何学的に表現したりすることもある。私は宇宙が好きなので、軌道などをモチーフにしたジュエリーも。天体の軌道をはじめ、自然の現象はランダムではなく計算されていると思う。人間がつくったものではない自然の黄金比のようなものを形にして表現している。

WWD:今後のビジネス戦略は?

和田:セレクトショップへの卸を中心にブランドを育てていきたい。また、立ち上げたばかりなので、ゆっくり時間をかけてブランドを取引先に理解してもらった上で、ビジネスを広げていければと思う。現在は、トゥモローランド(TOMORROWLAND)をはじめとする4つのセレクトショップへの卸が決定している。

WWD:新型コロナがジュエリー業界や消費者のマインドに与える影響についてどう考えるか?

和田:緊急事態宣言が解除されてから、ジュエリーの売り上げは好調だ。自粛期間中は、家で心地よく過ごせるアイテムが売れていたと思うが、自分を幸せにしてくれるものも必要とされていると思う。それは、ずっと欲しかったもの、大切にしたいもの、一点ものだったり、人によりさまざまだと思うが、ジュエリーはそういった気持ちが反映されるものの一つだと思う。コロナをきっかけに、すっと欲しかったジュエリーを購入する人が増えているようだ。コロナ時代でも売れるものは売れるし、売れないものは売れない。中途半端なものは売れない世の中になってきていると感じる。コロナを機に、安易なモノ作りについて考えさせられるようになった。このような時代だが、人間には、「すてきなものは欲しい」という物欲はあるはずだ。

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ESG格付けランキング上位常連 H&Mが大切にしていること

 H&Mヘネス・アンド・マウリッツ(H&M HENNES & MAURITZ)はESG(環境、社会、ガバナンスの重視)経営で高い評価を得ている。「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス(Dow Jones Sustainability index)」(スコア97)や「世界で最も持続可能な100社(Global 100 Most Sustainable Corporations in the World)」(27位)などESG格付けランキングでも上位に常連の企業だ。英国のNPO団体ファッションレボリューション(Fashion Revolution)の「ファッション トランスペアレンシー インデックス(Fashion Transparency Index)」では、2020年度版で初めて1位となった。

 同社は、“ファッションとクオリティを最良の価格でサステナブルに提供する”というビジネスコンセプトのもとに事業を展開する。「技術とイノベーションを活用しながら、私たちの規模と影響力によって、公正・平等でありながら循環型、かつクライメット・ポジティブなファッションに向けて変化を導くというビジョンをもって取り組んでいる」と言う山浦誉史H&Mジャパン・サステナビリティ・コーディネーターに、どのようにして現在に至ったのか、そのきっかけを聞く。

WWD:サステナビリティの分野の先進企業に話を聞くと、そうなる契機は自社とサプライチェーンの環境負荷を知ったときと言われることが多くあります。きっかけは何でしたか?

山浦誉史サステナビリティ・コーディネーター(以下、山浦):1990年代に私たちは初めて行動規範を定め、そして化学物質に関する規制を始めました。変化を導くにあたってまず理解しなければならないのは、全ての段階でどの程度環境への負荷があるのか、そしてどの程度影響があるのかということです。デザインからお客さまによる消費に至るまで私たちのバリューチェーンの各段階において、私たちが行うすべての決断がポジティブな影響をもたらすポテンシャルがあるのです。特にファッション産業が直面する複雑かつ困難な問題において、ポジティブな変化をもたらすには、外部の専門機関との協業がとても重要であると私たちは考えます。例えば、水の使用に対する責任はWWF(世界自然保護基金)と協業したり、テキスタイルのリサイクル技術の開発に取り組む企業への投資や、循環型経済を推進するエレン・マッカーサー財団(Ellen MacArthur Foundation )とも密に連携しています。さらに繊維産業が抱える大きな問題や賃金についても、国連や衣料品従事者の国際労働組合と取り組んでいます。

WWD:H&Mは透明性が高い企業としての評価も高いですね。

山浦:私たちは長年、繊維産業による環境への負荷について認識しており、その中での自分たちの役割についても理解をしています。そしてその一環として、毎年発表するサステナビリティ・リポートを通して取り組みや実態を開示しています。その中で、バリューチェーンの各段階別に、社会、気候、そして水という分野において私たちが与える負荷、ならびに影響をマッピングしています。

WWD:マッピングするにあたり、環境負荷はどのように計測していますか。

山浦:H&Mでは外部専門機関による基準を主に用いています。例えば温室効果ガスおよびその他環境に害を及ぼす大気への排出に関する影響については、GHGプロトコルに沿って排出量を算定し、水資源への影響に関しては、AWS国際水管理標準に沿って行っています。

また、H&Mではすべてのサプライヤーを含むビジネスパートナーに対して、「サステナビリティ・コミットメント」への署名を義務付けており、私たちのサプライヤーも同様に、これらの基準に従って環境への負荷を計測し、その情報を私たちに提供するよう定めています。

私たちは自社が与える環境への負荷や影響をもとに、それぞれの分野においてKPI(重要業績評価指標)を設定して実行しており、取り組みや実態において毎年透明性をもってサステナビリティ・リポートとして開示しています。このリポートは、H&Mグループ内の各部門やサプライヤーなどの外部機関から収集したデータをもとに、GRI(サステナビリティに関する国際基準の策定を使命とする非営利団体)水準に沿って作成されています。毎年データやリポートを開示することによって、私たちの取り組みの進捗や、さらに注力が必要な分野を見極めることにつながります。

そしてこれらの取り組みがさまざまな外部機関によって認められ、CDP(Carbon Disclosure Project)の気候変動Aリストへの選定や、ファッションレボリューションによるファッション透明性インデックスでの1位認定など、多くの評価をいただけたことをとても光栄に思います。これまで同様、私たちは引き続き循環型ファッション業界へと変化を導くことを目指して、取り組みを進めていきます。

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高級ブランドも注目する日本初の紙パック水、仕掛け人はマックイーン好きの元商社ウーマン

 「市場にないならやってみよう」――日本初の紙パック入りナチュラルウオーターの販売を始めたハバリーズ ジャパン(HAVERY’S JAPAN)が注目を集めている。環境保全や循環型社会が求められる中での日本初の紙パック入りナチュラルウオーターは、発売前から多くのメディアに掲載され、ラグジュアリーファッションブランドやラグジュアリーホテルなどから問い合わせが殺到しているという。脱プラが進む中で起業したのは27歳の矢野怜美社長だ。「ファッションが大好き。中でも『アレキサンダー マックイーン(ALEXSANDER McQUEEN)』のジャケットがお気に入りで5着持っている」という彼女。取材当日もお気に入りの「マックイーン」のセットアップに「足形がぴったりでハイヒールでも疲れない」という「ジミー チュウ(JIMMY CHOO)」のパンプスでさっそうと現れた。

WWD:ハバリーズ ジャパンを立ち上げたきっかけは?

矢野怜美ハバリーズ ジャパン社長(以下、矢野):大学卒業後に技術系商社に就職して海外を行き来する中で、意識が変わりました。というのは、欧州では紙パックがクールで、プラスチックだったとしても再生プラスチックが当たり前、バージンプラスチックは恥ずかしいという価値観を目の当たりにしたからです。見渡してみると日本には紙パックのミネラルウオーターがない。市場にないならやってみよう!と思い立ち、今年6月に会社を立ち上げました。家業がペットボトルのミネラルウオーター製造のOEM専門メーカーで、水業界の知識がありました。ペットボトルをはじめとしたプラスチックごみによる海洋汚染が広く知られるようになり、脱プラ製品への注目も集まっています。“1本の水から世界が変わる”というスローガンを掲げていますが、身近なことで社会や環境問題の解決に貢献したいという思いから立ち上げました。

WWD:紙の匂いが飲料に移るとして、水の紙パックは難しいというイメージが強いですが、どのような加工技術で実現しましたか?また環境負荷はペットボトルと比べて低いですか?

矢野:「どうせ臭いでしょ?」と考える方も多く、思い込みが大きいこともありますが、実際に「海外で紙パックの水飲んで臭かった」という体験をされている方もいます。臭いけど製品化されている現状もある。私たちは、日本テトラパック社が開発した紙パックを用いています。内面に薄いアルミをコーティングしていて、光を遮断して品質を保っています。飲んでいただくとわかりますが、匂いません(取材当日に冷やしたものを準備して差し出してくれた。飲むと無臭だった)。紙包材はFSC認証(責任ある森林管理の企画を満たした森林から生産されている証明)を得ていて、使用後はトイレットペーパーなどにリサイクルされる仕組みが確立されていました。キャップ部分はポリエチレンですが、他のものを現在開発中です。環境負荷に関しては、紙パックはライフサイクルアセスメント(LCA)評価でも製造工程や運搬においても環境負荷が低いという結果が出ています。

WWD:すでにディーン&デルーカ(DEAN & DELUCA)やナチュラルローソン、アマゾンや楽天での販売が決まり、外資系と国内のラグジュアリーホテルや外資系ラグジュアリーファッションブランド、大手航空会社でも導入を検討しているとか。

矢野:ええ。ありがたいことにメディアにも多く取り上げていただき反響がありました。紙パックを回収できるスキームまで備えているところにも支持をいただいています。10kg程度空のパックが貯まったら指定工場に着払いでお送りいただければ、紙部分はリサイクルすることでトイレットペーパーや紙ナプキンに生まれ変わります。アルミとキャップ部分のポリエチレンは熱回収されます。身近な水で循環型社会に貢献できるという点が強みです。また、1本につき1円が世界自然保護基金(WWF)に寄付される仕組みにしました。

WWD:ハバリーズという名前の由来は?

矢野:わかりにくいですよね(笑)。家業の水源地、大分県の羽馬礼(はばれい)からとっています。羽の生えた馬――すなわちペガサスを家業のコーポレートワークに使っていますがそれをアレンジしました。実は家業の新規事業として立ち上げることも検討しましたが、脱プラ廃プラを目指しているのできっちりと線引きして別会社にしました。

WWD:採水地も羽馬礼ですか?

矢野:いいえ、実は違うんです。提携先の佐賀の水源地です。

WWD:パッケージデザインに込めた思いは?

矢野:当初は、ハイブランドに向けてシンプルでスタイリッシュなデザインで進めていました。でも一部の人のためのものではなく、みんなに飲んでもらいたい、誰もが手に取りやすいようなものにしたいと考えが変わりました。親しみがあり、かわいらしくて共感が持てるもの――エコやビーガンを想起させるようなイメージではないことも意識しました。サステナビリティは、取り組む人とそうでない人とのギャップがありますが、そうでない人を呼び込むためには、“持ちたいデザイン”であることが重要だと考えました。ギャップに橋を架けるような存在になりたい。

WWD:ファッション業界へのアプローチを強化されていますが、なぜファッションだったのですか?

矢野:マーケティング会社とリサーチするなかで、最も可能性がありました。ファッション業界はヨーロッパの流れをくんでいるので、感度が高い。雑誌ひとつとってもサステナビリティ、環境、気候変動といった言葉が並んでいます。「ハバリーズ」を意識改革のツールとして展開したかったという思いもありました。持ちたい、格好いい、スタイリッシュというイメージが重要だったからです。

WWD:現在サイズは330mL一種類のみですが、サイズ展開の予定は?

矢野:0.5L、1リットルL、2Lも考えています。

WWD:日本では環境意識がまだまだ高いとはいえませんが、取引先や消費者とはどういうコミュニケーションを心がけていますか?

矢野:相手と場面に応じて変えています。それは自分自身の服装や話す内容も含めてです。もちろん、環境意識が高い方とはとことん本音で話しますが、ビジネスの場では環境問題の現実というよりは何がメリットかについてか伝えます。たとえば、身近なところでのサステナビリティをうたうことができます、需要があるからもうかります、役に立ちますといったように訴求しています。私自身のゴールは環境保全なので、プロセスよりも結果を重視しています。日々営業する中で、相手を見極めるためにも、まずは相手の話を聞き出すことが重要だと感じています。

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むくみケアだけじゃない!履くことで“できた”を増やす 本島彩帆里プロデュースのセルフケアブランド「イウミー」とは

 ダイエット美容家・本島彩帆里さんがプロデュースするセルフケアブランド「イウミー」が20代後半〜30代の女性を中心に人気を集めている。主力アイテムの「めぐりソックス」は、就寝時に心地よく履ける段階着圧と光電子®️繊維の遠赤外線効果でむくみと冷えをケアできるアイテム。ほかにも「はらまきパンツ」や「かかとソックス」などポイントケアアイテムを展開する。2017年に誕生した同ブランドは、ポイントケアながらも、2019年は前年比で223%の成長率、コロナ禍で消費が激しく落ち込んだ20年1〜8月も前年同期比で51%増と好調だ。新型コロナウイルスの感染拡大により在宅時間が増え自分を見つめ直す時間が増えた今、外的要因から身を守る、自分を大切にするという考え方がこれまで以上に浸透したことでセルフケア志向の高まりも追い風になっている。ブランドの立ち上げや製品に込めた思い、セルフケアアイテムとしての発信の背景などを本島さんに聞いた。

WWD:まずブランドを立ち上げた経緯を教えてください。

本島彩帆里・ダイエット美容家(以下、本島):私自身がかつて今よりも20kg以上太っていて、産後20kg痩せたという経験をインスタグラムで発信したり本を出版したりしてきました。エステサロンで働いていたこともありますが、どこかに行って何かをするだけではなかなか根本的な変化にはつながりにくいと感じました。特別な何かをすることが必要なときもありますが、それだけでなく生活習慣や日頃の自分との付き合い方、生き方そのものに寄り添うセルフケアが重要だと考えています。そういった考え方から情報やハウツーを伝える中で、実質的に生活に寄り添えるアイテムを作りたいと考えるようになりました。

WWD:「イウミー」の製品の特徴を教えてください。

本島:他社製品との大きな違いは光電子®️繊維です。もともと10年以上自分が愛用している素材で、エステサロンで勤務していたときにこの繊維を使った矯正下着を30万円ぐらいで販売していたことがありました。週に1回サロンに来て施術するだけのお客さまと、光電子®️繊維で毎日体を温めながら生活しているお客さまとでは施術の効果が全く違うんです。セルフケアをすることで、肉質の柔らかさや変わることが目に見えるようになりお客さま自身のモチベーションが上がって、いろいろなことに取り組めていく様子をサポートしながら間近で見ていたので、光電子®️繊維を使いたいという思いは強くありました。

WWD:ブランドを立ち上げた当時はまだセルフケアというキーワードは珍しかったのでは。

本島:ダイエットや美容はつい人と比べてしまったり、「今日はこれができなかった」と自分を責めてしまうこともすごく多いですよね。私は10年前から心理カウンセリングに通い、プロの元で心のセルフケアを行ってきました。不安を感じてもいいし落ち込んでもいいんです。何かにならなくてもいいんだということを感覚と共に学ぶことで自己効力感を育んできました。自己効力感というのは自分の可能性を認知していくことで、「できた」という感覚と共に育んでいくと、自信の種になっていきます。例えば、朝起きて水が飲めたから今度は白湯にしよう、白湯が飲めたからハーブティーにしようとか、一つずつステップアップしていけばいいんです。新型コロナウイルスの感染拡大によりセルフケア、寄り添うという言葉を以前よりよく聞くようになりましたが、どう寄り添えばいいのか答えが自分の中にある人ばかりではないと思います。そういった人に向けて自己理解の方法や、心と体に寄り添うこととはどういうことなのか、「イウミー」のアイテムと一緒に伝えていきます。商品との出合いが次の「できる」につながるような、自分との向き合うきっかけになったら嬉しいですね。

 こういった理由から「イウミー」では心に効くことも意識しています。「めぐりソックス」は着圧によって血行がよくなったり、光電子®️繊維による遠赤外線効果の働きで蒸れや冷えを防ぎ体を保温できる効果はもちろん、履くだけでできることが一つ増えたという感覚で履いて欲しいんです。自分の“できたが増える体験”を「めぐりソックス」をはじめとする製品を通じて届けています。

WWD:私個人の感覚でもありますが、着圧ソックスって履くのが大変で毎晩履いて寝るだけなのに意外と続かなかったりします(笑)

本島:分かります(笑)自分が変わることってすごく崇高なことをやらなければいけないと思いがちですけど、日常の些細な動作こそが習慣につながり、変化していくことができます。その一歩として「イウミー」の製品を負担なく身につけてもらいたいですね。「めぐりソックス」は光電子®️繊維をベースにしながら寝ている時も心地よく履いてもらえるように、おやすみ専用着圧設計というものを採用しています。段階着圧なので一般医療用機器にも認定されていますが、着圧しすぎずに柔らかく伸びが良くて締め付けられている感がないように意識して作っています。

WWD:今でははらまきやタイツ、アーム・レッグカバーなど商品ラインアップも広がりっていますね。

本島:「めぐりソックス」を発売したときにお客さまにすごく喜んでいただいて、いろいろな部分をケアできる物が欲しいという声をいただきました。インスタグラムやインスタライブで発信している中でもそういったコメントが多く、普段からお客さまとコミュニケーションをとりながらニーズを拾ったり、定期的にアンケートを取ったりもしています。

WWD:悩みの共有や製品への反映も体験の一つですね。

本島:インスタグラムをメインにブランドの思いや立ち上げた経緯、制作でこだわったことなどを発信することで、近い距離で製品の変化を見てくださっているお客さまも多く、一つの体験になっていると思います。「めぐりソックス」を発売した際も、インスタグラムでの発信のみで、オンラインショップで1000足を即時完売することができました。作っては売り切れを繰り返しながら在庫を整えて、リスクは少なくここまで来れましたね。

ECで成長し実店舗での展開も拡大
さらに消費者との接点を増やすには?

WWD:今年4月に本島さんがプロデュースしていた「サオリマルシェ」を「イウミー」のオンラインショップとしてリニューアルオープンしたのはなぜですか。

本島:SNSでオーガニック商品やナチュラルなアイテムなどを紹介しているけどなかなか買える場所がないという声を聞いて、16年に「サオリマルシェ」というオンラインショップ立ち上げました。ここ数年でうんと業界が成長し、そういった製品も一般的になり買える場所が増えました。「サオリマルシェ」がこれまで特別に担っていた役割は果たせたなと思い、SNSでの発信は続けながら注力すべき「イウミー」のオンラインショップとしてリニューアルをしました。

WWD:実店舗での取り扱いも増え、ブランド自体が浸透したことも一つの要因でしょうか。

本島:今では300店舗以上に卸させていただいていて、「いろんなところで見るよ」「買ってきたよ」というコメントももらうので身近になってきたなと思います。最初は知り合いに声を掛けるところから始まり、「ビープル バイ コスメキッチン」で販売できることになり、その反響の大きさが1つの実績になりました。その実績からコスメキッチンやロフト、東急ハンズ、伊勢丹というように徐々に増えていきました。お客さまには実際の店舗で見て買う体験をして欲しいという思いがあり、店舗限定のパッケージを作るなど特別感を出す取り組みも行っています。店頭での販売に力を入れているところではありますが、今は新型コロナウイルスの影響も大きくECでの販売が中心です。

WWD:最後に今後の展開を教えてください。

本島:シーンに合わせて出合える場所を増やしていきます。睡眠シーンに取り入れて欲しいので、睡眠や休息アイテムをそろえる「ズーランド(zzzLand)」やプレゼントシーンには「タンプ(TANP)」というギフト専用のECでも購入できるように進めています。これからは店頭でどんな体験ができるのかも鍵になると思うので、そこも力を入れていきたいです。また、企業に向けて福利厚生として使っていただけるようになったらいいなとも思います。メッセージ性もありますし、夜はちゃんと休んでコンディションを整える、女性社員の心と身体を大事にする一つのツールとして考えてもらいたいです。自己効力感を育むアイテムというのは唯一無二のアイテムだと思うので、そういうエッセンスを取り入れたいところとはコラボできると考えています。

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ビリー・アイリッシュの所属レーベルが推す次世代アーティスト、オリバー・マルコムとは何者か

 今年1月に史上最年少18歳で「第62回グラミー賞」の主要4部門受賞を含む5冠の快挙を成し遂げた、アーティストのビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)の存在は記憶に新しいだろう。その若き才能溢れるビリーを輩出したレーベルのダークルーム(Darkroom)が次に推す新人、オリバー・マルコム(Oliver Malcolm)をご存知だろうか?彼は元々、音楽プロデューサーとしてキャリアをスタートし、今年2月に「Switched Up」でアーティストとしてのデビューを飾った。作詞作曲から楽器演奏、MV製作まで、全てを自身でプロデュースする“100%マルコム産”のサウンドは、ユニークかつオリジナリティーに溢れており、一つのジャンルの型にとどまらない。そんな彼に音楽を始めたきっかけから、最新曲「The Machine」で表現したこと、ファッションのこだわりまでを聞いた。

WWD:音楽を始めたのはいつ?

オリバー・マルコム(以下、マルコム):12歳からDJを、13歳から楽曲プロデュースを始めた。初めて演奏した楽器はギターで、それからすぐにキーボードを弾くようになった。メインで演奏するのはキーボードだけど、ギターとベースも弾くよ。

WWD:プロデューサーからキャリアをスタートした後、アーティストとしてデビューしたきっかけは?

マルコム:スタジオでほかのアーティストと楽曲プロデュースをしていた時に、思考錯誤をして進める曲作りの過程を間近で見たことがきっかけだね。自分が子どもの頃から聞いてきたアーティストとの楽曲制作を通して、人間としても成長することができたし、自分のアーティスト性を表現していく自信を得たんだ。

WWD:作詞作曲からMV制作まで、全てを自身でプロデュースする理由は?

マルコム:僕は自分のビジョンを実現することに関しては、細かい所まで管理したいんだよね。自分で手掛けることで、頭の中に浮かんだものを確実な形にできるから。

WWD:影響を受けたアーティストは?

マルコム:エミネム(Eminem)、ドクター・ドレー(Dr. Dre)、50セント(50 Cent)。この3人は僕が音楽に夢中になる土台を作ってくれた。

WWD:最新曲「The Machine」のMVは、アップテンポの曲調に、ユーモア溢れるダンス・ステップが印象的でした。どんなことを表現した?

マルコム:僕にとって、ダンスは音楽同様にクリエイティブな表現の1つ。自分が何をやっているかではなくて、それをやっている時に自分がどう感じているかが重要。自分がいいと感じたら、それはいいってことだから。僕のダンス・ステップに気づいてくれて、ありがとう(笑)。

WWD:同MV内でも、全体に落書きのようなタッチでスケッチされた「バーバリー」のトレンチコートを身にまとっていたが、自身の好きなスタイルはある?

マルコム:その日の気分だとか、その時にインスピレーションを受けているものによってファッション・スタイルはいつも変えているよ。「バーバリー(BURBERRY)」のコートは、間違いなくジャン=ミシェル・バスキア(Jean-Michel Basquiat)からインスピレーションを得ている。バスキアはトレンチ・コートに自分で絵を描いて着ていた。僕は服装のインスピレーションをさまざまな所から得るのが好きで、結局のところ、自分が目にした好きなものを組み合わせて着ている。


 
WWD:好きなブランドは?

マルコム:好きなブランドは特にないね。最近は古着屋で安い服を買うことに並行して、自分で洋服を作ることが増えてきた。

WWD:自身が参考にしているファッションアイコンはいるか?

マルコム:特にファッションアイコン的な人はいないけど、間違いなくミュージシャンや画家、クリエイター達から影響を受けてきた。特に、バスキア、ザ・クラッシュ(The Clash)、ボブ・ディラン(Bob Dylan)、パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)からね。

WWD:今後、EPやアルバムを発売する予定はある?

マルコム:うん。EPをもうすぐ発売予定で、現在はデビュー・アルバムを制作中。

WWD:ライブ公演も視野に入れている?

マルコム:もちろん。世界一のライブを作り上げたい。

WWD:来日経験は?

マルコム:ないよ。近い将来ぜひ行ってみたいと思っている。

WWD:今後の目標は?

マルコム:愛、健康、幸福、そして世界平和。

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徳島県でごみ問題に取り組む23歳 ファッション留学を機に環境ビジネスの世界へ

 日本で初めてゼロ・ウェイスト宣言を行い、2020年までに焼却、埋め立てごみをゼロにする目標を掲げた徳島県上勝町。人口1500人、高齢化と過疎化が進むこの町にはごみ収集車も焼却炉もない。町民たちが自らゴミステーションにごみを運び、45分別することでごみの資源化に取り組んでいる。この17年間でリサイクル率80%を達成。残り20%の資源化をめざし、2020年5月30日に開業したのが「上勝町ゼロ・ウェイストセンター」だ。同施設のリーダーとしてゼロ・ウェイストに取り組んでいるのが大塚桃奈さん。大学卒業したばかりの彼女が、なぜ上勝町でごみ問題に取り組むのか。

映画「ザ・トゥルー・コスト」を観て衝撃を受ける

――新卒でいきなり、地方のごみ関連施設で働くことになったわけですが、そもそも環境に関心を持ったのはどうしてですか。

大塚桃奈チーフ・エンバイロンメンタル・オフィサー(以下、大塚):もともとはファッションやデザインが大好きで、中学生のときにはデザインコンペに出品して賞をもらったりしていました。高校3年の夏休みにロンドン芸術大学に留学したときに、留学中に学んだことを社会にどう生かすのかを考える機会があり、ファッション業界が抱える課題を調べたのが、環境に興味を持ち始めたきっかけでした。服がどのように作られてどう消費されるのか。自分なりに服とどう向き合えばいいのかを考え、服を取り巻く社会や服と一緒にある生活、自然とのかかわりにも思いをはせるようになりました。デザインを学ぶのもいいけど、服がどのように社会のなかで関わっているのかをもっと知りたくて大学に進学したんです。

大学では環境工学を勉強し、大学2年のときにコスタリア、3年のときにスウェーデンに短期留学しました。環境先進国のコスタリアは、再生可能エネルギー100%に取り組んでいて、山奥にあるモンテベルデという町の風景が上勝町とオーバーラップしました。留学を通して自然に近い暮らしに触れ、モノを大量生産し、使った後に捨ててしまうというサイクルに疑問を感じるようになりました。

――大学で環境を学んだ大塚さんが、上勝町に移住することになった経緯は。

大塚:たまたま、ゼロ・ウェイストセンターの建築設計を担当されたNAP建築設計事務所の中村拓志さんが母の高校の同級生で、このプロジェクトに関わっておられることを聞き、上勝町のことを初めて知りました。上勝町はゼロ・ウェイスト宣言してから17年が経ちますが、活動を始めたのは1997年。自分が生まれた年に始まり、ずっと続いていることにも大きな衝撃を受けました。

大学1年生の冬休みに初めて上勝町を訪れ、翌年は、1週間上勝町に滞在しました。その後、スウェーデン留学中に現地コーディネートを依頼され、プロジェクトのメンバーの方たちとサーキュラーエコノミーの現場を見て回ったんです。そこで、環境循環型ビジネスには可能性があること、欧州では若い世代が取り組んでいることを知り、環境ビジネスにより関心を持つようになりました。

――ファッション業界はいろんな問題を抱えていますが、コロナ禍で一気に噴出し、業績悪化から倒産する企業も増えています。大塚さんは、ファッション業界のモノ作りに対して疑問を抱いていたんですね。

大塚:学生時代はファストファッションを楽しんでいましたが、ファッション業界の裏側を描いた映画「ザ・トゥルー・コスト」を観て衝撃を受けたこともきっかけのひとつでした。自分の着ている服の行き先やモノ作りの背景など、今まで考えたことがなかったことに気づかされました。そして、いろいろ調べていくなかで日本のフェアトレードやオーガニックコットン、地産地消を知り、これからはサステナビリティーやサーキュラーエコノミーがもっと大切な時代になるだろうと感じました。

ゼロ・ウェイストに取り組む企業とのコラボに期待

 「上勝町ゼロ・ウェイストセンター」にはごみ回収・分別所のほかに、リユース推進のための「くるくるショップ」、町民交流や体験学習のための「コミュニティホール」、企業・研究機関向けに場所貸しする「ラボラトリー」、体験型宿泊施設「ゼロ・ウェイストアクションホテル HOTEL WHY」を併設している。

 ホテル宿泊者は、滞在中のごみを6分別し、チェックアウトの際にごみステーションで分別体験できるのがユニーク。自然豊かな山奥で、体験を通して快適な暮らし方やごみのない社会についてゆっくり考えるひとときを過ごすことができる。
「ごみから学ぶ」をコンセプトに、同施設では生産者と消費者、町内外の人が出会い、交流し、つながることを目的に、サーキュラーエコノミーのプラットフォームをめざしている。

――ここでの大塚さんの役割は。

大塚:私ができることは限られていますが、上勝町がずっと取り組んできたゼロ・ウェイストの取り組みを次の世代と世界中に広めてつないでいくことだと思っています。いま上勝町はリサイクル率80%ですが、100%をめざしています。紙おむつなどリサイクルできないものについては、企業や研究機関の力を借りながら新しい技術で資源化に取り組んでいきます。ファッション製品については、リユースできるものは「くるくるショップ」で販売できますが、汚れていたり、ほつれていたり、繊維が混雑しているとリサイクルできません。そういう課題を解決していくために、いま、一緒に取り組んでもらえる企業や研究機関を募集中です。

――消費者も生産者もごみに対する意識が変わると、行動やライフスタイル自体が大きく変わります。

大塚:ごみが出ないものを作ることも重要ですが、どのようにして回収、分別、リサイクルされるのかがとても重要です。生産過程で環境負荷を減らせたとしても、捨てた後が一貫していないとなんの意味もありません。だから、ゼロ・ウェイストはひとつの自治体でなし得ることではないと思っています。作る側、使う側、自治体のすべてが関わっているのです。例えば、レジ袋の有料化もなかなか進みませんでしたが、政府が号令をかけて7月からスタートすると、一気にエコバッグを使う人が増え、意識が高まりました。

生活者全員が意識を変えないと、ごみはゼロにならないのです。上勝町は町民と自治体の努力で80%までリサイクルできるようになりましたが、この方法が他の地域にも広がることを期待しています。どうすれば、ごみをゼロにできるのか、それを考えるきっかけの場にしていきたいですね。

――そのためにも、まずは上勝町に来てもらうことが大切です。人が集まるとにぎわいでき、町の活性化につながります。

大塚:わさわざでないと来ない場所なので、WHYで学べることや体験できること、町の魅力をいかに伝えるかが、今後の運営のカギになってきます。例えば、最初にこの施設を考えたときに、サスティナブルアカデミー(環境教室)をひとつの柱にしようという話がありました。広島、長崎が平和教育なので、環境教育といえば上勝町といわれるようになればいいなと思います。「交流ホール」はラーニングセンターの機能があり、ワークショップや講演会ができるように作られています。

また、上勝町は過疎化が進んでいるので、新しい拠点が誕生したのをきっかけに、町外から移住したり、ビジネスをしたり、体験しに来る人が増えることを願っています。ここのコンセプトが「ごみから学ぶ」なので、上勝町と一緒にゼロ・ウェイストに取り組んでもらえる企業とのコラボをたくさん生み出していきたいですね。

特に私が環境の世界に関心を持つきっかけとなったファッション業界の方との取り組みにはとても期待しています。

橋長初代(はしなが・はつよ)/流通ライター:同志社女子大学卒。ファッション専門誌の編集を経てフリーランスのライターに。関西を拠点に商業施設、百貨店、専門店、アパレル、消費トレンド、ホテル、海外進出などの動向を「WWD JAPAN.com」「日経クロストレンド」などに寄稿。取材では現場での直感と消費者目線を大事にしている。最近の関心事は“台湾”と“野菜づくり”と“コロナ後のファッションビジネス”。「リモート取材が浸透すれば、もっと取材先を広げていきたい」

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徳島県でごみ問題に取り組む23歳 ファッション留学を機に環境ビジネスの世界へ

 日本で初めてゼロ・ウェイスト宣言を行い、2020年までに焼却、埋め立てごみをゼロにする目標を掲げた徳島県上勝町。人口1500人、高齢化と過疎化が進むこの町にはごみ収集車も焼却炉もない。町民たちが自らゴミステーションにごみを運び、45分別することでごみの資源化に取り組んでいる。この17年間でリサイクル率80%を達成。残り20%の資源化をめざし、2020年5月30日に開業したのが「上勝町ゼロ・ウェイストセンター」だ。同施設のリーダーとしてゼロ・ウェイストに取り組んでいるのが大塚桃奈さん。大学卒業したばかりの彼女が、なぜ上勝町でごみ問題に取り組むのか。

映画「ザ・トゥルー・コスト」を観て衝撃を受ける

――新卒でいきなり、地方のごみ関連施設で働くことになったわけですが、そもそも環境に関心を持ったのはどうしてですか。

大塚桃奈チーフ・エンバイロンメンタル・オフィサー(以下、大塚):もともとはファッションやデザインが大好きで、中学生のときにはデザインコンペに出品して賞をもらったりしていました。高校3年の夏休みにロンドン芸術大学に留学したときに、留学中に学んだことを社会にどう生かすのかを考える機会があり、ファッション業界が抱える課題を調べたのが、環境に興味を持ち始めたきっかけでした。服がどのように作られてどう消費されるのか。自分なりに服とどう向き合えばいいのかを考え、服を取り巻く社会や服と一緒にある生活、自然とのかかわりにも思いをはせるようになりました。デザインを学ぶのもいいけど、服がどのように社会のなかで関わっているのかをもっと知りたくて大学に進学したんです。

大学では環境工学を勉強し、大学2年のときにコスタリア、3年のときにスウェーデンに短期留学しました。環境先進国のコスタリアは、再生可能エネルギー100%に取り組んでいて、山奥にあるモンテベルデという町の風景が上勝町とオーバーラップしました。留学を通して自然に近い暮らしに触れ、モノを大量生産し、使った後に捨ててしまうというサイクルに疑問を感じるようになりました。

――大学で環境を学んだ大塚さんが、上勝町に移住することになった経緯は。

大塚:たまたま、ゼロ・ウェイストセンターの建築設計を担当されたNAP建築設計事務所の中村拓志さんが母の高校の同級生で、このプロジェクトに関わっておられることを聞き、上勝町のことを初めて知りました。上勝町はゼロ・ウェイスト宣言してから17年が経ちますが、活動を始めたのは1997年。自分が生まれた年に始まり、ずっと続いていることにも大きな衝撃を受けました。

大学1年生の冬休みに初めて上勝町を訪れ、翌年は、1週間上勝町に滞在しました。その後、スウェーデン留学中に現地コーディネートを依頼され、プロジェクトのメンバーの方たちとサーキュラーエコノミーの現場を見て回ったんです。そこで、環境循環型ビジネスには可能性があること、欧州では若い世代が取り組んでいることを知り、環境ビジネスにより関心を持つようになりました。

――ファッション業界はいろんな問題を抱えていますが、コロナ禍で一気に噴出し、業績悪化から倒産する企業も増えています。大塚さんは、ファッション業界のモノ作りに対して疑問を抱いていたんですね。

大塚:学生時代はファストファッションを楽しんでいましたが、ファッション業界の裏側を描いた映画「ザ・トゥルー・コスト」を観て衝撃を受けたこともきっかけのひとつでした。自分の着ている服の行き先やモノ作りの背景など、今まで考えたことがなかったことに気づかされました。そして、いろいろ調べていくなかで日本のフェアトレードやオーガニックコットン、地産地消を知り、これからはサステナビリティーやサーキュラーエコノミーがもっと大切な時代になるだろうと感じました。

ゼロ・ウェイストに取り組む企業とのコラボに期待

 「上勝町ゼロ・ウェイストセンター」にはごみ回収・分別所のほかに、リユース推進のための「くるくるショップ」、町民交流や体験学習のための「コミュニティホール」、企業・研究機関向けに場所貸しする「ラボラトリー」、体験型宿泊施設「ゼロ・ウェイストアクションホテル HOTEL WHY」を併設している。

 ホテル宿泊者は、滞在中のごみを6分別し、チェックアウトの際にごみステーションで分別体験できるのがユニーク。自然豊かな山奥で、体験を通して快適な暮らし方やごみのない社会についてゆっくり考えるひとときを過ごすことができる。
「ごみから学ぶ」をコンセプトに、同施設では生産者と消費者、町内外の人が出会い、交流し、つながることを目的に、サーキュラーエコノミーのプラットフォームをめざしている。

――ここでの大塚さんの役割は。

大塚:私ができることは限られていますが、上勝町がずっと取り組んできたゼロ・ウェイストの取り組みを次の世代と世界中に広めてつないでいくことだと思っています。いま上勝町はリサイクル率80%ですが、100%をめざしています。紙おむつなどリサイクルできないものについては、企業や研究機関の力を借りながら新しい技術で資源化に取り組んでいきます。ファッション製品については、リユースできるものは「くるくるショップ」で販売できますが、汚れていたり、ほつれていたり、繊維が混雑しているとリサイクルできません。そういう課題を解決していくために、いま、一緒に取り組んでもらえる企業や研究機関を募集中です。

――消費者も生産者もごみに対する意識が変わると、行動やライフスタイル自体が大きく変わります。

大塚:ごみが出ないものを作ることも重要ですが、どのようにして回収、分別、リサイクルされるのかがとても重要です。生産過程で環境負荷を減らせたとしても、捨てた後が一貫していないとなんの意味もありません。だから、ゼロ・ウェイストはひとつの自治体でなし得ることではないと思っています。作る側、使う側、自治体のすべてが関わっているのです。例えば、レジ袋の有料化もなかなか進みませんでしたが、政府が号令をかけて7月からスタートすると、一気にエコバッグを使う人が増え、意識が高まりました。

生活者全員が意識を変えないと、ごみはゼロにならないのです。上勝町は町民と自治体の努力で80%までリサイクルできるようになりましたが、この方法が他の地域にも広がることを期待しています。どうすれば、ごみをゼロにできるのか、それを考えるきっかけの場にしていきたいですね。

――そのためにも、まずは上勝町に来てもらうことが大切です。人が集まるとにぎわいでき、町の活性化につながります。

大塚:わさわざでないと来ない場所なので、WHYで学べることや体験できること、町の魅力をいかに伝えるかが、今後の運営のカギになってきます。例えば、最初にこの施設を考えたときに、サスティナブルアカデミー(環境教室)をひとつの柱にしようという話がありました。広島、長崎が平和教育なので、環境教育といえば上勝町といわれるようになればいいなと思います。「交流ホール」はラーニングセンターの機能があり、ワークショップや講演会ができるように作られています。

また、上勝町は過疎化が進んでいるので、新しい拠点が誕生したのをきっかけに、町外から移住したり、ビジネスをしたり、体験しに来る人が増えることを願っています。ここのコンセプトが「ごみから学ぶ」なので、上勝町と一緒にゼロ・ウェイストに取り組んでもらえる企業とのコラボをたくさん生み出していきたいですね。

特に私が環境の世界に関心を持つきっかけとなったファッション業界の方との取り組みにはとても期待しています。

橋長初代(はしなが・はつよ)/流通ライター:同志社女子大学卒。ファッション専門誌の編集を経てフリーランスのライターに。関西を拠点に商業施設、百貨店、専門店、アパレル、消費トレンド、ホテル、海外進出などの動向を「WWD JAPAN.com」「日経クロストレンド」などに寄稿。取材では現場での直感と消費者目線を大事にしている。最近の関心事は“台湾”と“野菜づくり”と“コロナ後のファッションビジネス”。「リモート取材が浸透すれば、もっと取材先を広げていきたい」

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マンガでビューティとポジティブを発信のカメダがフォロワーからの36の質問に回答 インフルエンサー名鑑Vol.3

 インスタグラムを筆頭とするSNSの普及で、「憧れの人」「なりたい人」が細分化している。今は誰もが、それぞれの「なりたい人」を持っている時代。ならば、そんな身の回りの人を改めて知るべきではないか?そこで「WWD JAPAN.com」は、ソーシャルリレーション マーケティング事業を手がけるリデルの協力を得て、身近な新世代インフルエンサー名鑑を作成する。

 今回は、美大出身で漫画家を志したほどの画力によるイラスト、他のアカウントに負けないビューティなどの情報量、そして全ての投稿に漂うポジティブオーラで、瞬く間に頭角を表したカメダ。フォロワーからは、ビューティに関するさまざまな質問が届いたが、特に「ホントに、ホントの一番コスメ」への興味・関心が高かった。ポジティブマインドの秘訣を含め、質問と回答を一挙に公開する(2020年9月14日号の「WWDジャパン」には、彼女に現在に至るまでの経緯などを聞いたインタビュー記事を掲載します)。

ホントにホントの一番コスメ、教えて!!

Q.1カメダさんを変えたコスメは?

A.1:「RMK」が2018-19年秋冬に発売した、ダブルエンドで色が違う「Wカラーマスカラ」ですかね。それまで自分の中ではブラウンメイクが主流だったので、「オレンジとカーキをまつげに塗ってもいいんだ!!」と驚きました。「ってことは、もっといろんなパーツにいろんな色のせてもいいってことですよね。私やりますよ!?」ってなりましたね。

Q.2:今までで一番衝撃が走ったコスメは?

A.2:コスメ始めたてのころに買った、「ジバンシイ(GIVENCHY)」の18年ホリデーコフレ「パレット・エクラ・ノクターン」です。パッケージの表面がミラーボールみたいにキラキラで、開けるとアイシャドウの形が星形なんです……。可愛くて可愛くて……!!“デパコス沼”に落ちたきっかけの一つだと思います。

Q.3:この冬オススメのコスメは?

A.3:「アンプリチュード(AMPLITUDE)」のクリスマスコフレを狙っています。9月11日に刷新した「アルジェラン(ARGELAN)」の高保水化粧水もコスパ最強でかなりおすすめ。乾燥の季節ですし!!

Q.4:もし、1つのブランドしか使えなくなるとしたら?

A.4:スキンケアとベースメイク、ポイントメイク、どれもバランスよく使ってきた馴染みの「RMK」かな~。

まだまだ続くコスメのお話

Q.5:カメダさんにとってのコスメとは?

A.5:朝顔の鉢にぶっ刺さってる支柱のような存在!!自己肯定感をすくすく育てるための足がかりであり、自己表現ツール。

Q.6メイクのお手本は?

A.6:不特定多数になっちゃうのですが、全国のカウンターにいらっしゃるBAさんや、アーティストのお姉様・お兄様方です。メイクを始めたての時は眉毛を描くのが本当に下手で、BAさんに「眉も直しちゃっていいですか~?」ってよく声かけてもらったな。すごく勉強になりました。

Q.7:どんな時にコスメを買いますか?

A.7:季節の変わり目と、心がしぼんだ時。

Q.7:コスメのアンテナはどんな風に張っていますか?

A.7:「ファッションプレス(FASHION PRESS)」の記事が見やすいのでフォローして、気になったものはスクショし、いつでも見返せるようにしています!すぐに忘れてしまうので。

Q.8:コスメの断捨離はどうしていますか?

A.8:どうもしてないかも!棚がいっぱいになったら考えます!!

Q.9:パーソナルカラーに関係なく、コスメを使いこなすコツは?

A.9:「パーソナルカラーは信じねぇ!」とは言いませんが、全部、自分で決めたいんです。つまり、「心が頑固オヤジ」なんですよね。ということで、頑固オヤジになることです。「ワシの感性しか認めん!!」とちゃぶ台をひっくり返してください。

Q.10:アイシャドウなどで似合わない色を使いこなす方法は?

A.10:「似合う・似合わない」は絶対的評価ではなく、自分の受け取り方次第だと思うので「私、似合うな~これ!!」って言いながら塗りましょう。

Q.11:メイク初心者に伝えたい、おすすめコスメは?

A.11:「ルナソル(LUNASOL)」のアイシャドウパレットがおすすめです。よくなじんで浮かないし、派手じゃないのに目の印象をしっかり強くしてくれる!カジュアルに使っても失敗知らず!!アイメイクは、肌より2段階くらい暗いブラウン系のクリームシャドウや、伸びのいいパウダータイプのアイシャドウをキレイにぼかすところから始めるといいかも!そして何事においても言えることですが、センスより回数がモノを言います。やればやるほど、確実にうまくなります!!

Q.12:気分が上がるネイル、おすすめネイルは?

A.12:「アガる」といえば、「オサジ(OSAJI)」の「アップリフト ネイルカラー」じゃないですか!?絶妙な色味、ラメづかい、物語を感じる色の名前……最高です!!

Q.13:お友達に化粧品のプレゼントを選ぶ時、ブルベ/イエベは気にしていますか?

A.13:「カメダに似合うと思って!」って買ってもらったものなら、どんな色だろうがチャレンジしたいし、似合わなくても愛しい。だから相手にもそうしています。パーソナルカラーをめっっちゃ気にする人には、きちんと気を遣うかな!!

Q.14:導入化粧水が気になっています。何個か使いましたか?

A.14:「導入」って響き、そそりますよね。仕事柄色々使いましたよ~。「ランコム(LANCOME)の「ジェニフィック」は肌のパラメータ全体を底上げしたい時、「ファミュ(FEMMUE)」は肌がゴワつく時にオススメ。肌が、ふわっと柔らかくなります。「ソフィーナ IP(ソフィーナ IP)」の土台美容液は、使い続けたら肌診断の結果もよくなったので信頼しています。炭酸泡の力で肌調子が上がる~!!疲れ切った時・時短したい時にもいいです。

Q.15:お洋服とカラーメイク、香水のコーディネートで大事にしていることは?

A.15:「カラーメイクやネイルと、小物の色をリンクさせると可愛いな~」と思ってユルっと意識しています。「合わせよう合わせよう!」と気張っちゃうと肩肘パンパンになるので、ユルっと。香水は、夕方~夜の自分を気遣うつもりで選んでいます。デートなら女っぷりを上げてくれる香り、日中バタバタで疲れそうならリラックスした香りというカンジです。

Q.16:コロナだからこそのファッションとメイクを教えて!

A.16:カラーライナーやカラーマスカラの登場率が多いですね。唇が外に見えない分、目周りに色をもってきて、ふと鏡を見たとき楽しめるようにしています。服は、楽だけど気分を上げてくれるものが活躍しました。イラストは4、5年前に買った「アー・ぺー・セー(A.P.C.)のワンピース!!ガシガシ洗濯できるのもいいところです。

Q.17:自分でプロデュースするなら、どんなコスメ?

A.17:マンガ付きコスメとかやってみたいですね~。個人的に収納に困っているので、コスメより収納とかブラシとか開発してみたいかも!

Q.18:これからチャレンジしてみたい美容(医療やエステ)はありますか?

A.18:念願の医療脱毛は気がすむまでやれたので、今はないかな!腸を切除しといてなんですが(編集部注:カメダは2017年、炎症性腸疾患のクローン病を患い入院・手術した)、医療系の施術にまだビビってます。知識もないしね。ボディメイク(ダイエットじゃなくて)はやってみたい。

Q.19:カメダさんのコスメの色の例え方が好きです!その表現力は、どうやって培ったのか気になります。

A.19:自信がない部分なので、褒めていただけて嬉しいです!子どものころ、小説が好きでいっぱい読んでいたので、言葉周りの影響はそこから来てると思います。

インスタのこと、イラストのこと

Q.20:今の仕事をやりたいと思った理由は?

A.20:「漫画家になりたい」「コスメで自己肯定感とうまく付き合っていく記録を残したい」「いろんな人に見てほしい」を続けていたら、こんな職業になっておりました。

Q.21:カメダさんの作るグラフィックや背景の歴史は?

A.21:元々美大では漫画家の夢を持ちつつも、エディトリアル・デザイナーを目指し勉強していたので、その影響があると思います。やたらとリボンを使うところとか。「フォトショップ」素材のまとめサイトなどをよく見ていて、おしゃれな素材をかき集めています。

Q.22:インスタに絵を投稿したきっかけは?

A.22:「今、一番ほしいものは?」というテレビのインタビューでギャルが「フォロワー」って言ってたから。

Q.23:1つのイラストに要する時間と過程は?

A.23:線画は1枚15~30分、着色が1枚30分~3時間(建物とか、登場人物多いと大変)。下書きなしで、構成は描きながら考えます。修正・移動・変形が楽なので、デジタル絵は便利!過程をうつすインスタライブとかしましょうかね?

Q.24:美大を卒業してよかったことは?

A.24:「自分が何者なのか?」を考える時間をいっぱいもらえたこと。自分の好きな物事を深掘りして、リサーチしたり習作を重ねたり悩みすぎて迷走した経験が、今の漫画制作を下支えしてくれています!

Q.25:お仕事では、どんなタッチの絵を描いてますか?

A.25:自分のやりたいことを伝えるための絵なので、すごくラフな感じです。

ポジティブマインドの秘訣

Q.26:落ち込んだ時とか、嫌なことがあった時、どうやって気持ちを切り替えていますか?

A.26:めちゃくちゃおいしいものや、お気に入りの音楽などでとにかく自分の機嫌をとります。お風呂や、丁寧なスキンケアもいい!!寝る前や帰り道とかふと時に思い出しそうになったら、「大丈夫大丈夫!」って唱えて、とりあえず遠ざけます。浮き沈みあるのが人間なので、「元気がないということは……私、ロボットじゃなくて人間だったっぽ~い!やったね!」って思って、何もしません。

Q.27:ポジティブの秘訣

A.27:心の中に歌姫(自分の理想像)を飼って、落ち込んだ時に喋らせます。言い換えが上手くなるのも大事。「〇〇しかできない」じゃなくて、「〇〇を極めている」みたいなね。

Q.28:好きなものを追求できるモチベーションはなんですか?

A.28:絵を続けられている理由は、「好きだから」以外にあんまりないのですが、強いて言うなら一つだけ手に職つけられるような特技が欲しかったんだと思います。昔は、自分に自信がなかったので!

Q.29:座右の銘は?

A.29:「継続は力なり」。

Q.30:緊張する時の対処法は?

A.30:心に余裕がないときは、わざとにっこり笑ってお顔(表情)に余裕を作ると、心がそれに引っ張られてなんかいい感じになります。

Q.31:人生のこだわりは?

A.31:一般論や周りの意見に流されないで、自分で判断して決めること。

Q.32:自分へのご褒美は?

A.32:おかんが年2くらいで買ってきてくれる「ロイズ(ROYCE’)」のいちごチョコをちびちび食べる。「ファミュ」か「ファミュ」×「トーン(TO/ONE)」のシートマスクを貼ります。

Q.33:カメダさんの将来の夢は?

A.33:SNSは形がないので、書籍化して本の重みを感じたい!

Q.34:カバンの中身がしりたいです。

A.34:財布とリップとお腹の薬(整腸剤と下痢止め)、後は最近買ったiPad!!

Q.35:カメダさんが理想とする人間像は?

A.35:自分の機嫌を自分で取れる人、美しさの評価軸が自分にある人、そして自己肯定感とうまく付き合える人です。

Q.36:美しさとは?

A.36:ひたむきさと思いやり。配られた手札で自分の人生を最大限楽しもうと努力する姿、他人に真摯に向き合っている姿に美しさを感じます。中身の美しさは絶対外側に滲んでくるから、私も大事にしていきたい!!

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日本伝統の金継ぎをジュエリーで表現 「ミラモア」の稲木ジョージに聞くクリエイション

 ニューヨーク発、メード・イン・ジャパンのジュエリー「ミラモア(MILAMORE)」の最高経営責任者(CEO) 兼ブランドビジョニアの稲木ジョージ氏が、百貨店でのポップアップショップ開催のため一時帰国した。稲木CEOは「アメリカン アパレル(AMERICAN APPAREL)」のPRとして同ブランドの渋谷店の売り上げを世界一にした立役者だ。2014年に渡米しデジタルPRとして起業し、さまざまなブランドのイベントのコーディネートやインフルエンサーの起用などを手掛けている。そんな稲木CEOが19年、ジュエリーブランドを立ち上げた。祖母のニックネーム“ミラ”にちなんで「ミラモア」と名付けた自身のブランドに込めた思いを聞いた。

WWD:「ミラモア」を立ち上げたきっかけと目的は?

稲木ジョージCEO(以下、稲木):「ミラモア」設立のきっかけは、代々一族で宝石商を営んできた大和梓氏から企画書を受け取ったこと。日本の文化を取り入れた工芸品などはあるが、ジュエリーがないと思ったし、小学生のときからネックレスを、中高学年ではピアスなどジュエリーを着けることが好きだった。昔話に登場するツルやカメ、金魚などがモチーフのジュエリーはお守り的な意味も持つと思ったから。社会的な責任を持ちつつ、ジュエリー製造における日本の職人を支援していくのが目的だ。日本の文化を継承していきたいという強い思いがある。

WWD:「ミラモア」という名前は祖母のニックネームからだそうだが?

稲木:フィリピンで9歳まで祖母に育てられて、大好きな人だから。“ミラ”はイタリア語で目的という意味もある。ブランドのロゴマークは金魚だ。

WWD:金継ぎという技法に出合ったきっかけと、それをジュエリーで表現した理由は?

稲木:ユーチューブでタイ人の男の子が金継ぎの哲学を語っているのを見て面白いと思った。金継ぎは割れたものを漆でつなぐという技術。裕福だろうがそうでなかろうが、傷ついたことのない人はいない。ある意味、金継ぎは傷ついたことを乗り越える挑戦のように思えた。だから、それにフォーカスしてジュエリーにしてみたいと思った。壊れたものを直してそれを勲章として着ける。そうすることで、自分が完成するといった、新たな価値観の提案だ。

また、金継ぎおよび、それに関わる日本の職人技を後世に残したいという思いもある。

WWD:金継ぎをテーマにしたジュエリーはどのように作られるか?

稲木:共通の友人を通して知り合った輪島の漆職人の桐本滉平さんとコラボレーションで作っている。桐本さんは27歳で、地元の漆産業を担う若手職人だ。漆の歴史は1000年以上前にさかのぼる。縄文時代から魔除けとされていたし、茶道にも深い関係がある。なぜなら、陶器が割れたら漆を接着剤として使用し金粉をかぶせて金継ぎして使っていたから。金継ぎは日本のわびさびを象徴するものだと思う。マザー・オブ・パール(MOP)を使用したのは、中国から渡ってきた螺鈿(らでん)に着想を得た。また、私が育ったマニラは東洋の真珠と呼ばれている。MOPを割って漆で接着し,金粉を施すとマットなテクスチャーに仕上がる。

WWD:クリエイションの過程は?

稲木:物と情報が溢れた世界に生きているので、クリエイティビティーそのものより編集能力が評価される。デザインに関しては、全く新しいものを打ち出すのはほぼ不可能だ。私にとってデザインとはビジョンであり、それをどう語るのかが重要だと思う。PRをしていたこともあり、人にどう伝えられるかということを常に考えている。だから、フィロソフィーからクリエイションに入るようにしている。ニューヨークに7年間住んで、日本の文化についてあらためて考えた。歴史や文化について語れないと恥ずかしいということがよく分かった。

WWD:今後のコレクションの予定は?

稲木:金継ぎからインスパイアされたチェーンを出すつもりだ。チェーンと言えば円。円=縁を大切にしたいと思う。それはいいカルマも意味すると思うから。また、10月には星座のチャームも出す予定だ。

WWD:今後の目標は?

稲木:ただのジュエラーではなく、ジュエリーブランドとして確立したい。日本のブランドはグローバルブランドになりにくい。ゆくゆくは世界的なラグジュアリーのコングロマリットの傘下に入れたらいいと思う。今は外国のブランドばかりだけど、日本のブランドも入れたらいいなと思う。または、自分でジュエリーブランドのコングロマリットをつくるということも視野に入れている。こだわって作ったキャンドルをはじめとするフレグランスのビジネスも強化していきたい。ロックダウン中にECのオーダーに手応えを感じたので、デジタルの施策にも注力するつもりだ。

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日本伝統の金継ぎをジュエリーで表現 「ミラモア」の稲木ジョージに聞くクリエイション

 ニューヨーク発、メード・イン・ジャパンのジュエリー「ミラモア(MILAMORE)」の最高経営責任者(CEO) 兼ブランドビジョニアの稲木ジョージ氏が、百貨店でのポップアップショップ開催のため一時帰国した。稲木CEOは「アメリカン アパレル(AMERICAN APPAREL)」のPRとして同ブランドの渋谷店の売り上げを世界一にした立役者だ。2014年に渡米しデジタルPRとして起業し、さまざまなブランドのイベントのコーディネートやインフルエンサーの起用などを手掛けている。そんな稲木CEOが19年、ジュエリーブランドを立ち上げた。祖母のニックネーム“ミラ”にちなんで「ミラモア」と名付けた自身のブランドに込めた思いを聞いた。

WWD:「ミラモア」を立ち上げたきっかけと目的は?

稲木ジョージCEO(以下、稲木):「ミラモア」設立のきっかけは、代々一族で宝石商を営んできた大和梓氏から企画書を受け取ったこと。日本の文化を取り入れた工芸品などはあるが、ジュエリーがないと思ったし、小学生のときからネックレスを、中高学年ではピアスなどジュエリーを着けることが好きだった。昔話に登場するツルやカメ、金魚などがモチーフのジュエリーはお守り的な意味も持つと思ったから。社会的な責任を持ちつつ、ジュエリー製造における日本の職人を支援していくのが目的だ。日本の文化を継承していきたいという強い思いがある。

WWD:「ミラモア」という名前は祖母のニックネームからだそうだが?

稲木:フィリピンで9歳まで祖母に育てられて、大好きな人だから。“ミラ”はイタリア語で目的という意味もある。ブランドのロゴマークは金魚だ。

WWD:金継ぎという技法に出合ったきっかけと、それをジュエリーで表現した理由は?

稲木:ユーチューブでタイ人の男の子が金継ぎの哲学を語っているのを見て面白いと思った。金継ぎは割れたものを漆でつなぐという技術。裕福だろうがそうでなかろうが、傷ついたことのない人はいない。ある意味、金継ぎは傷ついたことを乗り越える挑戦のように思えた。だから、それにフォーカスしてジュエリーにしてみたいと思った。壊れたものを直してそれを勲章として着ける。そうすることで、自分が完成するといった、新たな価値観の提案だ。

また、金継ぎおよび、それに関わる日本の職人技を後世に残したいという思いもある。

WWD:金継ぎをテーマにしたジュエリーはどのように作られるか?

稲木:共通の友人を通して知り合った輪島の漆職人の桐本滉平さんとコラボレーションで作っている。桐本さんは27歳で、地元の漆産業を担う若手職人だ。漆の歴史は1000年以上前にさかのぼる。縄文時代から魔除けとされていたし、茶道にも深い関係がある。なぜなら、陶器が割れたら漆を接着剤として使用し金粉をかぶせて金継ぎして使っていたから。金継ぎは日本のわびさびを象徴するものだと思う。マザー・オブ・パール(MOP)を使用したのは、中国から渡ってきた螺鈿(らでん)に着想を得た。また、私が育ったマニラは東洋の真珠と呼ばれている。MOPを割って漆で接着し,金粉を施すとマットなテクスチャーに仕上がる。

WWD:クリエイションの過程は?

稲木:物と情報が溢れた世界に生きているので、クリエイティビティーそのものより編集能力が評価される。デザインに関しては、全く新しいものを打ち出すのはほぼ不可能だ。私にとってデザインとはビジョンであり、それをどう語るのかが重要だと思う。PRをしていたこともあり、人にどう伝えられるかということを常に考えている。だから、フィロソフィーからクリエイションに入るようにしている。ニューヨークに7年間住んで、日本の文化についてあらためて考えた。歴史や文化について語れないと恥ずかしいということがよく分かった。

WWD:今後のコレクションの予定は?

稲木:金継ぎからインスパイアされたチェーンを出すつもりだ。チェーンと言えば円。円=縁を大切にしたいと思う。それはいいカルマも意味すると思うから。また、10月には星座のチャームも出す予定だ。

WWD:今後の目標は?

稲木:ただのジュエラーではなく、ジュエリーブランドとして確立したい。日本のブランドはグローバルブランドになりにくい。ゆくゆくは世界的なラグジュアリーのコングロマリットの傘下に入れたらいいと思う。今は外国のブランドばかりだけど、日本のブランドも入れたらいいなと思う。または、自分でジュエリーブランドのコングロマリットをつくるということも視野に入れている。こだわって作ったキャンドルをはじめとするフレグランスのビジネスも強化していきたい。ロックダウン中にECのオーダーに手応えを感じたので、デジタルの施策にも注力するつもりだ。

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【動画】元「スノーピーク」の“キャンプのプロ”も驚くワークマンプラスのすごさをキャンプ場で知る!

 動画「出張インタビュー」は前回に続き、“モノが売れない”時代にもかかわらず関連グッズが売り上げを伸ばし、ウィズコロナ時代のレジャーとしても再注目されているキャンプを取り上げます。「スノーピーク(SNOW PEAK)」の元スタッフでキャンプライター兼スタイリストの山田昭一さんに、格安&機能的なワークマンプラスのウエアをリースしてもらい、キャンプ場でそのすごさを再確認。また月間UU 620万、月間PV 5500万のキャンプ専門ウェブメディア「キャンプハック(CAMP HACK)」の濱松教道編集長に、キャンプブームを裏付ける3つの事象や、ファッションおよびビューティ企業が新規参入するためのヒントなどについて質問します。

 青空とタープの下、たき火とダッチオーブンで作った“キャンプ飯”に舌鼓を打ちつつ、「WWDビューティ」出身でママ目線、女性目線を持つ福崎明子デジタルデスクと、田舎育ちにもかかわらずキャンプ超初心者の「WWDジャパン」編集部 三澤和也が聞き役になります。アウトドアビューティ講座などを収録した前編と併せてご覧ください!

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「セフォラはブランドの味方だ」 競合との差別化や新型コロナ禍の戦略について米セフォラCEOが語る

 米セフォラ(SEPHORA AMERICAS)のジャン・アンドレ・ルージュ(Jean-Andre Rougeot)最高経営責任者(CEO)に、コロナ禍におけるビジネス戦略から黒人の人権を掲げた一連の抗議運動に対する取り組みに至るまで話を聞いた。ルージュCEOはメイクアップブランド「ベネフィット(BENEFIT)」で12年間のCEO経験もあり、ブランドとリテール双方でのビジネスを熟知している人物だ。

若手ブランドの投資で競合と差別化

 かつては米国で業界の一強であったセフォラだが、近年は化粧品専門店のウルタ(ULTA)がカイリー・ジェンナー(Kylie Jenner) の「カイリー・コスメティクス(KYLIE COSMETICS)」や「モルフィー(MORPHE)」といったZ世代に人気のあるブランドを扱うなど、競合他社が勢いを増している。ユーロモニター(EUROMONITOR)によると、ウルタは米国におけるマーケットシェアの26.7%を占めており業界1位、セフォラは2位の「バス&ボディワークス(BATH & BODY WORKS)」に次ぐ3位でシェアは14.9%だ。業界3位といえども、プレステージビューティにといては百貨店のメイシーズ(MACY’S)の上を行くセフォラの存在感の大きさに変わりはない。

 「われわれはDNAが確立しているユニークなブランドを取り扱うことで、ほかとの差別化を図っている。例えばリアーナ(Rihanna)の『フェンティ ビューティ バイ リアーナ(FENTY BEAUTY BY RIHANNA)』や『タチャ(TATCHA)』『ドランクエレファント(DRUNK ELEPHANT)』『オラプレックス(OLAPLEX)』『パット・マクグラス ラボ(PAT MCGRATH LABS)』などは売り上げ面だけでなくリピーターの獲得においても大きな原動力になっている」。

 セフォラは将来有望な若手ブランドの発掘や育成、支援にもたけており、次世代ブランドにもすでに目を向けている。米人気インフルエンサーのパトリック・スター(Patrick Starrr)による新ブランド「ワン/サイズ(ONE /SIZE)」や歌手のセレーナ・ゴメス(Selena Gomez)によるビューティブランド「レア ビューティ(RARE BEAUTY)」など、注目のブランドもいち早く導入している。

新型コロナ禍での戦略 ブランド支援やEC戦略に注力

 2019年にNYのタイムズスクエアにオープンした旗艦店ではメイクアップ製品が売り場の半分以上を占めているが、新型コロナウイルスによって4〜6月の米国でのメイクの売上高は前年比52%減の8億6900万ドル(約912億円)に落ち込んだ(NPD調べ)。一方で、スキンケアの売り上げが急伸しており、大きな可能性を見出しているという。中でも最近はクリーンスキンケアに注力している。「35歳以下をターゲットにした戦略として、4〜5年前にクリーンビューティの扱いを始めた。これまでスキンケアは比較的年齢層が高めの消費者からの需要が高かったが、最近は若者からの(スキンケアに対する)問い合わせが増えている。若者はクリーンスキンケアの環境に優しいパッケージや、使用方法等がわかりやすいところに興味を持っている。彼らはいくつもの高価なアイテムを求めているのではない」と説明する。

 また、セフォラは以前からEC事業にも力を入れてきたことも、新型コロナ禍で強みとなっている。パンデミック以前からEC化率は40%ほどとかなり高い水準だったが、今はその売り上げが70〜80%にまで高まっているという。「ウルタやメイシーズなど他社は新型コロナによる急速なEC需要の拡大に対応する用意ができていなかった。セフォラのサプライチェーンはパンク寸前だったが、(ECへの継続的な投資により)どうにか持ちこたえながら供給できた」という。

 そしてブランドと良好な関係を構築するために、コロナ禍では支払期日の順守など取り扱いブランドを支援している。「私たちはブランドとの約束を守り、30日以内に支払いを行った。多くのブランドの創設者たちは電話口で泣きながら『きちんと支払いをしてもらえたなんて信じられない』と言った。中には90日以上も支払いを引き延ばす小売店も存在するため、私たちが期日までに支払いを行うとは思ってもいなかったようだ。セフォラはブランドの味方だ。パンデミックのさなかでも強い企業であり続け、将来有望なブランドのサポートを適切に行うことで小売業界の模範となる」。

ダイバーシティーのために人員調整をはじめとした戦略

 セフォラが全ての人種にとって心地よく買い物ができる場所であるためには、改善すべき点もある。19年に黒人R&B歌手のシザ(SZA)がセフォラのスタッフに万引きを疑われ、警備員を呼ばれるに至った旨をツイートした騒動の後、セフォラは全店で1日休業し、従業員に対して偏見に関するトレーニングを実施した。セフォラでリーダーの役割を担う黒人はわずか6%に過ぎず、今後さらなる取り組みが必要とされている。

 また今年5月に黒人男性が白人警察に押さえつけられて窒息死した事件を受け、デザイナーのオーロラ・ジェームズ(Aurora James)が掲げる「15パーセント プレッジ(15 Percent Pledge)」イニシアチブに参加することを表明した。これは小売り店に対して黒人が手掛けるブランドを15%扱うように求めたもので、15%の数字は全米におけるおおよその黒人の割合に相当する。また21年には、新しいビューティブランドがビジネスのコツを学んで投資コミュニティーとの結び付きを得ることにもつながる「セフォラ・アクセレレート・プログラム」に、20〜25のBIPOC(black, indigenous and people of colorの略で、黒人、先住民および有色人種の総称)のブランド創設者を招き入れる予定だ。

 「全ての小売り店において偏見の問題は存在する。セフォラの顧客や従業員は多様性に富んでいるが、偏見が存在するのもまた事実だ。そのため、多様性に関するトレーニングやリーダーの多様化に向けた取り組みを全ての部署で行っている。ウェビナーを行い、有色人種の従業員の声に耳を傾けることで人種差別などの問題にも向き合っており、私も時々こっそりと話を聞いている。彼らのストーリーはとてもパワフルだ。ダイバーシティーに向けた今後のアクションを起こす上で大きなモチベーションになる」。

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渡辺直美からファッション&ビューティ業界へメッセージ 「人をワクワクさせたいゴールは同じ」

 「WWDジャパン」9月7日号は“ファッション×ビューティの可能性”をテーマに両業界を自在に行き来する業界人を特集する。表紙を飾ったのは両業界のアイコンとして活躍する渡辺直美だ。撮影後、ファッションもメイクも自由に楽しむ彼女にその秘訣を聞いた。

WWD:撮影を終えた感想は?

渡辺直美(以下、渡辺):「WWDジャパン」の表紙に登場できるなんてすごくうれしかったし、撮影も楽しかったです。緊張してメイクはバキバキに、細かく丁寧にやらせていただきました(笑)。

WWD:今回着用した「プニュズ(PUNYUS)」のポイントは?

渡辺:レオパード柄のトップスはパンツに合わせてもポップな印象で、秋口まで着られるアイテムです。Tシャツ以外の派手なトップスを増やしたくて作りました。

WWD:「プニュズ」のデザインで大切にしていることは?

渡辺:一番は「自分が着たいかどうか」です。ジャンルは絞らず、同じアイテムでもバリエーションを持たせています。大きいサイズのブランドがあまりなかった頃は、デザインではなく「これなら着られそうだから」とサイズを中心に洋服を選んでいました。「プニュズ」ではみんながたくさんの選択肢のなかで買い物を楽しんでほしいと思っています。

WWD:リップは、アンバサダーを務める「シュウ ウエムラ(SHU UEMURA)」の新作「ルージュ アンリミテッドアンプリファイド」。つけ心地は?

渡辺:通常、崩れにくいリップは色素沈着しやすく落とすのも大変ですが、今回の「ルージュ アンリミテッドアンプリファイド」は発色もすごくきれいで、直すのも落とすのもラク。「ついにこんな素晴らしいリップができたか!」とびっくりしました。

WWD:「プニュズ」でもコスメも出したい?

渡辺:いつかオーガニックコスメを作ってみたいです。カバー力があり、発色がよいものでパッケージにもこだわりたいです。

ファッションとメイクは色の統一感が大切

WWD:ファッションもメイクも自由に楽しんでいるが、今のスタイルが確立したのはいつごろ?

渡辺:コントで赤いリップに挑戦したことが始まりでした。東京に出てきた頃はナチュラルメイクが主流で、リップをどれだけベージュに近づけるかの闘いでした。私も当時は周りに合わせて化粧を薄くしていたんですが、ベージュが似合わなかった。ある時、コントの仕事で赤いリップを塗ってみたら、派手な方が似合うことに気付きました。プライベートでも赤リップをつけると抵抗が薄れ、リップに合わせてシャドウ、洋服、髪にも色を取り入れるようになりました。

WWD:ファッションとメイクのバランスを取るコツは?

渡辺:全体的な色の統一感を大切にしています。例えば髪色を派手なオレンジにしたら、服にもメイクにもトーンを変えたオレンジを取り入れるなど。組み合わせて考えるのが好きなんです。

WWD:メイクとファッション、どちらからパワーをもらうことが多い?

渡辺:わぁ~、決められないな。どっちも好きですね。でもテンションが上がるのはファッションです。メイクでテンションが上がるのは、完成してうまくいった後。うまくいかなければ下がるし、メイクする前はめっちゃダルいです(笑)。洋服は「今日は会食があるからサンダルはやめよう」とか「今日は声だけの仕事だからジャージーでいっか」とかスケジュールに合わせて考えますが、たとえジャージーの日でも気分が上がるんですよね。そういうワクワクがあるのはファッションです。

WWD:駆け出しの頃はファッションとビューティ、どちらの業界で活躍したいと思っていた?

渡辺:どちらも全然想像していなかったですよ。「プニュズ」も自分が着られる服がないというニーズから生まれたので、「ファッション業界でかましてやるぜ」みたいな思いは全くなかったです。

コンプレックスを乗り越えて「渡辺直美」に会いに来てほしい

WWD:ファッション&ビューティ業界の印象は?

渡辺:日本のメイクさんたちは、繊細な人が多いですよね。イケイケなモノを作るけど、おとなしい印象。一方ファッション業界は、芸能界よりも怖いかも(笑)。ファッション系のパーティーはお腹痛くなりますね。でも、あの緊張感が逆にイケてると思います。

WWD:今号は“ファッション×ビューティの可能性”がテーマ。両業界に向けたメッセージを。

渡辺:ファッションショーでも服とメイク、両方ないと始まりません。私にとっても色や組み合わせを楽しんでこそファッションです。どちらも人をワクワクさせたいというゴールは同じですから、お互いの得意分野を生かして、一緒にそのゴールに向かっていきたいです。

WWD:両分野を代表するアイコンとして今後、世界にどんなメッセージを発信していきたい?

渡辺:ファッションはこれまで作る側が着る人を選んでいたような気がしますが、最近ではサイズなども含めて多様化しています。多様性の大切さをファッション&ビューティ業界の人たちと一緒に発信したい。私は今体形についてあまり意識しないんです。人は見た目の特徴でジャンル分けしがちですが、ファンの皆さまは「太った女芸人」ではなく、「渡辺直美」と認識してくれます。個性が尊重されるべき時代ですから、ジャンル分けは不要。多くの人にコンプレックスを乗り超えて「渡辺直美」に会いに来てほしい。ファッションもビューティも、業界の枠を超えて個性にフォーカスするべきでしょう。

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渡辺直美からファッション&ビューティ業界へメッセージ 「人をワクワクさせたいゴールは同じ」

 「WWDジャパン」9月7日号は“ファッション×ビューティの可能性”をテーマに両業界を自在に行き来する業界人を特集する。表紙を飾ったのは両業界のアイコンとして活躍する渡辺直美だ。撮影後、ファッションもメイクも自由に楽しむ彼女にその秘訣を聞いた。

WWD:撮影を終えた感想は?

渡辺直美(以下、渡辺):「WWDジャパン」の表紙に登場できるなんてすごくうれしかったし、撮影も楽しかったです。緊張してメイクはバキバキに、細かく丁寧にやらせていただきました(笑)。

WWD:今回着用した「プニュズ(PUNYUS)」のポイントは?

渡辺:レオパード柄のトップスはパンツに合わせてもポップな印象で、秋口まで着られるアイテムです。Tシャツ以外の派手なトップスを増やしたくて作りました。

WWD:「プニュズ」のデザインで大切にしていることは?

渡辺:一番は「自分が着たいかどうか」です。ジャンルは絞らず、同じアイテムでもバリエーションを持たせています。大きいサイズのブランドがあまりなかった頃は、デザインではなく「これなら着られそうだから」とサイズを中心に洋服を選んでいました。「プニュズ」ではみんながたくさんの選択肢のなかで買い物を楽しんでほしいと思っています。

WWD:リップは、アンバサダーを務める「シュウ ウエムラ(SHU UEMURA)」の新作「ルージュ アンリミテッドアンプリファイド」。つけ心地は?

渡辺:通常、崩れにくいリップは色素沈着しやすく落とすのも大変ですが、今回の「ルージュ アンリミテッドアンプリファイド」は発色もすごくきれいで、直すのも落とすのもラク。「ついにこんな素晴らしいリップができたか!」とびっくりしました。

WWD:「プニュズ」でもコスメも出したい?

渡辺:いつかオーガニックコスメを作ってみたいです。カバー力があり、発色がよいものでパッケージにもこだわりたいです。

ファッションとメイクは色の統一感が大切

WWD:ファッションもメイクも自由に楽しんでいるが、今のスタイルが確立したのはいつごろ?

渡辺:コントで赤いリップに挑戦したことが始まりでした。東京に出てきた頃はナチュラルメイクが主流で、リップをどれだけベージュに近づけるかの闘いでした。私も当時は周りに合わせて化粧を薄くしていたんですが、ベージュが似合わなかった。ある時、コントの仕事で赤いリップを塗ってみたら、派手な方が似合うことに気付きました。プライベートでも赤リップをつけると抵抗が薄れ、リップに合わせてシャドウ、洋服、髪にも色を取り入れるようになりました。

WWD:ファッションとメイクのバランスを取るコツは?

渡辺:全体的な色の統一感を大切にしています。例えば髪色を派手なオレンジにしたら、服にもメイクにもトーンを変えたオレンジを取り入れるなど。組み合わせて考えるのが好きなんです。

WWD:メイクとファッション、どちらからパワーをもらうことが多い?

渡辺:わぁ~、決められないな。どっちも好きですね。でもテンションが上がるのはファッションです。メイクでテンションが上がるのは、完成してうまくいった後。うまくいかなければ下がるし、メイクする前はめっちゃダルいです(笑)。洋服は「今日は会食があるからサンダルはやめよう」とか「今日は声だけの仕事だからジャージーでいっか」とかスケジュールに合わせて考えますが、たとえジャージーの日でも気分が上がるんですよね。そういうワクワクがあるのはファッションです。

WWD:駆け出しの頃はファッションとビューティ、どちらの業界で活躍したいと思っていた?

渡辺:どちらも全然想像していなかったですよ。「プニュズ」も自分が着られる服がないというニーズから生まれたので、「ファッション業界でかましてやるぜ」みたいな思いは全くなかったです。

コンプレックスを乗り越えて「渡辺直美」に会いに来てほしい

WWD:ファッション&ビューティ業界の印象は?

渡辺:日本のメイクさんたちは、繊細な人が多いですよね。イケイケなモノを作るけど、おとなしい印象。一方ファッション業界は、芸能界よりも怖いかも(笑)。ファッション系のパーティーはお腹痛くなりますね。でも、あの緊張感が逆にイケてると思います。

WWD:今号は“ファッション×ビューティの可能性”がテーマ。両業界に向けたメッセージを。

渡辺:ファッションショーでも服とメイク、両方ないと始まりません。私にとっても色や組み合わせを楽しんでこそファッションです。どちらも人をワクワクさせたいというゴールは同じですから、お互いの得意分野を生かして、一緒にそのゴールに向かっていきたいです。

WWD:両分野を代表するアイコンとして今後、世界にどんなメッセージを発信していきたい?

渡辺:ファッションはこれまで作る側が着る人を選んでいたような気がしますが、最近ではサイズなども含めて多様化しています。多様性の大切さをファッション&ビューティ業界の人たちと一緒に発信したい。私は今体形についてあまり意識しないんです。人は見た目の特徴でジャンル分けしがちですが、ファンの皆さまは「太った女芸人」ではなく、「渡辺直美」と認識してくれます。個性が尊重されるべき時代ですから、ジャンル分けは不要。多くの人にコンプレックスを乗り超えて「渡辺直美」に会いに来てほしい。ファッションもビューティも、業界の枠を超えて個性にフォーカスするべきでしょう。

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俳優ラミ・マレックが語る、「カルティエ」の新作時計“パシャ”と共鳴する「僕のエネルギー」

 映画「ボヘミアン・ラプソディ」でフレディ・マーキュリー(Freddie Mercury)役を熱演した俳優のラミ・マレック(Rami Malek)はこのほど、「カルティエ(CARTIER)」のセルフリバイバル時計“パシャ ドゥ カルティエ(PASHA DE CARTIER)”の新世代アンバサダーの5人のうち1人に選ばれた。メゾンはラミ起用の理由を「彼のエネルギーや多様性が、時計の既成概念を超える力強さや、画一性を脱したデザインと共鳴する」(アルノー・カレズ(Arnaud Carrez)=カルティエ インターナショナル マーケティング&コミュニケーションディレクター)と説明する。彼のエネルギーは、どこから生まれるのか?「WWD JAPAN.com」は7月中旬、ロンドンのラミにオンラインインタビューした。

WWD:世界は今大変な状況だが、何を考えている?

ラミ・マレック(以下、ラミ):世界は少しずつ落ち着きを取り戻し、僕自身の仕事も少しずつ再び歩み始めている。これまでのように働くのは難しい状況だけれど、少しずつ変わって、早く全力でパフォーマンスできる環境を取り戻したい。一番悲しかったのは、コロナ禍で偉大な俳優、数多くのベストワークに出演してきた先輩方が亡くなってしまったこと。とても悲しいことだ。でも、僕らはそれに向き合わなくちゃならない。今はアーティストとして、映画やテレビ、劇場作品に出演できることに感謝したいし、みんなには作品を心から楽しんで欲しいと思う。

WWD:偉大な俳優の跡を継ぎ、業界を先導したいという思いが芽生えている?

ラミ:「ボヘミアン・ラプソディ」の成功は自信に繋がり、以降、俳優としても、人間としても成長したと実感している。今だってより多くを学んで成長したいと思っているし、さらにはエンターテインメント産業の発展も考えるようになった。今は産業を代表する、より良い俳優になれたらと思う。演じることは、これからも大事。でもそれ以上に、この産業を守りたい。

WWD:そんなポジティブマインドの秘訣は?

ラミ:無数のアーティストやクリエイターが、それぞれのゴールに向かって一生懸命働いている姿を見続けてきた。今はなおさらだ。何かを始めようとするとき、年齢なんて関係ない。スタートには、早いも遅いもない。アーティストのチャレンジを見続け、心の底からそう思えるようになったんだ。そこに自分の成功が重なり、今はエネルギーに満ちている。ポジティブマインドの秘密は、1つじゃない。全てが複合的に影響しているんだ。

WWD:そのエネルギーが、“パシャ ドゥ カルティエ”のアンバサダーに選ばれた理由の1つだ。

ラミ:「カルティエ」は、タイムレスなのにパワフルでクール。クラフツマンシップに基づくエレガンスはそのままに、他のブランドより一歩先を歩もうとする勇敢な一面も兼ね備えている。僕を含む新世代の5人をアンバサダーに選んだのは、メゾンのマニフェスト。伝統を守りつつ、前に進もうとする姿勢の表現だ。そんな公約を宣誓できるブランドと働けて、とても嬉しいよ。偉大な公約を宣誓できるメゾンで働く人々は、同様に偉大。そして、彼らとの仕事も偉大だ。メゾン、人々、仕事との関係性に感謝したい。

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田上ディレクターに聞く 「セルヴォーク」がファッショニスタに刺さる理由

 マッシュビューティーラボのオーガニックビューティブランド「セルヴォーク(CELVOKE)」は、“今っぽい顔になれる”コスメブランドとしてプロからインフルエンサーまで幅広い層から支持を得る。テラコッタに代表されるトレンド感のあるカラーリングやファッション性の強い世界観でオーガニックコスメの従来のイメージを刷新した。田上陽子クリエイティブ・ディレクター(以下、田上ディレクター)に戦略を聞いた。

WWD:なぜオーガニックコスメの世界へ?

田上ディレクター:以前はPR関係の仕事をしていました。7年勤めた代理店ではゲームやIT、銀行、消費財などさまざまな業界の仕事をしましたが、自分の専門領域を極めたくなったんです。そこで出合ったのがオーガニックコスメでした。消費者として癒やしや効果を実感すると同時に、日本のオーガニックコスメマーケットの狭さに違和感を覚えていました。ある時今の上司でコスメキッチンを創業した椋林裕貴マッシュビューティーラボ副社長と意見交換する機会があり、オーガニックコスメに対する思いを伝えると「じゃあ、うちでやってみない?」と声をかけられました。

WWD:当時のマーケットに足りなかったものとは?

田上ディレクター:世界観の打ち出し方に課題がありました。海外ではミランダ・カー(Miranda Kerr)のようなファッションアイコンがオーガニックコスメをプロデュースするなど一般に広がっていたのに対し、日本でオーガニックコスメはまだ素朴な印象で、ごく一部の層にしかリーチできていませんでした。そこで、2013年に立ち上げたスキンケアの「エッフェ オーガニック(F ORGANICS)」では、オーガニックコスメの間口を広げることを狙い、パッケージなどのデザイン面にファッション性を取り入れ、斬新なブランドとして受け止められました。

2大キーワードは“抜け感”と“こなれ感”

WWD:「セルヴォーク」もファッション性が強い。

田上ディレクター:おかげさまでそう言っていただくことが多くてうれしいです。「セルヴォーク」はメイクのプロと、発信力のあるファッショニスタをターゲットに据えました。従来のオーガニックコスメが獲得できていなかったユーザー層です。おしゃれなインフルエンサーなどからも支持を得て、そのイメージがブランドイメージにつながり相乗効果がありました。

WWD:ファッショニスタに刺さる工夫とは?

田上ディレクター:「セルヴォーク」の2大キーワードは“抜け感”と“こなれ感”。おしゃれな人は何を着てもこなしている感がありますよね。そこに着想を得て、服を着こなすように誰でもカッコよくつけこなせるコスメブランドを目指しました。こだわったのはカラーリングとテクスチャーです。マットだけどウエット感があるもの、濃い色でシアーな発色など、ファッションで言う「異素材ミックス」のような仕掛けを施しました。難しそうに見える色でも日本人の肌に合う色を計算し、誰でも簡単につけこなせます。

WWD:「セルヴォーク」は、アパレル企業傘下が手掛けるモノとしては特に好調だ。その差は?

田上ディレクター:「アパレル企業が出すコスメなんて」と絶対に思われたくなかったんです。最初にスキンケアを出したのは、本気度を見せるためでした。まず美容のプロが認める説得力のある製品で、美容理論の基盤を見せました。ファッション性を打ち出すことに振り切り、メイクもカラーバリエーションを出してブランドの世界観を伝えました。

ユーザーの半歩先を行くモードなブランドを目指す

WWD:今後ファッションブランドと挑戦したいことは?

田上ディレクター:「セルヴォーク」のオープニングパーティーでスタイリストの白幡啓さんとファッションショーをしました。ファッションとメイク、トータルで完成するステージはとても説得力がありました。かなり手応えを感じたので、今後もビジョンを共有するファッションブランドとは何か仕掛けたいですね。

WWD:ビューティ業界とファッション業界はもっと近付くべき?

田上ディレクター:ファッションとビューティは“人”を表現する手法という意味では切っても切り離せません。成分などの詳細に加えて、今後はストーリーや人間像の提案が重要になります。ファッションの力を借りてトータルで提案することで、ユーザーへの説得力も増します。これまでの垣根を超えた提案や発信が増えるとワクワクしますね。

WWD:「セルヴォーク」の今後の目標は?

田上:抜け感やテラコッタなど、「セルヴォーク」が発信してきた新しい考え方が定着してきたので、次のイメージを考えています。目標は、共感や等身大であることを忘れずにユーザーの半歩先を行くモードなブランドであること。常に進化し、お客さまに驚きを与えたいです。

※ファッション週刊紙「WWDジャパン」はこのほど、ビューティ・コンテンツも加えてパワーアップします。第1弾となる9月7日号では、「ファッション×ビューティの可能性」をテーマに両業界を自在に行き来する業界人を特集します。

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ジェフ・クーンズの風船を陶器で再現 アーティストから絶大な支持を得る磁器ブランドの展覧会が開催

 フランス発磁器ブランドの「ベルナルド(BERNARDAUD)」は、9月8日まで伊勢丹新宿本店(以下伊勢丹)本館5階のセンターパーク / ザ・ステージで「ベルナルドとアーティストたちの出会い」展を開催している。同ブランドは1863年、リモージュで創業。リモージュというと磁器の産地として知られる地域だが、今も一族経営であるのは「ベルナルド」だけだ。同ブランドがアーティストとコラボレーションを始めたのは1967年。同展では、マルク・シャガール(Marc Chagall)やホアン・ミロ(Joan Miro)などの近代作家をはじめ、ジェフ・クーンズ(Jeff Koons)やジェイアール(JR)などのコラボ作品が展示されている。

 6代目のアーサー・ベルナルド(Arthur Bernardaud)=ベルナルドジャパン社長にブランドの哲学やアーティストとのつながりなどについて聞いた。

WWD:「ベルナルドとアーティストたちの出会い」展の見どころは?これらは全て限定品か?

アーサー・ベルナルド=ベルナルドジャパン社長(以下、ベルナルド):コンテンポラリーアーティストだとクーンズやジェイアールの作品だ。クーンズとのプロジェクトは3年前にスタートした。このために工場内に鏡面仕上げをするための特別なスペースを作ったが企業秘密で誰にも見せられない。今後もコラボを継続し、アートピースとして販売する。ジェイアールからは、くしゃくしゃにした紙のテクスチャーを出したいと言われ、われわれにとっては、それを磁器で実現するのは大きなチャレンジだった。ただ、一番苦労したのはブラジルのデザインデュオであるカンパナ・ブラザーズ(THE COMPANA BROTHERS)の作品。ここで展示しているのは最後の1点だ。展示品には限定品もあれば、そうでないものもある。価格も2万5000~600万円と幅広いので、多くの人に見てもらいたい。

WWD:シャガールやミロとのコラボレーションは?

ベルナルド:シャガールが手掛けたパリのオペラ・ガルニエ(Opera Garnier)の天井作品の制作過程を表現したいと孫から提案があった。色出しに苦労したが夢のあるテーブルウエアに仕上がったと思う。われわれとシャガールのコラボを見たミロの孫から、ミロが手掛けた詩集の挿絵をテーブルセットにしたいと依頼があった。

WWD:これほど多くのアーティストからコラボの要望がある理由は?

ベルナルド:「ベルナルド」はリモージュで唯一残る家族経営の磁器ブランドだ。工場には磁器の美術館を併設している。プリントなど革新的な技術を積極的に取り入れつつ、アーティストとのコラボを通して、磁器で実現が難しいことへのチャレンジを続けている。職人はチャレンジが大好きだ。また、発色の良さもアーティストから支持されている。

WWD:2018年に日本に法人を設立したきっかけは?

ベルナルド:クリスタルの「バカラ(BACCARAT)」やシルバーウエアの「クリストフル(CHRISTOFLE)」などフランスのラグジュアリーブランドは昔から日本に法人があった。日本人は陶磁器が好きだし、われわれのビジネスの4割はホテルやレストラン相手だ。日本はミシュランの3つ星レストランが一番多い国だし、オリンピックに向けて多くのホテルが開業している。日本市場に大きな可能性を感じたからだ。

WWD:日本法人を設立してからの販売店舗数や売上高は?小売りと卸の割合は?

ベルナルド:代理店のときは20店舗で販売していた。現在では伊勢丹、高島屋日本橋店、高島屋玉川店、高島屋横浜店の4店舗に絞って販売している。初年度は厳しかったが、19年には小売りが前年の2.5倍、ホテルなどの卸が1.3倍になった。20年にはその2倍にするのが目標だ。グローバルでは小売りが7割、卸が3割。日本では、小売りが4割、卸が6割だ。20年にはそれを5割ずつにし、21年には小売りをグローバル同様7割まで持っていきたい。伊勢丹に大きなコーナーを持てたのでそれが信頼につながっていると思う。

WWD:伊勢丹に大きなコーナーが持てたきっかけは?

ベルナルド:以前から伊勢丹には小さいながらも「ベルナルド」のコーナーがあった。私はかつての代理店でインターンをしたことがあり、いい関係を築いていた。だから代理店は、日本法人をつくったときに伊勢丹に紹介してくれた。そして、ベルナルド本国の社長を務める私の叔父との友人である小川博バカラパシフィック会長がベルナルドジャパンの会長になってくれた。同会長に対する信頼が大きなコーナーを持てた理由だと思う。

WWD:「ベルナルド」がほかのリモージュのブランドと違う理由は?

ベルナルド:世界的な磁器のリーダーであるという点。また、年間12のコレクションを発売するなどファッションに近い感覚でモノ作りをしていること。革新的でクリエイティブ、そしてダイナミックである点。また、家族経営なので担当が頻繁に替わることもないため信頼されている。

WWD:ホテルやレストランで使用されている例は?

ベルナルド:ホテルやレストランへの卸のビジネスがスタートしたきっかけは、故ジョエル・ロブション(Joel Robuchon)だった。ロブションは私の叔父の友人で、約40年前にレストランにオリジナルのテーブルウエアを作ってほしいと言われたのがきっかけだ。アラン・デュカス(Alain Ducasse)も「ベルナルド」を使っているし、大阪・心斎橋のルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)御堂筋店内の「SUGARABO」でも、世界的プロダクトデザイナーの吉岡徳仁がデザインしたオリジナルのテーブルウエアが使われている。

WWD:今後の日本における戦略は?

ベルナルド:ベストセラーのキャンドルホルダーなどギフトを強化していきたい。また、日本のクリエイターとコラボレーションをしていきたい。そして、「ベルナルド」というブランドがどういうブランドか知ってもらうために積極的にコミュニケーションと販促を行うつもりだ。

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「THREE」のクリエイティブ・ディレクターが語るファッション×ビューティの可能性

 「THREE」と、派生するメンズメインの総合ブランド「ファイブイズム バイ スリー(FIVEISM × THREE)」は、既成概念にとらわれない“個性”や“美しさ”を提案してきた。そのブランドアイデンティティーを支えるのが、両ブランドのグローバル・クリエイティブ・ディレクターを務めるRIE OMOTOだ。メイクアップアーティストとしてモード界で活躍し、ファッションとビューティの枠を超えたクリエイティビティーを発信する。OMOTOディレクターに発想の原点やファッションとビューティの融合の可能性について聞いた。

WWD:2019年に「ファイブイズム バイ スリー」の新作発表会をファッションショー形式で行った。ファッションとの融合を図る狙いは?

OMOTOディレクター:「ファイブイズム」はインディビジュアリティー(個性)を表現するブランドです。個性の表現に体は欠かせません。トータルビューティで見せないと意味がない。ファッションとヘア&メイク、音楽を組み合わせて表現することでメッセージがより伝わり、印象にも残ると思ったんです。私はただ製品を見てほしいのではなく、人間像を提案したいんです。

WWD:今年7月には東京・渋谷、宮下公園の複合型商業施設ミヤシタパーク(MIYASHITA PARK)内のショップのオープンを記念してファッションブランド「ハイク(HYKE)」と「N.ハリウッド(N.HOOLYWOOD)」とコラボした。

OMOTOディレクター:「N.ハリウッド」の尾花大輔さんとはニューヨーク・コレクションなどでご一緒したことがありました。「ハイク」の吉原秀明さんとは面識がありませんでしたが、生き方を提案するブランドの哲学に共通点を感じていました。どちらのブランドも感覚が鋭い面がありながら、モノ作りの基礎もしっかりしている。「THREE」と「ファイブイズム」に通ずるところがあり、今回のコラボに至りました。クリエイティブな仕事をしているお互いが、良い刺激を与え合うことができました。

ファッションとビューティを
融合させる発想の原点

WWD:ファッションとビューティを融合させる発想はどこから?

OMOTOディレクター:大きなきっかけは、19歳で雑誌「i-D」に憧れてイギリスに渡ったことでしょう。メイクとヘア、洋服が一つになって“ファッション”なのだと教えられました。日本で美容師として働いていましたが、メイクとファッションがつながっていない、メイクとヘアさえ交わっていないことにずっと違和感を覚えていました。私自身は小さい頃からファッションも大好きだったので、美容室に来たお客さまと一緒にブティックに行って、髪型に合う洋服を一緒に選ぶなどもしていました。ファッションは“こうなりたい”というビジョンを大胆にドリーミーに表現できる一方、従来のメイクは“鼻を高く見せたい”とか、“目を大きく見せたい”など、自分のコンプレックスと向き合う現実的な作業でした。私は鼻が低いならそれをファッションの力を借りながらチャーミングに見せる方法を考えればよいと思う。常にファッションとしてバランスを取るべきだと考えています。

WWD:当時なぜ、ファッションではなくメイクの道を選択したのか?

OMOTOディレクター:ファッションデザイナーの道を考えたこともありました。渡英直後はコシノミチコさんのブティックで働かせてもらい、デザイナーのお仕事を見てきました。けれどメイクの仕事を通して、ブラシのワンストローク、ラインの1本で人が美しく変化した瞬間に、とりこになっていたんです。

WWD:モード誌の撮影などファッションの現場を多く経験しているが、そこでの経験は「THREE」「ファイブイズム」にどう生かされている?

OMOTOディレクター:ファッションシューティングの現場では、トータルビューティのつくり方を学びました。それは波乗りの感覚に似ています。モデルやスタイリスト、フォトグラファー、ネイリストといったスタジオのさまざまなところから湧き上がるウエーブをキャッチして、いかに皆と同じ表現に向かって一つの波に乗れるかということです。現場では「70年代のイメージで」という会話が交わされますが、誰かが教えてくれるわけではないので、自分で勉強していくことでファッションを通して時代の流れを察知する力も磨きました。ファッションの仕事に関わると、自分の殻を破って自由に表現する面白さに気付きます。日々自分への挑戦ですから、美意識を高めて自分磨きを怠らず、同時になんでも吸収できる柔らかい自分でいる姿勢も学びました。

ファッションとビューティを
掛け合わせて業界全体にウエーブを

WWD:今後ファッションブランドと挑戦したい企画などはあるか?

OMOTOディレクター:ファッションシューティングの現場を疑似体験できるようなコンセプトショップを作ってみたいです。ショップの名前は「HEAD-TO-TOE」などでもいいかもしれない。ファッション、ヘア、メイクアップ、スキンケア、ネイルそれぞれのプロフェッショナルがいて、そのスタイルに合った音楽やアートまでも提案してくれるような空間です。個性を磨く一つの体験として面白いのではないでしょうか。

WWD:業界全体を通してファッションとビューティが近付くには何が必要?

OMOTOディレクター:イベントやコラボなどを通してもっと深く関わってほしいですね。「パフュームを持っているファッションブランドとはコラボできない」といった業界の“政治”はもう不要です。お互いの価値を認め合っているブランド同士が積極的にコラボしあうことで、業界全体にウエーブを起こしたいです。

WWD:あらためて「THREE」「ファイブイズム」で今後成し遂げたいことは何か?

OMOTOディレクター:世界平和です。大げさに聞こえるかもしれませんが、自分がチャーミングになって褒められる経験は、人を幸せにします。自信がつくことで人は積極的に他人とつながろうとします。小さいけれど、美しさを通して人と人をつなげることは今すごく大切。人間はすごく単純な生き物で、考え方一つで見た目も変化します。だからこそ、「THREE」も「ファイブイズム」も美しく健康に楽しく生きられるマインドを磨くブランドでありたいと思います。

※ファッション週刊紙「WWDジャパン」はこのほど、ビューティ・コンテンツも加えてパワーアップします。第1弾となる9月7日号では、「ファッション×ビューティの可能性」をテーマに両業界を自在に行き来する業界人を特集します。

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「アミ」が“9周年”を大事にする理由 デザイナーに聞く9つの質問

 「アミ アレクサンドル マテュッシ(AMI ALEXANDRE MATTIUSSI以下、アミ)」は、ブランド創立9周年を記念して制作した2020-21年秋冬シーズンのキャンペーンビジュアルを発表した。撮影は、「ヴォーグ(VOGUE)」「i-D」「W マガジン(W MAGAZINE)」など名だたる雑誌で活動する写真家パオロ・ロヴェルシ(Paolo Roversi)が手掛けた。

 周年というと節目となる数字が一般的だが、デザイナーのアレクサンドル・マテュッシにとって“9”には特別な思いがあるという。彼はブランドのこれまでをどう振り返り、これからをどう展望するのか?なぜ9がラッキーナンバーなのか?これらを知るため、9つの質問をアレクサンドル=デザイナーに投げかけてみた。


WWD:なぜ「9」がラッキーナンバーなのか教えてください。

アレクサンドル・マテュッシ=「アミ」デザイナー(以下、アレクサンドル):9は私の人生の重要な場面でいつも登場する数字なんです。私は1980年9月18日生まれで、全ての数字を足すと9、また9の倍数になりますし、私の名前の「Alexandre」「Mattiussi」もそれぞれ9つの文字でできています。ほかにもいろいろありますが、きりがないのでこれくらいにしておきます(笑)。

WWD:9周年のキャンペーンビジュアルで特別にこだわったポイントは?

アレクサンドル:フォトグラファーの人選には特に思い入れがあります。撮影を手掛けたパオロの作品には以前から魅力を感じていて、一緒に仕事をしたいと思っていました。9周年という特別な節目に仕事をお願いできたのはとれもうれしかったですね。パリにある彼のスタジオで行った撮影の様子は、まるで魔法のようにワクワクするものでしたよ。この経験は、ブランドとしてもかけがえのない思い出になるでしょう。

WWD:ブランド立ち上げから9年間で最もハッピーだったエピソードは?

アレクサンドル:ファッションショーは私にとって最もエキサイティングなことのひとつです。モデルがランウエイを歩く瞬間はもちろん、ショー直前のドキドキ感や最後のルックが通り過ぎたときの満足感はほかにありません。

WWD:服作りについて、ブランド立ち上げから変わったことは?逆に変わらないことは?

アレクサンドル:あまり変化していないと言ったらおかしいでしょうか?メンズウエアブランドとして始まり、2年前にウィメンズのコレクションも作り始めたという点ではたしかに変化しています。しかし、「シンプルであると同時にエレガントな作品を作り続けたい」という私の願望は変わりません。きれいなカッティングのコートやシンプルなタートルネック、キャロットパンツなどをバージンウールやコーデュロイ、ポプリンコットンなどで仕上げるというクリエイションの姿勢はどのコレクションにも通じています。最新コレクションとデビューコレクションを比べても、類似点が見つかると思います。

WWD:コロナでファッションの考え方はどう変わった?

アレクサンドル:漠然とクリエイションを続けるのではなく、自分はなぜこれがやりたいのか、誰のためにどれだけの期間でやるべきかなど、多角的に分析をする必要があると気づきました。ファッションを含むさまざまな業界がコロナの影響を受け、それまでと異なる機能を求められることは明白です。それでも私は「ファッション業界はよりよくなる」という希望を持ち、ポジティブに活動していきます。

WWD:ハートのキャッチーなロゴにはどんな思いが込められている?

アレクサンドル:「Ami de Cœur」(ロゴの名称)を直訳すると「ハートのアミ」という意味になります。私は友達や家族にメッセージなどを贈る際に、自分のイニシャル「A」の上に控えめなハートを添えてサインしていて、これがロゴの原点です。お客さまに対するフレンドリーなアプローチを象徴するものでもありますね。

WWD::あなたにとって日本はどんな存在ですか?

アレクサンドル:日本は素晴らしい人々と文化が存在する魅力的な場所。特に東京は、絶え間ない刺激と素晴らしいクリエイティビティのあるほかにない街です。そんな日本で、長くブランドを支持してもらえているのはとてもうれしいこと。ブランド初の海外ブティックが東京だったのも偶然とは思えません。最後に日本に訪れたのは1年前で、ウィメンズウエアの発表記念パーティーのために東京で数日過ごしました。また早く東京に行きたいですね。

WWD:次の9年でどんなブランドに成長させたい?そのためにどんな仕掛けを考えている?

アレクサンドル: 「アミ」がより多くの国や街に届いているとうれしいですね。クリエイションではバッグや靴、ジュエリーなどのラインアップをもっと豊富にしたいし、美容やキッズラインなど全く新しいカテゴリーにも挑戦したいです。ただ、どのコレクションでもブランド立ち上げの際に掲げた「友情」「真実性」「包括性」というバリューはこれからも発信し続けますよ。それが一番大切なことです。

WWD:最後にファンへのメッセージをお願いします。

アレクサンドル:ブランド初期のころから「アミ」をサポートしてくれてとてもうれしく思います。物理的に離れていても、日本のファンが「アミ」をタグ付けしてインスタグラムに投稿してくれるたび、この国とつながっていることを実感しています。ありがとう、日本。

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新体制のスノーピーク アパレルを率いる29歳 “街で着るアウトドア”から次のステージへ

 スノーピークは3月に山井梨沙社長がトップに就く新体制となり、さまざまな事業の強化を推進している。山井社長はデザインをライフワークにしてきたため物作りへの思いはひときわ強く、商品開発の面でもあらゆる改革に取り組んでいる。2014年に自ら立ち上げたスノーピーク アパレルの事業は現在29歳の坂田智大に託し、商品開発に加えて、物を通じたライフスタイルの提案を目指す。アパレルを坂田が指揮することで、スノーピーク アパレルはどう変わるのか。また19年12月期には事業部単体で17億2000万円の売り上げ規模にまで成長した部門をどう拡大していくのか。新世代のリーダーに話を聞いた。

新体制でボーダーレスな組織に

WWDジャパン(以下、WWD):スノーピーク入社は2019年と社歴はまだ浅い。大きな事業をいきなり引き継ぐのに重圧があったのでは?

坂田智大エグゼクティブクリエイター(以下、坂田):もちろんプレッシャーはある。ただそれ以上に、自分が好きなキャンプという共通の趣味を持ったチームと仕事ができるので、重圧以上の楽しさややりがいを感じている。何より仕事として自然に触れることができるのがこの仕事の魅力だ。

WWD:ではファッション業界からスノーピークに転職したのはキャンプがきっかけ?

坂田:ただ漠然と「キャンプがしたい」と思い立って求人に応募した。服が大好きでファッション業界で働いてきたが、自分の中で物作りにこだわればこだわるほど、それが世の中にどう貢献しているのだろうと考えるようにもなり行き詰まっていた。そんなときに子どもが生まれて、家族でキャンプがしたいと強く思って自ら門をたたいた。それがたまたま山井社長がスノーピーク アパレルのデザイナーを退任する時期だった。

WWD:ファッション業界でのキャリアはどう生かしていきたい?

坂田:天然素材の知識や産地とのつながりを生かし、素材を通して自然を感じてもらえる商品を開発していく。手紡ぎや手織りの風合い、昔ながらの織機で織られたふっくらした素材感などから生活シーンを想像してもらえる服を提供したい。スノーピークのアパレルといえば機能素材のアウトドアウエアというイメージがまだまだ強く、海外ではほとんどそのイメージがしか持たれていない。都会から自然までをシームレスにつなぐ服という点はこれまでと同じだが、今後は商品を通じてライフスタイルの提案をしていきたい。

WWD:具体的に変わった点は?

坂田:アパレルを立ち上げた山井が社長になり、社内でもボーダーレス化を推進している。今までは尖った物作りの新潟のギア開発チームと、見せ方にたけた東京のアパレルチームは個別に商品開発していたが、今後はそれぞれの長所を融合させていきたい。事業の多角化が進む中で部署間の連係を強化し、製品開発につなげたい。売り方も、アパレルとギアを絡めた提案を増やしていく予定だ。アパレルとしては、“街で着るアウトドア”という第1フェーズは終わったと感じている。今後はスノーピークという企業を通じて、人々の生活を豊かにする段階に進まないといけない。そのために他部署との連係は必須で、横のつながりが企業としての強みになる。

“街で着るアウトドア”から生活になじむブランドへ

WWD:初めて手掛けた2020-21年秋冬のビジュアルが印象的だったが、どういう意図?

坂田:一番のぜいたくは自然で、当たり前のようにある日常こそが特別なんだというメッセージを伝えたかった。撮影したのは新型コロナウイルスの感染が拡大する前だったが、時代の流れとも偶然合致した。三重県の伊賀で自給自足している一家にモデルをお願いし、自然と暮らすリアルな姿をドキュメンタリータッチにすることで、スノーピークのアパレルは人と自然をつなげるという道具や手段だという意味も込めている。中には狩猟や肉の加工など強烈なカットもあるが、受け取り手が何かを感じてもらえたら、それは人と自然が一歩近づいたということだ。

WWD:新型コロナの影響は?

坂田:売り上げへの打撃は当然あるものの、世の中の自然に対する欲求は着実に高まっており、キャンプギアは好調だ。アパレルも、これまで以上に消費者の日常を意識した物作りを推進していく必要がある。今これが売れているから作るという商品開発ではなく、アイテムが作られた背景や思いに価値を感じてもらえる流れになっていて、作り手としてはやりがいがある。無駄な物は作りたくないから、21年春夏は20-21年秋冬よりも型数を6割程度に絞ってより厳選したラインアップにしている。

WWD:サステナビリティはアパレルでも取り入れていく?

坂田:昨年発表した、リサイクル事業を手掛ける日本環境設計との取り組みは引き続き推進していく。店舗で回収したテントやアパレルを日本環境設計の工場で糸に戻し、新潟の自社工場に導入したホールガーメントの編み機でニット製品を製造しており、今後はさらに製品クオリティーの向上を意識していきたい。アパレルのMDでも、将来的には定番品を増やして積み上げていき、トレンド品は3〜4素材で提案する流れをつくりたい。そのためには人々の生活にスノーピークがより深くなじんでいくことが必要不可欠だ。

WWD:国内外への出店攻勢が続いているが、アパレルの今後の事業計画は?

坂田:もちろん会社の急激な成長に合わせてアパレルも拡大していきたい気持ちはある。でも単体でというより、ほかの事業とともに成長していくのが理想だ。ギアとアパレルが相乗効果で売れる状態がスノーピークをより強くしていく。今は新体制になり、20代の若いメンバーも増えて感覚も共有しやすい。山井社長のリーダーシップのもと、新しいことにどんどんチャレンジしていきたい。

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音声座談会「蓉子の部屋」 Vol.3「エルメス」のウィンドーを手掛けたデザインスタジオ「we+」

 「蓉子の部屋」は、川島蓉子・伊藤忠ファッションシステム取締役/ifs 未来研究所所長が、毎回ゲストを招き“未来”について考える音声番組です。未曾有の状況の中、業界にはこれからの“未来”について考えなければならない現実に直面しています。そんな中、少しでも業界人に役立つヒントやカケラを音声配信でお届けします。近所のスーパーに行く時や、通勤・通学時に気軽に聞いてください(笑)。

 第3回は、コンテンポラリーデザインスタジオ「we+」の創業者である、林登志也氏と安藤北斗氏に迫りました。「we+」はこれまで、「エルメス(HERMES)」銀座店のウィンドーのほか、資生堂のインスタレーション「BEAUTY INNOVATION 2020」などを手掛けている。音声座談会では、「エルメス」のウィンドーの制作秘話から、自主制作にこだわる理由、新たなデザインを生み出すための試みまで、林氏と安藤氏が考える“これまでに無い物を生み出す価値や自分たちの原点”について語ります。

川島蓉子:1961年新潟市生まれ。早稲田大学商学部卒業、文化服装学院マーチャンダイジング科修了。伊藤忠ファッションシステム株式会社取締役。ifs未来研究所所長。ジャーナリスト。日経ビジネスオンラインや読売新聞で連載を持つ。著書に『TSUTAYAの謎』『社長、そのデザインでは売れません!』(日経BP社)、『ビームス戦略』(PHP研究所)、『伊勢丹な人々』(日本経済新聞社)、『すいません、ほぼ日の経営。』などがある。1年365日、毎朝、午前3時起床で原稿を書く暮らしを20年来続けている。

「we+」:2013年に林登志也氏と安藤北斗氏により設立されたコンテンポラリーデザインスタジオ。リサーチと実験に立脚した独自の表現手法で、新たな視点と価値を形にする事に注力してきた。またミラノの「ロッサーノ・オルランディ(ROSSANA ORLANDI)」や、ニューヨークの「ギャラリーフィリア(GALERIE PHILIA)」などのデザインギャラリーに所属している。国内外で作品発表を行うほか、多様なバックグラウンドを持つメンバーそれぞれの強みと、日々の研究から得られた知見を生かし、空間デザインやインスタレーション、ブランディング、プロダクト開発、R&Dなど、さまざまな企業や組織のプロジェクトを手掛ける

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スパイバー傘下になった「ユイマ ナカザト」が “TV電話を使ったオートクチュール”を事業化

 中里唯馬が手掛ける「ユイマ ナカザト(YUIMA NAKAZATO)」は、ビデオ通話を利用した新しいオートクチュールのサービス“フェイス トゥ フェイス(Face to Face)”をスタートさせた。7月7日にオンラインで開催されたパリ・オートクチュール・ファッション・ウイークで発表したもので、7月末から一般向けへのサービス提供を開始。

 内容は、依頼者が自身のシャツを「ユイマ ナカザト」へ送り、ビデオ通話でデザイナーの中里との15分間の対話を行う。その後、依頼者のエピソードや要望をくみ取りながら、中里がそのシャツを新しいデザインへとリメイクするというもの。価格は1着30万円。オンラインストアから注文でき、3週間~1カ月で商品が完成する。“特別な1着を長く大切に着る価値観”を伝えるため、お直しなどのアフターサービスも受け付ける。

 ユイマナカザトは人工タンパク質素材の開発で知られるスタートアップ企業のスパイバーに株式の過半数を2月に売却し、同社の子会社になったばかり。新サービスに込めた思いや、スパイバー傘下入りについて中里に話を聞いた。

WWD:“フェイス トゥ フェイス”を始めた理由は?

中里唯馬(以下、中里):1月にパリでクチュールを発表した後、新型コロナウイルスの影響で普段通りのモノ作りをすることが難しくなり、3月末には7月開催のパリ・オートクチュール・ファッション・ウイークがリアルでの実施を中止するという話が出てきたんです。「私たちに何ができるだろう?」と考えていたときに、世界中でミュージシャンたちが自宅から世界へダイレクトに音楽を発信している姿に感動し、私たちにも何かできることがあるのではないかと希望が湧いてきました。オンラインでも私たちに何かできるのではないかと思ったんです。そこでまずはチャリティーという形で、オンライン上で募った25人の方への服作りを始めました。洋服がネットで注文してすぐ届く時代に、オンライン上でのオートクチュールに挑戦したいと思ったんです。

WWD:アイテムをシャツに限定した理由は?

中里:クチュールはオーダーメードなので、お客さまの採寸ができないのは致命的です。しかしシャツは、老若男女誰もが持っているアイテムで、シンプルな構造で、かつ体に沿った形をしているので、採寸ができない問題を解決できると思いました。依頼者の白シャツをお預かりして、丁寧に縫い目をほどいて、こちらで用意した白い生地を組み合わせながら新しい服に生まれ変わらせる作業を行いました。発表動画では白シャツに限定したのですが、今回事業化するにあたりシャツはどんな色柄でも、またTシャツもシャツの種類の一つなのでお受けしたいと思っています。

1週間で25件、最高月産50~100着の注文を受けることが可能

WWD:依頼者との対話からデザインを考えるプロセスはどのようなもの?

中里:15分間という時間を設けて、シンプルな質問をさせていただきます。どんな短い会話でも、そのシャツにまつわるエピソードが出てくるんです。お母さまから受け継がれたシャツをお送りくださった方がいましたし、安価なシャツだったとしても一人一人ユニークな思い出があって。私はそのビデオ通話が終わった後もその人のことを考えてデザインするので、15分間しかお話ししたことがない方ですが、デザインが終わった後には知り合いのような感覚になっていますね(笑)。依頼者の方に大変満足いただけて、成功体験になりましたし、個人的にはデジタル上でも温かみのある服が生まれるということを実感できました。

WWD:注文はどのくらい受けることができるのか?

中里:オートクチュール期間に発表した動画では、1カ月で25着を作ることができました。今後、内部のリソースを合理化し、チームとの連係がスムーズになれば1日4~5件、1週間で25件ほどお受けできるようになります。そうすれば最高月産50~100着の注文を受けることが可能です。

WWD:30万円という価格をつけた理由は?

中里:大量生産ではなく、クオリティーを担保しながら3週間~1カ月の時間をかけて1着をお作りします。一生大切にしたいと思っていただけるような服を生み出し、“高いものには理由がある”ということ体感していただけたらうれしいです。30万円には送料も含まれています。

スパイバーとの“新しい衣服の可能性を考える”という共通の価値観

WWD:スパイバーの傘下に入った理由は?

中里:共通の知人を介して2年前に山形にあるスパイバー本社に伺い、1年前にはコラボレーションが実現しました。スパイバーが開発した人工合成タンパク質「ブリュード・プロテイン(BREWED PROTEIN)」に初めて触ったときに、素材としてこんなに面白いものはないとわくわくしました。スパイバーのチームとは世代も近く、“新しい衣服の可能性を考える”という共通の価値観やビジョンを持っています。お互いをリスペクトし合いながら信頼関係を築き、一緒にいいものを作っていきたいという思いで一体化しようという決断になりました。

WWD:今後のコラボレーションは?

中里:19-20年秋冬では「ブリュード・プロテイン」を使って、立体的なテクスチャーを作ることができる素材「バイオ・スモッキング」を開発しました。原料を石油などの化石資源に頼らないサステナビリティの観点だけでなく、無駄を出さないオーダーメードのデザインと一緒に考えながら今後も研究開発することができれば、爆発力のあるものを生み出すことができると思います。長期的なパートナーシップを見据えて、僕も一員として新しい衣服の開発に携わっていきます。

WWD:今後もオートクチュール・ファッション・ウイークに参加していくのか?

中里:挑戦し続けたいと思っています。新型コロナや世界の状況を見ながら、その時に合ったベストなものを見せていきたいです。

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「ノア」創業者ブレンドンに聞いた「アディダス」とのコラボレーションで伝えたいこと

 「ノア(NOAH)」はこのほど、「アディダス オリジナルス(ADIDAS ORIGINALS、以下アディダス)」とのコラボコレクションを発売した。ランニングシューズとアパレル、雑貨などをラインアップする。シューズにプラスチック廃棄物をアップサイクルして作った「アディダス」の新素材“プライムブルー(PRIMEBLUE)”を使用するほか、ウエアも全てリサイクルポリエステル100%。アイコニックな三つ葉のアイコン、“トレフォイル”を貝殻に置き換えるなど、海洋プラスチック問題にも訴えるコレクションだ。「ノア」の創業者であるブレンドン・バベンジン(Brendon Babenzien)は、かねてより環境問題についても積極的に目を向けている。コラボコレクションについての思いを聞いた。なお、「アディダス」の公式オンラインストアでは、すでに一部商品が売り切れている。

WWD:コラボレーションに至った経緯は?

ブレンドン・バベンジン(以下、ブレンドン):かなり前の話になるけれど、クリエイティブ分野で活躍する人々に向けた海洋プラスチック問題の会議に招待された。そのイベントのメインスポンサーが「アディダス」で、リサイクル海洋プラスチックで製造されたスニーカーのプロトタイプを発表した。当時はまだ開発初期段階の素材だったけれど、とにかく素晴らしいアイデアだったから、将来、リサイクル海洋プラスチック素材を使って何かしたいと思った。そのときはまだ「ノア」を起業してなかったから、「アディダス」と取り組む手段がなかったんだけど、その数年後にチャンスが訪れた。

WWD:コレクションのコンセプトは?

ブレンドン:まず、海洋プラスチックに焦点を当てた。環境保全の話題に上がるようなシューズを作りたかったんだけど、それだけでは足りないと感じたんだ。僕自身がランナーということもあって、ランナー向きのシューズを作りたいと思ったんだけど、そのためにはもっと機能性が必要だった。今回発売したSLシリーズの初代モデル“SL72”にはクラシックスタイルに対する僕の愛と「アディダス」の伝統を、エントリーランナーに向けた超軽量ランニングシューズ“SL20”には僕のランニング愛とランニングにおける「アディダス」の姿勢をそれぞれ組み合わせている。

WWD:デザインに関しては?

ブレンドン:ほとんどの「ノア」の商品は比較的シンプルなんだ。その方が好きだからね。一番難しいのは、シンプルなアイテムでありながらそれ以外の意味を持たせることさ。だから“プライムブルー”を使うことが重要だった。そして誰でも手に取れるものにもしたかった。ランニングアパレルは見た目もよくて、機能性もしっかりあるものが欲しいと思ったけれど、僕はそこまで超高機能を求めていないから、昔のランニングスタイルからインスピレーションを得た。今使えるアパレル、そしてラン以外でも使えるものにしたかった。

WWD:グラフィックの貝殻に込めた思いは?

ブレンドン:まず、僕は(米NY州の)ロングアイランド出身だから、海の存在は僕のやること全てに影響を与えてきた。サーフィンや釣りは常に生活の一部だったよ。デザインする上で大事なのは色とグラフィックだから、(「アディダス」の)“トレフォイル”と似ていて、でも新しいものにしたいと思った。それにイメージは何かしら海とつながりを連想させるものじゃないといけない。そこから貝殻のデザインが“トレフォイル”の代わりになると考えた。貝類の漁業はロングアイランドのカルチャーにとって大事な役割を担ってきたし、ロングアイランドの人々は海の恵みによって経済を維持してきた。だけど1970~80年代から水質汚染と人口増加の被害を受けて、2019年10月の時点で、ロングアイランド東部におけるホタテは全滅してしまった。だけど、海や湾は非常に強い回復力を持っているから決して手遅れじゃない。海に対して敬意を示せば、生物は戻ってくることができるんだ。

WWD:今回のコラボレーションを生かして、自身のブランドでも取り組みたいことがあるとしたらどんな部分?

ブレンドン:僕たち大人がこれまで環境に与えてきた悪影響は計り知れない。だけど、今はそのダメージを少しでも改善できる立場にいる。「アディダス」は“プライムブルー”の開発に多くの労力を注いできて、僕たちもその素材を使ったシューズを開発することができた。コラボレーションによって行動に移すことができたし、その機会に本当に感謝しているよ。今後はブランドとしても小さなことを組み合わせて、海洋プラスチックの除去に取り組んでいきたいと思っているんだ。

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コロナ禍でも2カ月連続で売り上げは月215万円を達成 「アルバム」金内柊真のスター美容師への道 Vol.7

 ツイッターのフォロワー数14万超え、インスタグラムのフォロワー数11万超え、TikTokのフォロワー数9万超え、ユーチューブのチャンネル登録者数6万2000人超えの人気美容師・金内柊真。かつては芸能活動を行い、2018年8月にはアシスタントながら自身の著書「才能がなければその分努力すればいい」(KADOKAWA)を出版するなど、美容師の枠に収まらない存在として注目を集めている。昨年11月にスタイリストデビュー。今連載では、毎月の彼の売り上げの推移とともに、売り上げを伸ばすために何をやってきたか、また新人スタイリストならではの苦労などを紹介していく。今回は休業明けとなった6月と7月の話を聞いた。

WWD:今回は6月と7月の話を中心に聞いていきたい。まずは、売り上げはどうだった?

金内柊真(以下、金内):6月、7月共に月215万円で、お客さまの数は200人ほどでした。5月末までお店が休業していたこともあって、6月は待っていてくれたお客さまがたくさん来てくれました。来てくれたお客さまの中には「待っていてよかった」と言ってくれる人もいて、うれしかったです。その反動で7月はどうなるかなと少し心配していたんですが、ありがたいことに多くのお客さまが来てくれました。

WWD:数字的には満足のいく結果だった?

金内:そうですね。月200万円以上いけばいいと思っていたので満足です。最近はアシスタントも成長してしっかりとサポートしてくれるので、頼もしいです。

WWD:コロナの影響を感じることはある?

金内:僕自身は変わらないのですが、7月は6月と比べると店全体としてはさすがにお客さまの数は減ってきています。あと、7月中旬以降コロナの感染者数も増えてきて、お店全体が落ち着く時間は増えましたし、予約のキャンセルも多くなりました。それは仕方ないなと思っていて、お店としては感染対策をしっかりとやるだけです。来てくれたお客さまは満足してくれていて、他に行くところがない中で、美容室だけが唯一の楽しみと言ってくれる人も多いです。

WWD:7月は他のスタイリストが苦戦している中で、売り上げを維持できた要因は?

金内:6、7月は4月に上京してきた新社会人や新大学生で、ようやく美容室に来られたという人も多くて、ハイトーンカラーのメニューが人気でした。あとこれまでなかなか予約が取れなかったけどようやく取れたという新規のお客さまが多かったです。僕のように指名のお客さまが多いスタイリストはそこまで影響なかったですが、フリーの新客に頼っていた人は厳しそうです。

WWD:メニュー的には引き続きカラーが人気?

金内:夏という季節性もあって明るくする人は多く、カラーメニューは人気です。ハイトーンにする人も多いです。

WWD:マスクをするようになって、ヘアスタイルのニーズは変化している?

金内:前髪を短くする人は増えました。普段前髪をアイロンで巻いている人も「巻きがすぐ取れてしまうので、巻かなくていい長さにしたい」という人が増えました。あと、ばっさり切るよりも、暑いので首元をすっきりさせるために結べる長さにしておきたいという人は増えました。

WWD:8月は順調?

金内:ありがたいことに8月の予約は開始から1時間と最速で埋まりました。毎月15日に翌月の予約が開始されることが認知されてきた結果だと思います。

WWD:それだと売り上げについてはほぼ最大の状態?

金内:人数的にはマックスなので、あとはメニューの単価を上げていくか、店販の売り上げを伸ばしていくしかないです。ただ僕は店販を積極的におすすめしていなくて、お客さまから悩みを相談されたら提案するくらいで、店販比率は6〜9%くらいで推移しています。最近は家で過ごすことも多くなってきたので、ヘアケアに力を入れる人は増えています。あとドライヤーなど高単価な製品も売れていますね。

WWD:8月の目標は?

金内:有休などもあって出勤日数は少なくなるのですが、売り上げは200万円を目指したいです。そのためには1日あたりの売り上げを高めに設定して、それを達成できればと思います。

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「オーバーコート」大丸デザイナーが語るNYの今とこれからのビジネス

 大丸隆平氏がニューヨークに渡ったのは2008年。現在、チャイナタウンにオフィスを構える大丸製作所2の代表として、ニューヨーク・ファッション・ウイークに参加するブランドをはじめとする多くのブランドのパターンメーカー、クリエイティブのコンサルタントを担い実力をつけてきた。15年には自身のブランド「オーバーコート(OVERCOAT)」を始動し、毎シーズンコレクションを発表。日本での卸も順調だった。そんな矢先に、新型コロナによって自身やニューヨーク自体のビジネスも大きな変更を余儀なくされたという。今回、日本で初めて開催する展示会のために一時帰国した大丸代表。多くサポートがあり開催実現に至ったという。ニューヨークの現状や自身を取り巻く状況について話を聞いた。

 「オーバーコート」はその名の通り、コートからスタートしたブランドだ。店の入り口などの日よけに使われているオーニング素材に注目し、「雨にも強いこの素材でグラフィカルな柄をコートにしてみたらどうだろうか」というアイデアからブランドの立ち上げにつながった。これまで培ってきたパタンナーとしての技術を生かし、プレタポルテでもオートクチュールのような着心地をブランドのコンセプトとしている。肩にプリーツを入れることで男女誰が着用してもフィットするパターンのコートは、そのデザイン哲学を反映させた代表的なデザインだ。

 現在、日本ではユナイテッドアローズ、トゥモローランドのエディション、ビオトープ、バーニーズ ニューヨーク、伊勢丹新宿本店、福岡のダイス&ダイス、名古屋のキンク、海外ではディエチ コルソ コモ(10 CORSO COMO)、パリのル・ボンマルシェ(LE BON MARCHE)百貨店などで販売されている。

 当初、6月にパリで「オーバーコート」メンズの2021年春夏コレクションとウィメンズのプレ・コレクション(リゾートコレクション)を発表する予定だったという。大丸代表は「しかし新型コロナの感染がニューヨークやパリであっという間に拡大し、パリでの発表は無理だなということになった。そうこうしているうちにニューヨークもロックダウンに入り、仕事も途中のままできなくなってしまった。パターンメーカーの仕事は、職種的にリモートではできない。ミシンや裁断の台をスタッフの家に交代に置くことも考えたが、住んでいる家もそれぞれなので、効率を考えたら無意味だった。ニューヨークが静まり返って、街自体のエネルギーがゼロになった瞬間があり、不思議な世界にいた」という。「当時は、スタッフのモチベーションを維持することを優先し、連絡をまめにするようにしていた。なんとか気分が落ち込まないように、簡単な仕事を無理やりつくって手を動かしてもらうようにしていた」。

ユナイテッドアローズの栗野氏が手を差し伸べてくれた

 パリで発表できず、今後の見通しがつかない中、手を差し伸べてくれた人たちがいた。その一人が、ずっと気にかけてくれていたという栗野宏文ユナイテッドアローズ上級顧問クリエイティブディレクション担当だった。「『ニューヨークもコロナで大変だろうから、ユナイテッドアローズのスペースを貸すから、日本で展示会を開催したらどうか』と提案してくれた。ユナイテッドアローズだけでなく他のセレクトショップのバイヤーも買い付けができる展示会場として、同社の場所を提供してくれた」という。

 それによって初めて日本で展示会を開いた。また西麻布のギャラリーのスペースを借りて、親しい友人や知り合いを招いた個人オーダー会も8月上旬に開催した。「受注会では驚くほどオーダーがあって多くの人が個人買いしてくれた。バイヤーのオーダーも付き、本当に感謝しかない。ファッション自体が衰退しているのかというとそうではなかった。江戸時代の呉服屋で着物を売っていた当時ときっと変わらないような、対面で話をしながら購入してもらうスタイル。来てくれた人がいろんな人に宣伝してくれて、また人がやって来るという状態だった。自分自身も皆さんにコレクションの説明をしたことで、より理解してもらいやすかった」。その結果、卸は昨対比で1割減にとどまり、個人オーダーは逆に5倍の数となった。

 「オーバーコート」の21年春夏コレクション自体製作はままならなかったが、実際に生地サンプルに触れられなくても、これまでの経験と勘でこうしたら面白くなるんじゃないかと想像を働かせながら制作に取り組んだという。「結果的にそれがよかった。面白くとらえられた」。生地においては、中伝毛織、小松マテーレ、宇仁繊維が生地を一部提供してくれるなど協賛してくれたという。

周りの助けがなければどうなっていたか分からない

 また、クリエイションにおいては、「オーバーコート」のロゴのデザインを手掛け、「セリーヌ(CELINE)」とも長年仕事をしているアートディレクター兼グラフィックデザイナーのピーター・マイルズ(Peter Miles)が手を差し伸べてくれて21年春夏コレクションでコラボが実現した。マイルズが制作した鮮やかなグラフィックが「オーバーコート」のコレクションに大胆に用いられている。ダイナミックで鮮やかな色使いが印象的だ。「普段から連絡をとっていて、ピーターにはマスクを作ってあげたりしていた。声をかけてくれて本当にうれしかった」。ニューヨークは9月からデジタルをメインとするファッション・ウイークを開催する流れになっているが、大丸代表は「デザイナーの間では実際のところは新作を作る状況ではないという声が大きい。また、パリは卸のシステム自体が崩壊している。そんな中、周りのサポ―トによって、コレクションを制作でき、日本で展示会、受注会を開催することができた。皆さんに生かされてここに来た。それがなければどうなっていたか分からない」。

 パターンやクリエイティブのコンサル業に関しては、「型数は少ないけれど一緒にやろうというニューヨークブランドやデザイナーもいる。プラバル・グルン(Prabal Gurung)もその一人だ。ロサンゼルスやロンドンといったニューヨーク以外からの発注も徐々に戻ってきている。ニューヨークはそもそもモノ作りの基盤があまりない街だが、さらに整っていない環境にいるデザイナーから依頼が増えたため、素材から量産まで全ての工程をこちらから提案して任せてもらうという事例が増えてきている。卸のビジネスが減ってきているから手のいい技術を持つ工場も減っている」と大丸代表。

 「オーバーコート」に関しては、「ただ従来通りの商品を作って卸すということだけでは売れない。「『提案する』に重点を置き、お客さまや店頭のスタッフの方にストーリーやモノ作りへのこだわりを伝え、変化するライフスタイルにも対応できる服作りを意識している。21年春夏コレクションでは、カジュアルな型にテーラリングの要素をプラスし、家でもリラックスして着られるけど、そのまま散歩にも行ける、または会社にも着ていけるよう、素材やパターンを工夫している」。

 「軸足はパタンナー。オートクチュールの着心地をプレタで着られる。そしていろんな人種の人にも合い、着る場所を選ばないような服を目指している。作者の思いがあっても、手が離れてからは着る人が主役。服はプロダクトだと思うから、作者の意図から離れたときにプロダクトの本質が伝わる。究極を言えば作者の思いはどうでもよい、だからきちんとモノ作りに真摯に向き合う。僕が今着ているパンダのTシャツも最初にデザインした人がいて、それをパクった人がいてチャイナタウンで売られている。その人の手から離れて遠いところにいる。それが面白い」。

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フォーシーズンズホテルがホテルリテールを改革 アデライデと組む理由

 9月1日に開業を迎える、「フォーシーズンズホテル東京大手町」。その最上階にセレクトショップのアデライデ(ADELAIDE)がキュレートするライフスタイルストア「ザ スパ ブティック バイ アデライデ(THE SPA BOUTIQIE BY ADELAIDE)」がオープンする。“豊かな文化の創造”をビジョンに掲げ次世代のラグジュアリー顧客層を見据えた売り場には、日本の伝統工芸や国内外のクリエイターが生み出した特別な品々がそろう。両者が目指す本物志向のライフスタイル提案と、新しいラグジュアリー体験とは?アンドリュー・デブリト(Andrew De Brito)リージョナル・バイスプレジデント兼 フォーシーズンズホテル大手町 東京 総支配人と、長谷川左希子アデライデ/アディッション アデライデ=ディレクターに話を聞いた。

 「開業計画を進めるにあたり、退屈なものとなっているホテルのリテールを改革したかった。次世代を見据えたこのホテルにはもっと現代のライフスタイルに寄り沿える売り場が必要だと感じていました」と話すデブリト総支配人。協力者となるリテーラー探しを始め、三井不動産を介してアデライデに行き着いたのは緊急事態宣言渦中の5月ごろだったという。「ちょうど、私たちも3年前からライフスタイル提案のプロジェクトを水面化で考えていましたから、とてもありがたいお話でした」と長谷川ディレクター。「アデライデの持つアパレル、リテールの知識などを全て包み隠さず伝えることから始めました」と、わずか4カ月という短期間ながらも互いの理念やビジョンに共通項を見出せたこと、そしてお互いが透明性を持って取り組めたことが信頼関係につながったようだ。

 丸の内に続き都内2軒目のフォーシーズンズが出店する大手町は、東京のグローバル企業が拠点を置くビジネス街であると同時に、皇居を中心に緑が広がるエリアだ。ライフスタイルショップを擁する39階からは、そういった絶景が360度見渡すことができる。ラウンジがある同フロアには、「ピニェート(PIGNETO)」や「エスト(est)」、「ヴェルテュ(VIRTU)」という 3軒のレストランと、ライフスタイルショップを併設したスパを一つのフロアに集めた。デブリト総支配人が“ソーシャルスペース”と銘打つフォーシーズンズにとっては革新的なこのフロアを通して、宿泊客だけではなく、来館者に向けてもシームレスな体験を提供していくという。

 スパはレストランスペースの喧騒を遮るような重厚な扉の奥に位置し、皇居を望む20mのプールやジム、リラクセーションルームをつなぐ中間の空間がライフスタイルショップとなる。キュレーションのテーマは“サステナブル・クラフツマンシップ/本物志向・エッセンシャル/希少価値・リミテッドエディション”。扉を開くとお香がかおる暗がりの長い通路が現れ、潮工房(神奈川)のガラスや田淵太郎さん(高松)の白磁といった日本の美意識を感じさせる工芸品や、「叢- Qusamura」(広島)による植栽などがまるでアートのようにディスプレーされている。

 「アデライデもそうですが、アンドリューさんの中に“ギャラリー”というイメージがあったようで、そこにもシナジーを感じました。工芸品のセレクションは自宅でそういうものをコレクションして集めてきた母(長谷川真美子クリエイティブ・ディレクター)が担当しています」。

 一方で、上質なものをよりすぐったという、アパレル、ジュエリー、コスメ&スキンケアなどは、長谷川ディレクターが中心となってそろえたという。「アデライデ」と縁のある「ヴェトモン(VETEMENTS)」や「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIRLA)」といったトップブランドとは限定商品を製作した。また、バスソルト「アマヨリ(AMAYORI)」や米デザインスタジオが手がけるインセンス「テネン(TENNEN)」など日本初上陸のブランドのほか、長谷川ディレクターと同世代のクリエイターにもスポットを当て、ロサンゼルスを拠点に活動するモデルのローラが手掛けるワークウエア「ストゥディオ アール330(STUDIO R330)」を国内では唯一常設で取り扱うほか、「チヨノ・アン(CHIYONO ANNE)」のランジェリーからも限定品がそろう。「宿泊者の方にだけではなく、オフィスで働く人たちのギフトショップになればと、ここでしか手に入らないものにこだわった」と、母娘の世代を超えたセレクションで他にはない空間を生み出した。

 27年間もの間、フォーシーズンズに身を置くデブリト総支配人は、「今の時代における“ラグジュアリー体験”ついてはたびたび社内でも議論されてきたが、その一つに“経験”がある。常に移動し続ける現代人にとっては、座って誰かと食事をしながら会話することや、アートに刺激されてクラフツマンシップに敬意を感じること、時間をぜいたくに過ごし、五感を刺激し、感情を揺さぶられる体験をすることにこそ豊かさはあるのではないか」と話す。実際に、今回のライフスタイルショップがそういった新しいラグジュアリー体験において挑戦的な取り組みでもあるということは、互いが店舗在庫をシェアするという運営体制からもうかがうことができる。「このビジネスモデルが成功したら国内の他の施設にも適用していきたいですし、海外に向けても新しいラグジュアリーのモデルケースになるはずです」と、今後にも期待をのぞかせた。

高村美緒(こうむら・みお)/ライター:大学卒業後、雑誌出版社を経て、ウェブメディア黎明期にファッションニュースメディアの初期メンバーとして参画。約10年にわたりパリやミラノ、ニューヨークや東京のコレクション取材のほか、コンテンツ開発などを経験し、2018年に独立。現在はデジタルメディア「リング オブ カラー(RIng Of Colour)」の編集長を務めるほか、京都精華大学非常勤講師やファッションエディター、ディレクターとしても活動している

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「ダイヤモンド調達の透明性が購入動機に」 ティファニーCEOが語る今後の戦略

 ティファニー(TIFFANY & CO.)は、0.18カラット以上のダイヤモンドについてトレーサビリティーを開示すると発表した。その取り組みは「クラフトマンシップ ジャーニー」と名付けられ、産出地、仕分け、カットと研磨、グレーディング、セッティングが行われた全てのロケーションを証明するものだ。この取り組みは、ダイヤモンド(0.18カラット以上)に産出地証明を付けて販売するという2019年にスタートした動きの延長線にあるもので、ティファニーのダイヤモンド鑑定書に含まれる。これらの取り組みはティファニーのような大規模なジュエラーにおいては初めてだ。ジュエリー業界は、労働条件や持続性に関する宝石調達の不透明性について長年闘ってきた。特にエンゲージメントリングやブライダルリングを購入するミレニアル世代による要求の高まりにより、これまで以上に取り組みが盛んになっている。

 アレッサンドロ・ボリオーリ(Alessandro Bogliolo)=ティファニー最高経営責任者(CEO)は、「われわれはこの取り組みを20年前から始めているが、発表するのには今が最適なタイミングだ。この取り組みは私の前任者による決断で、消費者にわれわれが過去20年間取り組んできたことを提供できるのを幸運に思う」と話す。ティファニーは何年も前から垂直統合に投資してきたが、ダイヤモンドの原産地などの詳細を公表することはボリオーリCEOの新戦略における決定だ。この取り組みはティファニーのダイヤモンドの価格には影響しないという。「多くの投資と調査が必要なことなので、競合企業が簡単にまねできることではない」とボリオーリCEOはきっぱり。「この取り組みが、販売されるあらゆるダイヤモンドの原点と調達経路を知る権利があると消費者が考えるきっかけになればいいと思っている。たとえダイヤモンドが倫理的に不透明性を持つものであると思われても、正しい取り組みは可能だということを証明できる。この取り組みは、ジュエリー業界のスタンダードを根本から変えるはずだ」。

 ボリオーリCEOは、ティファニーのこの取り組みは特に若い消費者から反響があるという。「かつて両親がエンゲージメントリングを購入したとき、それは慣習だった。今は、個人がそれを購入するかしないか決断する時代だ。われわれのトレーサビリティーの取り組みに対する価値は絶大だ。なぜなら、それが購入動機になり得るから。トレーサビリティーは多くの顧客がダイヤモンドを購入する際の説得材料になるはずだ」。トレーサブルかつサステナブルに採掘された宝石の需要に関して、ボリオーリCEOは、「オーストラリアではジュエラーはより高いエシカル基準を要求される。中国市場でさえ最近はそれらに対する関心が高まっている。このような消費者の動向は中国やアジア市場で見られており、特に若年層はエシカルなものを購入することへの関心が高い」と話す。

 ティファニーのアニサ・カマドーリ・コスタ(Anisa Kamadoli Costa)=チーフ・サステナビリティ・オフィサーは、「ラフ(原石)からダイヤモンドを調達し自社で加工するということは、トレーサビリティーだけでなく、『ティファニー』のダイヤモンドの工程に携わるコミュニティーに良い影響を与えていることを表す」と話す。ティファニーがトレーサビリティーの取り組みを色石にも適用するかという点に関しては、カマドーリ・コスタは、「ダイヤモンドにビジネスチャンスがあるので、今はそれに注力する。約8割の色石は小さな鉱山から産出されるため、その原産地を知るのは困難であるというのが現実だ」と言う。

 ティファニーのトレーサビリティーの取り組みは、新型コロナウイルス感染拡大によるロックダウンで、より多くの消費者がジュエリーをECで購入するようになった動きに対するものでもある。ボリオーリCEOは、ロックダウン中の消費傾向について「ECにおけるエンゲージメントリングやマリッジリング、ダイヤモンドリングの購入が急速に伸びた。以前は、カップルで店舗に行って選んでいたが、それが不可能になったためだ。ありがたいことに95%の店舗の営業が再開した」と述べている。「一方で、ロックダウン中に購入せず店舗が再開してから購入する顧客もいた。これらの顧客は衝動買いではなく計画的に購入を考えている」。

 ティファニーはLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)による買収の途上にある。7月にLVMHのジャン・ジャック・ギヨニー(Jean Jacques Guiony)=チーフ・フィナンシャル・オフィサーは162億ドル(約1兆7000億円)を投じてのティファニー買収に関する進捗について、約6件の独占禁止法がらみでとん挫しているがどの国かに関しては言及しておらず、「前進しているがいつ成立するかは分からない」とコメントしている。

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ユナイテッドアローズがスキンケアを始めた理由とは? 「ファッションは洋服だけではない」

 ユナイテッドアローズ(以下、UA)が化粧品事業に本格参入した。ヤブ椿オイルを主軸にしたスキンケアブランド「ジュース(JUICE)」を立ち上げ、マルチオイルやリップ、ボディークリームなどをラインアップ。ファッションのトレンドを発信するセレクトショップのUAが、化粧品事業と聞けば普通、カラーメイクアップ製品ではないかと想像するが、実際は3年の歳月をかけて開発したこだわりのスキンケアだった。今なぜ、スキンケアなのか。開発を担当した第一事業本部 ウィメンズ商品部 レーベル推進課 STYLE for LIVING MDの西岡麗バイヤーに聞いた。

WWD:セレクトショップの先駆者としてライフスタイル提案を行ってきた「ユナイテッドアローズ」だが、約10年前の取材でも「ビューティはライフスタイルの一部」と話しており、ビューティ関連アイテムを取り扱ってきた。なぜ今、オリジナルでの化粧品開発なのか?

第一事業本部 ウィメンズ商品部 レーベル推進課 STYLE for LIVING MD西岡麗バイヤー(以下、西岡バイヤー):当社経営理念からも、美容はファッションの一部であり、トータルで提案するのが自然と考えていました。ただ、店頭でコスメをバイイングしていて興味はありましたが、お洋服屋さんですし自分たちで作るという発想は現実問題難しいと思っていて……。

そう思っていた約3年前に、弊社ファッションマーケティング部の調査で、「これまで以上にファッションは洋服のことだけではない時代になっている。ファッションと同様に化粧品もできないといけないのでは」と。同時にマーケの方でさまざまな出会いから「ヤブ椿オイル」には行き着いていました。業務として化粧品をバイイングしていた私に、「このオイル、どう思う?」って話が来たんです。最初はお手伝いって感じだったんですけど(笑)。

WWD:3年前と言えば、低迷するファッション業界を尻目に、ビューティ業界は右肩上がりで成長していた。そういった流れもあったのか?

西岡バイヤー:確かにビューティ関連の売り上げシェアはじわじわ高まっていました。でも、ファッションがダメだからビューティというのでは全くありません。ファッションもビューティも全部合わせて、それがおしゃれ。肌が整っていないと何を着ても気分はどんよりしてしまうんですよね。だからこそ開発したんです。

WWD:開発にあたり苦労した点は?

西岡バイヤー:ヤブ椿オイルに出合ったところから、この開発は始まっていたので、そこから広げていくのにはそんなに苦労はしませんでした。オイルはバイイングでもたくさん試していたし買い付けていました。私自身、オイルが大好きで、顔が足りないって思うぐらいです(笑)。このヤブ椿オイルを初めて使った時は、その浸透力など本当にすごいと思ったんです。このオイルに惚れ込みました。そこから結局、中心となって開発することになったんです。

WWD:チームに化粧品業界出身者はいるのか?自分たちでモノ作りをしているのか?

西岡バイヤー:業界出身者はいません。ナチュラル系コスメを得意とするOEMメーカーのオーラコスメティックスさんと作っています。苦労しなかったと言いましたが、いざモノ作りを始めて困ったのはテクスチャーでした。たくさんのオイルを触ってきていた経験からの感覚でメーカーさんには伝えるしかなくて。手振りでスーと入るとか、何度も伝えました。香りも同じで、リッチタイプでは最初は柑橘系で上がってきたんですが、もう少し爽やかにというか、甘すぎないというか。その微妙なバランスを伝えていくことで完成させることができました。

WWD:ナチュラル系の化粧品のパッケージはもっとナチュラルになりそうだが、濃いグリーンが印象的だ。

西岡バイヤー:チームに男性が入る前は、白のボトルでクリーンなイメージだったんです。でも女性、男性問わず話を進めていくうちに発想が変わってきました。これは何度もボツりましたね。ちゃんとストーリーが伝わるもの、ファッションの一部として伝えていこう。誰が持っても、置いてもおしゃれじゃなきゃ。その視点が大きかったと思います。ジェンダーフリーで使えるというのもコンセプトなんです。また、現在はコロナ禍で様相が変わっていますが、UAにはたくさんの外国からのお客さまもいらっしゃるので、ボトルに印字した表記は英字にしました。

リアルとオンラインで発表会開催

WWD:すでにUAの一部店舗と公式オンラインストアでは先行販売している。反響は?

西岡バイヤー:正直なところ、告知もせず店頭に置いているだけなので反響というほどではなく、興味を持っていただくというところで止まっています。ただ、このほどファッション・ビューティ業界の関係者(セレクトショップやメディア)を呼んでリアルとオンラインで発表会を開催しました。それにより取り扱ってもらえるショップも増えたらいいと思いますし、メディアへの露出も増えていると思います。

WWD:これまで御社では、洋服などを並べてメディアに見てもらうプレビューの開催が中心で、ビューティ業界が行なっている発表会という形式は珍しい。またリアルとオンラインと併用も大変だったのでは?

西岡バイヤー:初めてのことで手探りでした。オンラインだけでも良いのでは?という話にもなったのですが、実際に手で触って体感してほしい、リアルの対面で説明したい、聞きたいということもあり人数を制限して行いました。
オンラインでは、画面越しに観るというのは淡々と聞いているだけになりがちで集中力も切れる。だから、スライドを見せたり、スピーカーも代わりながら飽きさせない方法を考えました。台本も、話が長いと眠くなるとか、ジェンダーレスに使えるアイテムだから男性目線で使い方を入れた方がいいとか、テクスチャーは手を見せながらがいいよね、スライドの文字数はこれぐらい……とかなり時間をかけて練習しました(笑)。

WWD:やってみてどうだった?

西岡:オンラインは視聴者の表情が見えないので、実際どう伝わったのか……。リアルの方が表情も分かるし、うなずいてくれたり、メモしてくれていたりで分かりやすいなあと。ただ、こういう状況下でオンラインという手段で広められたのは良かったと思います。リアルだと会場を借りて作り込まないといけないとなると費用も嵩むというのもありますが、今回社内のプレスルームで開催したので抑えられました。費用より何より、プレスルームにはたくさんのお洋服が並んでいてその中を通った先に会場を作ったのですが、ビューティ関連のメディアの方からには「お洋服がこれだけある状況が新鮮」「見るだけで楽しい」など、ファッションのセレクトショップならではの雰囲気が出せたことは良かったと思います。

WWD:今後の展望は?

西岡:10月にはスクラブウオッシュとフォームウオッシュが発売になりますし、来年以降、新製品も展開していきます。個人的にはカラーアイテムも作りたいですね。9月下旬から一般販売も始まり、卸売などにも拡大したいと思っています。ポップアップを行ったり、ゆくゆくは単独店舗も持ちたいです。

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2006年生まれの14歳が菅付雅信&山縣良和に直撃「東京芸術中学って将来何の役に立ちますか?」

 編集者の菅付雅信は、「リトゥンアフターワーズ」デザイナーの山縣良和がディレクターを務める渋谷パルコの9階の教育スペース「GAKU」で、中学生に向けたアートスクール「東京芸術中学」を9月から開校する。ゲスト講師にはアーティストの会田誠、ダンサーの菅原小春、スタイリストの北村道子、音楽家の渋谷慶一郎、建築家の田根剛、「アンリアレイジ」デザイナーの森永邦彦などの豪華な顔ぶれが並び、授業料は30万円。対象は中学生ではあるものの、その分野のトップクリエイターたちを招聘した野心的なアートスクールだ。この「東京芸術中学」の1番目に申し込んだ中学生、瀧澤照英くん(インタビュー当時は13歳)が、菅付雅信&山縣良和に直撃した。「東京芸術中学って、なんの役に立つの?」。

瀧澤照英くん(以下、照英くん):本日はよろしくお願いいたします。僕は初音ミクが好きで、将来は音楽関係の仕事もしたいと思っています。いきなりですが、「東京芸術中学」って将来役に立ちますか?

菅付雅信(以下、菅付):僕自身は多摩美術大学で教えたり、下北沢の書店「B&B」で編集スパルタ塾というのを7年間やっていたりと、いろいろ教えるということをやってきました。そんなときにパルコ側から10代を教育する場をつくってほしいというオファーがあったんです。大学生や社会人は教えた。でも、もっと若い人を教えるとなると、それだったら中学生の頭をクリエイティブにすることを思いついたんです。大学生以上になると、アートやデザインの知識がそれなりにある人もいるけど、そうじゃない人もいる。でもクリエイティブの教育は早ければ早いほどいいんじゃないかとは感じていました。大学生からでは、アートやデザインに触れるのは遅すぎる。中学生くらいのスポンジのように柔らかい頭にクリエイティブなものをガンガン入れてしまった方がいいと思ったんです。

照英くん:もしアーティストやデザイナーを目指すなら、スタートが早い方がいいってことですか?

菅付:確率論的には、ということです。もしその人に才能やセンスがあったとしたら、できるだけ早い方がいい。

照英くん:なるほど。では夢をかなえるために必要なことはなんですか?

菅付:その前に僕のことを話させてください。僕は宮崎県出身で、宮崎県内では一番の進学校に入ったんだけど、落ちこぼれだったんです。どのくらい落ちこぼれかというと、450人中440番台。440番台の人たちとは落ちこぼれ同士でみんな友だちでしたが(笑)。不良ではなかったんですが、授業受けたくない、学校行きたくない。そんな高校生でした。その後法政大学に進学したものの大学も中退しちゃったんだけど、いま思えば学校にもいいところはたくさんあった。社会に出ると1人でなんでもできるわけではなくて、多くは共同作業なんです。その意味では、刺激を与えあって競争することを体験できる環境はいいんです。ただ、本来は一人ひとり個性を持った人間なのに、学校は同じカリキュラムと画一的な判断基準で、システマチックに判断されてしまう。本来は文化的な感性は個人差が大きいはずなのに。「東京芸術中学」は、少人数でもいいから、同じような感性や気持ちを持った人が集まって文化や芸術を学べる場であればいいと思っています。

山縣良和(以下、山縣):「東京芸術中学」には、文化やアートのいろんな分野のプロが来ます。文化やアートっていっても、ファッションや音楽、写真、演劇、ダンスなどいろいろな分野がある。そういった多分野のプロたちから熱中する種をもらえるというのがいい。中学生向けの学校ということに限らなくても、これだけのプロたちを見れる場は、そうそうないのではないか。

菅付:クリエイティブ教育で重要なのは、カリキュラムよりも人だと思うんです。つまり、教える人。なんだかわからなくても、非常に優れたアーティストが一生懸命、自分の分野の歴史やクリエイティブについて話している、その同じ場でやり取りできるってことは、どんなに優れた教科書よりも効果があると思っています。なぜなら人は人に感動したいから。リアルに、自分の目で耳で、目の前のすごい人の話に共感して、感動してほしい。15人の先生が、新しいものを生み出すために過去にこんなに苦しんだ、こんなことにすごく感動した、そういう話を聞くと、同じ人間なんだなあと思うじゃない。年の差があってもそれはわかる。同じ場にいることが大事なんだよね。

照英くん:サポート体制を教えてください。

菅付:かなりのスパルタ式です(ニヤリ)。毎回レクチャーがあって、レクチャーの最後に課題を出します。課題は1〜2カ月後に提出して、講師が講評します。講師はそれぞれの分野のトップクリエイターですが、例えば音楽家の人は曲を作らせよう、ダンサーの人はダンスを創作させようと考えています。そしてそれを彼ら/彼女らが講評するんです。すごい刺激にはなります。

照英くん:面白そうですね。視野が広くなる気がします。

山縣:モノ作りは独立した気持ちが大事です。どんどん講師に質問をしてほしい。ある意味で、講師や時間、場所を自由に使ってほしいけど、その方法はあえていいません。時間をどう使うか、先生からどう引っ張り出すか、それを自ら考えてくれたらいいなあと。

照英くん:生徒たちに期待することは?

菅付:先生の話に触発はされてほしいけど、うのみにはしないでほしいなあ。自分だったらこうするかなあとか、自分だったらそうはしないなあ、とか。自分の考えを押し殺さないほしい。「東京芸術中学」の授業数は、学校の授業に比べたら格段に少ない。その分、「東京芸術中学」は普通の中学校では与えられない大きな気づきを中学生に与えたい。ある種の感覚や才能への気づきを得てもらって、眠ってるものを引き出してほしい。これ好きかも、これいいかも、これ面白いかも。そんな気づきを触発できればと思っています。クリエイティブに限らず、プロになりたいかかどうかは早い段階で気付ければ、迷わず努力して、それを積み重ねて夢に近づけていける。それはすごく重要なことです。例えば20歳になってから、プロのサッカー選手になりたいと思っても難しいですよね。だからクリエイティブでも好きなジャンルがわかっていれば、勉強のスタートが早ければ成功する可能性が高くなるはずです。アートでも同じだと思うんです。気付きは早いほうがいい。そして好きだ、勉強したいと思ったら、その時点から一生懸命インプットしたほうがいい。照英くんはテニスをやっているそうだけど、スポーツでも大事なのは基礎体力。芸術も同じで、10代からやっていくべきなんです。音楽をたくさん聴いてみよう、聴いているだけじゃなくて曲を弾いてみようとなったら、関わり方が違ってくる。そうなると聴き方や見方が変わる。それが大事なんです。

照英くん:山縣さんはどう思います?

山縣:自分のことも他人のことも、あまり決めつけないほうがいいと思っています。自分はこれが苦手でできないんだって思い込みすぎちゃって、自分にレッテルをはるのはよくない。僕は何にでもなれる、何でもできると考え、そしてそこで出会った友だちにも影響を受けて、その変化を受け入れていくこと。僕も小学校、中学校で、ほんとびっくりするくらい勉強ができなかった。よくテストで「0点」も取ってました。でもそんな自分に「0点」のレッテルを貼ったりすると、それで終わり。僕はそれでも何かできるかもしれない、と思えたことが助けてくれた。リラックスして、自分は何でもできるかもしれない――そんな風になってくれればいいなあと。

山縣:照英くんは親御さんから「うちの子は変わってて」って言われてたけど自分でどう思ってる?

照英くん:うーん。そうは思ってないですね。

菅付:まあ、クリエイターなんてみんな変わっていて、品行方正な人なんて皆無だよ。自分が違うってことをエネルギーに変えていけばいい。むしろ違うってことが価値になる。学校の勉強できなくてもめちゃくちゃ映画に詳しいとか、なんでもいい。でもそれらの強いこだわりがその人の個性であり、教養になっていれば、クリエイティブの分野だと成功しやすい。「東京芸術中学」はこんな小さな空間だけど、それでもその少ない人数の中で人と違うってことを、良いエネルギーに変えてほしい。「東京芸術中学」で学んだ後には、ほかの人と違うってことが素晴らしい――そういった感覚を持ってほしいな。

照英くん:ところで菅付さんの編集者ってどんなお仕事なんですか?

菅付さん:辞書的な説明をすると、雑誌や本を作るってことなんだよね。でも半分は合ってるけど、半分は外れている。編集の本質は、企画を立て、人を集め、モノをつくること。昔はマスなメディア、つまりは大量に伝えるコミュニケーション手段が紙だったけど、今はメディアがすごく広がった。僕はいろんなメディアに編集が必要だろうと思っています。例えるならスマホのアプリを作ってる人も編集だと思っています。

照英くん:うーん。わかるようなわからないような。

菅付:アプリを作るのも、企画を立てて、人を集めて、モノをつくっているから編集だと思う。そして世の中には自分よりずっと才能がある人がいっぱいいます。だから何かを作りたかったら、自分にない才能を持つ人たちに頼めばいい。世の中にはまだない、全く新しいモノやコトを企画して、人を呼びかけて作る、それが編集者の仕事です。例えば、この篠山紀信さんの写真集「TOKYO ADDICT」(小学館)のときは、僕が誰をどこでいつ撮影するのかを決めて、被写体と篠山紀信さんのスケジュールを調整しました。

照英くん:編集者が、撮影する日時を決めたりするんですね。

菅付:うん。どういった撮影にするのか、例えば大型カメラで撮影するのか、どうしたらいい写真になるのか、なども相談しています。このパラパラダンスの写真は、当時パラパラダンスが流行っていたので、パラパラダンサー1000人に集まってもらって、このクラブの営業開始の6時間前に行って、セッティングして撮影しました。撮影するときには音を出せなかったけど、盛り上がっているようにするためにいろいろ準備しました。篠山紀信さんのような写真家のスーパースターと被写体の間にはいって、大変なことも本当に多い。それでもいい写真が撮れた、生み出せた、それができたら、苦労は報われたから、全部OK(笑)。写真を撮影するのは写真家だけど、編集者が企画して初めて世の中に生み出せる。それが編集者の醍醐味です。

照英くん:ファッションデザイナーはどんな仕事なんですか?

山縣:わかりやすく言うと、“人の装いを作る”ことです。服をデザインするだけじゃなくて、人の内面と向き合い、メイクや髪型、どんなスタイルにするのか、それをどうやって見せて伝えるか。僕の場合はファッションショーを重視することが多いのだけど、そのときには伝えたいメッセージやコンセプトを考えて、会場を選定して、服を作って、メイクや髪型、モデルを歩かせる順番などを考えて決めていきます。ショーを見てどう感じるかは人それぞれだけど、ショーを見たことで、人の意識や行動を変えるきっかけを与えたいと思っています。照英くんはどんなファッションが好きなの?

照英くん:好きなファッションというか、身だしなみはいつも整えたいとは思ってます。テニスをやっているので、ウエアも同じメーカーでそろえたい。やっぱりメーカーって一つのテーマで沿って服を作っているので、同じメーカーじゃないとちぐはぐになっちゃうので。

山縣:そうだよね。でも逆に、わざとちぐはぐにするからかっこいいという考え方もある。どっちもあるんだよね。あえて崩すことで見えることもある。いろいろな考え方があることを知ってほしいです。ファッションショーでは、これまで見たこともない服が出てきて、それが時代を変えることがある。ファッションは人間に一番近いメディアだから、それが可能。ファッションが新しい人間像を作って、世界が変わる――それが醍醐味です。

照英くん:いつも心がけていることはありますか?

菅付:誰もやってないことをやりたい、と思っています。嫌いなことは他の人がすでにやっていることをなぞること。誰かの後ろを歩くようなことはやりたくない。そのためにも他の人がやっていること、すでに他の人が歩いている道を知ることが重要です。オリジナルだと思っても、他の人がやっていることも多い。

山縣:わかります。「これ、誰かのまねだよね」って思われるほど嫌なことはない。もちろん似てしまうことはあるけど、ここだけはやってないんじゃないか、っていう小さくても何かを探して、ファッションをデザインしています。

菅付:どんなジャンルでも一生懸命、熱中してやっていれば、必ずその人らしさは出る。でもそれは個性であっても、オリジナルではないんだよね。だから探さないと見つからない。でも探せばきっとある。それを一生懸命続けることで、完成度が高くなって、自分だけの道を歩ける。本当の個性が出るんじゃないかな。

照英くん:個性を出すためには、やりたいことを一生懸命やればいいってことでしょうか?

山縣:大事なのは、自分が当たり前だと思っていること、普通だと思っていることを、もう一度見直してみることだと思います。自分が当たり前だと思っていることの裏側に個性のヒントがある。当たり前だけど、自分と他人が全く同じということはない。それこそ、置かれていた環境って十人十色なわけで。それをよく考えていくことで、自分らしさや個性のヒントがあると思っています。

照英くん:これまで手がてきた自分の作品とは、どんな存在ですか?

菅付:自分がつくったものはなかなか客観的に見れない。だから、いろんなことを言われるのは大事なこと。練習試合も大事だけど、本番試合をたくさんやったほうがいい。それが糧になる。編集者の場合は、それを記事にするなり、出版なり、世の中に出すこと。そうして社会からの評価を受ける。自分が編集した本のアマゾンのレビューなんかを読んでいると、めちゃくちゃ頭に来ることも多いよ。ろくに読んでないのに、低評価を付ける人だっている。でも、それを恐れていたら次のところに行けない。

山縣:同感です。作るってことは、覚悟を持つってことだと思います。覚悟を持って世の中に出す行為が作品なんだと思います。バリアしすぎちゃうと、大事なことが見えなくなる。一つ一つその繰り返しです。

照英くん:勇気が必要なんですね。

菅付:何かを出したら、いろんな人がいろんなことを言ってくる。でも何かを出したら、評価や代金などに加えて、知恵をくれることも、人を紹介してくれることだってある。世の中とのキャッチボールをどうするのかは、プロとして大切なことだと思います。万人から喜ばれることもあれば、少しだけ好きになってくれる人もいる。なんにせよ強い願いを込めて出すと、反応してくれる。そういった仲間をどれだけ増やせるかが大切なんだと思います。

照英くん:最後にメッセージをお願いします。

菅付:YOU ARE NOT ALONE。僕たちは一人ぼっちじゃない。共感するする人たちがいるってことを感じ合うことは大切です。クリエイティブな人たちの数はけっして多くない。時代の空気や価値観、新しいコトを作れる人は少ないけれども、そうした人が次の時代を作る。だから「東京芸術中学」は、そのいい空気を作っていきたい。空気を読めるヤツ、じゃなくて空気を作れるヤツのたまり場にしたいなあ。

山縣:世の中には変わった人たちがたくさんいます。さまざまな個性で出会えるカオス的な場になったらいいかな。

WWD:最後に照英くん、今日聞いて印象的だったフレーズは?

照英くん:「自分だけの道を探して歩く」です。これからの授業が楽しみです!

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ランジェリー業界のゲームチェンジャー vol.8 ニューヨークと日本をつなぐ「リリピアーチェ」の早瀬芳子・彩子

 サイズ展開の多さから在庫管理が煩雑であり、主力商品のブラジャーは使用する資材の種類が多いためロットが大きくなるなどの理由で、新規参入が難しいとされてきた下着業界。これまで大手ブランドやアパレルブランドの寡占が顕著だったが、ここ数年、30代の女性を中心に新ブランドを始めたり、SNSで情報発信したり新たな動きが見え始めている。そんな下着業界に新風を吹き込むゲームチェンジャーらにインタビューし、業界の今、そして今後の行方を探る。

 最終回となる第8回に登場するのは、2013年にニューヨークでブランドデビューした「リリピアーチェ(LILIPIACHE)」の早瀬芳子・彩子デザイナー。現地の有力店舗で取り扱われるほか、「アンソロポロジー(ANTHROPOLOGIE)」ともコラボするなどして注目され、翌年から逆輸入の形で、伊勢丹新宿本店をはじめ日本の百貨店でのポップアップストア展開がスタートした。18年8月からはその実績を踏まえ、阪急うめだ本店で商品を定期的に販売している。現在もニューヨークと日本をつなぎ、ブランドを運営している。

――ニューヨークでブランドをスタートさせた経緯は?

早瀬芳子「リリピアーチェ」デザイナー(以下、芳子): 2005年3月に妹の彩子と優子・ストークの3人で、上田安子服飾専門学校の卒業コレクションを作ったのがきっかけです。そのとき、「いつか一緒にブランドをやれたらいいね」と話していました。それぞれ就職した後も3人でたびたびニューヨークに旅し、エネルギーに溢れ、多種多様な文化や物が混在する街の雰囲気に魅了されて「ここに住みたい」と思うようになりました。どうせブランドを始めるならニューヨークでやろうと目標を決め、優子と私は09年に渡米。はじめは洋服のブランドを始めましたが、優子はランジェリーの、私には水着のパタンナーとデザイナーの経験があったのと、ニューヨークはランジェリーカルチャーも豊かで面白いショップも多かったので、13年にランジェリーブランド「リリピアーチェ」をスタートさせました。

――ブランドコンセプトは?

早瀬彩子「リリピアーチェ」デザイナー(以下、彩子):「リリピアーチェ」という名はデザイナー3人のイメージから生まれた花で、優雅なユリと、色彩も香りも豊かなイヴ・ピアジェというバラに由来しています。そんな美しい花が与える幸せを全ての女性に届けたいという思いを込めました。とくに自然の色からインスパイアされるカラー展開にこだわっていて、最初の色出しは自分たちで染めています。実は私、小さな頃は花屋さんになるのが夢で、ニューヨークでフローリストとして働いた経験もあります。未経験でもやりたいことを後押ししてくれる、ニューヨークはそんな街です。

多様性が下着市場の広がりとなり、夢のある売り場に

――いきなりニューヨークというのは思い切りましたね。

芳子:家も決めず渡米して、最初はゲストハウス暮らし。英語もあまりしゃべれませんでしたから、今思い返すと若さと勢いでしたね(笑)。コネクションも全くなく、生地の手配も工場探しも手探り。ニューヨークのガーメント地区の工場を一軒一軒回って縫ってくれるところを探しました。最初に頼んだ工場は、納期は守らないし縫製は粗いし修正も進まない。やっとできた商品を納品しても、今度は支払いが滞る店があったりと苦労もありました。その中で、中国人女性がオーナーの工場と出合い、やっと生産と品質が安定しました。母親くらいの年齢の彼女は「リリピアーチェ」を応援してくれて、お金がなかった私たちを自宅に呼んで食事を振る舞ってくれることもありました。彼女がいたから今の「リリピアーチェ」がある、ニューヨークの母ともいえる恩人です。14年に私が帰国して生産を全て日本に移行しましたが、その日本の工場でも縫い手にしかわからないことや縫製の難しさを教えてもらいながら、その知識をデザインやパターンに生かしています。

――国をまたいだ3人での運営だが、役割分担は?

彩子:デザイン、パターン、営業など役割分担は決めていず、それぞれがそのときできることをやっています。工場に出向くのは必然的に日本に住んでいる芳子の担当になりますが、コミュニケーションもオンラインで行うので問題ありません。

――ニューヨークの有力店舗との取引のきっかけは?

彩子:ニューヨークの専門店「ジョアネル(JOURNELLE)」も「アンソロポロジー」との出合いも、ランジェリーの見本市「カーブ(CURVE)」がきっかけです。「ジョアネル」のオーナーは、米国ブランドにはないフェミニンなテイストを気に入ってくれ、その場でオーダーしてくれました。たとえ無名でも良いと思ったら評価して決断する、それがニューヨークなんです。「アンソロポロジー」はブランドのテイストと「リリピアーチェ」の世界観がマッチして、コレクションのオーダー以外にコラボラインも15年にスタートしました。「アンソロポロジー」に並ぶことでわれわれの認知度も上がり、それを機に営業しなくても他店から取引依頼が来るようになったし、オーダー数も大きいので経営も安定しました。一番多いときで、米国内で20数店舗の専門店に卸していました。現在は中国のオンライン・ランジェリーセレクトショップ「オーツーブラ(O2Bra)」でも販売しています。

――2018年8月には阪急うめだ本店で常設になったが?

芳子:大手メーカーのブランドが並ぶ中に、私たちのような個人経営のブランドを常設するのは非常にリスキーだったと思います。それを決断してくださった阪急百貨店に本当に感謝しています。2年の間に新規顧客も増えて、スタッフ一丸となってまい進しています。

――これからチャレンジしたいことは?

彩子:最近はイベントもできず、目の前の業務に追われることが多かったので、国内外を問わずアーティストとのコラボレーションをしたいと思います。それを通じてお互いに刺激し合い、新しいクリエイションに挑戦したいと思っています。

――日本の下着業界はどうなってほしい?

芳子:もっと多様性が出るといいと思います。日本では、ランジェリーがなかなか日の目を見ないので、もっとオープンになってほしい。百貨店にも頑張っている日本ブランドがもっと並んでほしいし、その多様性が下着市場やランジェリーカルチャーの広がりと、そして夢のある売り場につながると思います。

川原好恵:ビブレで販売促進、広報、店舗開発などを経て現在フリーランスのエディター・ライター。ランジェリー分野では、海外のランジェリー市場について15年以上定期的に取材を行っており、最新情報をファッション誌や専門誌などに寄稿。ビューティ&ヘルス分野ではアロマテラピーなどの自然療法やネイルファッションに関する実用書をライターとして数多く担当。日本メディカルハーブ協会認定メディカルハーブコーディネーター、日本アロマ環境協会認定アロマテラピーアドバイザー。文化服装学院ファッションマーチャンダイジング科出身

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「ギャップ」が今秋冬から全商品を3~4割値下げ セール常態化を変革へ

 「ギャップ(GAP)」は今秋冬物から、日本の商品価格を全体的に3~4割下げる。看板商品のジーンズの中心価格は、従来の6990~7990円から3990~4990円となる。セールが常態化して価格が分かりづらくなっていたことを受けて、「フェアな価格を打ち出し、日本のお客さまにいつでも安心して購入してもらえるようにする」とマシュー・コリン(Matthew Corin)ギャップジャパン社長。19年11月に現職に就き、今年1月から日本に住んでいるというコリン社長に聞いた。

WWD:価格改定は、今秋冬からのアジア向けキャンペーン“Comfortable together 心地よさから、はじめよう”の一環だ。そもそも同キャンペーンの意図は何か。

マシュー・コリン ギャップジャパン社長(以下、コリン):「ギャップ」として、もう一度日本やアジアのお客さまにコミットし直すという意思表明だ。「ギャップ」には50年以上の歴史があるが、創業当時から人の多様性や包括性を尊重してきた。今回のキャンペーンで掲げているコンフォータブル(心地よい)とは、単に服の着心地がよいということだけではなく、個人のあり方としても心地よさを追求するという意味。コロナ禍で行動が制限されている今だからこそ、「ギャップ」の核にあるこうした考え方を改めて伝えていく。店でもデジタルでも心地よさを感じてもらえて、着心地もよく、さらにそれをフェアな価格で提供する。

WWD:セールが常態化していたことで、これまでは商品購入後に商品がすぐに値引きされているという、「フェアではない」と感じるケースもあった。

コリン:そうした事態はもう起こらない。値引きのプロモーションは今後は縮小する。今日も明日も同じ価格だ。お客さまには新しい価格になじんでもらって、値引きを心配することなくいつでも安心して商品を購入していただきたい。もちろん、シーズン末や大型連休などにはセールは行うが、これまでより縮小し、値引き幅も従来よりも狭める。広告も、値引きのパーセンテージを打ち出すのではなく、商品そのものについて語るものが中心になる。

価格改定に向けて売り上げデータも分析したし、お客さまの声も聞いた。実際のところはこれまでも適正価格は明確であり、それは競合ブランドの販売価格ともほぼ同じだった。しかし、以前はその価格がセールでの値引き後の価格だった。今後は最初からその価格を打ち出す。アイテムやカテゴリーによって値下げ幅は異なるが、全体的におおよそ3~4割値下げする。ジーンズの中心価格は、従来の6990~7990円から3990~4990円となる。実際にこれまでお客さまが払っていた価格に近いので、(売上高に)大きな違いはない。今回のキャンペーンはアジア向けであり、中国でも同様に価格は変えていく。

WWD:同キャンペーンでは価格改定のほかに、品質やコミュニケーション手法にも焦点を当てている。

コリン:品質面として、たとえば防水などの機能性はこれからも伝えていくが、それを単に機能として羅列するのではなく、エモーショナルに伝えていくことが重要だ。「ギャップ」はエモーショナルにブランドや商品を好きでいてくれるファンが多い。そうではないブランドは機能性だけを打ち出して勝負をするのかもしれないが、われわれは機能性とエモーショナルであることのバランスをとって伝えていきたい。

WWD:コロナ禍でデジタルでの表現の重要性が増している。

コリン:われわれには日本全国に約5000人の販売員がいるが、4~5月に実店舗を休業していた期間中、各販売員がSNSを通して自分たちの声でブランドを伝えてくれた。グローバルなキャンペーンと、こうしたローカルな活動とをつなげていきたいし、既にコロナ禍で一定の成果が出ている。日本のお客さまの中には、「『ギャップ』は自分のスタイルには合わない。だから店舗にも行かない」という人が多いかもしれないが、SNSでスタイリングを発信していけば、「ギャップ」にはそういう方にも合うスタイルがあると知っていただける。“モダン・アメリカン・オプティミスティック”は今までもこれからも変わらない「ギャップ」のキャラクターだが、日本のお客さまにより親しみやすいスタイリングでそれを表現したい。日本の販売員の着こなしをSNSで目にすれば、自分のスタイルにも合う服があると知ってもらえるはずだ。

WWD:今回のキャンペーンはコロナ禍を受けて計画したのか。

コリン:私のキャリアの中でギャップで働くのは今回で2度目。2019年11月にギャップに再入社し、20年1月から日本に住んでいる。その時から、今秋からこうした変革を行おうと思って計画してきた。ギャップジャパンで働く多くの人が「やっと改革ができる」と歓迎してくれたし、われわれが出店する日本のデベロッパーからも賛同を得ている。「ギャップ」が変わっていくことを広く伝えていきいからこそ、こうしてメディアのインタビューも受けている。お客さまには是非店にきてほしいし、オンラインも見てほしい。改めて「ギャップ」を知っていただけば、いかに日本の皆さんに沿ったブランドであるかが分かっていただけるはずだ。

WWD:そもそも、なぜ長年改革ができなかったのか。

コリン:いい質問だ。好調だった時はそういった変革の必要性はなかったし、この10年で考えても競合状況も世の中のプロモーション手法もかなり変わっている。そうした変化に、やっとわれわれは追い付いたのではないか。これから学ぶことは多い。日本市場にそったやり方に変えていくことで、かつての顧客にも戻ってきてほしいし、新しい顧客も獲得したい。ブランド自体の認知度は非常に高く、日本の90%の消費者が「ギャップ」を知っていると調査で出ている。しかしその人たちはお客さまではない。彼らをいかに取り込んでいくかが重要だ。

WWD:ECのあり方はどう変えて行くのか。

コリン:ECを強化していくために、将来的に新しいプラットフォームも考えていきたい。日本はアジアの一部であり、中国はデジタルコマースが非常に進んでいるので、中国の事例から学び、店舗に来ずともブランドを経験してもらえるようにしていく。たとえば中国のECモールの「Tモール」では、静止画ではなく動画やライブでの商品訴求が主になっている。デジタルも実店舗も、常にアップデートして今に追い付いていくことが私達のめざすところだ。

WWD:実店舗のあり方はどう変わっていくのか。

コリン:どこに店を持つかが変わっていく。コロナ禍で人が都心に外出しなくなっている。たとえば二子玉川に住んでいたら、わざわざ都心に出る必要はない。消費者が住み、活動しているところにわれわれも存在していなければならない。6カ月前とは実店舗でもECでも買い方は全く変わっている。休業期間を含むこの数カ月間で、「ギャップ」をECで初めて買ったという人は大幅に増えた。食料品さえオンラインで買うようになり、ECの利便性に多くの人が気付いたはず。消費行動が変わっているなら、当然実店舗のあるべき場所や役割は変わってくる。一方で、ブランドスピリットを表現できる都心の旗艦店も諦める気はない。デジタルでも実店舗でも、また、実店舗で立地に関わらず、どこでも一貫性のある接客を提供し、お客さまには心地よい経験をしてもらいたい。

休業中、EC売り上げは非常に好調だった。いくつかの実店舗は物流拠点代わりにし、店舗からEC購入分を配送していた。現在もEC売り上げの4割は実店舗から配送している。そういった点から言っても、実店舗とECを別では考えていない。客にとっては商品がどのようなルートで届こうが関係ない。客との接点はこの数カ月間でかなり変えている。SNSもその一つだ。(世界で初めてカフェを導入した新宿フラッグス店のように)実店舗の一部をSNS撮影のためのステーションに変えたら、実店舗がデジタルに直結し、デジタル上でブランドをどう表現していけるかを現場が考えていくようになる。今というこの移行期をできるだけ心地よく進めていきたい。

WWD:20年1月期の決算発表時点では、21年度1月期にグローバルで170店の閉鎖を発表していた。日本ではどの程度閉めるのか。

コリン:日本にはもともと「ギャップ」は約150店舗しかない。(閉店して)ECに置き換えるべきか、それともふさわしい場所に移転するべきかは、グローバルでも日本でも常に分析している。ニュースではセンセーショナルに「ギャップが大量閉店」などと報道するが、閉店ではなく移転というケースもある。お客さまに来ていただくためには、実店舗はお客さまの生活圏に近いところに出すべき。たとえば食料品なども売っているホームセンターのような施設の中で、キッズとベビーだけを扱う小型店があってもいい。全商品カテゴリーをそろえた2万平方メートルの店舗だけにしようとは思っていない。店舗数を縮小し、1店あたりを大型化するという考えではなく、市場に合わせて柔軟に取り組んでいく。

WWD:「ギャップ」はアメリカでの売り上げ比率が全売り上げの大部分を占める。アジア売り上げ(全体の7%)を、今回のキャンペーンでどれくらいまで高める考えか。

コリン:グローバルの売り上げの中で、いかに日本やアジアのシェアを高めるかという考え方はしていない。日本のファッション市場でわれわれのシェアは1%だ。それをいかに拡大するか。現在、われわれのCRM会員数は約600万人だが、日本の人口は1億2500万人。日本市場だけでも、まだまだ無尽蔵といえるほどに新規開拓のチャンスがあるはずだ。

WWD:アメリカ本国では、日本から撤退した「オールドネイビー(OLD NAVY)」や「アスリータ(ATHLETA)」といった同じグループのブランド群が、「ギャップ」よりも比較的好調だ。これらのブランドの日本展開の予定はあるか。

コリン:「ギャップ」の中でも、(インナーやルームウエア中心の)“ラブ バイ ギャップ(LOVE BY GAP)”など、日本でまだしっかり表現しきれていない商品がある。「ギャップ」の中でもまだまだ伝えられるものがあるので、「オールドネイビー」など他ブランドよりも、まずは「ギャップ」を強化していく。

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なぜ、透明性が大切ですか?

 「WWDジャパン」8月24日号は「サステナビリティ特集2020 持続可能な企業への道」の第1弾として“透明性”に取り組む企業を特集している。環境負荷の測定や労働環境の把握など、サプライチェーンを透明化させていくことは決して容易ではないが、そこに取り組む意義を見いだし、業界全体に変化を生み出そうとしている企業も存在する。透明性を重視する11人に取り組む理由を聞いた。

森摂/「オルタナ」編集長

 企業はサプライチェーンにおけるネガティブな要素も目に見える形で説明する責任がある。それらをポジティブな要素に転換していくことこそが透明性に取り組む意義だろう。消費者の情報感度が上がっている昨今、企業の社会対応力が問われている。できていることもできていないことも透明性をもって開示することが結果的には信頼獲得のための最短距離となるはずだ。

レベッカ・マーモット/ユニリーバ チーフサステナビリティオフィサー

 世界最大級の消費財企業であるユニリーバにとって、事業活動を把握し、状況を共有することは非常に重要。だからこそ、何をしているのかをオープンにし、進捗状況を報告し、さらにやるべきことがあれば公表する。また、サステナビリティの目標を達成するためには、さまざまなパートナーとオープンに協力する必要がある。透明性を保つことは企業が政府やNGO、そのほかのパートナーと協働し、社会全体のシステムをよりサステナブルに変えていくための鍵だと考えている。

セバスチャン・コップ/ヴェジャ創業者

 ダフト・パンクのドキュメンタリーの中で、音楽プロデューサーのジョルジオ・モロダー(Giorgio Moroder)が、3つの異なるマイクを設置した部屋で彼らのアルバムを録音していた。古いもの、一般的なもの、そして未来的なもの。彼は一緒に作業をしていた技術者に「一般の人がマイクの音の違いに気付くと思う?」と聞くと、技術者は「いいえ。しかしダフト・パンクはそれらの違いを生み出すでしょう」と答えた。まさに私たちの哲学と重なると感じた。私たちはやるべきことを誰よりも先に行い、人々が私たちを探り出せば、その取り組みを理解するだろう。私たちが目指すのは、「地球と人に敬意を表するスニーカー」を作ることだ。

シダーサ・シュクラ/「セオリー」チーフブランドオフィサー、ウェンディ・ウォー/サステナビリティ&原材料担当シニアバイスプレジデント

 「セオリー(THEORY)」の服を作る人や着る人、地球に対して果たすべき責任へのコミットメントとして、2020年春に「Theory For Good」 をローンチした。25年までに全ての代表的な素材について、完全トレーサビリティーの実現を第一目標に、服作りの変革を進めている。ファッション産業が進化するためには、未来を考え、透明性を高め、一つ一つの素材に責任を持つべき。同じ志を持ったサプライヤーと共に進化を続けたい。

ティム・ブラウン/オールバーズ共同創業者

 私たちはカーボンフットプリントのゼロ化を実現することを目標に起業した。全商品にカーボンフットプリントを表示したのは企業として責任を持つためであり、また、あらゆる食品にカロリー表示がされているのと同じようにカーボンフットプリントを見て消費者が物を選ぶ時代が来ると信じているから。そうすれば一人一人の意識が変わり、行動も変わるはずだと思う。私たち人間がこの地球上に住み続けるには、ビジネスも社会もカーボンニュートラルに向けて、取り組む必要がある。

マイケル・プレイズマン/エバーレーン創業者

 透明性を追求することは信頼を築くことにつながる。私たちは商品の質やモノの真価を伝えるための情報を開示することで、消費者に賢い選択をするための力を与えたいと思っている。製造原価、労働環境、環境負荷全てにおいて透明性を追求することで、私たちは説明責任を果たすことができ、われわれのブランドに携わる人々とこの地球を守ることができる。

デイブ・マンツ/花王執行役員ESG部門統括

 透明性とはステークホルダーがわれわれを信頼のおけるパートナーとして、そして持続可能な社会の実現に欠かせない企業として受け入れるために知りたいと願うことによって定義付けられるものだ。今日においてはステークホルダーの信頼はどの企業、ブランドにとってもビジネスの成功の基本である。そのためわれわれは、透明性とは絶対的に欠くことができないものであると考える。情報開示にあたっては目標達成までの長い道のりのどの地点にいるのか、敬意と公正さを持って、誠実に説明することを何よりも重視している。

ハビエル・ゴジェネーチェ/エコアルフ創業者

 われわれが使用したいと考えるリサイクル素材はサプライヤーとの密接な協力があってようやく開発ができるもので、そもそも透明なサプライチェーンの構築が不可欠だった。そのため創業当初から透明性に取り組み、スペインで初めてB Corp認証を取得した。われわれは“Storytelling”ではなく、“Storydoing”のブランドだ。問題を発信するだけでなく、実際に行動して解決の一助になりたいと思っている。

福田稔/ローランド・ベルガー パートナー

 現在、世界でESG(環境・社会・ガバナンス)銘柄に対して投資が進んでいる。ESGにきちんと取りかかる企業は成長性が高く、利回りがよいということが分かってきているからだ。当然ESGは透明性を持って活動内容を把握し、公表していくことが前提となる。また、これまでの“ちょっとエコ”のような柔らかい打ち出し方では消費者に響かなくなってきているのが現実だ。企業はより本質的な活動が見られていくことを意識するべきだ。

ジェローム・ブリュア/日本ロレアル社長

 ロレアルでは、企業行動は経済的活動や製品の質などと同様に重要と考えている。世界的な模範企業になることを目指し、倫理をわれわれのビジネスの中核に根差している。当社の倫理規範は「誠実さ」「尊重」「勇気」「透明性」の4つ。透明性は私たちの価値観を形成するコアであり、企業文化を形成する重要な要素だ。私たちの行動や決定を正しいものとするために、常に誠実でいなければならない。そのために透明性は必要不可欠なものだ。

豊島半七/豊島社長

 透明性の要素の一つとしてトレーサビリティーが正確に取れることが挙げられる。この考えから昨年3月にオーガニック綿花農場から紡績工場までを運営するトルコのウチャクと日系向けのオーガニックコットン糸の独占販売契約を結んだ。綿花のトレーサビリティーを確保することは生産者の顔が見えるという新たな価値と同時に双方の責任を生み出す。世界へ発信する上で“TRUECOTTON”という名前をつけて販売することが、一般的には難しいと言われる綿花の透明性を高めると考える。

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なぜ、透明性が大切ですか?

 「WWDジャパン」8月24日号は「サステナビリティ特集2020 持続可能な企業への道」の第1弾として“透明性”に取り組む企業を特集している。環境負荷の測定や労働環境の把握など、サプライチェーンを透明化させていくことは決して容易ではないが、そこに取り組む意義を見いだし、業界全体に変化を生み出そうとしている企業も存在する。透明性を重視する11人に取り組む理由を聞いた。

森摂/「オルタナ」編集長

 企業はサプライチェーンにおけるネガティブな要素も目に見える形で説明する責任がある。それらをポジティブな要素に転換していくことこそが透明性に取り組む意義だろう。消費者の情報感度が上がっている昨今、企業の社会対応力が問われている。できていることもできていないことも透明性をもって開示することが結果的には信頼獲得のための最短距離となるはずだ。

レベッカ・マーモット/ユニリーバ チーフサステナビリティオフィサー

 世界最大級の消費財企業であるユニリーバにとって、事業活動を把握し、状況を共有することは非常に重要。だからこそ、何をしているのかをオープンにし、進捗状況を報告し、さらにやるべきことがあれば公表する。また、サステナビリティの目標を達成するためには、さまざまなパートナーとオープンに協力する必要がある。透明性を保つことは企業が政府やNGO、そのほかのパートナーと協働し、社会全体のシステムをよりサステナブルに変えていくための鍵だと考えている。

セバスチャン・コップ/ヴェジャ創業者

 ダフト・パンクのドキュメンタリーの中で、音楽プロデューサーのジョルジオ・モロダー(Giorgio Moroder)が、3つの異なるマイクを設置した部屋で彼らのアルバムを録音していた。古いもの、一般的なもの、そして未来的なもの。彼は一緒に作業をしていた技術者に「一般の人がマイクの音の違いに気付くと思う?」と聞くと、技術者は「いいえ。しかしダフト・パンクはそれらの違いを生み出すでしょう」と答えた。まさに私たちの哲学と重なると感じた。私たちはやるべきことを誰よりも先に行い、人々が私たちを探り出せば、その取り組みを理解するだろう。私たちが目指すのは、「地球と人に敬意を表するスニーカー」を作ることだ。

シダーサ・シュクラ/「セオリー」チーフブランドオフィサー、ウェンディ・ウォー/サステナビリティ&原材料担当シニアバイスプレジデント

 「セオリー(THEORY)」の服を作る人や着る人、地球に対して果たすべき責任へのコミットメントとして、2020年春に「Theory For Good」 をローンチした。25年までに全ての代表的な素材について、完全トレーサビリティーの実現を第一目標に、服作りの変革を進めている。ファッション産業が進化するためには、未来を考え、透明性を高め、一つ一つの素材に責任を持つべき。同じ志を持ったサプライヤーと共に進化を続けたい。

ティム・ブラウン/オールバーズ共同創業者

 私たちはカーボンフットプリントのゼロ化を実現することを目標に起業した。全商品にカーボンフットプリントを表示したのは企業として責任を持つためであり、また、あらゆる食品にカロリー表示がされているのと同じようにカーボンフットプリントを見て消費者が物を選ぶ時代が来ると信じているから。そうすれば一人一人の意識が変わり、行動も変わるはずだと思う。私たち人間がこの地球上に住み続けるには、ビジネスも社会もカーボンニュートラルに向けて、取り組む必要がある。

マイケル・プレイズマン/エバーレーン創業者

 透明性を追求することは信頼を築くことにつながる。私たちは商品の質やモノの真価を伝えるための情報を開示することで、消費者に賢い選択をするための力を与えたいと思っている。製造原価、労働環境、環境負荷全てにおいて透明性を追求することで、私たちは説明責任を果たすことができ、われわれのブランドに携わる人々とこの地球を守ることができる。

デイブ・マンツ/花王執行役員ESG部門統括

 透明性とはステークホルダーがわれわれを信頼のおけるパートナーとして、そして持続可能な社会の実現に欠かせない企業として受け入れるために知りたいと願うことによって定義付けられるものだ。今日においてはステークホルダーの信頼はどの企業、ブランドにとってもビジネスの成功の基本である。そのためわれわれは、透明性とは絶対的に欠くことができないものであると考える。情報開示にあたっては目標達成までの長い道のりのどの地点にいるのか、敬意と公正さを持って、誠実に説明することを何よりも重視している。

ハビエル・ゴジェネーチェ/エコアルフ創業者

 われわれが使用したいと考えるリサイクル素材はサプライヤーとの密接な協力があってようやく開発ができるもので、そもそも透明なサプライチェーンの構築が不可欠だった。そのため創業当初から透明性に取り組み、スペインで初めてB Corp認証を取得した。われわれは“Storytelling”ではなく、“Storydoing”のブランドだ。問題を発信するだけでなく、実際に行動して解決の一助になりたいと思っている。

福田稔/ローランド・ベルガー パートナー

 現在、世界でESG(環境・社会・ガバナンス)銘柄に対して投資が進んでいる。ESGにきちんと取りかかる企業は成長性が高く、利回りがよいということが分かってきているからだ。当然ESGは透明性を持って活動内容を把握し、公表していくことが前提となる。また、これまでの“ちょっとエコ”のような柔らかい打ち出し方では消費者に響かなくなってきているのが現実だ。企業はより本質的な活動が見られていくことを意識するべきだ。

ジェローム・ブリュア/日本ロレアル社長

 ロレアルでは、企業行動は経済的活動や製品の質などと同様に重要と考えている。世界的な模範企業になることを目指し、倫理をわれわれのビジネスの中核に根差している。当社の倫理規範は「誠実さ」「尊重」「勇気」「透明性」の4つ。透明性は私たちの価値観を形成するコアであり、企業文化を形成する重要な要素だ。私たちの行動や決定を正しいものとするために、常に誠実でいなければならない。そのために透明性は必要不可欠なものだ。

豊島半七/豊島社長

 透明性の要素の一つとしてトレーサビリティーが正確に取れることが挙げられる。この考えから昨年3月にオーガニック綿花農場から紡績工場までを運営するトルコのウチャクと日系向けのオーガニックコットン糸の独占販売契約を結んだ。綿花のトレーサビリティーを確保することは生産者の顔が見えるという新たな価値と同時に双方の責任を生み出す。世界へ発信する上で“TRUECOTTON”という名前をつけて販売することが、一般的には難しいと言われる綿花の透明性を高めると考える。

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米副大統領候補カマラ・ハリスの姪がデザイナー メッセージTシャツで女性の権利向上を支援

 2020年11月に迫った米大統領選に民主党候補として挑むジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領が、副大統領候補としてカマラ・ハリス(Kamala Harris)上院議員を指名して大きな話題を呼んでいる。ハリス上院議員がジャマイカ系とインド系のルーツを持つ女性だからだ。

 米大統領選で女性が副大統領候補に選ばれるのは同氏で3人目だが、1984年のジェラルディン・フェラーロ(Geraldine Ferraro)元下院議員と2008年のサラ・ペイリン(Sarah Palin)元アラスカ州知事は白人なので、有色人種の女性としてはハリス上院議員が初めてである。

 民主党の正副大統領候補を正式に選出するため、8月19日に開催された民主党全国大会は、バラク・オバマ(Barack Obama)前大統領とミシェル・オバマ(Michelle Obama)同夫人が応援演説を行ったほか、ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)元国務長官やナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)下院議長も登壇するなど、“ウィメンズパワー”が強く印象に残るものとなった。ハリス上院議員を紹介する動画には、同氏の継娘と妹、そして姪のミーナ・ハリス(Meena Harris)が登場。かつて検察官だったハリス上院議員と同じく法曹界に身を置く弁護士であり、人権活動家や絵本作家、そしてアパレルブランドの設立者として活躍するミーナに米「WWD」がインタビューを行った。

WWD:女性の権利向上を支援する運動「フェノミナル・ウーマン・アクション・キャンペーン(Phenomenal Woman Action Campaign)」を17年に立ち上げた際、そのスローガンをプリントしたTシャツなどを販売する同名のブランドを設立して話題となったが、以前からファッションに興味はあった?

ミーナ・ハリス(以下、ミーナ):ファッションは好きで興味もあったし、いいものを見分ける目はあると思うが、スタイリッシュなタイプではなかった。だから今でも自分をデザイナーだと称するのは気が引けるけれど、どういう配色や言葉を使えばメッセージが伝わり、世間の注目を集められるかというセンスには自信がある。私は起業家でもあるが、社会や男性から否定的な視線を向けられることなどによって自信を喪失し、なかなか「私は起業家だ」と言うことができなかった。しかし今では胸を張って言えるようになったので、いずれはデザイナーとしてもそうなりたいと思っている。

WWD:「フェノミナル・ウーマン」という名称は、活動家で詩人の黒人女性マヤ・アンジェロウ(Maya Angelou)による同名の作品に着想を得ているそうだが、ヒラリーが民主党の大統領候補だった16年の米大統領選にも影響を受けているか。

ミーナ:もちろん。16年の米大統領選では、私の母である弁護士のマヤ・ハリス(Maya Harris)がヒラリーのシニア・アドバイザーを務めていたこともあって大きな影響を受けている。当時、フェイスブック(FACEBOOK)にはヒラリーを支持する「パンツスーツ・ネーション(Pantsuit Nation)」というグループがあり、私はその運営に関わっていた。ヒラリーがよく着用していることから、同グループは女性の権利を象徴するものとしてパンツスーツを重視していたので、400万人以上いた参加メンバーの多くは応援の際にパンツスーツを着ていた。選挙後に、これを仕事の面接に行くための服がない低所得層の女性を支援する非営利団体ドレス・フォー・サクセス(Dress for Success)に寄付する運動を行ったが、「フェノミナル・ウーマン」はこうした経験に基づいて立ち上げた。

WWD:“フェノミナル・ウーマン”と胸にプリントしたTシャツで一躍注目を浴びたが、その経緯について。

ミーナ:女性の権利向上を啓発し、そうした問題に取り組んでいる団体に寄付をしたいと考えて作った。これはグレーのTシャツに黒い文字で“フェノミナル・ウーマン”と書かれているものだが、最初は色違いも作ってほしいという要望も多かった。私がフルタイムで働いていたため、在庫管理の面からも対応できなかったけれど、「グレーに黒字で書いてあったら『フェノミナル・ウーマン』のTシャツ」とブランドイメージが定着したので結果的によかったと思う。

WWD:女優のアメリカ・フェラーラ(America Ferrera)や、女優でプロデューサーのイッサ・レイ(Issa Rae)がブランドアンバサダーを務めているが、どうやって声をかけた?

ミーナ:イッサは大学時代からの友人で、アメリカとは活動家としての運動を通じて知り合った。彼女たちに「フェノミナル・ウーマン」のTシャツを着てほしいと打診したら快諾してくれた上に、ほかのセレブリティーにも紹介してくれた。

WWD:ここ数年で、企業の社会的な責任を意識するブランドも増えてきた。アイテムが売れるごとに寄付を行ったり、安全な水の供給事業をサポートしたりしているシューズブランド「トムス(TOMS)」などがそのはしりだが、こうした動きをどう思うか。

ミーナ:私も「トムス」のビジネスモデルに大きな影響を受けている。商品に社会的な影響を及ぼす役割があってもいいと思うし、それは消費者が求めていることでもある。「黒人の命は大切(Black Lives Matter)」運動でも明らかなように、最近の消費者は企業のトップがどういう考えの持ち主なのかを重視するようになっている。また労働者の権利は守られているのか、黒人の取締役はいるのかなど、口先だけでなく行動が伴っているのかも大切だ。「フェノミナル・ウーマン」はそうした人権を守る運動を支援しているが、ほかの企業もそうであるよう促すのが私のミッションの一つだ。

WWD:ファッションとフェミニズム、そして政治の関係は時に難しいことがある。ファッション誌である弊誌でも、ハリス上院議員の服装について取り上げるべきかどうかが議論されている。服装を政治的なツールとして活用することについてどう思うか。

ミーナ:女性のスピーチの内容でなく服装にばかりフォーカスするのはどうかと思うが、何を着るかも自己表現の一つであり、政治的なメッセージとなり得る。例えば、女性がパンツスーツを着ることは反体制的なことだと長らく考えられてきた。私がワシントンD.C.でロークラーク(判事の補佐役)として働いていた頃、女性のロークラークはスカートをはくべきだと言う判事がまだかなりいた。それに反対してパンツスーツを着るにしても、目立つような明るい色は避けて紺や黒にしておこうという気持ちにさせられることもある。(有色人種の女性である)アレクサンドラ・オカシオ・コルテス(Alexandria Ocasio-Cortez)下院議員は真っ赤な口紅と大きなフープ型イヤリングがトレードマークだが、政治家としての手腕とは関係なくそうした服装を攻撃されることも多い。これはとても差別的な行為だし、同じくカマラが真っ赤なパンツスーツと口紅を身に着けていたら人々がどう反応するかは容易に想像できる。そうした意味で、やるべきことはまだまだ多いと思う。

WWD:現在はマスクの着用など、これまでになく「何を身につけるか」が政治的な意味を持つようになっている。“フェノミナリー・ブラック(驚くほど素晴らしくブラック)”と胸にプリントされた「フェノミナル・ウーマン」のTシャツを校内で着用したカリフォルニア州の黒人女性教師ケイ・ジャクソン(Kei Jackson)が解雇されたことについてどう思うか。

ミーナ:私はアパレルブランドも政治的なことに関わるべきだと思う。ケイが解雇された件については、アメリカ自由人権協会(American Civil Liberties Union)や全米黒人地位向上協会/全米有色人種地位向上協会(National Association for the Advancement of Colored People)と連携して支援しているが、まだ対応が保留となっている。

WWD:大統領選が近づいているが、売り上げは増加している?

ミーナ:“フェノミナリー・アジアン(Phenomenally Asian)”や“黒人の命は大切”とプリントされたシリーズを販売していることもあり、売り上げは増加している。家にいる時間が増えたため、着心地のよいカジュアルウエアが人気であることも後押ししていると思う。

WWD:今後進出したい分野や、コラボレーションしたい相手は?

ミーナ:たくさんあるが、まずブラジャーを発売したい。ほかには女児用のアスレジャーアイテムも手掛けたいと考えている。男児用と同じような耐久性があって、ベーシックでキュートな商品があまりないから。今のところ、そうしたものは「アスレタ(ATHLETA)」などほんの数ブランドでしか見かけない。

WWD:ほかに展望はある?いつかパンツスーツを手掛けたいとか、大きなブランドになりたいと考えている?

ミーナ:もちろん。卸先を増やしたいと考えているし、パンツスーツについては将来的なパートナーを探しているところ。「フェノミナル・ウーマン」は社会正義の実現や市民の社会参加を促すブランドであり、今後もそうしたライフスタイルを支援していきたい。

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【動画】ウィズコロナ時代に大流行のキャンプをファッション&ビューティ目線で体験ルポ(前編)

 今回の「出張インタビュー」ではキャンプを体験します。「え、なんでWWDがキャンプ?」と思われるかもしれませんが、“モノが売れない”といわれる時代にキャンプ商品は売り上げを伸ばしており、「WWD JAPAN.com」内でも関連記事は人気です。またキャンプはウィズコロナ時代のレジャーとしても注目されています。ファッション&ビューティのビジネスメディアである「WWDジャパン」としては、ここにフォーカスしない手はない、というわけです。

 その道のプロであるキャンプライター兼スタイリストの山田昭一さん、「WWDビューティ」出身でママ目線、女性目線を持つ福崎明子デジタルデスク、そしてキャンプ超初心者の「WWDジャパン」編集部 三澤和也の3人が実際にキャンプをしながら、前編ではタープの設営や、アウトドアでも使えるビューティグッズなどを紹介します。

 近日公開予定の後編ではダッチオープンを使った“キャンプ飯”や、アウトドアでも人気の格安&機能的なワークマンプラスの服についても解説します。

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