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半導体製造課題克服技術 工程

半導体製造工程で日本企業が世界トップシェアを持つ分野

半導体製造工程は、大きく「前工程」と「後工程」に分けられます。

前工程は、シリコンウェハーの製造からチップ製造までの工程を指します。具体的には、以下の工程が含まれます。

  1. ウェハー製造
  2. 酸化膜形成
  3. 露光
  4. エッチング
  5. イオン注入
  6. スパッタリング
  7. メッキ
  8. CMP(化学機械研磨)
  9. ダイシング

後工程は、チップ製造後の工程を指します。具体的には、以下の工程が含まれます。

  1. ワイヤボンディング
  2. フリップチップボンディング
  3. 封止
  4. テスト

日本企業は、主に前工程の装置や材料において世界トップシェアを誇っています。

前工程で日本企業が世界トップシェアを持つ分野と代表的な企業は以下の通りです。

  • ウェハー製造装置: 東京エレクトロン、SCREENホールディングス
  • 露光装置: キヤノン、ニコン
  • エッチング装置: テル、荏原製作所
  • イオン注入装置: 日立ハイテク
  • スパッタ装置: 荏原製作所、ULVAC
  • メッキ装置: エフテック
  • CMP装置: EBARA CORPORATION

後工程では、検査装置や実装材料において日本企業が強みを持っています。

後工程で日本企業が強みを持つ分野と代表的な企業は以下の通りです。

  • 検査装置: アドバンテスト、日立ハイテク
  • 実装材料: 住友ベークライト、信越化学工業

これらの日本企業は、長年の技術開発と経験によって、高精度・高品質な半導体製造装置や材料を開発・製造してきました。

近年、中国や韓国などの半導体メーカーが台頭していますが、日本企業は依然として高い技術力と競争力を維持しており、半導体製造において重要な役割を果たしています。

参考資料

  • 日経クロステック(xTECH): 半導体製造装置、日本勢が世界首位を維持
  • SEMI: The State of the Semiconductor Industry
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半導体の工程解説

半導体の製造工程:驚異の精密技術

半導体の製造は、大きく前工程後工程に分けられます。前工程では、シリコンの結晶からウェハーと呼ばれる薄い円盤を作り、回路パターンの形成を行います。後工程では、ウェハーを個々のチップに分割し、パッケージと呼ばれる外装に封入するまでを行います。

前工程

  1. シリコンインゴットの製造
    • 高純度のシリコン原料を融解し、結晶化させてシリコンインゴットと呼ばれる円柱状の結晶を作る。
  2. ウェハーの製造
    • シリコンインゴットを薄くスライスして、ウェハーと呼ばれる薄い円盤を作る。
  3. 酸化
    • ウェハー表面に薄い酸化膜を作る。
  4. フォトレジスト塗布・露光・現像
    • 感光材料であるフォトレジストをウェハーに塗布し、光マスクを使って回路パターンを転写する。
  5. エッチング
    • フォトレジストで保護されていない部分を化学的に除去し、回路パターンを形成する。
  6. イオン注入
    • 不純物イオンをウェハーに注入し、半導体の電気特性を調整する。
  7. CMP(化学機械研磨)
    • ウェハー表面を平坦に磨き、微細な凹凸をなくす。
  8. 金属配線の形成
    • アルミや銅などの金属を蒸着させて、回路パターンを形成する。

後工程

  1. ダイシング
    • ウェハーを個々のチップに分割する。
  2. 裏面研削
    • チップ裏面を研磨し、平坦にする。
  3. ボンディング
    • チップと金線を使って、パッケージに接続する。
  4. モールド
    • チップを樹脂で封入し、保護する。
  5. 検査
    • 電気特性や外観を検査し、不良品を除去する。

製造工程における課題

  • 微細化:
    • より微細な回路パターンを形成するためには、高度な技術と設備が必要となる。
  • 歩留り:
    • 製造工程における不良品を減らすためには、精密な工程管理が必要となる。
  • コスト:
    • 高度な技術と設備を導入するためには、製造コストが高くなる。

未来への展望

  • 3D半導体:
    • 複数のチップを積層することで、処理能力や記憶容量を大幅に向上させる技術。
  • 次世代半導体:
    • 従来の半導体よりも高速・高効率・低消費電力な半導体。

これらの技術革新により、半導体は更なる進化を遂げ、社会に大きな変革をもたらすことが期待されています。

参考情報

半導体製造工程の詳細:驚異の精密技術

半導体の製造は、大きく前工程後工程に分けられます。前工程では、シリコンの結晶からウェハーと呼ばれる薄い円盤を作り、回路パターンの形成を行います。後工程では、ウェハーを個々のチップに分割し、パッケージと呼ばれる外装に封入するまでを行います。

前工程

1. シリコンインゴットの製造

  • 高純度のシリコン原料を融解し、約1,200℃の高温で結晶化させてシリコンインゴットと呼ばれる円柱状の結晶を作る。
  • 結晶成長には、 czochralski 法(チョクラルスキー法)とフロートゾーン法(FZ法)の2つの方法が主に用いられる。
    • czochralski 法:
      • 融液に種結晶を浸し、ゆっくりと引き上げながら回転させることで結晶を成長させる。
      • 大口径のインゴット製造に適している。
    • フロートゾーン法:
      • 高周波誘導加熱によって融液を浮かせ、種結晶に接触させずに結晶を成長させる。
      • 高純度の結晶製造に適している。

2. ウェハーの製造

  • シリコンインゴットをダイヤモンドワイヤーソーでスライスして、厚さ約0.7mmの薄い円盤状のウェハーを作る。
  • スライスには、内径と外径の差を利用する「ダイシングソー」と、ワイヤーを回転させて切断する「ワイヤソー」の2つの方法が主に用いられる。
  • ウェハー表面は、研磨によって平坦に仕上げられる。

3. 酸化

  • ウェハー表面を高温で酸化させ、薄い酸化膜(SiO2)を作る。
  • 酸化膜は、ゲート絶縁膜やマスクとして用いられる。
  • 酸化方法は、熱酸化法、プラズマ酸化法、LPCVD法などがある。

4. フォトレジスト塗布・露光・現像

  • 感光材料であるフォトレジストをウェハーに塗布し、光マスクを使って回路パターンを転写する。
  • 光マスクは、透明な基板に回路パターンが描かれた精密なマスク。
  • 露光には、i線、KrF、ArF、EUVなどの様々な波長の光が用いられる。
  • 現像によって、光が当たった部分のフォトレジストが洗い流され、回路パターンが残る。

5. エッチング

  • フォトレジストで保護されていない部分を化学的に除去し、回路パターンを形成する。
  • エッチングには、ドライエッチングとウェットエッチングの2つの方法が主に用いられる。
    • ドライエッチング:
      • プラズマを用いて、化学的に材料を除去する。
      • 高い方向性と均一性を持つエッチングが可能。
    • ウェットエッチング:
      • 溶液を用いて、化学的に材料を除去する。
      • 低コストでシンプルな方法。

6. イオン注入

  • 不純物イオンをウェハーに注入し、半導体の電気特性を調整する。
  • イオン注入によって、n型半導体やp型半導体を作ることができる。
  • イオン注入装置は、イオン源、加速器、ターゲットチャンバーなどから構成される。

7. CMP(化学機械研磨)

  • ウェハー表面を平坦に磨き、微細な凹凸をなくす。
  • 研磨液とパッドを用いて、化学的と機械的な作用で表面を削る。
  • CMPは、微細化技術の進歩に不可欠な技術。

8. 金属配線の形成

  • アルミや銅などの金属を蒸着させて、回路パターンを形成する。
  • 蒸着方法には、スパッタリング、蒸発、CVDなどがある。
  • 金属配線は、抵抗やインダクタンスなどの電気特性を持つ。

後工程

1. ダイシング

  • ウェハーを個々のチップに分割する。
  • ダイシングには、ダイヤモンドワイヤーソーやレーザーソーを用いる。
  • ダイシング精度が、チップの歩留りや性能に影響を与える。

2. 裏面研削

  • チップ裏面を研磨し、平坦にする。
  • 裏面研削によって、チップとパッケージの接続が改善される。

3. ボンディング

  • チップと金線を使って、パッケージに接続する。
  • ボンディングには、ワイヤーボンディングとフリップチップボンディングの2つの方法が主に用いられる。
    • ワイヤーボンディング:
      • 金線でチップとパッケージを接続する。
      • 低コストでシンプルな方法。
    • フリップチップボンディング:
      • チップ裏面とパッケージの接続端子を直接接続する。
      • 高い接続密度と信頼性を持つ。

4. モールド

  • チップを樹脂で封入し、保護する。
  • モールド樹脂には、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂などがある。
  • モールドによって、チップが外部環境から保護される。

5. 検査

  • 電気特性や外観を検査し、不良品を除去する。
  • 検査には、電気テスト、外観検査、X線検査などがある。
  • 検査によって、高品質な製品を提供することができる。

6. パッケージング

  • チップを保護し、外部との接続を可能にするパッケージに封入する。
  • パッケージには、QFN、BGA、LGAなど様々な種類がある。
  • パッケージは、チップの性能や発熱量、使用環境などに合わせて選択される。

半導体製造における課題

  • 微細化:
    • より微細な回路パターンを形成するためには、高度な技術と設備が必要となる。
    • 微細化に伴い、マスクの製造や露光技術も高度化していく必要がある。
  • 歩留り:
    • 製造工程における不良品を減らすためには、精密な工程管理が必要となる。
    • 歩留りを向上させるためには、材料や設備の改良も重要となる。
  • コスト:
    • 高度な技術と設備を導入するためには、製造コストが高くなる。
    • コスト削減のためには、製造工程の効率化や材料の低コスト化が必要となる。

未来への展望

  • 3D半導体:
    • 複数のチップを積層することで、処理能力や記憶容量を大幅に向上させる技術。
    • 3D半導体の実現には、 TSV(Through Silicon Via)などの新しい技術が必要となる。
  • 次世代半導体:
    • 従来の半導体よりも高速・高効率・低消費電力な半導体。
    • 次世代半導体材料として、窒化ガリウムやカーボンナノチューブなどが研究開発されている。

これらの技術革新により、半導体は更なる進化を遂げ、社会に大きな変革をもたらすことが期待されています。

参考情報

半導体製造における最新技術

半導体製造技術は日進月歩で進化しており、近年は特に以下の技術が注目されています。

微細化技術

  • EUV露光:
    • 極端紫外線(EUV)を用いて微細な回路パターンを形成する技術。
    • 従来のArF露光よりもさらに微細なパターン形成が可能。
    • EUV露光装置は、高価で複雑なため、製造コストの課題がある。
  • ナノインプリントリソグラフィー:
    • ナノメートルレベルの凹凸を持つ型を用いて、レジストにパターンを転写する技術。
    • EUV露光よりもさらに微細なパターン形成が可能。
    • 量産技術としての確立が課題である。

3D半導体技術

  • TSV(Through Silicon Via):
    • シリコンウェハーに垂直方向に貫通する穴を開け、銅などの金属で接続する技術。
    • 複数のチップを積層接続するための技術。
    • TSV形成の精度とコストが課題である。
  • ハイブリッドボンディング:
    • 従来のワイヤーボンディングやフリップチップボンディングに加えて、マイクロバンプや導電性接着剤などを用いた新しい接続技術。
    • 3D半導体の実現に不可欠な技術。
    • 信頼性と耐久性の向上が課題である。

次世代半導体材料

  • 窒化ガリウム:
    • 従来のシリコンよりも高い電子移動度を持ち、高速・高効率な半導体デバイスが実現可能。
    • 大口径ウエハーの製造や、高品質な結晶成長技術の開発が課題である。
  • カーボンナノチューブ:
    • 非常に高い電子移動度と熱伝導率を持ち、超高速・低消費電力な半導体デバイスが実現可能。
    • 量産可能なデバイス製造技術の開発が課題である。

これらの技術革新は、半導体性能の飛躍的な向上と、新たなデバイスやアプリケーションの創出に繋がると期待されています。

参考情報

  • 3D半導体 | 日立ハイテク: [無効な URL を削除しました]
  • 次世代半導体 | 日立ハイテク: [無効な URL を削除しました]
  • SEMI: [無効な URL を削除しました]
微細化技術追加

EUV露光

  • 波長が13.5nmの極端紫外線(EUV)を用いて、従来のArF露光よりも微細な回路パターンを形成する技術。
  • 7nmプロセスや5nmプロセスなどの先端半導体製造に不可欠な技術。
  • EUV露光装置は、高価で複雑なため、製造コストの課題がある。

主な課題

  • 高価なEUV露光装置の開発・製造
  • マスクの製造精度向上
  • 高感度レジストの開発
  • 微細化に伴う歩留り向上

ナノインプリントリソグラフィー

  • ナノメートルレベルの凹凸を持つ型を用いて、レジストにパターンを転写する技術。
  • EUV露光よりもさらに微細なパターン形成が可能。
  • 量産技術としての確立が課題。

主な課題

  • 高精度な型とレジストの開発
  • 高い量産性とコスト競争力の実現
  • 微細化に伴う歩留り向上

3D半導体技術

TSV(Through Silicon Via)

  • シリコンウェハーに垂直方向に貫通する穴を開け、銅などの金属で接続する技術。
  • 複数のチップを積層接続するための技術。
  • 3D半導体の実現に不可欠な技術。

主な課題

  • 高精度なTSV形成技術の開発
  • TSV接続の信頼性向上
  • コスト削減

ハイブリッドボンディング

  • 従来のワイヤーボンディングやフリップチップボンディングに加えて、マイクロバンプや導電性接着剤などを用いた新しい接続技術。
  • 3D半導体の実現に不可欠な技術。

主な課題

  • 高信頼性・高耐久性な接続技術の開発
  • 3D積層における熱管理技術の確立
  • コスト削減

次世代半導体材料

窒化ガリウム (GaN)

  • 従来のシリコンよりも高い電子移動度を持ち、高速・高効率な半導体デバイスが実現可能。
  • 高出力トランジスタや高周波デバイスなどに用いられる。

主な課題

  • 大口径ウエハーの製造技術確立
  • 高品質な結晶成長技術の開発
  • デバイス製造技術の確立

カーボンナノチューブ (CNT)

  • 非常に高い電子移動度と熱伝導率を持ち、超高速・低消費電力な半導体デバイスが実現可能。
  • 将来の半導体デバイスの革新を担う材料として期待される。

主な課題

  • 量産可能なデバイス製造技術の開発
  • CNTの品質向上
  • デバイス特性の制御技術の開発

具体的な取り組み

  • CNTデバイス製造におけるプロセス技術開発
  • 高品質なCNTの量産技術開発
  • CNTデバイスの特性制御技術開発